わたしの本箱

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凡例

(辞書・参考書類を除く)

題名 * 著者または訳者 * 出版社 / 読んだ年と月

(再) = 以前に読んだことのある本

 = 図書館あるいは人から借りて読んだ本

色別区分 三回以上読まずにいられない本 

二回読んでみたくなる本 資料として重要な本

1998年

1999年

1998年

地球環境のウソホント * 大浜一之 * 講談社ブルーバックス 98/10

大部分は知っていることであってもこうやってまとめてみると知識の整理が進む。

竜馬がゆく(7)* 司馬遼太郎 * 文春文庫 98/10

長州戦争の終結から海援隊を経て船中8策まで。いよいよ幕末の大変な時期にさしかかり、その活躍にはますます激しさを増す。

パソコンはいらない * 小幡浩二 * 講談社ブルーバックス 98/10

パソコンは汎用性が強く、一般人には扱いにくい。むしろ家電化した専用機(ワープロなど)のほうが使いよい場合がある。インターネットはゴミの山。現在のソフトは欠陥だらけ。

種まく人 * 片岡しのぶ・訳 * あすなろ書房(Seedfolks; Paul Fleischman) 98/10

小さな女の子に始まって語り人が、入れ替わり立ち替わり、街の片隅にできた菜園のことを自分の立場から話す。緑の成長のすばらしさをうたいあげた話。

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竜馬がゆく(8)* 司馬遼太郎 * 文春文庫 98/11

船中8策から大政奉還を経て暗殺まで。やっと全8巻を読破する。日本史上にこのような人物がいたことはきわめて珍しいことといえる。彼の暗殺はケネディ、リンカーンがアメリカにとっての損失と同じものを日本に与えたと言ってよい。

アメリカ素描 * 司馬遼太郎 * 新潮文庫 98/11

アメリカ文明が各国の「文化」と異なり、普遍性を持つことを説きながら、同時に画一性の危険も指摘する。また多様な民族の混在によって生じたグローバルな環境についても語る。

坂の上の雲(1)* 司馬遼太郎 * 文春文庫 98/12

秋山好古と真之の兄弟、正岡子規の20代の話。松山出身の3人が東京でそれぞれの進路を決めてゆく。誰でも「創始者」になれた、明治初期のうらやましい話。

彼女が演じた役 * 片岡義男 * ハヤカワ文庫JA 98/12

晩春、麦秋、東京物語を立て続けに見て(21,22,30日)この本と時期を合わせた。なかなか独創的な「小津」評でもある。もっとも、いくつかの考えには納得できないところもあるが。原節子自身のことよりも小津の映画の作り方のほうが詳しく述べてあるのだ。

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1999年

通のアメリカ英語 * 三輪裕範 * 丸善ライブラリー 99/01/15

一般に知られていない特殊用語を収集。spin doctor, 101, sabbatical, Rhodes scholar など。これらももう少し立つと古びる。(もう古びているものもあるが)

社会人の英語 * 鈴木進 * 丸善ライブラリー 99/01/21

英語をおとなの世界の文化的背景から眺めた本。

インターネット英語の読み方&書き方&調べ方 * 安藤進 * 共立出版 99/01/22

ユーモア英語のすすめ * 山岸勝栄 * 丸善ライブラリー 99/01/30

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絶対音感 * 最相葉月 * 小学館 99/02/08

絶対音感がなくても音楽はできる。まして「心の表現」のためには別に必要はない、という結論に至るまで、さまざまな音楽関係者への精力的取材はが中心になっている。着眼点はおもしろいが、ベストセラーにもなったのに、文章の追力に欠ける。

農人日記 * 秋山豊寛 * 新潮社 99/02/11

2年間にわたる福島での農業実践記。有機、無農薬で椎茸栽培が中心。高地で寒さが厳しいようだ。

脱牛肉文明への挑戦 * 北濃秋子・訳 * ダイアモンド社 99/02/14 ( Beyond Beef; The Rise and Fall of the Cattles Culture : Geremy Rifkin )

