わたしの本箱

アーサー・ランサム冒険物語全12巻

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  1. ツバメ号とアマゾン号( Swallows and Amazons )
  2. ツバメの谷( Swallowdale )
  3. ヤマネコ号の冒険( Peter Duck )
  4. 長い冬休み( Winter Holiday )
  5. オオバンクラブ物語( Coot Club )
  6. ツバメ号の伝書バト( Pigeon Post )
  7. 海へ出るつもりじゃなかった( We didn't mean to go to sea )
  8. ひみつの海( Secret Water )
  9. 六人の探偵たち( The Big Six )
  10. 女海賊の島( Missee Lee )
  11. スカラブ号の夏休み( The Picts and the Martyrs )
  12. シロクマ号となぞの鳥( Great Northern ? )
  13. 岩波少年文庫・ランサムサーガ外部リンク
  14. 外部リンク アーサー・ランサム・クラブ外部リンク
  15. 外部リンク The Aurthur Ransome Society外部リンク
  16. 外部リンク The Aurthur Ransome Wiki外部リンク
  17. 外部リンク Wikipedia外部リンク

Swallows and Amazons ツバメ号とアマゾン号 * Aurthur Ransome * Puffin Books

イギリス北部の湖水地方外部リンクを舞台に、4人兄妹が活躍する冒険物語。父親は船乗りで、母親は少女時代は大自然の中で育ったためにアウトドア活動への知識が深く、子供たちにも自由な冒険を許し、援助してくれている。ヨットの操縦をする子供たちの姿が生き生きと描かれる。

John (長男) Susan (長女)Titty (次女) Roger (次男)の4人兄妹は、夏休みに母親が陸地で見守る中、イギリス北部の湖水地方で1週間を過ごすことになる。自分たちの小さなヨット、「ツバメ号」に乗って、湖の真ん中にある Wild Cat Island 島に上陸してキャンプを始める。そこへお転婆姉妹 Nancy とPeggy の乗る「アマゾン号」が出現。海賊として相手の船を奪うことを考えるが、真夜中に Titty を除く3人はアマゾン号の根拠地を目指し、その間一人島に残った Titty は知らずにやってきたアマゾン号をまんまとのっとってしまう。

こうしてアマゾン号とツバメ号は和平を結ぶことになるが、Nancy と Peggy のおじであるフリント船長は、自分の屋形船にいたずらをしているのは John だと疑い、さらに夜中に強盗にあって自分が大切に保管していた著作集の入ったトランクが行方不明になったことから、これもこの4人たちが関係しているのではないかと思っている。

これに気づいた Nancy がきちんと知らせたおかげで John への疑いは晴れ、さらに Titty は Roger をつれて、あの夜に現れた強盗たちの残した”宝物”を目指して執念深く探し回り、ついにそれを発見する。フリント船長は狂喜し、Titty にはオウムをプレゼントしてくれた。短い夏が終わり夜中に嵐がやってきて、二つの船の乗組員たちは来年の再会を約束して別れる。

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Swallowdale ツバメの谷 * Aurthur Ransome * Puffin Books

翌年の夏休み、兄弟姉妹は期待に胸をふくらませて湖を訪れたが、Nancy Peggy とアマゾン号の姿がどこにも見当たらない。実は彼女らの大おばが来ていて、屋外の遊びを許さないのだった。そこで兄弟姉妹は湖の対岸にある小川に上陸し、Titty と Roger はその上流に、キャン部に最適な秘密の谷と洞穴を発見する。

隙を見て抜け出したアマゾン号と落ち合うために、対岸に向かったツバメ号だったが、強風が吹き、ジョンのミスから岩にあたってあえなく沈没する。陸に近かったので全員無事で、荷物や船体も何とか引き上げたが、船腹に大穴が開いてしまった。

フリント船長のおかげでツバメ号は修理に出され、船を失った4人はツバメ谷にキャンプを開始する。ようやく大叔母が立ち去ることになって Nancy の立てた計画に基づき、4人はツバメ谷から高原を経て、Nancy たちの住む所まで徒歩で向かい、翌日6人はボートを漕いで川をさかのぼり、かつてから狙っていた山を征服する。

