コメント集(35) H O M E > 体験編 > 映画の世界 > コメント集(35) |
|||
今年見た映画(2007年)
Des Gens Sans Importance ヘッドライト 2007/07/04 日本語のタイトルは、長距離トラックの運転手が主人公なのでヘッドライトとしたようだ。ところがフランスの原題は「取るに足らない人々」である。仕事に追わた貧しい庶民の悲しい一場面を描く。 ジャンは二人の男の子と娘を抱えトラック運転の重労働に毎日従事していた。稼ぎを得るため祝日さえ家に帰らないから妻はいつも不機嫌で愚痴を言っている。そのためかジャンはボルドーへ向かうドライブインでクロチルドという若い娘に出会ったときすぐに夢中になってしまった。 クロチルドは小柄で美しかったが親に疎まれ、仕事はなかなか見つからず孤独な生活を送っていた。ドライブインでの仕事もいつまで続けられるかわからなかった。初老になっているジャンだったがこの娘は彼にすっかり入れ込んでしまった。 だがある日偶然にジャンの一家はクロチルドをレストランで見かけてしまう。ジャンの生意気盛りの娘はジャンが前にいた会社から転送されてきた手紙を勝手に開封しクロチルドが妊娠していることを大声で読み上げてしまう。 家にいられなくなったジャンはクロチルドを家畜輸送車に乗せて南仏へ向かう。だがクロチルドは堕胎の手術の後遺症で300キロの道のりをトラックの運転席に乗ってゆくのはとても無理だった。彼女の容態は急変しジャンは救急車を呼ぶ。霧がひどく救急車の到着は遅れた。朝の日が射す頃クロチルドはもはやこの世の人ではなかった。 今でもジャンはボルドーへの街道を通るたびにいつものドライブインに立ち寄り、彼女のことを思い出すのだった。(1955年) Director:Henri Verneuil Writers:Serge Groussard (novel) Henri Verneuil ... Cast; Jean Gabin ... Jean Viard / Francoise Arnoul ... Clotilde Brachet / Pierre Mondy ... Pierrot Berty / Yvette Etievant ... Solange Viard / Dany Carrel ... Jacqueline Viard / Nane Germon ... Mme Cussac Les Misrables レ・ミゼラブル 2007/07/11 元ボクシング選手、アンリ・フォールは字が読めないのだがヴィクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」の大ファンだ。というのも自分の一生がジャン・バルジャンに似ている気がしていたからだ。彼の父親は19世紀の終わりの日に奉公していた伯爵を殺したというぬれぎぬを着せられ、牢獄に閉じこめられ2回目の脱獄の時に命を落とす。そして体を売ってまで裁判の弁護士費用を捻出しようとしていた彼の妻は夫の死のニュースを聞いて自殺する。 息子アンリはボクシングの才能を認められ1931年に引退したときは小金を貯めて引っ越し会社を始めていた。第二次世界大戦が始まり迫害されパリを追われたユダヤ人弁護士アンドレとバレリーナの妻エリゼ、二人の娘サロメの三人をスイス国境まで送り届ける仕事を引き受ける。 サロメの将来を考えた夫婦はアンリに頼んで途中にあったカトリックの修道院に彼女を預け、製材所で亡命するユダヤ人たちと合流するがこれがナチスの罠で彼らは一斉に銃撃された。エリゼは捕虜になりドイツ人将校の情婦になることを拒否してポーランドの収容所に送られる。アンドレは重傷を負ったが近くの農場の夫婦に助けられ九死に一生を得る。 一方アンリは自分を親ナチスであるペタン政府の拷問から救ってくれたならず者たちと手を組みドイツ軍やペタン政府への強盗に参加する。やがて連合軍がアンリのふるさとであるノルマンジー地方に上陸することになった。アンリの活躍でドイツ軍の堡塁(ほうるい)を破壊し一躍戦後の英雄となった。 