わたしの本箱

コメント集(22)

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  1. 前ページ
  2. だから日本はズレている
  3. それでも住みたいフランス
  4. モーパッサン短編集(Ⅱ)
  5. モーパッサン短編集(Ⅲ)
  6. パリの国連で夢を食う
  7. 政府は必ず嘘をつく
  8. 漢字が日本語を滅ぼす
  9. 地方消滅
  10. 日米同盟の正体
  11. パリでメシを食う
  12. バウルを探して
  13. 絶望という抵抗
  14. タンザニアを知るための60章
  15. <自然>を生きる
  16. フランス人の不思議な頭の中
  17. 消費が社会を滅ぼす?!
  18. ベーシック・インカム入門
  19. 「過剰反応」社会の悪夢
  20. 「甘え」の構造
  21. タンザニア100の素顔
  22. タンザニアに生きる
  23. Adventures in the Anthropocene
  24. フランス人は人生を三分割して味わい尽くす
  25. 牡蠣とトランク
  26. ポスト・ヒューマン誕生
  27. シャルリとは誰か?
  28. フランス人は10着しか服を持たない
  29. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる
  30. 人間釈尊の探求
  31. ガラパゴス(上下)
  32. 現代の地政学
  33. 次ページ

だから日本はズレている * 古市憲寿 * 新潮新書566 * 2015/03/07

これからの日本はどうなっていくだろうか。危機的状況であり、なんとかしなければならないが、「おじさん」たちはもしかして若者が解決してくれるのだと、淡い期待をいだいたり、従来の繁栄を支えてきたものに頼れば、何とかなっていると思っている人が多いようだ。

著者はまだ30歳を過ぎたばかり。若者から見た日本社会の在り方を様々な角度から眺める。大切なことは、現時点での状況について云々するだけでなく、過去にどうだったかを振り返る、つまり歴史的視点を持って考えることも時に必要だということだ。

今までは選挙やデモによって、政治にかかわり社会を変革する夢を抱いていた人が多かった。だが現代から先は、あまりに多様で複雑な社会が存在するために、政治家の持つパワーなどほんのわずかでしかない。社会の変革は、若い市民の小さな努力から始まるのかもしれない。

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それでも住みたいフランス * 飛幡祐規(ハタナカユウキ) * 新潮社 * 2015/03/09

フランスに住んでいると、規律と秩序とは無縁の国民だという。にもかかわらず、いやそれだからこそ、ばらばらの個人主義だった人々が突如として大きな社会運動(たとえばCPE反対)をおこしたりする。自由・平等・博愛というのが革命の理想だったが、特徴的なのは”連帯”というものによってそれまでつながりのなかった人々が力を合わせることだろう。

ただの消費者に成り下がりたくない、というのもグローバリゼーションが世界中を席巻しているときには重要な対抗勢力だ。日曜大工(bricolage)が盛んだというのも、バカンスこそ人生の中心であるというのもそのあらわれだ。

学校制度は、革命以来の硬直した中央集権的なシステムだという。にもかかわらず高校生までが政治デモに積極的に参加する、人々の自治能力が発揮される場面は、必ずしも子供の時に教育によってしっかり鋳型を取られているわけではないことをあらわしている。

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モーパッサン短編集(Ⅱ) * 青柳瑞穂訳 * 新潮文庫 * 2015/05/04

<都会もの>

あな Le trou 釣り好き夫婦が、いつものお気に入りの魚の穴のある釣り場に行くと、ほ かの夫婦に場所を取られてしまった。ケンカが始まり、相手の男は水の中に…

蠅 Mouche セーヌ川で漕ぐ5人のボート好きが、蠅というあだ名の若い娘をかじ取りにしたが、そのうち彼女は妊娠し、5人は全員パパとなるはずだった・・・

ポールの恋人 La femme de Paul 上院議員の息子ポールは同性愛の女に惚れてしまい、つれなくされてセー ヌ川の島に浮かぶカフェのはずれから川に身を投げてしまう。

春に寄す Au printemps 春に浮かれてセーヌの河船に乗った男が、いい娘に目をつけたのに、おせっかいな男から自分がつまらない女と結婚したいきさつを聞かされる。

首かざり La parure 舞踏会に出るために、夫人は友だちから首飾を借りるがなくしてしまう。 弁償の借金を返すために、10年間夫婦は必死で働くが、なんと…!

野あそび Une partie de campagne パリの商家の夫婦と娘が郊外にピクニックに行ったのはいいが、たくましい二人のボート漕ぎとひと時の楽しい時を過ごすのだが…

勲章 Decore! 勲章の大好きな男が、妻の知り合いの代議士に頼んで受賞の運動をしても らう。その最中にふと自宅に真夜中に帰ってみると…

クリスマスの夜 Nuit de Noel クリスマスを一人で過ごす男が、ご馳走を用意し街に出て太った女を見つけて連れてきたが、なんと食後に女は産気づき、6週間も看護する羽目に 。

宝石 Les bijoux 男は理想的な妻をもらったが、間もなく死んでしまった。生前彼女がため 込んでいた模造品の宝石類を鑑定してもらったところ、途方もなく高価な ものだった。いったい誰からもらっていたのか?

