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今年見た映画(2002年)
Sheakespeare in Love 恋におちたシェイクスピア 06/15/02 16世紀末、シェイクスピアの若き日の恋を描いた、青春のまたたくまに過ぎる情熱の嵐の物語。まだ駆け出しだが、着々と名声を築きつつあるシェイクスピアは、ちかごろ自分の才能が枯渇したのではないかと悩んでいる。 恋も思うように進まず、劇団からは台本はまだかと催促が来るばかり。ロンドンの町では、疫病の流行と、上からのお達しにより、女性が舞台に立つことを禁止するなど、役者たちにとってはつらい時期だった。 当時は映像にみられるように屎尿をアパートの上から路上にバシャッと投げ捨てる習慣だったのだ。又、芝居は道徳的に退廃的だと、宗教関係者がすごい剣幕で人々に説教している(誰も耳を貸さないが) 女優志願という、およそ自分の身分には似つかわしくない、良家の子女ヴィオラは、シェイクスピアにあこがれている。自分の前で見事なせりふを演じた彼女を自宅まで追ったシェイクスピアは、たちまちヴィオラへの恋の虜になってしまう。ヴィオラの乳母の陰なる助けで二人は逢い引きを続ける。 トーマス・ケントと名乗って少年の姿に男装し、稽古に出たヴィオラは、見事な才能で最後には傑作、「ロミオとジュリエット」に成長する台本に取り組む。一座が、みんなで新しい作品に取り組み、自分たちの恋とまわりの人々のアドバイスでインスピレーションを得ながら、シェイクスピアは稽古と同時進行で、台本をさきに進めていったのだ。 だが、財産家であったヴィオラの両親は、新大陸に農園を持つ男にヴィオラを嫁がせることを決めてしまい、彼女は身分違いのシェイクスピアと結ばれることはできないことを知っていたから、その男との結婚を承諾する。 シェイクスピアは婚約する相手に決闘を申し込まれ、稽古中にヴィオラは男装がばれてしまい、お上からは公演禁止の処置を食らって、一座は窮地に陥る。だが思いがけず、仇敵の劇団に舞台を提供されてなんとか初演ににこぎ着けた。 結婚式を終えたヴィオラは、教会の出口で公演のビラを拾い、芝居小屋へ駆けつける。女であるにもかかわらず舞台に上がったヴィオラと、役者たちは、大成功だった。そして、あわや兵士たちに逮捕されそうになったとき、二人の関係もすべて承知し、しかもシェイクスピアの才能を認めたエリザベス女王が、客席から現れて、逮捕を制止し、逆にシェイクスピアたちに激励の言葉を贈る。 でもヴィオラは、結婚したからには、妻として異国へ出発しなければならない。彼女はエリザベス一世時代にふさわしい、めそめそしない女性だ。二人は思いを込めたままで抱き合い、シェイクスピアは、ヴィオラをモデルにした「12夜」を作ることを約束して別れを告げたのだった。 モーツァルトをテーマにした、「アマデゥス」に似て、喜劇風の展開なのだが、若者の恋が、飾らずに描かれているし、脚色されているにしてもこの天才の制作過程が身近に迫り、最後の切ない別れがこの映画を一層よいものにしている。(1998年) Directed by John Madden Writing credits (WGA) Marc Norman (written by) and Tom Stoppard (written by)Cast : Gwyneth Paltrow .... Viola De Lesseps*Master Thomas Kent / Geoffrey Rush .... Philip Henslowe / Tom Wilkinson (I) .... Hugh Fennyman / Joseph Fiennes .... William "Will" Shakespeare / Steve O'Donnell (I) .... Lambert リスニング;言うまでもなく、「ロミオとジュリエット」の中のせりふの朗読が聞きどころ。