Beyond the Reef をもじって Beyond Beef なのであろう。「エビと日本人」以上に深刻な「牛と先進国人」との関係を説く。牛を増やすためにどれだけ自然環境や途上国の生活が犠牲にされているかよく分かる。

英語の名教授 * 松本安弘・松本アイリン * 丸善ライブラリー 99/02/15

英英辞典( COBUILD )の活用法、ただし初心者向け。COBUILD は便利なようで記号が面倒だ。LONGNMAN のほうが使いよい。

転生と地球 * 高木善之 * PHP研究所 99/02/16

臨死体験がきっかけで人生に必要なことを知る。福岡正信と似ている、というより真理は一つだから同じようになるのは当然だ。未来に「地球村」を作ろうとするが、これが失敗すれば、事実上現世界文明は間違いなく滅びる。

農業の雑学事典 * 藤岡幹恭・編著 * 日本実業出版社 99/02/19

10年以上も前だから仕方がないが、編者に「哲学」がない。何でも客観的に述べたつもりになっている。これからの農業、漁業書は少々過激でもいいから井上ひさしのように哲学を持つべきだ。

フシギな日本語 * 李寧ひ(イ・ヨンヒ) * 文芸春秋 99/02/22

頭の固い日本の学者が古代日本語のルーツを朝鮮語に求める勉強を一切しないから、万葉集の解釈もでたらめなままなのだ、という考え。。取り上げた例がおもしろい、ユニークな本

地球はホントに危ないか? * 北村美遵 * 光文社カッパブックス 99/02/24

危ないどころでなく、いまできるのは破滅をちょっぴり「先延ばし」できるということだけ。乾いた絶望感が特徴的。

農家の主より消費者へ * 山下惣一 * 家の光協会 99/02/25

テーマは「消費者のニーズ」消費者がほしがるから、生産者はそれを作る。もっと消費者よ賢くなれ。輸入食品の恐ろしさ(横浜港の実態)アメリカ人が米を食えば、日本への輸出圧力は減るというユニークな考え。

坂の上の雲(2)* 司馬遼太郎 * 文芸春秋・文春文庫 99/02/26

北進事変の頃まで。正岡子規のホトトギスの売れ行きが良好。

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米作りはホントに必要か? * 北村美遵 * 光文社カッパブックス 99/03/04

「地球はホントに危ないか?」の続編。人類はその発生以来、環境破壊者だったという認識。農業は「反自然」である。(切り開いたから)提案;平地は規模拡大し、山間地は森林に戻す。

この大いなる残飯よ! * 山下惣一 * 家の光協会 99/03/05

東京の食べ物のゴミの実態。飽食の時代を探る。

非常時何を食べるか * 同時代社編集部・編 * 同時代社 99/03/12

戦前か戦中に書かれた、サバイバルの教科書。もう品切れのはずなので要コピー。さまざまな料理法がのっている。ただし現代人の好みにあうかどうか。

清潔はビョーキだ * 藤田絃一郎 * 朝日新聞社 99/03/24 (再) 2011/07/23

細菌は排除するのでなく、「共生」すべき。地球に生きる生物にはすべて意味がある。日本の国は、いつからか超清潔志向になってしまい、抗菌のはたらきをするものが大変よく売れる。

だが、このように、自然界の多様性としてもともとあるものを徹底的に排除していくと、生物としての人間に、免疫やもとから備わっていた強さがどんどん失われてしまう。しまいめには温室の中でしか生きられない野菜のような状況に向かいつつあるのだ。

不潔すぎるのも、清潔すぎるのも極端に走っているわけだが、これを見直してその間にある微妙なバランスの取れた生活を求めなければいけないのではないか。

羊皮紙に眠る文字たち * 黒田龍之助 * 現代書館 99/03/29

スラブ語研究家の手記。多言語を学ぶ者の苦労がよく分かる。文字のおもしろさ。特にキリル文字について。

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中国語50年 * 倉石武四郎 * 岩波新書 99/04/01

さすが、日本の中国語教育の創始者である。最初の頃の苦労が偲ばれる。

間違いだらけの中国語学習 * 遠藤紹徳 * 徳間書店TOKUMABOOKS 99/04/02

あまり大したことは書いてない。ただ「音」をしっかり覚えなければならないのは確かなようだ。語学に王道なし!そんなことは前からわかっとるワイ!