かるはずみ Imprudence 情熱的に愛し合っていた夫婦が倦怠期に入った。夫の女遍歴を聞いた妻は 、自分も逆に男遍歴をやってみるのもいいかなと思いはじめる。

父親 Le pere 乗合馬車で知り合った娘と仲良くなり妊娠させた男が、姿をくらまし数年後、自分の息子を連れて結婚生活を送っている彼女を見てしまう…

シモンのとうちゃん Le papa de Simon 未婚の母の子、シモンは父親がいないために学校でいじめられる。村の職人フィリップに父親になってくれと頼みこみ、それが実現してしまう。

夫の復讐 Le vengeur 親友の妻が未亡人になり、かねてから憧れていた彼女と結婚した男は幸せいっぱいだが、ある夜彼女が前の夫を裏切った話をきいて…

肖像画 Un portrait 女からはもちろん、男からも親しまれる魅力的な紳士がいた。私がその人の家を訪問すると、とても感じがいい女の人の肖像画があったが、それが彼の 母親と聞いて納得。

墓場の女 Les tombales 墓場で死んだ夫を嘆く女がいた。が、不思議にもその女と関係ができて、 しばらく続いた。別れてからしばらくたって墓場に行くと、そこにその女 がいた!

メヌエット Menuet リュクサンブール公園に散歩に来る老人は元オペラ座のダンス教師だった 。老妻とともに踊るメヌエットは過ぎ去った時代を彷彿とさせた。

マドモワゼル・ベルル Mademoiselle Perle 私が遊びに行く家の主人には、ペルルという女中がいたが、彼女は雪の日に捨て子として拾われて養女になった。お祭りの日、ペルルを女王に選ん だ私は、主人とペルルの間の隠された恋を陽の当たるところに引き出したのだ。

オルタンス女王 La rine Hortense 独身を貫き、家畜を飼いながら何事にも頓着しないオルタンス女王が病気になった。臨終が近づき妹夫婦がやってきても、自分が家庭を持っている 夢をうわごとのようにつぶやいていた。

待ちこがれ L'attente ある夫人は、夫の死後かつての恋人のものになったが、それを知った息子 は、二人を置いて行方不明になり、夫人を絶望の一生に陥れた。

泥棒 Le voleur 二人の男は、家に泥棒が入っているのを発見。逆に捕まえてさんざん痛めつける。

馬に乗って A cheval 小役人が、自分は馬に乗れるといって、得意げに乗って見せたものの、馬は暴れだし、おばあさんを轢いてしまった。

家庭 En famille 小役人の家で母親が死んだと、息子夫婦は妹夫婦が来る前に遺産を横取り しようと大急ぎで家具を移動したが、なんと母親は一時的に意識不明だっ たのだ。

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モーパッサン短編集(Ⅲ) * 青柳瑞穂訳 * 新潮文庫 * 2015/05/04

<戦争もの>

二人の友 Deux amis パリに住む二人の仲良しの釣り人が、プロシャ兵がやってきているのに釣りに夢中になり、あえなくスパイとして銃殺されてしまう。

狂女 La folle 家族を殺されて狂ってしまった女がプロシャ兵に捕らえられて、山の中に置き去りにされて死ぬ。

母親 La mere sauvage 蛮勇で知られる家族の生き残りのばあさんは、自分の息子が戦争で死んだ後、自分の家に寝泊まりしている敵兵を焼き殺す。

口ひげ La moustache 口ひげが、妻にとっていかに愛撫をしてくれる上で大切か、風貌を引き締めるのに重要かを切々と手紙に書く。

ミロンじいさん Le pere Millon ミロン爺さんは、自分の家にプロシャ兵が押し寄せてきた後、自分や息子の復讐だといって、16人もの敵兵を一人づつ殺す。

二十九号の寝台 Le lit 29 イケメンの大尉が美女と恋仲になったが、戦争のあともどってみると、彼女は末期梅毒のため入院していた。大尉に自分は敵兵に病気をうつして殺してやったと豪語する。

捕虜 Les prisonniers 森の門番の気丈な娘は迷い込んできたプロシャ兵を地下室にうまくおびき出して閉じ込め、村の者を呼んで捕虜とする。

ヴァルター・シュナッフスの冒険 L'adventure de Walter Schnaffs 戦闘が嫌でたまらないドイツ兵がフランス領で仲間とはぐれ、空腹の末、農家に出現して、願いどおり捕虜にしてもらう。