二人が手を合わせて「palm to palm 」と語るところなど、ふだんこの種の英文になじまない人にも、新しい地平が開ける。全体の日常会話は、もちろんイギリス英語。とはいっても現代英語と比べて大きな違いがあるわけではない。 Manhattan Murder Mystery マンハンッタン殺人ミステリー 07/13/02 (再)2014/06/26 ウッディアレン監督のニューヨークもの。この大都会では何でも起こりうる。テーマソングは、コール・ポーターの歌う、I Happened to Like New York だ。だからマンションのお向かいさんで殺人が起きても少しもおかしくない。 ラリーは出版社の編集部員でゴキブリ男というあだ名を付けられるほどさえなくて、いつもモソモソしている。。妻のキャロルとマンション暮らしだが、家を離れた息子以外には何の共通点もない倦怠しきった夫婦だ。だからある日、お隣の老夫婦ハウス夫妻と外でふと知り合い、家に招かれると、キャロルはいやがるラリーを連れて彼らの家を訪問する。 お隣とのおつきあいがキャロルにとっては新しい刺激になりそうだと思われた矢先、ハウス家の奥さんが心臓マヒで急死してしまう。独身を謳歌する作家のテッドにたきつけられて、キャロルはここに何か犯罪が潜んでいるのかと推理に夢中になる。キャロルが合い鍵を使ってハウス家の内部に不法侵入したりして、ラリーは頭が狂いそうになるが、生活にハリの出たキャロルはますます事件の核心に迫ってゆく。 テッドと共に尾行した結果、死んだはずのハウス夫人が生きていたり、そのあと彼女が突然ハウス氏に絞め殺されて溶鉱炉に投げ込まれるところまで目撃してしまう。肝心の死体が見つからないので警察には相手にしてもらえず、ラリーが編集担当である作家のマリリンの入れ知恵で、電話に一計を案じ、まんまとハウス氏をおびき出すが・・・ 最後まであたふたと頼りないラリーと、単調な生活をうち破る事件にすっかりとりつかれてしまったキャロルのおかしな夫婦が見もの。だがこの事件をきっかけにラリーはキャロルに見直してもらい、夫婦の危機は解消するのだ。(1993年)⇒資料 Directed by Woody Allen Writing credits (WGA) Woody Allen (written by) and Marshall Brickman (written by) Cast : Woody Allen .... Larry Lipton / Diane Keaton .... Carol Lipton / Jerry Adler (I) .... Paul House / Lynn Cohen (I) .... Lillian House / Ron Rifkin .... Sy / Joy Behar .... Marilyn リスニング;キャロルをたしなめるときのラリーのつぶやきのようなせりふに何ともいえないおもしろさがある。 上へNotorious 汚名 07/24/02 ヒッチコック監督の作品だ。これは単なるミステリーではない。むしろOO7の先駆けのようなもので、非情な国際情報部員の世界を描いている。そしてそのヒロインがあのバーグマンなのだ。彼女の演技は、「ガス灯」の場合と並んで、秀逸だ。冷静でありながら、全身を緊張感で張りつめている姿が最高に似合う。 情報部員である父親はアメリカに対する反逆罪を申し渡され、禁固刑に処せられまもなく死ぬ。残された娘のアリシアは、その父親に似た性格なのだが、身の置き所がなく、退屈を紛らわせ父を失ったショックを振り払うために、深酒をしている。 彼女の身内のパーティに現れたのが、某諜報部員であるデブリンだ。アリシアが父親の関係していた人物たちと顔見知りであることから、リオデジャネイロでの情報収集活動に参加する話を持ちかける。気の進まないアリシアだったが、仕事をすることはいやではなく、デブリンについてブラジルへ向かう。 だが到着してしまったその日からデブリンに恋をしてしまったアリシアに与えられた仕事は、かつての恋人であるセバスチャンに接近することだったのだ。