そこへサロメが自分の両親からの手紙がいっこうに来ないことを心配してアンリの元にやってくる。やがて終戦。ポーランドからエリゼが無事戻ってきた。だがアンリはかつての強盗仲間の争いに巻き込まれ再び投獄されてしまう。そこへアンドレも戻ってきた。命を助けてくれた農婦の狂った恋のため長い間地下室に幽閉されていたが夫婦が殺し合いをしたためにようやく地上に出ることができたのだ。アンドレの弁護のおかげでアンリは釈放され市長となり、サロメはアンリの旧友のところにいたマリウスという青年と結婚式を挙げて大団円となる。振り返ってみればアンリの一生はあのジャン・バルジャンとそっくりであったのだ。(1995年) Director:Claude Lelouch Writers:Victor Hugo (novel) / Claude Lelouch Cast; Jean-Paul Belmondo ... Henri Fortin/Jean Valjean / Michel Boujenah ... Andre Ziman / Alessandra Martines ... Elise Ziman / Salome Lelouch ... La fille Ziman (as Salome) / Annie Girardot ... Thenardiere 1942 / Philippe Leotard ... Thenardier 1942 / Clementine Celarie ... Catherine/Fantine / Philippe Khorsand ... Le policier/Javert / Ticky Holgado ... Le gentil voyou/Kind Hoodlum / Rufus ... Thenardier 1830/1990 / Nicole Croisille ... Thenardiere 1830/1990 The Little Prince 星の王子さま 2007/07/14 飛行機に乗ることの大好きなパイロットがサハラ砂漠のまんなかに不時着する。エンジンが故障し彼に絶望が襲おうとしていたとき、砂漠の真ん中に幼い男の子が姿を現す。パイロットに羊の絵を描いてほしいという。ただし口輪をはめた羊だ。それというのもこの子は宇宙の彼方にある小さな星の王子様で、そこは膝までしかない火山とバラの花が咲いていた。そのバラの花は王子様に向かっていろいろわがままを言うものだから彼は星を捨てて来た。(わがままなバラの花は実は作者の妻のことだという説もあるが・・・) そして欲にとりつかれた男の星や軍隊にとりつかれた男の星などを経てこの地球にやってきていたのだった。口輪をはめた羊はバラの花を食べないようにするため。そして今、王子さまはバラの花を星に残してここまで来てしまったことを後悔していた。パイロットに会うまでにキツネと友だちになり、ヘビの誘いもうけていた。ヘビは自分の猛毒でもって王子様を体はともかく魂だけは星に戻す手伝いをしてあげるという。 バラの花を星に残してきたことを後悔している王子様はヘビの申し出を受けて咬んでもらい、パイロットの腕の中で息を引き取った。ようやく飛行機の修理は終わり、パイロットは空を見上げた。満天の星の彼方から王子さまの笑い声が聞こえる。(1974年) Director:Stanley Donen Writers:Antoine de Saint-Exupery (story) / Alan Jay Lerner ... Cast; Richard Kiley ... The Pilot / Steven Warner ... The little prince / Bob Fosse ... The Snake / Gene Wilder ... The Fox / Joss Ackland ... The King / Clive Revill ... The Business Man / Donna McKechnie ... The Rose / Victor Spinetti ... The Historian / Graham Crowden ... The General Иваново детство ( Ivanovo detstvo ) 僕の村は戦場だった 2007/07/18 タルコフスキー独特の人物に動きのない場面が特徴的な映画。