下山したあと、Titty Roger は徒歩でツバメ谷に向かうが濃霧のため道に迷い、Roger が足をくじいて炭焼きのおじいさんに助けられる。一方、John Susan Nancy Peggy の4人はアマゾン号で湖上を経てツバメ谷に戻るが、キャンプには誰も戻っていない。大騒ぎのところへ Titty が伐採した丸太に乗って帰ってくる。

翌日、母親が見に来る前に、全員で Roger を救出するために担架隊が組織された。さいわい Roger の怪我は軽く、松葉杖を作ってもらって得意になっている。そこへようやくツバメ号の修理が終わった知らせが入り、記念のヨット・レースをして、やっと古巣の Wild Cat Island 島に戻ることができたのだった。

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Peter Duck ヤマネコ号の冒険 * Aurthur Ransome * Puffin Books

この夏、ツバメ号とアマゾン号の乗組員たちは、フリント船長の持っているヤマネコ号 Wildcat というスクーナーに乗ってイギリス海峡をクルーズする予定だった。ところが人手が足りないために雇った老船乗りがピーター・ダックという名前。船員たちが宝を埋めるところを目撃したという彼の昔話に夢中になったフリント船長は、カリブ海に浮かぶカニ島へ行きたくなってしまう。

出航したものの、港にいたときからピーターダックの話した宝を狙う悪漢たちの乗るマムシ号がしつこくあとをつけてきて離れない。そして濃霧の中で彼らをまくのに成功するが、マムシ号でこき使われていた少年水夫、ビルを洋上で拾う。それからは貿易風に乗ってカニ島にまっしぐら。

カニ島につくと錨を下ろし、島の反対側にある”ダック港”で子供たちはテントを張り、発掘作業に入るが、突然天候が荒れだす。船を沖合いに出すため、フリント船長は子供たちを残してヤマネコ号に向かうが、島の火山が爆発して大地震が起こる。子供たちは恐怖の一夜を過ごし、テントも吹っ飛んでしまったが幸い誰も怪我もせず、しかも地震のせいで宝の箱が偶然に見つかった。

子供たちがツバメ号でヤマネコ号に戻ると、ピーターとビルはマムシ号一味に殴られ、縛られていた。そして彼らは島に宝を探しに行ったのだ。何も知らないフリント船長が危ない!彼は大地震の後、子供たちを探しに再びダック港に向かっていたのだ。ヤマネコ号はダック港の沖合いに向かい、ジョンとナンシーがツバメ号に乗って浜へ船長を迎えに行く。悪漢たちからは銃撃を受け、危ういところをようやく全員ヤマネコ号に戻ることができた。

だが、悪漢たちはマムシ号に乗って再び後を追ってきた。少しずつ距離は狭まり絶体絶命!ビルは銃撃されたはずみに腕を骨折する。ところが天候の異変がこんどは竜巻を呼び起こし、みんなの目の前でマムシ号は吸い上げられ粉々になってしまう。ようやく平和が戻り、みんなは帰路に着くことになった。宝箱の中にはさほど価値のない古い真珠が詰まっていたが、全員息もつかせぬ体験をしたのだった。

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Winter Holiday 長い冬休み * Aurthur Ransome * Puffin Books

冬休みも終わりに近づいたころ、湖のほとりのディクソンさんのところに泊めてもらっている、ドロシアとディックの姉弟は湖をボートで漕ぎ渡っている6人の子供たちを見ていた。都会育ちの二人は彼らのやっていることに興味を抱き、天文学が大好きなディックが”天文台”と呼んだ納屋からのランタンの明かりの点滅がきっかけで彼らは友達になる。

二人はアウトドアについてはほとんど知らなかったが、ナンシーたちにモールス信号や手旗信号を教わり、一緒に出かけた”グリーンランド”ではみごとにディクソンさんのところの迷い羊を崖から救出する。

みんなは冬休みの終わるまでに北の端にある”北極点”に、湖の氷上を通って到達することをめざしていたが、なかなか気温が低くならず、あきらめるしかなかった。そこで突然、ナンシーがおたふくかぜにかかってしまう。ナンシーは自宅に隔離され、彼女と接触した子供たちも全員、感染の疑いが晴れるまで学校に戻ることができなくなった。

ふってわいた予想外の長い冬休みに子供たちは大喜び。すっかり湖全面に広がった氷の上をスケートしたり、ソリに乗ったり、エスキモーの小屋を作ったりして北極行に備える。しかも外遊中のフリント船長の屋形船の予備カギをナンシーが送ってよこしてくれたものだから、船内に備蓄された食料品を食べ、ここを基地にして遊びまわる。