引き受けてしまったら待ち受けているであろう重大さを知りつつも、アリシアはその仕事を受諾する。 昔のよりを戻したと喜んだセバスチャンはアリシアに結婚を申し込み、彼女は夫人となる。アリシアはその冷静沈着な行動と、正確な観察眼をもってデブリンを通じ、本部に貴重な情報を送り続けた。 結婚のお披露目パーティでは、デブリンがセバスチャンの屋敷の酒蔵に忍び込み、ワインの瓶に入っていたものがウランの鉱石であったことを突き止める。だが、一本のビンを割ってしまい、そのためにアリシアはスパイであることがばれてしまう。 だが、セバスチャンはすぐにアリシアを消すことはできない。仲間に自分がスパイと結婚したなどということが知れてしまったら、まっさきに自分の命がないからだ。母親の忠告で、アリシアのコーヒーに少しずつ毒を注入して殺すことを計画する。 アリシアは毒を盛られていることに気づくがもう遅く、ベッドから立ち上がることができないほどになっていた。数日間姿を見せないことを心配したデブリンは単身、セバスチャンの屋敷に乗り込み、アリシアを抱いて救い出す。セバスチャンは仲間の目の前でアリシアがスパイだったことがばれてしまい、手を出すこともできない・・・(1946年) Directed by Alfred Hitchcock Writing credits Ben Hecht Cast: Cary Grant .... T.R. Devlin / Ingrid Bergman .... Alicia Huberman / Claude Rains .... Alexander Sebastian / Louis Calhern .... Capt. Paul Prescott / Leopoldine Konstantin .... Madame Sebastian 男はつらいよ・寅次郎子守唄 08/02/02 第14作。ひろしが工場でうっかり手を怪我するが、たまたま通院している病院の看護婦さんが、十朱幸代で、寅さんがいればきっと惚れてしまうとみんなが予想する。 寅さんは九州を回っている途中、旅館で隣り合わせになって、女に逃げられ男の赤ん坊を連れた若い男と知り合いになるが、朝に目が覚めると、なんと書き置きがあり、寅さんの手元にその赤ん坊が残されていた! 仕方なく寅さんはその子を連れて柴又に舞い戻るが、長旅の疲れで子供は熱を出し、病院で見てもらうことになる。悪い予感は的中するもので、さくらと仲良くなったこの看護婦さんが仕事の帰りがてら、とらやの店に顔を出してしまい、寅山はあっというまに彼女の虜になる。赤ん坊はそのあと無事引き取られて九州へ帰っていった。 だがさくらと一緒に誘われて出席したコーラス・サークルのリーダーは、実はその看護婦さんに惚れており、寅さんは酒を飲んだ勢いで、その男に勇気を出し、彼女にむかって愛を告白することをたきつける。なんと酒に酔ったその男は、ふだんはまったく恥ずかしがりやなのに、たまたまとらやにいた彼女に向かって、みんなの見ている前にもかかわらずに好きだと言ってしまう。 瓢箪から駒とはこのことで、これがなんと彼女の心を捕らえ、リーダーの必死の思いはかなってしまう。思いがけない告白で目の前で彼女をむざむざとられてしまった寅さんだが、もちろん即荷造りをして、歳末の九州へと旅立ってゆく。唐津では、あの赤ん坊は元気で、父親と、赤ん坊の「育ての母親」にも再会するのだった。(1974年) 監督:山田洋次 原作:山田洋次 脚本:山田洋次/朝間義隆 出演:渥美清/倍賞千恵子/十朱幸代 上へFrenzy フレンジー 2008/04/02 (再)2017/08/04 場面はのっけから、テムズ川に流れ着いた、若い女のネクタイによる絞殺死体で始まる。最近ロンドンでは、この猟奇事件でもちきりだが、犯人の手掛かりはいまだに見つかっていない。 元空軍の勇敢なパイロットだったリチャードは、妻と2年前に離婚したあと、どうも人生がうまくいかない。今日はつとめていたパプのバーテンをクビになった。