廃兵 L'infirme 列車の中で出会った昔の顔見知りは、戦争で両足を切断していた。その時に婚約していた娘はどうなったのか…

従卒 L'ardonnance 上官は妻の自殺後、自分の部下と、そして自分の従卒が妻と関係を持っていることを遺書から知り…、

<怪奇もの>

恐怖 La peur 砂漠から聞こえてくる、死を呼ぶ単調な太鼓の音。ある男を殺した老人の家に付きまとう目に見えない何か。

オルラ Le Horla 透明で自分に指図をする生きものが自分を絶えず付きまとい、そいつを殺すために自分の家に火をつけるのだが…

たれぞ知る Qui sait? 自分の家の骨董品が皆、歩き出して姿を消してしまった。ルーアンの骨董品店でその”盗品”を発見したが、いつの間にか自分の家に戻っていた。

手 La main コルシカ島に住む英国人が殺された。彼の部屋にあったミイラの手から食指がなくなっており、彼が噛み切ったらしいが、犯人はその”手”なのか?

水の上 Sur l'eau ボート好きの男が、ある夜川の中でボートに乗ったまま移動できなくなり、暗闇の中に取り残されたまま恐怖の体験をする。夜が明けると、老婆の死体が‥

山の宿 L'auverge 老人と若者が、山の中で冬越しをするが、ある日老人は猟に出たまま帰らず、残された若者は孤独と恐怖のために気が狂ってしまう。

狼 Le loup 自分の祖先は、猟が大好きで、大物の狼を追いかける途中気に頭をぶつけて即死し、同じく猟キチガイの弟がその狼をしとめて仇を討った。

<都会もの>

月光 Clair de lune 美しい月光の夜、鈍感な夫に不満を持つ若い妻が、ほかの男に話しかけられて、すっかり夢中になってしまう。

パリ人の日曜日 Les dimanches d'un bourgeois de Paris パリに住む小役人パチゾーは、医者に勧められて毎週日曜、それまでのひ

きこもった生活から変わってハイキング、釣り、お祭り見物、デートなどに出かける

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パリの国連で夢を食う * 川内有緒 * イースト・プレス * 2015/05/06

著者は大学卒業後、アメリカの大学院で中南米について勉強し、現地でのリサーチを中心に専門的知識や技術を身につける。そのあと日本に帰って大手シンクタンクに就職したものの、あまりにも多忙でほかに何もできない生活に疲れ果て退職するが、ふと国連に出した職員募集が受け入れられ、パリにあるその機関で働くことになる。

そこで自分の専門知識を生かせただけでなく、国際公務員として安定した仕事を得た。ここでの暮らし、職場の様子、同僚などについて、そしてパリでの生活が語られる。5年が過ぎたが、さらにもの書くという”夢”があることを意識し、退職して日本に戻る。

行き当たりばったり出会っても、仕事がよかったにせよ悪かったにせよ、非常に豊かな経験を得ることができた。フランスでの生活が、ありとあらゆる面で日本と異なっていることがわかる。

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政府は必ず嘘をつく  * 堤未果 * 角川SSC選書 * 2015/05/18

サブタイトルにあるように、アメリカで9.11同時テロが起こった時、権力者は国民が動揺し思考停止に陥っているのを絶好のチャンスとみなし、次々と思想統制や権利をはく奪するための立法を行った。サッチャーやレーガンに始まる新自由主義が、共産主義の対抗がないままに野放しになって、ついにアメリカ国民の99%に対し1%が富裕層となり、企業至上主義が世界中に幅を利かせる時代となった。

日本にとっては、それは3.11東日本大震災がそれにあたる。まったくアメリカの同じことが次々と起こり、21世紀はオーウェルの「1984年」のまさに生き写しになろうとしている。そんな権力者たちを選んでしまった、国民の愚鈍、無気力、無関心が悪いと言えばそれまでだが、過去の歴史の繰り返しに照らしてみると、グローバル化と技術革新のため、今回はもう取り返しがつかない規模になってしまったというのが正直なところだ。

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地方消滅 * 増田寛也 * 中公新書2282 * 2015/05/25

日本における、消滅する可能性のある自治体、900余りが発表された。これはさほど驚くことではなく、地元の人はすでにわかっていたことだ。問題なのは日本の人口自体が減るということより、東京に異常なほど集中しており、それが止まらずに行き着くところまで行ってしまい、東京が巨大な超高齢都市になってしまうという予想だ。

なぜ東京にだけ人が集まるのかというのは、ほかの国にもあまり例を見ないので、その理由が明らかにならない。一方、長時間労働が普通になり、長期休暇も取れない労働環境、長い通勤時間が常態になっているのは、これだけ出生率が下がった最も大きな理由であり、強制移住や強制結婚のような極端な方策でも考えない限り、今の状態は何ら変わる見通しはない。

