暴論

かつてスペインの僧侶ブルーノは、当時の教会に対して「暴論」をはいたために、火あぶりの刑になった。いつの世でも異端は迫害される。だがその中で少なからず先見の明があった例には事欠かないのだ。

輸入食品をやめるときが来た

Giordano Bruno

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アメリカは狂牛病にかかっているかどうかについての全頭検査をするつもりはないらしい。検査にかかる費用を惜しんでいるのだろう。この程度調査したからもう大丈夫だと主張している。だが、実際問題として今回発見されたBSEの牛がどこから来たかさえもきちんとわかっていないのだ。

このままなし崩し的に日本に輸入を迫るだろう。つまりはっきり言えば、アメリカの牧場主の利益の方が、日本人が狂牛病にかかる危険性よりはるかに重要なことだというわけだ。歯止めのない資本主義とはこういうものである。グローバリズムは利益さえ生めば、どんなことにも責任を負わないのだ。

吉野屋の牛丼がついに売り切れたという。結構なニュースだ。もはや大量の安い牛肉が手に入らないということは日本人の健康にとって歓迎すべきことだ。牛肉によって、どれだけ多くの高血圧、動脈硬化、心臓病、その他数え切れない病気を生み出したことだろう。

人間が食べることのできるはずの大量の穀物を飼料として消費し、広大な森林を牧草地に変えてきた牛たちは、飢餓と地球環境にとっての大きな脅威となっている。牛肉を食べるのは年に5,6回ぐらいがちょうどいいのだ。

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いったいいつ頃から、輸入された食品が当然の日々の食事の一部になっていたのだろう。私が小さい頃は、海岸で捕れた魚は、漁師の奥さんがリヤカーに乗せて各家庭に売りに来たし、野菜は、すぐ近くの畑で取れたてが毎朝やはり奥さんが売りに来た。

それらの食材の最大の長所は新鮮であることだ。新鮮であることは栄養価が最も高く、細胞が生きており消化によい。保存料など思いもよらない。いわゆる「近くで採れたものをその場で食べる」ということが当たり前になっていたのだ。

そのような食事をした人々は、今高齢者になり、世界一の長寿国の柱になっている。医療の発達もさることながら、このような健全な食生活を続けてきた人々だから、そう簡単には死んだりしない。そして気の毒なことに自分の息子や娘の葬式を出す羽目になっている。

それはなぜか?それは栄養学者達によって再三警告されてきたことだから繰り返さないが、伝統的な和式の食事に慣れたからだに、西洋風の肉、動物脂肪中心の食事を無理矢理押しつけたからに他ならない。今50代から60代の人々はそれまでの食生活のとばっちりを受けているのだ。

そしてその食事の大部分は、輸入された食材によるものである。何よりも輸入品が幅を利かすようになったのその価格の安さによるものだ。しかし無理もない。日本の為替相場は世界一。どんなに他国ががんばってもその物価の高さにかなう国はない。あのニューヨークですら。

日本の人々は、低価格で食料品が手にはいることを豊かさの象徴だと勘違いした。都会の真ん中で混雑する回転寿司の店をのぞいてみよう。あのネタには国産のものはほとんどない。これは世界中の貧しい漁師が、あるいは一回の嵐で沈んでしまうようなボロ船で危険を冒して漁をして獲ってきたものだ。

そこで食べる人々はそんなことは想像だにしない。抗生物質をまぶしたエビの養殖池のことや高値で買い取られたために、世界の漁業資源を枯渇させ、仲買人だけがぼろ儲けをするような経済構造について考えることはしないだろう。

八百屋に行けば、カルフォルニア産のブロッコリーが国産の半値で並んでいる。太平洋を越えてそれでも青々とまるで新鮮であるかのような色を見せて店頭に並んでいる。また、乾燥椎茸も、オクラも、オレンジなどの柑橘類はもちろん、所狭しと並んでいる。

喫茶店では、レモンを輪切りにして紅茶に浮かべてくれるそうだ。やめてもらいたいものだ。せめてその皮はむいてくれ。皮には、強力な発ガン作用のある粉がまぶしてあったのだ。紅茶に溶けてしまうじゃないか。でもそうでもしなければレモンは日本の湿度の高い気候の中でたちまちかびが生えてしまうだろうね。カビそのものも強力な発ガン作用があるというし・・・

そして肉屋に行けば、牛肉、豚肉、鶏肉、いったいどうしてそんなに国外から持ってこなければならないんだ。動物たちは一体かの国でどんな屠殺のされ方をしているのだろう?屠殺の場所が清潔か不潔か知る由もない。何しろ日本の法律の管理下にあるわけではないのだから。殺される恐怖におびえた牛たちが糞を漏らし、その糞とその肉が混ざったとしても、それをとがめ立てする人はどこにもいないかもしれないのだ。

狂牛病の牛の肉を日本人が食べてからすでに10年近くたっている。そろそろ確率からすれば人間の患者がイギリスと同様あらわれる頃だ。ただし牛肉を食べる量は比較にならないほど違うのだが。

我々は生命の源なのに、どうして食料を遠い遠い国から持ってくることになってしまったのだろう。日本の気候は決して農業に適していないわけではない。土壌は我々の技術力を利用すれば、肥沃な土地に変え生産性を高めることもできる。確かに山が多く平地が少ないのだが、100%は無理にしても80%は自給できる。その努力を怠り、農業後継者を絶望させ農地を放棄することによって将来の生産の足がかりさえ奪ったのは誰だ。

首都圏に人々を集中させたいのなら、地方では食料生産を盛んにすることによって、都会に劣らない豊かな経済圏を作ることも可能だったのに、それをやらなかった。近視眼的な輸出重点主義が、ただ単に電子機器や自動車を世界中に売り込みさえすればいいと考えていた。今そのとばっちりが食糧自給率30%を割る事態として日本人にのしかかっている。

日本を滅ぼすには、核弾頭も炭疸菌も巧妙なテロ計画もいらない。食料輸入のための交通機関を止めてしまえばよい。それであっという間に日本中が飢餓に陥る。もし全世界で飢餓が発生すれば、飢えで死ぬ貧しい人々を後目に、世界中から高価な食料を買い求めなければいけない事態となる。

BSE によるアメリカからの輸入停止はいい機会だ。この際一切アメリカ産の牛肉を食べるのはやめにしよう(ついでにオーストラリア、アルゼンチン産も)。どうしても食べたければアメリカ旅行の楽しみにすることだタイ、ベトナムその他の東南アジアの鶏肉も一切輸入をやめよう。

牛肉の代わりには鯨肉がある。今世界中で絶滅のおそれのない鯨が何種類もいる。(牛肉生産団体の意向を受けている)捕鯨反対団体の偏見などは無視し、鯨肉を蛋白源として利用すべきだ。鯨肉には、牛脂のように血液をどろどろにすることがない。

他に、カビ防止剤をまぶしたイスラエル、フロリダ、カリフォルニア産のグレープフルーツなどの柑橘類、マングローブ林を伐採した池で病気予防のために抗生物質をぶち込んで養殖した東南アジアのエビ、見かけがきれいな野菜を作るために際限なく農薬を振りかける中国産の野菜、みなこれらは日本に輸出するがため、高く買ってもらうための「努力の賜物」なのだ。

食料価格の上昇が物価の上昇に響くと心配する向きもあるが、デフレの危険に絶えずおびえてきた日本だ、ちょうどいいチャンスといっていい。そして今度こそ荒廃した日本の農業を立ち直らせ、自給体制を完璧に整えて過疎に悩む地方を豊かな田園地帯に作り替えるのだ。

2004年2月初稿

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