青物市場に働く友達のラスクは、いつも親切にしてくれて、今日も儲かる馬券情報とブドウをくれたりするが、リチャードは、明日からの生活費のことが心配でならない。 仕方がない、ひとつ今は結婚相談所を経営して羽振りのよい、元妻ブレンダのところへいってみるか。彼女は同情してその晩の夕食をおごり、帰りにリチャードのポケットに大金を滑り込ませてくれた。 それとは知らずに救世軍の宿泊所に泊まったリチャードだったが、大金に気づくと、パブのウェイトレスでねんごろだった女、ミリガンとホテルにしけ込むが、そのときラスクはブレンダの事務所を襲い、絞殺していたのだった。さらに、ミリガンをも自分のアパートに連れ込んで絞殺した。 ミリガンの死体のほうはジャガイモを積んだトラックにのせるが、犯行の最中に自分のバッジをなくしててしまい、ラスクはそれを見つけるのに死にものぐるい(フレンジー)になる。結局死体は道路に落ちて見つかってしまい、ラスクは危うく捕まるところだった。もともと粗暴なことで有名だったし、結婚相談所の秘書にも凶行の前後にうろつく姿を見られ、確固としたアリバイもなく、ブレンダのバッグから出た札を使ってしまい、空軍仲間にいったんかくまわれたものの、彼の疑り深い妻に追い出されたリチャードは、警察に追われる身となる。隠れ場所を求めてラスクのもとに行ったものの、逆に密告されてあえなく捕まり、終身刑を宣告されてしまう。 警察の捜査主任は、「俺じゃない!ラスクを殺してやる!」とリチャードが繰り返す言葉で、何となくすっきりしない終わり方が気になっていたから、ラスクの周辺捜査を開始する。一方リチャードは、わざと怪我をして、警察病院に収容され、チャンスを見つけて脱走し、一路ラスクのアパートへ向かう!そして鉄棒で毛布をかぶって寝ているラスクを殴りつけるのだが… ブレンダが殺される場面は追力がある。人間は絞殺されると、舌が飛び出してしまうのだ。捜査主任が、奥さんの「特別フランス料理」に辟易する場面もおもしろい。又、ミリガンが殺されているときは、カメラは、ラスクの部屋の前のドアから、まったく無言で階段を下り、外の雑踏の場面に移動するという、実に不気味な撮影の仕方だ。 ヒッチコックの手腕が冴える。始めから終わりまで力を抜いたところが一つもなく、完璧な構成だ。そして最後の終わり方が、実にイギリス的なユーモアにあふれている。(1972年) ⇒資料Directed by Alfred Hitchcock /Writing creditsArthur La Bern (novel)Anthony Shaffer Cast: Jon Finch .... Richard Blaney /Alec McCowen .... Chief Inspector Oxford /Barry Foster .... Robert Rusk /Billie Whitelaw .... Hetty Porter /Anna Massey .... Babs Milligan /Barbara Leigh-Hunt .... Brenda Blaney /Bernard Cribbins .... Felix Forsythe /Vivien Merchant .... Mrs. Oxford リスニング;典型的なロンドン訛のイギリス英語で、はじめはかなりとまどうだろう。 上へ大曽根家の朝 8/16/02 木下恵介監督の作品は、悲しみと希望が交錯し、映画の最後は、新しい世界への出発を暗示することがおおい。この作品も例外ではない。冬来たりなば春遠からじ。夜来たりなば朝遠からじ 舞台は太平洋戦争の終戦2,3年前。大曽根家というかなり由緒ある家柄であるが、自由主義者で骨のあった父親はすでに他界し、杉村春子演ずる母親と、3人の息子、1人の娘が暮らしていた。叔父(亡き父親の兄弟)は、根っからの軍国主義者で、この屋敷に来ては、自分の思い通りに子供たちを動かそうとするが、自分の父親の血を受け継ぐ子供たちはそうは動かない。