資料はすべて悲観的なものばかりだ。地方を旅しても、子供が産める若い娘はどこにもいない。もう統計的な計算上、地方消滅は決定されてしまっている。東京オリンピックの2020年までは何とか体裁を繕えるものの、その後の日本の凋落を考えると空恐ろしい。

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日米同盟の正体 * 孫崎亨 * 講談社現代新書 * 2015/05/29

戦後から現代にいたるまでの、日米安保条約に始まる”日米同盟”についての考察を行う。最大の問題点は、日本人と日本政府がこの関係について深く理解する努力を怠ってきたことである。特に問題なのは、”陰謀””戦略”というものの重要性をずっと無視してきたころだろう。

その結果、”先制攻撃”の概念に代表されるように、アメリカの外交政策はソ連崩壊、そして9.11の区切りによって大きく転換してきたのに、日本政府の流れはただひたすら従属するという雰囲気から抜け切れず、今日の安倍政権に至ってしまったからだ。

アメリカの政策と同じときもあれば、日本の国益を優先しなければならないとき、国連を中心とする協調政策が必要な時、と柔軟な立場が必要なのに、硬直化してしまった外務省と、その時々の政府は歴史や、ヨーロッパの動乱・ベトナム戦争などの中を駆け抜けてきた人々の意見を学ぶことがあまりに不足しているのではないか。

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パリでメシを食う * 川内有緒 * 幻冬舎文庫 * 2015/06/17

著者がパリで、6年間国連での仕事をしていた時に、パリで出会った日本人10人にインタヴューして書き上げた。いずれも日本で暮らすのとは違った考え方を持ち、型にはまらず自由に生きるという点で似ている。

また、優れた技能を持ちパリの競争の中でも立派にやっていけることはもちろんのこと、狭いしきたりや常識といった普通の日本人を縛っているものが彼らには存在していないことがよくわかる。

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バウルを探して * 川内有緒 * 幻冬舎 * 2015/06/23

バングラデッシュにはバウルと呼ばれる一群の人々がおり、ジプシーのような生活を送りながら、歌を歌って過ごしているという。著者は国連の文化遺産に彼らが選ばれたことから、興味を持ち、写真家を伴ってかの国に乗り込む。

幸い親切でバウルに興味を持っている通訳に出会い、その人の助けもあって、各地に散らばるバウルたちに会い、インタヴューを試みる。彼らは歌を歌うだけでなく、その歌の歌詞の中に深い哲学的な意味を込めていることが分かった。

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絶望という抵抗 * 辺見庸×佐高信 * ㈱金曜日 * 2015/06/26

第2次安倍政権ができて以来、日本の戦後の平和国家への希望は完全に打ち砕かれてしまった。ファシズムが次々と肥え太る状況は、ワイマール共和国の時と全く同じである。

安倍一人が悪いのではない。もっと恐ろしいのは自民党、公明党の議員がみんなこの流れに反対せず羊のようについていくこと、若い世代、特に競争社会の中で”負け組”とされた人々の不満をうまく利用していること、そして何よりもマスコミの黙認と従属である。

二人の都市よりは、もはやエネルギッシュにこの状況に反発する力はない。ほかの”知識人”たちにも世の中を動かすパワーはない。つまり早く言えば、このまま政治の退行はどんどん進んで行って取り返しのつかない事態になるということだ。そこでは絶望しか存在しない。

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タンザニアを知るための60章 [第2版] * 栗田和明・根本利通編著 * 明石書店 * 2015/07/09

明石書店「60章シリーズ」の中の一点。タンザニアは、北はケニア、南はマラウィ、南アフリカと南北に連なる旧イギリス植民地のうちの一つ。最大の特色は、公用語としてスワヒリ語が用いられ、国内での使用率が100%に近く、これが国の安定に一役買っていることだ。

ほかの国では、以前の宗主国が、独立の際に各民族間の確執や格差を無視して、適当に国境を決めた、あるいはひどい場合には同じ領地に対し、それぞれの部族に異なった約束をするなどして、独立国として出発した後でも内紛が絶えることなく、大規模なジェノサイドもしばしば起こっている。

結局のところ、どこの部族にも肩入れしないためには、旧宗主国の言語、つまり英語、フランス語、ポルトガル語などを公用語として用いるしかなく、これがそれぞれの独自の発達を妨げることになったという人もいる。

タンザニアの国家は、大地溝帯にたまった水がビクトリア湖、タンガニーカ湖、ニャサ湖となり、中央の高原地帯は平坦なので、農業が営まれている。一方、海岸ではインド洋の風を利用して古くからアラビア世界との交易が盛んで、ザンジバル島を中心にアフリカ人とアラビア人の人種、文化面での混血が進んだ。

スワヒリ語も、この”海岸地帯”で、アラビア語の語彙と、コンゴから広がるアフリカ系言語とが結びついて出来上がった。農業国であり、広大な自然公園が広がり、将来的には政治的安定が続く限り緩やかな発展を遂げていくであろう。