やがてフリント船長が戻ってきた。ナンシーの病気も終わりに近づいた。いよいよ北極への旅立ちの日だ。ところが、うっかりナンシーがあげた旗を、ディックはこの日こそが北極への出発命令の信号と勘違いして、ドロシアとともに大急ぎで出発する。だが大吹雪にあい、彼らの乗る帆をつけたそりは猛烈に突っ走り、ついには転倒する。それでも日暮れ近くには何とか”北極点”と名づけられたあずまやに到達することができた。

そこでは、フリント船長がまえもって用意しておいた食料や燃料のおかげで凍えずに済んだ。行方不明と聞いて、ツバメ号のきょうだいとペギーは救援隊に早変わり、夕食後の真っ暗な湖上にとび出す。一方、やっとベッドから出るお許しをもらったナンシーは北極点の方向に見える、「 NP = North Pole 」をあらわすモールス信号の明かりに気づき、彼女もまた大急ぎで湖上を北上する。

こうしてその夜ふけて、悪天候にもかかわらず北極点のあずまやには8人全員がくたくたになって無事たどり着いた。フリント船長やほかの大人たちは捜索隊を出す一歩手前まで心配させられたが、予定ではピクニックになるはずだったこの探検が、スリル満点の本物になったのだっだ。

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Coot Club オオバンクラブ物語 * Aurthur Ransome * Puffin Books

「長い冬休み」の冒険から帰ったディックとドロシアのDきょうだいは、ツバメ号やアマゾン号のメンバーたちのセーリング技術を自分たちも、ものにしたくてたまらない。それで春休みにおばのバラブル夫人がノーフォーク外部リンクの水郷地帯でヨット、ティーゼル号に暮らしていると聞いて遊びに行く。だがバラブル夫人は兄が出張しているためセーリングができない。

すっかりがっかりしているところに、地元の鳥の保護を目的とした、オオバンクラブのメンバーと友達になる。最年長のトム、ふたごのポートとスターボード、死と栄光号というぼろヨットに乗る年下の3人の男の子がメンバーだ。D兄弟はトムとふたごにセーリングを教わることにする。

夫人の計画はトム、ふたご、Dきょうだいの5名と夫人の飼い犬ウィリアムを乗せて川を下り、夫人の生まれ故郷であるベックルズの町まで行ってみることだった。そのあいだにDきょうだいは見習いとしてみっちりと船の扱い方を学ぶことになる。

ところがマルゴレッタ号というモーターボートをチャーターした若者たちが、オオバンの巣のそばに船を停泊して、移動してくれとたのまれても聞き入れない。業を煮やしたトムは勝手にとも綱を解き、彼らから追われる”無法者”となる。しかし、マルゴレッタ号の追跡をたくみにかわしながら、そしてオオバンクラブのメンバーたちによる監視のおかげで、トムはみんなとティーゼル号にのって出発する。

河口にある町、ヤーマスに近づくと引き潮に乗ってティーゼル号は順調に進んだ。初めは父親とレースに出るために来れない予定だったふたごたちだったが、父親が出張になったため、川を航行する親切な3隻の船を次々と乗り継いで、ようやくベックルズの町でティーゼル号に追いつくことができた。

ここで風が止まり、ふたごたちは再びレースに参加することになって、ティーゼル号は帰路につく。だがヤーマスの手前にある湖で霧にまかれ、おりからの引き潮のためにティーゼル号は泥の中に座礁してしまう。しかも満ち潮を待っていると、なんとマルゴレッタ号に発見されてしまった。絶体絶命!

ところがマルゴレッタ号の舵取りは何を間違ったか、高速で杭に激突し船は浸水して漂流し始めた。そこへ偶然やってきた”死と栄光号”の3人がマルゴレッタ号を安全な場所に移動し、乗っていた人間たちを救助した。思わぬ展開に、トムは捕まえられずに済み、ティーゼル号は無事、もとの係留場所に戻ることができたのだった。

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Pigeon Post ツバメ号の伝書バト * Aurthur Ransome * Puffin Books

ツバメ号、アマゾン号、Dきょうだいの8人が集合した、その年の湖の夏は大干ばつだった。しかもフリント船長も、アマゾン号以外の親たちも来れないために、船も出せない。ナンシーはこのため、みんなで高地の鉱山あとで金探しをすることを思いつく。