特に娘は反発している。 クリスマスの夜、長男は憲兵隊に引っ張られ、おかげで娘は、相手をひそかに好いていたにもかかわらず伯父によって縁談は断られてしまう。画家の次男は召集を受けるが、軍隊に入ってまもなく病気で死に、母親は戦争の激化と共にますますつらい立場に置かれる。そして末の男の子までが、伯父に激励されて特攻隊に入ってしまったのだ。そして降伏の直前、敵に突っ込んで散る。 そして終戦の時が来た。自分たちだけ私腹を肥やそうとする伯父に、娘が批判の言葉を投げつけ、それまで黙って耐えてきた母親もついに毅然とした態度をとり、それまで居候させていた叔父夫婦に出ていくように言う。 そのとき娘の好いていた相手が帰ってくる。そしてそれに続いて長男が釈放されて帰ってきたのだった。つらい戦争のあとで、ようやく生き残った者たちで新しい生活が始まろうとしているのだった。(1946年)監督;木下恵介 配役;杉村春子 長尾敏之助 徳大寺伸 三浦光子 大坂志郎 小沢栄太郎 賀原夏子 増田順二 東野英治郎 上へDer Name der Rose ( The Name of the Rose ) 薔薇の名前 8/18/02 時は14世紀、まだ少年の面影の残るアドソは、ウィリアム修道士の従者として、イタリア北部の僧院へやってきた。この僧院では次々と奇怪な事件が起こり、最近でも書物を書き写す写字士が、ひとり死んだのだった。 ウィリアムは、カトリックの一派、フランチェスコ会では頭の切れる男として通っていたが、異端審問官ギーと対立し告発され、拷問を受けて自分の信念を曲げざるを得ないこともあった。 この僧院に来てみると、そのあとも怪死事件が次々と起こり、ウィリアムはシャーロック・ホームズばりの推理力を働かせて、事件の解明につとめる。どうやら、謎は図書館にあるらしい。ヨーロッパ最大級の蔵書を誇る僧院にしては、表に出してある書物の数が少ないことに疑念を持ったウィリアムは、どこかに隠された巨大な図書室があると推理する。 一方ウィリアムに従ってきた若きアドソは、次々と起こる事件に振り回されるが、師の明晰な頭に感心し、師の悩みに共感し、貴重な体験を積んでゆく。中でも、食べ物によって僧院におびき寄せられた少女と、地下室で遭遇し、体を合わせてしまう。アドソは生まれてはじめて女というものを知り、その少女にある種の感情を持ってしまう。 捜査はすすみ、迷路になっている図書室が発見された。異端審問官ギーもやってきたが、それでも不思議な殺人事件は止まらなかった。拷問による自白によって、少女を含む3人が火あぶりの刑が決定される。アドソはそれを見ても何もしてやれない。ウィリアムもギーに反論したことで、いずれ厳しい追及が待っている。 ウィリアムはついに図書館司書の犯行と、謎の本のありかを突き止めた。「笑い」が信仰の妨げになるとかたく信じた司書は、アリストテレスの著作を禁書にしていたのだ。そして連続して起こったおぞましい殺人の方法も明らかになる。 だが破れかぶれの司書は蔵書に火をつけて、内部から腐り果てていた僧院は、一瞬のうちに火に包まれた。翌朝、ウィリアムとアドソはこの呪われた場所をあとする。道ばたには火あぶりの刑を免れた少女が立っていた。彼女(薔薇)の名前はわからずじまいだが、アドソは彼女の面影を胸に、大人へと成長していくのだった。(1986年) Directed by Jean-Jacques Annaud Writing credits Andrew Birkin Ge'rard Brach Cast : Sean Connery .... William of Baskerville / F. Murray Abraham .... Bernardo Gui / Christian Slater .... Adson von Melk / Elya Baskin .... Severinus / Michael Lonsdale .... The Abbot / Volker Prechtel .... Malachia / Feodor Chaliapin Jr. .... Jorge de Burgos リスニング;ウィリアムの述べる推理はなかなか難しい。