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フランス人の不思議な頭の中 * 山口昌子 * 角川学芸出版 * 2015/07/15

日本にいて知る皮相的な外国の姿ではなく、実際にその国に暮らしてみて知る、もっと掘り下げた実態というものはなかなか得られないものだ。フランスでは、ジャンヌダルク、ナポレオン、ドゴールが代表的な人物として、政治的、思想的、社会的立場が異なっても多くの人に支持されている。

フランス料理といえば、グルメ天国であると連想するが、それだけでなくグルマン(大食漢)天国でもある。公共の場で頭からすっぽりとベールをかぶるような宗教的立場をはっきり出した姿は、「自由・平等・博愛」の根幹にふれるので、わざわざこれを禁止する法律を作った。

現在の”強制的”5週間のバカンスのもとになったのは、「有給休暇」の発明であり、発明者は第2次世界大戦から戦後にかけて首相として活躍したレオン・ブルムである。労働者の置かれている環境は、このように日本とはまるで正反対であり、お互いを理解するのは非常に難しいのかもしれない。

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消費が社会を滅ぼす?! Consumed * Benjamin R.Barber * 武井隆人訳 * 吉田書店  * 2015/07/26

先進国では、商品の生産過剰になる品物が増えてきた。例えばテレビ。国民のほとんど100%がテレビを持ち、白黒からカラーへ、アナログからデジタルへ、ブラウン管から液晶へ、と技術革新は進み、そのたびに新たな売れ行きがあったものの、それ以降は販売の停滞が続く。

規制緩和で、民営化が進んだ先進諸国では、企業がこのようにして製品の売りさばきが難しくなった。貧困国では、そのような製品を買う財力がない。そこで苦し紛れに考え付いたのが、「人々を幼稚化させ」衝動買いをさせたり、目的のない買い物中毒を引き起こすことだ。

その手段としてはブランドを設けて、人々を夢中にさせるというのがもっとも知られているが、その根底にあるのが、これまで気づきあげてきた市民社会の良識をぶち壊し、「真に必要なもの」を見分ける力を奪い、「くだらないもの、不要なもの」を買わせる戦略を次々と成功させているということだ。

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ベーシック・インカム入門 * 山森亮 * 光文社新書389 * 2015/08/01

これまでの福祉政策とは違い、すべての国民に、金持ちも貧乏人も関係なく、一定額の最低生活を営める金額を支給する制度である。捕捉率が低く、もらっている人にやっかみが向けられる生活保護などとは違い、ケースワーカーによる仕分けや偏見の心配もなく、誰でもが堂々と受け取ることのできる優れたアイディアである。

問題なのは、「働くもの食うべからず」のような、使用者側の論理を本気で信じている人々が多く、まず国民の意識改革が先決だということだ。先進国で、経済成長が止まり、失業者は機械化によって必ず増えるのだから、その前に新しい制度を作っておくべきなのである。

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「過剰反応」社会の悪夢 * 榎本博明 * 角川新書 * 2015/08/06

昔から自分勝手な人や、人に食って掛かって喜ぶ人は多かったが、これがネット時代に入り、企業を脅かすほどの勢力を持つようになった。それまでは社会の片隅で嫌われていた、少数の人々がネットの世界で暴れ、自分たちの日々の不満の捌け口にしようとしているのが、この「過剰反応」である。

現代社会は節度を知らない。必ず極端に向かう。拒食症、過食症がいい例である。人々、特に日本人は「みんなと同じ」という精神構造があるため、その流れは画一化、一方的になる。かつての太平洋戦争への流れもそのひとつである。この傾向を止めるには各人がきちんと自分でものを考える習慣をつけることが第一なのだが、その前に、学校、企業、役所など、過剰反応の直接被害をこうむっている側にもっと毅然たる態度をとってほしいものだ。

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「甘え」の構造 * 土居健郎 * 弘文堂 * 2015/08/12

「甘え」 というのは 日本語独特の 表現であり、 幼児期の 母親に依存したいという 寄りかかった気持ち、願望が大人になるまで持ち越されたものである。しかし、これは西洋人にも存在している。 ただしそれが知覚されていないか、 それにふさわしい言葉が作られていなかったのだといえる。

たしかに幼児期には、甘えの気持ちはそれから発展する人間関係の基本のひとつといえるのだが、 それが大人になってもあまりに強く保持されると、バランスの取れた人格形成を 阻害するかもしれない。

日本では集団主義とあいまって、大の大人でもたとえば夫婦関係において甘えの関係が継続するため、未熟な人間のままで 一生を終える人が少なくないようなのだ。

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タンザニア100の素顔 * 東京農業大学タンザニア100の素顔編集委員会・編 * 東京農業大学出版会 * 2015/08/15