瓦用の土を掘っている爺さんに金探しについての昔話を聞いたあとで、みんなは高地にキャンプしてくまなく一帯を回って金鉱を見つける計画を立てる。だが、ひどい干ばつのためキャンプ用の水が手に入らない。アマゾン号の母親は家を離れてキャンプすることを好まない。しかもつぶれたソフト帽をかぶった怪しい男がうろうろしている。

だが、ティティがキャンプ予定地に水の出る泉を発見し、ナンシーは伝書バトを使って絶えず連絡するからと母親を説き伏せ、デックがハトの到着を知らせるベルを作り、鉱山学を勉強して探すべきものを具体的に示すと、計画はにわかに実現に向かった。

しらみつぶしに高地を調べるのだが、ソフト帽の男がしょっちゅう出没するので、子供たちは彼がきっと同じく金を狙っているのだと思い込み、ライバル視、敵視するようになる。暑さの中での単調な金探しにみんなが疲れ果てたころ、抜け出したロジャーが偶然に古い坑道を発見し、そこから金色に光るものを含んだ水晶がざくざく出てくる。

てっきり金だと思い込んだ彼らはディックの”指導”の下、水晶を砕き、選別して集めた金色に光る粉を、今度は自家製溶鉱炉を作ってルツボに入れて溶かし、憧れの金塊を手に入れようとする。だがくたくたになって一日加熱した後、ルツボは壊れ中身が見当たらない。

本物の金かどうかを確かめようと、ディックがフリント船長の家に戻ってみると、船長は長い旅からようやく帰ってきたところだった。そしてその粉が金ではなく、黄銅鉱であることを知らされる。だが、純度の高いものなので本格的に生産すれば、金に劣らず大きな利益を生むことができるのだ。

そのときハトがティティからの救援信号を運んでくる。観光客の不注意なタバコの火で一帯があっという間に燃え広がったのだ。火は高地を嘗め尽くし、森や農場に迫ろうとしていた。だが子供たちの活躍と、ハトが早く知らせてくれたおかげで消防隊の到着が早く何とか消し止めることができた。そして怪しい男はフリント船長の鉱山仲間であった。

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We Didn't Mean to Go to Sea 海へ出るつもりじゃなかった * Aurthur Ransome * Puffin Books

イギリスの南部、北海に面した港町ハリッジ外部リンクでツバメ号の4人と母親、ブリジットの5人は海外での仕事を終えた中佐の父親の帰りを待っていた。4人は単独でヨット「鬼号」に乗って海を渡っている地元の青年ジムと知り合い、「港の中だけ」という母親との約束で、ツバメ号よりずっと大きなこの船の操作法を教えてもらう。

港めぐりの帰り道、エンジンの燃料がなくなったので、ジムは錨を下ろした鬼号に4人を留守番させて、陸に燃料を買いに行く。ところがいつまでたっても戻ってこない。そのうち港には濃い霧が押し寄せ、何も見えなくなった。しかも満ち潮によって船が浮き上がり、ついに錨を引きずりだしたのだ。

トムは何とかして再び錨を効かせようとするが、あわてているうちに鎖ごと海に落としてしまった。風は沖に向かって強く吹き、鬼号はどんどん流される。ハリッジの周辺は浅瀬が多く、いつ座礁するかわからない。この霧ではほかの船やブイに衝突するかもしれず、トムは漂流をやめ、帆走することを決心する。

だが海図によれば浅瀬を避けるには、南東の方向に向かうしかない。燈台船がその方向に配置されているから、それに沿ってとりあえず港から脱出するべきだとトムは考える。だが、スーザンは早く戻るべきだと反対した。だがテティとともにひどい船酔いにかかってしまった。ロジャーは必死で霧笛を鳴らした。

トムはいったん戻ろうと船を風上に転回させるが、すさまじい逆波にあって鬼号は水浸しになり、当面追い風でこれまでの南東方向のまま進むしかないことをスーザンも納得する。風はますます強くなり、トムはジムに教わったとおりに縮帆を決行した。これでやっと船の操舵は安定し、トムとスーザンが交代で眠って何とか夜明けまで持ちこたえた。