ロシア(ソビエト)の森林地帯にある村。イワンはまだ年端もゆかぬ少年で母親と妹と自然の中で楽しく暮らしていた。父親は国境で戦死したらしい。そこへ突然ドイツ兵が襲ってきて村は戦場となる。母親と妹は殺され残されたイワンは復讐心に燃える。 ソビエト軍の斥候として活躍することになった。村には大きな川が流れ対岸にはドイツ兵が陣取っている。イワンの役割はその人数、規模を調べることだった。すでに寒さがこの地域を訪れていたのにイワンは流れを泳ぎわたり貴重な情報をソビエト軍にもたらした。 イワンはその大人顔負けの有能さと強情さで地域の軍幹部にかわいがられていたけれども、コーリン大尉たちは少年を戦場から施設か幼年学校へ行かせなければならない、そして自分たちがこの子の教育の責任を負わなければならないと感じていた。 だがイワンは言うことを聞かない。二人の兵士とボートを使ってドイツ軍の潜む対岸に渡った後イワンは彼らと別れ消息不明になった。やがて終戦が訪れる。兵士たちはドイツ軍が殲滅された後の建物の中でイワンの写真をみつけ、あのとき彼が捕まって銃殺されたことを知る。(1963年・モノクロ) Director: Andrei Tarkovsky Writers: Vladimir Bogomolov (screenplay) / Vladimir Bogomolov (story) (Cast)/ Nikolai Burlyayev ... Ivan (as Kolya Burlyayev) / Valentin Zubkov ... Capt. Kholin (as V. Zubkov) / Yevgeni Zharikov ... Lt. Galtsev (as Ye. Zharikov) リスニング;ロシア語。初心者にとっても聞き取りやすい単語がたくさん聞こえる。 下町の太陽 2007/07/21 (再)2013/04/25 (再)2023/12/23 この映画が作られたのは1963年で、主題歌も含めて大ヒットとなった。しかしそのヒロインが結婚前に持つ社会や周りへの疑問は、今もまったく変わっていない。日本社会が閉塞的で特に女性の生き方に抑圧的なのは21世紀に入っても何も変わっていないようだ。 山田監督がこの映画でこんなに先進的な問題提起をしたのに、当時の観客たちはそこから何かを学ばなかったのだろうか?映画が大ヒットをしたということは観客たちは大いに共感を持ってこの映画を見たのだろうが、人々の意識は旧態依然だ、いや劣化さえしている。実に不思議だ。 お金がすべてという風潮に批判的な山田監督の態度は、もうこのころからはっきり現れている。そして現在も一貫している。ヒロインを演じる倍賞千恵子は、ことばだけではなく、表情で見事に悩める少女を演じている。 ******* ここは高度成長期に入った浅草界隈。狭い路地には、近所の人々が集まって一日中世間話をしている。この一帯は、工場の吐き出す煙で視界はかすみ、人々の生活は楽ではないが、少しずつ状況が良くなるのではないかという希望と夢が人々の間にはあった。 寺島町子は母を失い、酒を飲むのが唯一の楽しみである父親、継母、二人の弟と暮らし自分は町工場で働いている。恋人の毛利は今勤めている大企業の正社員になろうと必死だ。もしなれれば豊かな将来が約束されるのだ。 町子もより豊かな暮らしが望みではないわけではなかったが、猛烈社員と結婚した同級生の暮らしが見た目ほど幸せでないのを見て、人生にはお金以外の大切なものがあるのではないかと思い始める。 そこへいきなり北という男が自分とつきあってくれとやってくる。