東京農業大学のメンバーが、タンザニアのソコイネ農業大学を視察した時の写真をもとに作った本。食物、植物、農業生産を主に構成されている。

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タンザニアに生きる * 根本利通 * 昭和堂 * 2015/08/30

1975年、学生の時に初めて東アフリカを訪れた著者が、タンザニアの最大都市、ダルエサラームに住み着き、旅行者を経営しながら、書き留めてきた現地での暮らしの記録を集めたもの。

なぜタンザニアがアフリカでも治安のいい、比較的安定した国なのかを知る手掛かりになるかもしれない。テロや部族抗争で流血の絶えない他のアフリカ諸国と異なり、ザンジバルの海岸部と、タンガニーカの内陸部が合併し、まだ貧困に悩みながらも、一つの国として出来上がってきた過程を知ることもできる。

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Adventures in the Anthropocene * Gaia Vince * Amazon Kindle * 2015/12/05

タイトルの Anthropocene とは、これまでの自然界の時代区分とは異なり、人間が地球をどんどん変えて、今までにない大変動を起こしていることから、これから始まる新しい時代に名をつけたもの。サブタイトルに、「我々の作り上げた惑星の深部への旅」とあるように、著者が世界中を回って、気候変動をはじめとする様々な様相をルポ風にまとめたもの。

これまでの自然の大変動と比較して、隕石の墜落に次ぐ、急激な変化であるところから、地球上の生物はとてもその変化についていけず、次々と絶滅し、また地形も海面上昇、ダム建設によって、大きく変えられ、これまで保たれてきた自然のバランスが、全く崩れ去ろうとしている。

結論から言えば、人類は、アンモナイト、三葉虫などと並んで、癌細胞と同じなので、行き着くところまでいけば、その先はないのであろうが、地球上には、困難な問題に直面して、それでも工夫と知恵で何とかそれを解決しようという人々が、少なからずいるということが、著者の各地での取材からわかる。

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フランス人は人生を三分割して味わい尽くす * 吉村葉子 * 講談社+α新書 * 2015/12/14

フランス人の生活を、日本人の生活と時折対比しながら、観光や芸術ではなく、もっと日常的な側面に焦点を当てて話を進めていく。

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牡蠣とトランク * 畠山重篤 * パトリック・ルイ・ヴィトン画 * ワック * 2015/12/16

畠山氏は宮城県気仙沼市の北にある湾で牡蠣養殖を営み、フランスの牡蠣産業が病気の発生で危機に瀕した時、宮城県の牡蠣を送って助けた時以来、フランスの牡蠣業者と親交を重ねてきた。

フランスを訪れた際、豊かな牡蠣の生育の背景には見事な森があることに気づき、日本に戻って「森は海の恋人」運動を展開、川の上流の山に植林をするなどして環境保全の運動に大きな役割を果たしてきた。

鞄の世界的メーカーであるルイ・ヴィトンの家の流れをくむ人とも親しくなり、2011年の大震災の際にはフランスからの恩返しとして援助を受け、いったんは崩壊したカキ養殖を再び始めることに成功した。

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The Singularity is Near : When Humans Transcend Biology ポスト・ヒューマン誕生 : コンピュータが人類の知性を超えるとき * Ray Kurtzweil * 井上健 他訳 * NHK出版 * 2016/02/13 

現在のテクノロジーの進歩の速さからすれば、2030年ぐらいになると人工知能(AI)は、ついに人間の生物的知能を抜き去り、人間社会のあらゆる面で大きな変化が生じ、そのあとは新しく生まれた知能が加速度的に成長を遂げ、全く異質の世界が形作られる。その転換点が singularity とよばれる。

筆者レイは、自分が成長してきたテクノロジーの世界の出来事を丹念に集め、様々な分野、コンピュータや遺伝子工学やナノテクノロジーなどを中心に据えながら、これまでの(2007年刊行当時までの)経過を振り返って、singurarity がおこるのを2030年ごろとした。

今は2017年であるから、わずかあと13年後のことであり、もうぐずぐずしている時ではない。1995年にウィンドウズ95が発表されて、いまウィンドウズ10の時代になり、その間のすさまじいコンピュータの発達をみれば、この主張も納得できそうだ。人間の知能を超えるという事態に、とても受け入れないと反応する人々は多いであろうが、1980年ごろの我々の時と同じく、ベルトコンベアに運ばれているがごとく、いつの間にかその時点に達していることになりそうだ。

しかし一方で、レイ氏のあまりに楽観的な未来主義思想に辟易してしまいそうだ。今まで500メートル離れたコンビニに20分かかって歩いていたのが、わずか1分で車で到達できたから、”幸福になった”というような、安易な考え方が鼻についてしまう。現代アメリカ人のテクノロジー万能主義がそのままあらわれている。

すでにかれらは気分が落ち込めば、精神高揚剤を飲んで元気になり、多数のサプリメントを口に放り込み、よその国にまで遺伝子工学の産物を押し付け、世界中がアメリカ式になることを願っているようだ。このようなディズニーランド式の子供っぽい夢を体現しているのが、レイ氏であるようだ。