英語版だが、所々にイタリア語やラテン語が混じる。 Poil de Carotte にんじん 8/23/02 (再)2017/01/25 にんじんは、レピック家の兄ひとりと姉ひとりのいる末っ子だが、父親と母親の愛が終わったあとで生まれてきた。そのため父親は無関心、そして母親には、とてつもない意地悪を受けながら育ってきた。 長男には母親がたえず気を使い、食べ物も美味しいものはいつもにんじんの前からはずされた。お手伝いさんが見かねて言ってくれたこともあったが母親は、にんじんをこき使い、父親と猟に行くことすら許さなかった。 事実、こんな意地悪な女はこの世に二人といないくらいひどい。女の持ついやな点をすべて身につけたような女で、夫も軽蔑しきってふだんはまったく口をきかない。雑用はにんじんがみなやらされ、兄が母親の金を盗んでも、にんじんが疑われる。 にんじんは夏休みになって寮から帰ってきたところだが、利口な子で、両親に対するつきあい方を心得ている。自分の両親を「・・・さん」づけて呼ぶくらいなのだ。でもおじさんのところに遊びに行って、従妹のマチルダに優しくしてもらったりすると、自分がふだんいかに不公平な扱いを受けているかがわかって本当に腹が立つのだった。 父親は人望があって、村長選挙で当選する。祝賀会が開かれるが、忙しい父親はかまってくれない。近所の人からはバカにしたような言葉をかけられる。ついにがまんができなくなって、にんじんは自殺を決意する。池に飛び込もうとしたところをマチルダに見つかり、自宅の納屋で首吊りをしようと決める。 幸いマチルダの通報で、父親は自分の息子が納屋のかもいからぶら下がり、あわやと言うところを救い出す。父親はそれまで無関心でろくに言葉をかけてやらなかったことを後悔し、にんじんと和解し、父親として愛していることを息子に伝える。「これからはおまえを本名のフランソワーズで呼ぼう。にんじんは納屋のかもいで死んだんだ」 ルナールの原作通り、ごく普通の家庭での人間関係の崩壊が日常生活を通して描かれている。「家庭とは、気の合わない人々が一つ屋根の下に住んでいる集団である」とは、ルナールが学校に提出した作文の一部だ。母親の邪悪さは、それでもどこの家庭にでもありそうだ。ただフランスの場合はカトリック国で、簡単に離婚をするというわけにはいかないだろうが。(1932年)➡資料 Directed by Julien Duvivier Writing credits Julien Duvivier Cast:: Harry Baur .... Monsieur Lepic / Robert Lynen .... Poil de Carotte / Louis Gauthier .... Godfather / Simone Aubry .... Ernestine Lepic / Maxime Fromiot .... Felix Lepic / Colette Segall .... Mathilde / Marthe Marty .... Honorine / Christiane Dor .... Annette / Catherine Fonteney .... Madame Lepic リスニング;フランス語。村人の日常会話が豊富に出てくる。 上へホタル 9/27/02 「夕空晴れて、秋風吹き・・・」。遠く離れていると、誰でも故郷を思うもの。だが、終戦末期に、鹿児島県知覧町に集まった、特攻隊たちにとっては、ことさら胸に詰まるものがあった。 桜島の見える海で漁業を営む山岡は、元特攻隊員だが、過去のことは話したがらない。妻の知子は、空に散った金山軍曹の許嫁だったが、山岡と一緒になって、夫婦で助け合って生きている。だが、透析を欠かせない身で、あとどのくらい生きられるかわからない。 