夜明けになってようやく霧が晴れ、どうやら陸が近づいたようだった。昨夜の嵐で流されたらしい籠の上に瀕死の子猫が乗っていて、みんなで助け出した。陸地は見えたが、港がわからない。大きな汽船のそばに水先案内人がいたので、子供だけで乗っていることをかくして、近くの港フラッシング外部リンクに連れて行ってもらう。

そこはオランダだった。子供だけで嵐の北海を横断したと知って、水先案内人は敬意を表してくれた。港ではちょうどハリッジ行きのフェリーが出発するところだった。乗客の中に父親が乗っていて、トムを見つけたのだ。親子は再会し、今度は父親が舵を握って一路ハリッジに戻る。

あのジムは買い物途中、バスにはねられて頭を打ち、2日間意識不明だったのだ。病院で目を覚ますと、一目散に港に駆けつけ、子供たちに襲い掛かった恐ろしい運命のことを考えながら探し回る。すると沖に鬼号の赤い帆が現れ、こっちに向かってくるではないか!

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Secret Water 秘密の海 * Aurthur Ransome * Puffin Books

「鬼号」によるオランダ漂流から帰ったツバメきょうだいは、両親とともにハリッジの北にある干潟地帯でキャンプ生活を送るはずだったが、父親の急な仕事のせいで子供たちだけで過ごすことになる。父親が描いてくれた大雑把な図を、実際に小型ディンギー「魔法使い号」で探検して、詳しい地図を作ることになった。今回、まだ幼いブリジットが一行に加わることになる。

現地では干満の差が激しく、満潮ではヨットの航行ができても、干潮になると足が抜けなくなるほどの泥沼だった。そこへナンシイとペギーが突然現れた。両親によってつれてきてもらったのだ。彼女らの「ホタル号」も加わって探検が始まる。

キャンプ地の島の西隣の島で、廃船の船尾部分を改造して隠れ家にしている地元の少年に会う。ティティは「カンジキ」をはいた彼の足跡から「マストドン」というあだ名をつけて、親しくなり、彼が属する「ウナギ族」の血を分けた兄弟にまでなる。

彼にガイドをしてもらって、探検は範囲を広げトムとティティは詳しい測量をした結果を地図に書き入れていく。だが遅れてやってきたウナギ族の残り、デイジー(姉)、ダム(弟)、ディー(弟)の3人がツバメきょうだいを侵入者と勘違いし、ブリジットを”誘拐”するが、わけを知って平和協定を結び、11人による一致団結した”ウナギ族”が誕生する。

「魔法使い号」は浅瀬で舵を曲げてしまい、4人で干潟にある干潮時だけ通れる細い道を町へ修理してもらいに行く。帰り道、一足先に出発したティティ、ロジャー、ブリジットは寄り道をしたために、潮がどんどん満ちてきて道は水中に没し、干潟の真ん中で立ち往生してしまう。マストドンが発見して助けてくれなかったら溺れていたかもしれない。

帰りが遅れたために、トムが予定していた北西航路探検はおじゃんになり、地図は未完成なままに、父親が翌日の朝9時に「鬼号」で迎えに来ることになった。その夜は全員でかがり火を炊き、体に極彩色のペンキを塗って、大声で歌ったりの大宴会。

翌朝早く、ティティとロジャーはひそかにテントを抜け出して北西航路探検に挑む。ナンシイとペギーは偶然にも同時に北東航路を探検していた。これで念願の詳細な地図はすべての空白が埋まり、意気揚々とツバメきょうだいとアマゾンきょうだいは、親切にしてくれたウナギ族に見送られてこの地を後にしたのだった。

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The Big Six 六人の探偵たち * Aurthur Ransome * Puffin Books

「オオバンクラブの無法者」の舞台になったノーフォーク外部リンクの水郷地帯の秋、キャビンを備えた”死と栄光号”のジョー、ビル、ピートの3人が夜に桟橋に停泊すると、そばにもやってあった船がロープを解かれて流されるという事件が起こる。すでに前年トムの事件があるだけに、地元の人々はこの3人が当然犯人だと思い込むが、当人たちはまったく心当たりがない。

その後ウナギとりの爺さんと一晩過ごしたときも、釣りエサを捕まえてあげた縁で知り合った釣り師のシャルロット号とともに川下に下ったときにも、同じ事件が起こる。そのときは3人は記録に残るような大魚を釣り上げるのだが、同時間帯に船具店に泥棒が入り金具を盗まれるが、これも彼らのせいにされる。