台所から北京が見える * 長澤信子 * 講談社 99/04/03

子育て後の空しさを中国語で埋めようとして、成功した女性の自伝。

勝負する英語 * 今北純一 * 新潮社 99/04/11

侮辱や悪口を言われたときに、どう切り返すか?英語というより、カルチャーによる違いをふまえて、相手をギャフンといわせるひとことを言える力は並大抵のものではない。自分の体験をもとに書いた、洞察あふれるビジネスマン奮戦記。

アラブ的思考様式 * 牧野信也 * 講談社学術文庫 99/04/15

「対立的統合」がキーワード。砂漠の民のユニークな考え方をアラビア語の構造と人類学的調査の両面から解き起こす。

坂の上の雲(3)* 司馬遼太郎 * 文芸春秋・文春文庫 99/04/22

アルジャーノンに花束を* 小尾芙佐 * 早川書房 99/04/30 (Flowers for Algernon ; Daniel Keyes)

特別な処置法のおかげで、白痴の青年が天才になってまた白痴に戻るまで、SF のレベルを超えたすごいストーリー展開。IQ だけでははかれない、人間の奥底を覗く日本語訳もうまい。

(再)英語に強くなる本 * 岩田一男 * 光文社カッパブックス 99/04/30

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男はつらいよ魅力大全 * 吉村英夫 * 講談社文庫 99/05/07

このシリーズを見るとき、ぜひとも手元に置きたい1冊。それにしても古本屋で100円とは安い!

(再)英語の新しい学び方 * 松本亨 * 講談社現代新書

中国路地裏物語 * 上村幸治 * 岩波新書601 99/05/18

最近の庶民の様子がよく分かる。と同時にこの前行って来た上海と2重写しになる。

坂の上の雲(4)* 司馬遼太郎 * 文芸春秋・文春文庫 99/05/24

旅順総攻撃まで。乃木将軍の無能。

英語上達法 99/05/29 ???

不明。記録なし。

クルマから見る日本社会 * 三本和彦 *岩波書店・岩波新書 99/05/31

官僚体制に縛られた、日本社会はクルマ行政に縮図を見ることができる。クルマ設計の各社の個性のなさ。走っていて、突然2車線から1車線に変わる、支離滅裂な道路計画・・・

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約束された場所で * 村上春樹 * 99/06/03

村上氏の丹念なインタビューに感心する。オウムのもと信者は、まじめで誠実なので、実社会に居場所がなかった・・・人さまざまであり、このような人々も多いのだ。あの事件を起こした幹部と、平信徒は別々に考えるべきだ。誰も信徒として励んでいた時代を後悔する者はいない。これでわかったのは、結局マインドコントロールを国民にしていたのは、むしろマスコミだったことだ。マスコミの連中は、「悪者」が見つかったので、日頃苦労している「ネタ探し」をせずにすみ、大喜びして、オウムたたきに専念したわけだ。

(再)ヘルプミー!英語をどうしよう * 片岡義男 * KKベストセラーズ・ワニの本 99/06/07

アメリカの「国語」の教科書からの豊富な紹介があり、彼ら自分たちの話す言語について、いかに実用的な面での配慮が行き届いているかがわかる。

@海と魚たちの警告 * 小島正美 * 北斗出版 99/06/07

読んでいて、暗い話ばかりで、日本が滅亡への道を突っ走っていることを思い知らされる。海が死んだら、国も死ぬ。ノストラダムスよりはるかに怖い。

なぜ人は美人を愛するのか? * 蔵琢也 * 三笠書房・知的生き方文庫 99/06/11

はじめの部分は「裸のサル」などと同じく興味深かったが、終わりの結論はあいまいなものだった。やはりタイトルの質問に答えるのは難しい。第一、著者は自分で実験もしていない。本あさりだけ。さすが古本屋で50円!