おそらくテクノロジーの流れは止められないだろう。それに伴う様々な害悪も、人類滅亡の原因にならない限り、これからも続いて起こるだろう。ただし singularity 以降の”超人”についてはすぐさま地球を出て行ってほしいものだ。不老長寿にでもなったら、とてもこの狭い地球には収容しきれないし、旧人類との折り合いが悪くなるに決まっている。

しかも、日々深刻さを増している格差の問題が心配だ。当然のことながら超能力や不老不死を最初に手に入れるのは、アメリカの超富豪たちだろうから。レイ氏は、コンピュータチップがこの十数年の間に高価な部品からタダみたいな値段になったことをしきりに強調するが、不老不死がタダみたくなるには、相当の紆余曲折があることだろう。

さらに、国民の間に人気があり、専制的な傾向がある政治家がAIを獲得したならどうなるだろう?もうそれ以降の人間の歴史は奴隷のようなものになるのか?それとももっと賢いAIを派遣して、その政治家と一騎打ちをすることになるのか?

彼らは抜群の体力、例えば空気のないところでも耐えられる血液なども発明できるはずだから、さっさと火星をはじめとして、到底普通の生物では生きることの不可能な世界に移住し、せいぜい植民地を作ってくれればいい。

そうすればいくら人口が増えても、大宇宙が満員になる心配はないし、そんなに優秀な頭脳の持ち主ばかりであれば、きっとこの平和で緑豊かな地球は退屈極まりないものであろうから。エキサイティングな宇宙開拓に励めばいいのだ。

ホモ・サピエンスは、進化上は隣同士の類人猿とは距離を置いている。敵対しないまでも”友好的無関心”の態度で臨んでいる。singularity の後に生まれた新種の生き物についても、同じように扱っていくのがよかろう。

あるいは、本書の引用にもあるように、「ポスト・ヒューマンになることを拒否し、従来型の人類が良いと考えるのは、鋤の弁護をするようなものである。鋤のような古い道具は、役に立たないと批判されても、なくなることはないものだ」(第8章より)という見方も悪くない。

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Qui est Charlie? シャルリとは誰か?* Emmanuel Todd * 堀茂樹・訳 * 文春新書1054 * 2016/04/22

この本はこの過程が、フランスをケーススタディとして取り上げている。 シャルリが、ムハンマドを冒とくしたことでその雑誌の編集者たちが殺された事件に対して、全国的に広がったデモに参加した人たちの真意を考察する。

人々が宗教によって精神的支えを得ている社会において、近代化などによって世俗化が進むと、人々は不安になり、代わりに頼れるものがほしくなる。それが極端なナショナリズムだったり、外国人恐怖症だったりする。

シャルリについてのデモは、そのような恐怖心の現れでなかったかという問いかけである。そしてそこから、フランス社会における外国人を”同化”する方向へもっていくべきか、”多文化”という名目で、チャイナタウンやリトルイタリーのように、それぞれの共同体を作ったほうがいいのかという問題に進んでいく。(著者は前者を支持している)

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フランス人は10着しか服を持たない Lessons from Madame Chic * Jennifer L. Scott * 神崎朗子・訳 * 大和書房 * 2016/07/22 

カルフォルニアに住む娘が大学生のときに、パリに留学し、シック夫人の下で暮らしたことから、それまでのアメリカ流の生き方とは違ったスタイルに気付き、それを本にしたところ大ベストセラーになった。

日本語のタイトルは、かなり人目を惹くものだが、これで成功したことは間違いがなく、原題の「マダム・シックから学んだ教え」はずっとおとなしい。内容的には、物質主義に汚染されることなく、人間はちっぽけな存在なのだから、そのことを自覚してささやかな日常の楽しみを得ることができれば幸せな生活が送ることができるということだ。

ある意味では哲学書のようにも思えるが、「こんな平凡な主張なら、わざわざこの本を読むことはなかった」と思う人もいるかもしれない。ところがどっこい、現代人はすっかり企業の作り出した物質主義におぼれてしまっていて、シック夫人の生き方が、貴重に見えてきてしまうほどなのだ。

それほどに現代人の生活は、貧困化し、つまりまわりからコントロールされて、自らの自主性を持って生活を送っていこうという能力がすっかり奪われてしまっているということだろう。だからこそこの本はベストセラーになった。見方を変えればいかに現代人が深刻な状況に陥っているかを示しているともいえるのだ。

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「ドイツ帝国」が世界を破滅させる * Emmanuel Todd * 堀茂樹・訳 * 文春新書1024 * 2016/08/27