飛行場のある知覧町には、彼らに最後の食事をさせる食堂があり、そこの女将、山本冨士子は、つい最近飛び立っていった若者が、「僕は必ずここに帰ってくるからね、ホタルの姿になって・・・」と言い残したとおり食堂にホタルが迷い込んできたのを見ていた。 金山軍曹は、朝鮮から志願してやってきたが、日本人の許嫁を振りきって沖縄の空に消えた。戦後に飛行機の故障や事故で生き残ったのは、桜島の麓で漁師を営む山岡と八甲田に住む藤枝の二人だった。 だが、昭和の終わり、天皇崩御のあと、藤枝は知覧を孫娘、真実と共に訪ねたが山岡には会えず、そのあと八甲田山に登ったまま帰らなかった。山岡は知子と共に、青森まで墓参りに赴く。藤枝は自分だけが生き残ったのが心苦しく、山岡の励ましでやっとこの年まで生きてきたのだが・・・ 真実が、はるばる藤枝のノートを持って鹿児島の山岡のところにやってきた。この子らを通して、特攻兵のことが歴史にいつまでも語り伝えられることを女将は願っている。 知子の病気は悪化していたが、山岡は引退する女将の最後の願いを聞き入れて、釜山にある金山の実家を知子と共に訪れる決心をする。はじめは疑心暗鬼だった金山の遺族も、山岡が直接耳で聞いた金山の遺言を聞いてからは心を開き、知子は病を押してここまでやってきたことを本当に良かったと思うのだった。(2001年) 監督: .....降旗康男 配役: 山岡秀治 ......高倉健 / 山岡知子 ......田中裕子 / 竹本 .......夏八木勲 / 鉄男 .........原田龍二 / 藤枝真実 .......水橋貴己 / 大塚久子 .......小林綾子 / 中嶋医師 ......中井貴一 / 山本冨子 ........奈良岡朋子 上へ男はつらいよ・葛飾立志篇10/4/02 とらやに山形寒河江からやってきた修学旅行中の女子学生が入ってきた。彼女の母親は、10年以上も前に寅さんが餓死寸前のところを救ってくれた食堂の女将で、その後、寅さんは欠かさず便りと、わずかなお金を送っていたが、去年亡くなったという。 ちょうど帰ってきた寅さんを囲んで、とらやのみんなはこの話に感動する。寅さんはさっそく寒河江まで行って墓参りを済ませると、そこの寺の住職が、その女性が学問がなかったことを悔やんでいた話になり、寅さんに「おのれを知る」ために学問をすることを奨め、子曰く、「朝に道を聞くも、夕べに死すとも可なり」という言葉を教えてくれた。 そのころ、とらやでは御前様の姪で、大学で考古学を研究する礼子さんが2階の部屋に下宿することになったが、ちょうどそこへ帰ってきた寅さんは、学者でしかも美人に会えたということで大喜び。さっそく個人的に授業を受けることになる。 だが、考古学を親孝行の学問と取り違えたり、授業中は必死に眠いのをこらえるなどで、とても寅さんには合いそうもない。そこへ登場したのが、礼子さんをひそかに恋している、大学の教授だが、彼は寅さんよりも10才も年上である上に、独身主義、その身なりのひどさはどう考えても学者とはかけ離れていたのだが、寅さんとは意気投合し、恋愛の「極意」を教えてもらうことになる。 考古学教室と、隣の印刷会社のメンバーが中川の河原で野球大会をして、みんなでさんざん酔っぱらって帰った夜、教授は礼子さんに酒の勢いでラブレターを渡す。礼子さんは教授にはまんざらでない気持ちもあったのだが、ひとたび結婚となると、これまでの学問がいつの間にか心から消散してしまっているのに気づき、その悩みを寅さんにうち明ける。 最近礼子さんの元気がなく寅さんは心配していたが、結婚の話を聞いたとたん、その相手が誰だかわからぬままに、また失恋したことに気づき、すぐさま年末の町へ旅立ってゆくのだ。もっとも教授も礼子さんに断られ、やはり傷心の旅に出ることになるが・・・(1975年) 監督: 山田洋次 原作:山田洋次 脚本:山田洋次/朝間義隆 出演: 渥美清/倍賞千恵子/笠智衆/樫山文枝/米倉斉加年 /小林桂樹/桜田淳子 H O M E > 体験編 > 映画の世界 > コメント集(16) © 西田茂博 NISHIDA shigehiro |