釈迦の読み方 * 増原良彦 * 祥伝社・ノンブック 99/06/16

今までになく優れた仏教入門書。基本的な考え、大乗、小乗の違いなどがよくわかる。ただ著者は宗教家ではなく、哲学者である。

@坂の上の雲(5)* 司馬遼太郎 * 文芸春秋・文春文庫 99/06/22

203個うちより、旅順を落とすまで。全体の第1のヤマ。彼らは日本、ロシア両国とも人間的に今より遙かに大きく豊かだった。

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@リアスの海辺から * 畠山重篤 * 文芸春秋 99/07/05

「森は海の恋人」に続く、好作品。ふるさとの海草婆さんの思いで、そしてスペインに旅行して、ガリシア地方の海辺がまさに三陸と同じくリアス海岸なのだ!保存版である。図書館から借りたが、やっぱり買った。

@坂の上の雲(6)* 司馬遼太郎 * 文芸春秋・文春文庫 99/07/08

奉天の開戦の前夜まで。大将になる人格とはどういうものか。「おまえ好きなようにやって見ろ。俺が責任とる」昔はそれにふさわしい人がいかに多かったか。

@学校崩壊 * 河上亮一 * 草思社 99/07/11

背筋が寒くなる、恐ろしい本である。新しく生まれた「人間」が異質なものになった。問題は学校でなく「豊かで自由な社会」にある。筆者の見方が冷静でまともなのが救いだが、解決法は「ない」。

五体不満足 * 乙武洋匡  * 講談社 99/07/23

かれがこうして幸福な人生を送れるのも、本人の人生に対する見方のせいだろう。心の中が変われば、世の中は変わる。

(再)秘術としての英文法 * 渡部昇一 * 講談社学術文庫814 99/07/26

外国人が外国語を学ぶときの文法の重要性はいくら強調してもしすぎることはない。そして文法を作るということは、言語への認識力がいかに必要とされることか!名詞とか動詞という概念が生まれるまで、大変な苦労があったのだ。

アーミッシュの人々 * 池田智 * サイマル出版会 99/07/28

アメリカにいながら、アメリカの社会と正反対の方向にゆき、しかも永続できる集団!素晴らしい。今の自由経済はいずれ滅ぶが、21世紀以降、どの社会が生き残れるかよくわかる。

@日本人はいつから<せっかち>になったか * 織田一朗 * PHP新書021 99/07/29

悲しい、日本人の変遷。いかに日本人が不幸になったかをはっきり示してくれる。日本人はロボットになった。

@「クセ」の日本文化 * 神崎宣武 * 日本経済新聞社 99/07/30

日本文化の民族学的考察。生活のあらゆる面にわたり、現代にもしっかり残っている点を指摘する。風呂、食事、団体旅行など。

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@坂の上の雲(7)* 司馬遼太郎 * 文芸春秋・文春文庫 99/08/11

日本海開戦直前まで。奉天の海戦での勝利。ロシア艦隊の日本海における発見のエピソードを含む。

あすなろ物語 * 井上靖 * 新潮文庫 99/08/15

ある男の半生を描く。それぞれの時期に必ず「女」がいて、彼に人生を教えてくれる。最初の「冴子」が最も印象深い。

ビルマの竪琴 * 竹山道雄 * 新潮文庫 99/08/17

太平洋戦争中、ビルマで僧になった日本兵。童話でありながら、深いところで人の生きる道を示す。現代人がいかに傲慢になったかも、これで十分にわかる。シンプルでしかも音楽による連帯を描いている。