あまりに唐突な申し出に町子は断るが、最近問題を起こして周囲を困らせている弟を元気にしてくれ、北の働く鉄工所での真っ赤な銑鉄の流れを見て町子は何かを感じる。そして一度だけデートに付き合う。 毛利は会社の試験を受けたがライバルの次点だった。ところがその男が交通事故を起こし、毛利が運良く正社員採用となる。だが町子はライバルを押しのけての社内競争や、収入がすべてと考える毛利の態度に違和感を感じてしまう。このままサラリーマンの妻になって公害のない空気のきれいな団地で豊かな暮らしを選ぶことが幸せなのだろうか? 町子は毛利の結婚の申し出を断る。ふっきれた町子が電車に乗っていると、もう我慢できなくなった北が乗り込んできて、どうしてもつきあってくれと強引に迫る。町子はことばを発しなかったが、そのほほえみは北へ気持ちが傾いていることを物語っていた。(1963年)・・・資料 監督: 山田洋次 脚本: 山田洋次 不破三雄 熊谷勲 キャスト(役名) 倍賞千恵子(寺島町子) 勝呂誉(北良介) 早川保(毛利道男) 石川進(鈴木左衛門) 田中晋二(小島薫) 東野英治郎(源吉) 菅井きん(のぶ江) 左卜全(善助) 青山ミチ(ジャズ喫茶の歌手) 戦争中に作られた映画であるから、反戦ではない。むしろ戦意高揚のために企画されたのであろう。セリフはほとんどない。 日本軍が中国本土に敵前上陸する。敵の抵抗はあまりなく農村地帯を中核都市を目指して大隊が行進する。兵士たちの損害は意外に少なく彼らの顔は悲惨ではない。夜になると十分な食事を供給される。命令が下る。一番上の将官が幹部たちに内容を繰り返す。第2レベルは第3レベルに伝える。第3レベルは第4レベルに伝えられる。第五のレベルがもっともつらい。彼らは文字通り土にまみれて作戦を遂行しなければならない。 長い行軍が始まる。雨の中もたんぼのどろんこの中も、浅瀬も兵士たちは重い背嚢を担ぎ、あるいは馬をひいてあるいは大砲をひいて前進する。兵士たちは疲労困憊する。中には落後する者もいたがその数はわずかだった。所々に中国軍の抵抗があったが中には農家に機関銃を据え徹底抗戦するものもいたし、トーチカをつくってそこにこもり日本軍の攻勢を少しも寄せつけない場合もあった。 上映時間約120分の間ほとんどが銃声と砲撃音の連続である。やがて日本軍は少しずつ敵の根拠地を陥落させ目的地に迫った。負傷者もいた。ようやくある村にたどり着き兵士たちに食料と酒が振る舞われた。そこへ途中で負傷し療養後何とか隊に追いついた若者が門に姿を現した。兵士たちは軍歌を歌って彼を歓迎する。 そこへ再び命令が下った。新たな行軍が始まったのだ。兵士たちは広場に集められ号令と共に城壁を出て地平線の彼方にある目的地への長い長い行進が始まる。(1939年) 監督: 田坂具隆 原作: 火野葦平 上へフランス映画に似た雰囲気。せりふは最小限に押さえてあり、登場人物の顔を長時間撮影するという前衛的な手法を取っている。それでいて現代社会に病む家族の姿がうまく映し出されている。 台北に住む両親と息子の3人家族。しかし人間関係はバラバラだ。アパートには赤い色をした電気釜があり、その中に炊いたご飯が入ってはいるが、おかずは各自が持って帰るなりして勝手に別々の時間に食べている。母親はデパートのパートをしている。ビデオ配達をする情夫がおり、ソファの上で男の車の中での逢い引きを愉しんでいる。 それを知ってか知らずか夫は妻には全く関心がない。ぶらぶらしているがときおりゲイの男と一緒に寝るのが楽しみである。ある雨の日夫の寝ている天井から雨漏りが始まり雨がやんでも止まらない。どうしようもなくなった夫は樋を作り窓から外へ雨水を排出することにした。 こんな家庭だから20歳前後の息子、シャオカンがおかしくなってしまうのは当然だろう。仕事もなくぶらぶらしていると映画監督に誘われて汚い河の”水死体”役をやってくれと頼まれる。引き受けて臭くなってしまったが昔のガールフレンドと出会って久しぶりに二人は一緒に寝る。 それからだ。シャオカンの首が猛烈に痛み出したのは。左側が痛くてバイクもまともに運転できない。