知り合いの警察官、テッダーさんにも信じてもらえず、四面楚歌の中、ドロシアとディックがやってきた。ディックは写真を撮影し、現像することを覚えたばかりだ。ドロシアはこの事件の解決のために、トムの家のそばに”捜査本部”を設置して、6人の探偵たちは証拠集めを始める。

だが他のオオバンクラブのメンバーでさえそっぽを向き、聞き込みでさえままならない。だが、現場の一つで自転車のわだちの跡を見つけ、それがダンロップ製であることを突き止める。だがダンロップ製のタイヤは多くの人々が使っていた。あの盗まれた金具の一部が”死と栄光号”の煙突の中に投げ込まれた。ドロシアが犯人の姿を目撃し、愛犬が犯人に噛み付いてズボンの端をかじりとる。ところが金具をテッダーさんに届けると、盗んだ嫌疑までかけられ、形勢はますます不利になる。

まだ金具が全部でてこないところから、探偵たちは犯人がまた来るだろうと考えて煙突にペンキを塗る。計略は成功して、彼らよりずっと背が高く手の大きい手の跡と指紋が残された。だが決定的な証拠ではない。いよいよ明日は弁護士との相談があるという日、ディックのカメラが活躍する。シャルロット号をおとりとして係留して、ビルとピートが真夜中に息を潜めて待つと、二人組がやってきた。もやい綱を解いた瞬間、ビルはフラッシュをたき、ピートはシャッターを押す。

翌日、弁護士の前でドロシアたちは集めた証拠を提示した。みんなが待っているところへ、ディックとピートが現像した写真を持って駆け込んできた。そこにはくっきりと二人の犯人が船を押しているところが写っていたのだ。ぎりぎりのところでオオバンクラブの名誉は回復された。

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Missee Lee 女海賊の島 * Aurthur Ransome * Puffin Books

「ヤマネコ号の冒険」にひきつづき、世界周航の航海に出た、サルのジバー、オウムのポリー、フリント船長とツバメ号とアマゾン号のメンバーたちは中国の南海岸にさしかかった。風がぱったりやみ、少しも進まないので、エンジンをしばらく動かすことにした。給油作業の最中、ジバーがタバコの燃え殻をつかんだときに一瞬のうちに引火し、ヤマネコ号は全焼してしまう。

ツバメ号とアマゾン号を救助艇にしていた彼らは、近くの定期船航路に向かって救助を求めようとするが嵐が襲ってきて、アマゾン号の乗組員は、海賊船に捕まってしまう。フリント船長は閉じ込められ、ナンシー、ペギーは軟禁される。本拠地の虎島に着いたときに2人はいったん逃亡に成功するが、すぐにつかまり虎島の首領チャンの捕虜となる。

一方、ツバメ号の乗組員は虎島と河を挟んで対岸にある亀島に付属する小さな島にたどり着いた。不思議なことに、そこには休屋があり小さな家にはラテン語の教科書が置いてあった。学校でラテン語を少し習っているロジャーはその教科書のうしろにいたずら書きをしてしまう。そこから見下ろすと、対岸にナンシーとペギーの姿が見えたので、ツバメ号の乗組員も虎島に向かうが、結局全員捕まって捕虜にされてしまう。

首領チャンは小鳥が大好きで、ポリーの飼い主であるティティだけがかわいがられたが、もともとイギリス人はこの島に来てはいけないのだった。即、首をはねられることになっている。アメリカ人を騙るフリント船長の扱いも含めて、指示を受けるために、対岸の竜島にいる3島の総首領、ミス・リーのもとに全員向かうことになった。

ミス・リーの父親は、3島の争いを平定して統一を実現し、この島に繁栄をもたらした人だった。かつては海賊業に専念し、いまでは捕虜の身代金を取り立てたり、付近を航行する船を監視して用心棒のような役割も果たしている。最大の敵はイギリスの砲艦である。海賊取締りのために彼らにこられたら、3島はひとたまりもない。

ミス・リーは少女のとき、イギリスにおくられケンブリッジ大学で教育を受けたあと、帰郷して父親のあとを継いだのだった。彼女のラテン語の研究は今でも続いていたのだ。子供たちはミス・リーのもとに引き取られたが、強欲なチャンはフリント船長をアメリカ人と思い込んで身代金をせしめる気持ちでいる。子供たちの願いによってチャンからフリント船長を買い取ることになった。