イエス逆説の生涯イエス逆説の生涯 * 笠原芳光 * 春秋社 99/08/20

新しい見方。キリスト教はイエスとは全く違ったものに成長してしまった。逆説の中に宗教性があるという。イエスのことばは逆説に満ちている。聖書はあとから手を加えた部分が多い。

買ってはいけない * 朝日新聞社 99/08/22

科学的詳細はいろいろあるだろうが、素人の「直感」としてわかることは、すべての市販の薬は本質的にインチキであること。食品会社の幹部はもちろん、一番下の社員に至るまで、食べる人の安全より収益が優先しているのは確実だということ(もちろんそうでいない人も少数ながらいる!)。消費者はバカであってはいけない。

@電磁波が危ない * 吉永良生 * 光文社カッパサイエンス 99/08/22

結局危険らしいけど、はっきりしたことは何もわかっていないということ。ただタバコの肺ガン説が実証されるまで気の遠くなるような時間を考えると、それも当然か。壮大な人体実験が今携帯電話などで行われており、最も電磁波に敏感な運の悪い人から順に病に倒れてゆくのだろう。

@天気をよむ・地形をよむ * 川口邦雄 * 千早書房 99/08/26

移動性高気圧ー低気圧と代わる代わるに西から東へ(春・秋) かかり谷ー本流へ注ぐ支流の部分 オホーツク海高気圧ー冷害のもと(春・夏) V字谷と U字谷

@ナショナル・トラスト * 木原啓吉 * 三省堂選書168 99/08/30

土地を inalieanable 「譲渡不可」の状態に置く。個人でする場合は公益信託とする。この他ナショナルトラストを日本で実現するための具体的な方法論の書。

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不自然な収穫 * 関裕子・訳 * 光文社(Ingeborg Boyens; Unnatural Harvest) 99/09/03

思った通り、「遺伝子組み替え食品」を中心として、北アメリカの絶望的状況が語られる。ヨーロッパはまだ望みがある。日本はアメリカに追随するだろう。自然に対する傲慢さがバイオテクノロジーに総て現れている。消費者が愚かである限り、絶対に人類に未来はないだろう。

@坂の上の雲(8)* 司馬遼太郎 * 文芸春秋・文春文庫 9/09/09

最終章。日本海海戦。明治維新から始まった国民的「まともな」時代の終焉。狂った、傲慢な時代の始まり。これが太平洋戦争へとつづく。

@日本の自然はなぜ荒れたのか * 向一陽 * 共同通信社 99/09/13

各地の荒廃ぶりを細かに描く。通り一遍にしか動かない官庁の恐ろしさを痛感させられる。

日本人の育ての知恵日本人の育ての知恵 * 樋口清之 * PHP文庫 99/09/16

歴史家から見た、さまざまな知恵がみな消し去られ、西洋一点張りになり、数々の害毒を生んでいるこの物質万能時代を見ると、いかに昔の知恵が優れたものかを思い知らされる。

再び女たちよ!再び女たちよ! * 伊丹十三 * 文芸春秋・文春文庫

玉石混淆のエッセイ集。なかなかしゃれた文もある。「女たちよ!」はまだ読んでいないがその続編だからだろうか。眉間のしわが自分にあることを書いているが、これが彼の自殺と関係があるような気がする。ネコの話がおもしろい。

@ジャズエッセイ1 * 植草甚一 * 河出文庫 99/09/26

植え草甚一の文を呼んだのは大学生の頃。そのころは読んでもチンプンカンプンだった。ジャズメンや曲の固有名詞を知らなかったからだ。今は彼の文の大部分はたいてい聴いている。だから実に興味深い。でもこの本はもう絶版なのか?