著者はフランスの思想界では、一風変わった論を張っている。それは彼が人類学者であるということが大きいかもしれない。ドイツとフランスを比較するとき、前者は長子相続の伝統を受け継いだ、権威主義的な社会を作り上げているのに対し、後者は自由主義より平等主義を強く求めようとする傾向があるとする。

この本は、いくつかの問題に対する回答として彼の論が展開される。ドイツについては、EUの中で中心勢力となった今、南欧はもちろんのこと、東欧諸国、そしてロシアと敵対するウクライナを支配下に置こうとしているという。もちろんそれは軍事的支配ではなく、安価な労働力としての利用を通じてである。

他の論では、ロシアは悪者にされすぎているという見方だ。ウクライナをはじめとして、周辺諸国に勢力拡大の手を伸ばしている、というのがヨーロッパ全般のロシアに対する印象だが、むしろドイツ勢力、アメリカ勢力を向こうに回して防衛的な態度をとっているとみる。

この本が書かれたのはサルコジ大統領の末期だが、現代にも及ぶ主張は、ユーロなんかやめてしまえという主張である。ユーロで得をするのはドイツばかりで、切り下げができないヨーロッパの弱小国は、この単一通貨体制によってがんじがらめにされているのだという。

さらにユーロ体制は、アングロサクソンに端を発する新自由主義体制の一環を担っており、富裕層がますます金をため込み、格差の拡大が深刻になっていることにも言及している。

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人間釈尊の探求 * 中村元・上村勝彦・田辺和子 * SANPO BOOKS B-94 * 2016/09/02

著者はいずれも長い間、仏教研究にささげてきた人々であり、数多くの仏典を読み、その中から仏陀の姿を明らかにしようとして作り上げた小冊子。聖書がその気になれば、だれでも読み始めて、その内容を大体において理解できるのに対し、仏教では一般向けに仏陀の姿や障害をわかりやすくまとめたものが少ない。

そもそも仏教の信者でお寺に縁の深い人であっても、葬式はさておき、自分の人生や生き方について知りたいがために、仏陀の考えを探ってみようという人が、どれだけいるだろうか?現代の豊かで医学の発達した世の中ではそんな問題についてじっくり考えるよりもポケモンゲームに勝つことのほうがはるかに大切なようだ。

そうやってみると、人間というのは仏陀の現れた紀元前500年ごろと、現代の人間と何にも変わっていない。日常生活のこまごまとしたことに追われているだけだ。せっかくキリスト、仏陀、マホメットなどが、深遠な思想を教育のない人々にもわかりやすく教える天才的才能をもってこの世に出てきたのに、それを活用しようという人はなかなかいないものなのだ。

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ガラパゴス Garapagosization * 相場英雄 * 小学館 * 2016/11/08

警視庁のベテラン田川警部補は、同僚木幡の手助けをして、ある身元不明の自殺者を調べているうち、それが巧妙な他殺だと気づく。裏付け捜査開始。被害者は宮古島の出身であり、九州の専門学校を卒業した後、就職をするとき、正社員ではなく、派遣の仕事につき、そのあと各地を転々としたことが判明する。

彼の勤めていたラインでは欠陥自動車が作られており、そのことを掲示板で公表したために、その自動車会社と、人材派遣会社の幹部によって”剪定”されたのだ。二人の刑事は丹念に調べて回り、多くの人々と会い、ついに真犯人(たち)を突き止める。

そこには、人を殺してでも這い上がらろうとする日本の悲惨な労働事情があり、田川はこの一連の犯罪の元凶がそこにあると痛感する。国際競争に勝つためには、企業はどんな犠牲を払ってもコストを減らそうとし、そのためには最も出費の多い人件費を切り詰めるために、企業と政府が一体になって労働者を部品のように扱うシステムが出来上がっていたのだ。

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現代の地政学 * 佐藤優 * 晶文社・犀の教室 * 2016/12/25

国際関係を理解するうえで、様々な要素を考慮しなければならないが、社会が複雑化するにつれ、変化の過程における単純化は、まるで不可能になり、ますます多くの要素を取り入れなければならなくなっている。

その中で特に取りざたされているのが、その国のおかれている地理的条件である。最もわかりやすい具体例は「山」であろう。山があれば敵が侵入しにくいし、上から見下ろすような格好になれば、平地に住む人々を略奪することも可能だ。

海はまた別の意味で地理的条件となりうる。つまり船にに大量の物資を積んで移動できるということから、それに長けた国は「海洋国家」と呼ばれるようになった。海洋国家同士がぶつかり合うと、大変なことになる。

このように地理的条件は、それぞれの国が持って生まれたものであって、明日から大陸国家から海洋国家へと変換するというわけにいかない。そしてその条件は大きな技術的革新がない限り、長期にわたって変化しない。

このようなことから、地政学が大きな意味を持つようになるのだ。著者は豊富な例を交えながら、5回の講義を展開していく。その中には、トランプ政権の予想や、中国の今後の出方も含まれている。

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来月更新に続く

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