父親があちこちの病院、マッサージ、針灸、接骨院と回ってみるがまったく直る気配がない。我慢できない痛みにシャオカンは死にたくなった。 万策尽きて父親は台北から離れたところにある寺院の僧に相談した。その返答を待つ間、父子はホテルに泊まるのだが、シャオカンは二泊目の夜、知ってか知らずか自分の父親と寝る。翌朝僧からの電話によれば自分には手の施しようがないから台北の名医にかかれとのことだった。何も進展がないままシャオカンはホテルのバルコニーに出て街の騒音しか聞こえない外の景色を眺めていた。なんか首は心なしか良くなったような気がする。(1997年) Director:Ming-liang Tsai Writers:Ming-liang Tsai Yi-chun Tsai (Cast) Tien Miao ... Father / Kang-sheng Lee ... Kang-Sheng, Xiao-Kang / Yi-Ching Lu ... Mother (as Hsiao-Ling Lu) / Ann Hui ... Director (as Anne Hui) / Shiang-chyi Chen ... Girl リスニング;北京語 上へDocharkheh Savar (Bicycleran) サイクリスト 2007/08/09 イランの町中の、貧しいながらも活気あふれる人々を描く。この映画の最大の魅力はやはり現代社会では失われてしまった下町情緒と人々の間の連帯だろう。「パリの屋根の下」を彷彿とさせる暖かさに満ちあふれている。 キサニはアフガニスタンから妻と息子を連れてイランの町にやってきた。ところが妻が重病になり一刻も早く治療費を払わないと死んでしまうという。キサニは困った。イランではアフガン移民の給料はイラン人に比べて格段に安い。井戸掘りの仕事をしたところでわずかな金にしかならない。 実はキサニは実は自転車競争のもとチャンピオンだったのだ。町の実業家は彼をネタにして見せ物をすることを思いつく。3日間寝ないで自転車に乗り続けるのはどうだろう?いや、1週間だ! 話は決まり町の広場でキサニはぐるぐると回り続けることになった。人々の好奇心は強い。一目見ようと人々が集まってきた。ビジネスマンたちは入場料を取り、自転車を見た人々はまた友人や家族に話し大勢の人間がやってきた。そうなると露天商が目をつけて食べ物やらいろんな物売りがやってきた。審査員も選ばれて机を置きキサニが自転車を降りたりしないか見張っている。医者と看護士もやってきてキサニの尿酸値や血圧を測定し健康に異常がないかチェックしている。 さらに日にちが経つと救急車が万一に備えて常駐するようになった。息子は時々病院に入院している母親に面会に行く。実業家によって最低限の金が病院に支払われると彼女はたちまち酸素吸入を受け、きちんとした食事も運ばれてきた。ようやく危険な時期を脱したらしい。 広場はお祭りの縁日のようだ。人々は賭けを始めた。キサニが一週間も保たないほうに賭けた人々は自分たちの掛け金を失うまいとさまざまな妨害を仕掛けてきた。周遊コースにクギをまいてパンクをさせたりしたが、仲間が急遽どこからか新車を手に入れてきた。 4日目の深夜、ついにキサニは眠気に耐えられず倒れてしまった。だが幸い審査員はぐっすり眠っている。仲間が変装をして朝まで何食わぬ顔をして回り続けた。しばらく睡眠をとって疲労回復したキサニは再び元気いっぱい! ついに1週間が過ぎた。キサニは「偉業」を成し遂げ、祭りは終わったのだ。息子はこの間に仲良くなった商売人の娘と別れなければならない。放送局やら新聞社やらから大勢の取材陣がやってきていろんなことを聞くがキサニは無言である。予定の時刻を過ぎてもまだ回り続けているのだった。(1987年) Director:Mohsen Makhmalbaf / Writer:Mohsen Makhmalbaf / (Cast) / Firouz Kiani / Samira Makhmalbaf / Mohammad Reza Maleki / Esmail Soltanian / Moharram Zaynalzadeh ... Nasim リスニング;ペルシャ語 上へパゾリーニの作品だ。