ミス・リーの最大の喜びはラテン語を研究することであり、自分のラテン語参考書に書き込まれたいたずら書きから、生徒を教えるチャンスが舞い込んだと気づく。ラテン語なんて誰も勉強したくないと思ったが、ミス・リーを喜ばせておくことは将来の脱出に必要だと考えるフリント船長の意向により、全員熱心に取り組んだ。

だが、ミス・リーの側近たちもほかの島の首領たちもイギリス人を島に置くことは彼女の父親の遺志に反することだと考え、しだいにミス・リーへの圧力を強めてきた。父親の墓がある、最初にツバメ号の乗組員たちが上陸した島へ全員で出かけたときに、フリント船長がひそかに持ち出した六分儀が亀島の首領に見つかり、ますます立場は悪くなる。

年に一回の竜神祭が近づいてきた。大勢の人が竜のぬいぐるみに入って町を練り歩くのだ。子供たちも中古品をもらい、これを7人がうまく入れるように縫い直して参加することになった。そして自分の教え子たちが殺されることを望まないミス・リーによって逃亡の計画が練られた。

祭りの当日、町は花火や宴会や踊りで沸きかえった。フリント船長と子供たちも町中に繰り出して、大勢の人々の喝采を浴びた。そして祭りも終わりに近づいたころ、歩哨もいない船着場にたどりつき、ミス・リーの所有するジャンク、「月照号」にのりこむとアマゾン号、ツバメ号を曳いて、折から増水した川を下った。だがすぐに発見され、河口に網を張られてしまう。逃げ道は狭い急流の峡谷を抜けるしかない。フリント船長がもはや操縦不可能だと思ったそのとき、隠れて乗っていたミス・リーが見事なさばきで船を操り、無事に広い海に出ることができた。

だが、風がぱったりやみ、追っ手が迫ってきた。そして島ではチャンがクーデタをおこして3島の権力を握ろうとしていた。島を捨ててケンブリッジに行こうと思っていたミス・リーは思い直して、自分のふるさとに戻る決心をする。こうしてようやく7人を乗せた月照号は島を逃れることができたのだった。

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The Picts and The Martyrs スカラブ号の夏休み * Aurthur Ransome * Puffin Books

その夏、ナンシーとペギーの母親ブラケット夫人は健康回復もかねて兄のフリント船長とともに長期の航海に出ていた。その間に湖畔のベックフットの家ではディックとドロシアのDきょうだいが招待され、コックのおばさんやナンシーとペギーとともに夏休みを過ごすはずだった。Dきょうだいは自分たち念願ののディンギー、スカラブ号が手に入ることになっていたのだ。ところがどこでどう聞いたのか、「ツバメの谷」に登場したあの意地悪で有名な大おばが、10日間監督に来るという。大おばがあとで自分の母親を責めることを心配したナンシーは、自分たちは天使のように振る舞い、そして着いたばかりのDきょうだいを大叔母の目につかないところに隠す計略を立てる。

少し離れた山林の中に誰も使っていない”犬小屋”と呼ばれる掘っ立て小屋があり、Dきょうだいはそこに住むことになった。ハンモックを吊り、屋根の漏れを直し、暖炉に火をくべ、ドロシアは牛乳を配達してくれるジャッキーの持ち込んだウサギの肉で慣れない料理にも挑戦した。まるで古代に周辺住民から追われて隠れ住んだ”ピクト人(Pict)”みたいな生活が始まった。大叔母に見つからないように、郵便配達夫も、かかりつけの医者も抱きこんで秘密を守ってもらった。前年、「ツバメ号の伝書バト」でフリント船長の銅鉱山の相棒であるティモシーはディックに鉱石の分析作業を手伝ってもらいたかったが、これも抱き込んだ。一方、「スカラブ号」は無事進水し、ふたりは操縦の練習をする。

一方、ナンシーとペギーは冒険を期待していたせっかくの夏休みなのに、大叔母の言いつけに我慢して従い、ピアノを弾いたり、夏休みの課題をこなしたり、芝刈りをさせられていた。まるで、昔迫害を受けたキリスト教徒の”殉教者(martyrs)”のようだった。大おばに浮浪者と思われたティモシーはベックフットに立ち入れないので、分析作業はフリント船長の屋形船で行うことになった。分析に必要な器具はベックフットの家のフリント船長の部屋にあり、理科の知識が豊かなディックが夜中に家に侵入して取りに入ることになってしまった。大おばに物音を聞きつけられ、危ういところを逃走するが、翌朝警察が呼ばれる騒ぎとなる。