(再)実戦・世界言語紀行 * 梅棹忠夫 * 岩波新書 99/09/27

イタリア語を話すにしても、「接続法」を使って見せて、イタリア人たちを驚かす著者の語学才能が遺憾なく発揮される。「外国語関係書」参照

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グローバリズムという妄想 * 石塚雅彦・訳 * 日本経済新聞社 (John Gray; False Dawn) 99/10/05

思った通りに、自由市場が世界をいかにめちゃくちゃにするか、アメリカの押しつけ、貧富の差、失業、すべての面で思っていたとおり。人類の地球規模での危機だといえる。

とんでもない母親と情けない男の国日本 * マークス寿子 * 草思社 99/10/07

大体はよく聞いていることである。総歌論、幕の内弁当的な文であるが、(1)イギリスの寄宿学校(2)イギリスの大学入試制度(3)イギリスのひねくれ者たち(流行を拒否する者たち)の紹介は参考になった。絶望的な日本の状況を確認するにはいい本である。

家族が自殺に追い込まれるとき * 鎌田慧 * 講談社 99/10/12

まじめで気の小さい個人が大組織によって自殺に追い立てられる。決して政府、企業、官僚を信用してならないことを痛感させられる。

沈まぬ太陽・アフリカ篇・上 * 山崎豊子 * 新潮社 99/10/14

国民航空ので将来を託望されている、恩地が組合委員長を務め、会社の風通しをよくすることに努力したところ、経営者の反感を買い、カラチ営業所に流される理不尽な配転。

沈まぬ太陽・アフリカ篇・下 * 山崎豊子 * 新潮社 99/10/19

さらに、テヘラン、ナイロビへと流され、10年近い海外生活。飛行機が1年に3回も事故を起こす。国会答弁で明るみになった不当人事は10年目にしてやっとただされ、恩地は帰国する。

沈まぬ太陽・御巣鷹山篇 * 山崎豊子 * 新潮社 99/10/22

ジャンボジェットの墜落事故。死体の判別所で、脇の下の一片の肉を見ただけで夫だと言い切る、不思議な夫婦の絆。凄惨な場面の連続。だが大企業の本質は変わらない。

沈まぬ太陽・会長室篇・上 * 山崎豊子 * 新潮社 99/10/28

国見会長の登場により、新生国民航空は蘇るかに見えたが、腐った内部の抵抗は強かった。

沈まぬ太陽・会長室篇・下 * 山崎豊子 * 新潮社 99/10/29

ついに国見会長(本名は伊藤会長)は辞任、恩地はナイロビへ。だが内部の腐敗はついに検察庁の手にかかる。そこで幕切れ。日本社会、企業、政府のまさに縮図。暗澹たる思い。しかし5冊とも力作だ。真実迫るフィクションだ。

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飢饉の社会史 * 菊池勇夫 * 校倉書房 99/11/01

江戸時代の天保、天明などの飢饉の様子である。為政者の失策が大きい。なんと言っても東北ではヤマセ。飢饉よりも疫病が大きい。各地に残る埋葬に使った大穴。海も同時に不漁だった。「地逃げ」といって藩の領地を越えて流民・非人となって各地へ逃亡する。もちろん山野の草木も食べた。

薬がやめられない * 小国綾子 * 青木書店 99/11/04

母が子を、18歳を過ぎても離さない。母がこの薬中毒を「応援」している。驚くべき日本の親子関係だ。「心のヒマ」--日本の若者が口にする言葉。物質文明は害悪の度合いをますます強めてゆく。

イギリスの豚はおいしいか? * 鶴田庸子 * 新宿書房(Paul Heiney; Ham & Pigs) 99/11/09

大量生産による、多様性文化の崩壊。これはイギリスの豚の飼育にも当てはまる。消費者が悪い。(P154)・・・安いものを、と求めるから生産者は大量生産に走る。品質は二の次で、ただ安いものだけが市場に出回るようになる。「悪ポークは良ポークを駆逐する」それにしても実に多様な豚肉料理!