きわめて現実的な描写と、社会の最下層の人々の生き様が主人公のどうしようもない行動を通して実にみごとにだが簡潔に伝わってくる。 戦後ナポリの裏町には、就職する気のない若者や就職したくてもできない若者たちがたくさん群れている。社会の最底辺に属し、何日も食事ができないなどというのも珍しくない。アッカトーネもその一人だった。彼は自分の女マドレーナを街路に立たせそこからあがる収入で暮らしをたてていたのだが、ある日足をケガした彼女を無理矢理仕事に行かせチンピラどもに暴行されてしまった。 犯人は捕まらず彼女は警察に適当な人間を名指ししてこれが主犯だと虚偽の証言をしたものだから2年間の刑務所暮らしをすることになった。さあ、アッカトーネはその日から暮らしに困るようになった。といっても働く気はまったくない。別れた女房アセンツァの里にたかりに行っても彼女の弟や父親に追い払われ、売るものものなくなってしまった。 そこにステラという純真な女が現れる。すっかり惚れ込んだアッカトーネだったが今度も彼女を街角に立たせようとする。だが彼女はそんなことができなかった。ステラを家にいさせ自分が張り切って稼ぐと言いだしたものの、肉体労働は一日で落後し、仕方なく仲間の中で泥棒を稼業にする男についてゆく。だが、肉屋のソーセージを奪ったところで警察に捕まりそうになる。アッカトーネは近くにあったバイクを奪い暴走するが、すぐに転倒しあえなく命を落とす。(1961年) Director:Pier Paolo Pasolini / Writers:Pier Paolo Pasolini (story) / (Cast) Franco Citti ... Vittorio "Accattone" Cataldi / Franca Pasut ... Stella / Silvana Corsini ... Maddalena / Paola Guidi ... Ascenza リスニング;イタリア語 上へ息子 2007/08/22 (再) 2014/01/31(再)2024/01/08 戦後日本の行動成長期のさなか、地方の若者はどんどん都会へ出て行く。浅野家も例外ではない。一年前に妻に死なれた、岩手県の軽米でタバコ栽培を営む浅野昭男は一周忌を行うことになった。話の一部は椎名誠の短編「倉庫作業員」からとられている。 長男の忠司は家業を継がずに大企業のサラリーマンになっている。今は千葉にマンションを買って妻と幼い二人の娘を抱える。退屈でまじめだけが取り柄だけに、企業内での苦労は並大抵ではない。 麻丘めぐみの「私の彼は左利き」がはやった時代に育った二男の哲夫は、大学を出ないでそのまま東京へ行ったが、周りが見つけてくれた仕事も長続きせず、今は飲み屋の手伝いだ。一周忌でみんなが集まると、一人暮らしをしている昭男を忠司が引き取るべきだという話が持ち上がったが、昭男は田舎の気楽な暮らしがいいと言い張る。 いっぽう、哲夫は汗を一杯かいて仕事をやり遂げた気持を味わいたいと思い、わざわざ好きこのんで鉄工場にアルバイトをすることになった。鉄材を配達をする倉庫で川島征子という耳の聞こえない娘にすっかり惚れ込んでしまう。 ある冬の日、父親の昭男はかつての戦友との同窓会に出席するため上京する。最初の夜は長男のマンションに泊めてもらったが、その狭苦しい部屋にとてもこんなところに暮らせはしないと思う。熱海での懇親会の帰り、昭男は二男の哲夫のアパートに寄る。 心配して訪ねていったのだが、鉄工場では臨時職員の地位ももらい、しっかり仕事をしているらしい。それよりも驚いたのは、征子を紹介されたことだ。手話やファックスを使ってお互いに伝え会う二人は近く結婚するのだと聞いて昭男は大喜びをする。その夜は何かうきうきした気分で、哲夫を寝させない。翌日、雪の降りしきる岩手へ一人帰っていった。