大おばがあと2日で帰るというときになった。分析は無事終わったが足りないサンプルを取りに銅鉱山にみんなで向かった。夕方戻ってみると大おばがいない。ナンシーとペギーがツバメ兄弟たちと付き合っているに違いないと、大おばは勝手に想像したらしく、それ調べに出て行ったのだが夜になっても戻ってこない。翌朝、警察と地元の消防隊が大掛かりな山狩りを始めた。Dきょうだいは人目につきたくなくてスカラブ号で屋形船に行き、事件が収まるまで隠れていることにしたのだが、なんと屋形船に大おばがいた。

逃げるまもなく呼び止められ、対岸のベックフットまで乗せていく羽目になってしまった。これですべてがばれるとあきらめていたが、帰り着いた大おばが大勢の人々に取り囲まれ、行方不明者の無事発見ということでもみくちゃにされている間に、Dきょうだいはそっと現場を逃走した。大おばは予定通りその日に帰り、ナンシーの策略は危ういところを何とか切り抜けて成功したのだった。

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The Great Northern? シロクマ号となぞの鳥 * Aurthur Ransome * Puffin Books

フリント船長とツバメきょうだい、アマゾン姉妹、Dきょうだいの総勢9人は夏休みを利用し、借りたシロクマ号にのって、イギリス北西部のヘブリディーズ諸島やスカイ島外部リンクのクルージングをして、いよいよ最後の日程に入り、ある小さな入り江で干満の差を利用して船の船底掃除を行うことになった。

ナンシー、ペギー、ジョン、スーザンの年長組はフリント船長とともに掃除に専念したが、それ以外の年少組は最後の機会とばかり、上陸して高地へ探検に出かけた。ひとりディックは小さな湖の真ん中に、イギリス国内では見かけることのない大オオハムという珍しい鳥の巣を発見する。それ以外の者たちは尾根沿いに北上したが、地元のゲール人や犬たちに見張られ、あとをつけられ、最後には追われるという目にあって帰る。

船底掃除は無事終わったが、燃料がないために近くの港に入港したところ、鳥の研究で有名なジマリング氏の船も停泊しているのをみたディックは、さっそく大オオハムについての質問に行く。ところがジマリング氏は金に糸目をつけぬ卵収集家だった。しかも鳥は平気で殺して剥製にしてしまうらしい。鳥の保護のために燃え上がったナンシーらに押されて、フリント船長は再び入り江に戻ることになる。

あとを追ってきたジマリング氏に気づかれないようにナンシーが計略をめぐらす。ディックは鳥から隠れるための網をみんなに作ってもらい、それをジョンとともに前の晩に巣の前にすえつける。翌日、早朝にディックは巣の前でシャッターチャンスを待ち、ナンシーと、ディックそっくりのめがねをかけているように見せかけたジョンは、ジマリング氏の部下を山奥まで連れまわし、残りの子供たちは、ディックのいる湖に近づかせないようにと、わざと前と同じ尾根沿いを歩いてゲール人たちの注意を引く作戦をとった。

斥候をしていながら眠りこけてしまっているあいだに”眠り姫”の名札をつけたやつに復讐を思い立ったロジャーを除いて、全員がゲール人に捕まってしまった。彼らが大切にしている鹿を追いかけていると誤解されたのだ。ディックも撮影を終えて湖の岸に着いたところをつかまってしまった。ロジャーも結局つかまったが、ゲール人のリーダーがわけを聞いて、ジマリング氏をとっちめることになった。

だがときすでに遅し。湖から2発の銃声が聞こえた。自分のしたことがこんな結末になってしまったことを絶望したディックが湖畔に出てみると、2羽の大オオハムは大丈夫だったが、ジマリング氏と部下はディックの使った小舟に乗って島に上陸し、卵をとってしまっていた。リーダーの息子、そしてゲール人の犬たちの協力のおかげで、ようやく彼らを取り押さえた。ティティが草むらの中に隠されていた卵の入った箱を見つけ、ディックと二人で無事、巣に戻すことができたのだった。

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro

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