食べ物さんありがとう(再)食べ物さんありがとう * 川島四郎・サトウサンペイ * 朝日文庫 99/11/15

1把もの「緑の野菜」を食べ、カルシュウムの摂取を心がける、川島先生の面目躍如。

騙しも盗みも悪くないと思っている人たち * 石山鈴子・訳 * 講談社 99/11/15 (Stanton E.Samenow, Ph.D.; Inside the Criminal Mind)

犯罪者は普通の人と比べて何も劣ることはない。違った人生観、責任感の欠如があるだけだ。だが病気とか、低い知能と違い、問題をますます難しくしている。どうやって強制できるというのか?著者の診断は独創的だが、そのあとの治療法がいまいちだ。

イヤー・オブ・ミート * 佐竹史子・訳 * アーティストハウス 99/11/20 (Ruth Ozeki Lounsebury: My Year of Meats)

日米混血のドキュメンタリー映画のディレクターが1年間に遭遇するできごとを「枕草子」をBGMにして書きつづってゆく。中心テーマは商業主義の中での薬漬けの牛肉生産の実態。「紫のふるえ(Color Purple)に似た、女性中心のドラマ。

(再)続・食べ物さんありがとう * 川島四郎・サトウサンペイ * 朝日文庫 99/11/20

シリーズ2番目の本で、さらに重要な点が強調される。

杉本苑子の枕草子(わたしの古典9) * 杉本苑子 * 集英社 99/11/26

まさに知的遊戯の書。彼女の才気があふれ、少々自慢話が鼻につくが、自分の好みをはっきり言うあたり、実にさわやか。とても1000年前とは思えない。花草に対する思いがうらやましい。現代人は忙しさの余り、これを失ってしまった。268段;耳が痛い。313段;よく観察している。

(再)続々・食べ物さんありがとう * 川島四郎・サトウサンペイ * 朝日文庫 99/11/28

シリーズ3冊目の本で、全体の復習が行き届き、読者はそのまま自分の食習慣に取り入れるとよい。

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特捜検察物語・上 * 山本祐司 * 講談社 99/12/02

「国家有用論」にもとづき、いかなる政治家も起訴から救済される「指揮権」発動はその最たるもの。検察が弱腰になったら日本は滅びる。

特捜検察物語・下 * 山本祐司 * 講談社 99/12/08

ロッキード・リクルート。腐った日本がバブル崩壊に向けて転がり落ちる2大事件。現在に至る、官僚、銀行、証券業界の腐敗。目に余る世紀末のあとには何が待ち受けているのか?

(再)太平洋ひとりぼっち * 堀江謙一 * 文芸春秋・ポケット文春 99/12/20

堀江「青年」の若さもさることながら、時代も若かった。コンピュータも GPS もはじめから無いのだ。

裸の大宅壮一裸の大宅壮一 * 大隈秀夫 * 三省堂 99/12/24

「赤い中学生」と呼ばれ、天皇のいない国へ行きたいとか、「隔日登校論」を中学校に提出するとか、十代の頃から才覚をあらわす。戦後は評論の大量生産になり、軽いものも多いが、切り口の良さには感心する。「男の顔は履歴書」とこれに対する「女の顔は請求書」が傑作。

犬たちの隠された生活 * 深町眞理子・訳 * 草思社(The Hidden Life of Dogs; Elizabeth M. Thosmas) 99/12/28

この本では犬の生活を、飼い主との関係ではなく、オオカミに近い、野生の集団としてとらえた本。人類学者である著者が、たまたま飼い始めた犬からはじまって、10頭を越す集団を扱い、最後に全部が死に絶えるまでの、短いが大河小説のような構成になっている。遠吠えや巣穴をこしらえたりするなど、興味深いエピソードが多い。また、訳者がいい。深町眞理子といえば、60年代、ヒッピー運動が盛んだった頃、名著「地球の上に生きる」を訳した人だ。

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