(1991年)・・・資料 監督: 山田洋次 原作: 椎名誠 脚本: 朝間義隆 山田洋次 撮影: 高羽哲夫 キャスト(役名) 三國連太郎(浅野昭男) 永瀬正敏(浅野哲夫) 和久井映見(川島征子) 原田美枝子(浅野玲子) 田中隆三(浅野忠司) 浅田美代子(とし子) ケーシー高峰(哲夫の叔父・守) 浜村純(田舎の老人) レオナルド熊(社長) 松村達雄(戦友・寺尾) 中村メイコ(女事務員) 音無美紀子(きぬ江) 奈良岡朋子(昭男の隣人) いかりや長介(おっさん) 田中邦衛(タキさん) La Strada 道 2007/09/01 (再)2013/11/28 ジェルソミーナはイタリアの海辺に住む極貧家庭の4人姉妹の長女だった。幌つきの3輪オートバイにのった旅芸人ザンパノがやってきた。彼は数年前姉妹の一人、ローザを助手として連れていったのだが彼女は死に、もう一人「補充」に来たのだった。 ジェルソミーナの母親はザンパノから1万リラを渡され、口減らしになることもあって彼女を売り渡す。ジェルソミーナはアザミ顔の醜い女だったし、料理もできない役立たずだったがザンパノに無理矢理連れて行かれる。 最初は嫌でたまらなかったが次第に芸を覚え、ザンパノの妻のように扱われると、次第にジェルソミーナはオートバイが自分の家庭のように思えてきた。だが、ザンパノは粗野で女の愛情をまるで理解しない男であった。 旅の生活は気に入ったものの、ザンパノの態度に嫌気がさしてきたジェルソミーナはいったんは逃げ出すが、空腹のまま再びザンパノに捕まってしまう。 やがて二人はローマに到着した。サーカスの一座に入れてもらい、ここで自分の演技を披露することになったのだが、ザンパノの古い知り合いで、口の悪い綱渡り男マットに出会ってしまう。 マットのたちの悪い冗談に激怒し、ザンパノはマットと大喧嘩をする。ナイフを持っていたために一晩警察に拘留されたザンパノがいない間、マットは、すっかり自信をなくして自分を役立たずと思っているジェルソミーナを”道端の石ころでも役に立つんだ”と慰めて元気づけてやるのだった。そしてトランペットである曲を教えてやる。 マットもザンパノたちもサーカスを追い出され、それぞれ地方を回ることになる。ある日ザンパノは道でタイヤがパンクして修理しているマットに出会う。まわりに誰もいないことから、かつての恨みを込めてマットを殴ると、彼はあえなく死んでしまった。 ジェルソミーナはその日から深いショックから気がおかしくなり芸もせず食べ物もとらず、どうにもならなくなったザンパノはついに岩影で寝ている彼女を置き去りにして去って行く。 それから4,5年。ある海辺の街でザンパノは、一人の洗濯女が耳慣れた曲を歌っているのを耳にする。それは偶然にもジェルソミーナの愛した曲だった。彼女は拾われてしばらく生きていたが生きる気力はすっかりなくなり、ある朝冷たくなっていたという。ザンパノはわずかでも自分のことを思ってくれる人間がこのように一人もいなくなったことを知って絶望に襲われる。(1954年)・・・資料 Director:Federico Fellini Writers:Federico Fellini (story) & Tullio Pinelli (story) (Cast) Anthony Quinn ... Zampano / Giulietta Masina ... Gelsomina / Richard Basehart ... Il 'Matto'-The 'Fool' リスニング;イタリア語 ダウンタウンヒーローズ 2007/09/16 (再)2013/05/29 (再)2023/07/27 終戦直後の旧制松山高等学校。バンカラたちが、「完全な自治」のもとに寮生活を営んでいた。志麻洪介は通学途中で出会う少女、中原房子に思いを寄せている。しかも彼女が自分の家庭教師をしている家に出入りしていることを知って、一層親密感を覚える。 寮では遊女の咲子が悪い男にだまされ、借金に追われているところを学生たちに救われて、かくまわれることになった。ふだんはドイツ語のむずかしい格言を口にする学生たちも彼女の前では純朴な青年になり、あれこれ面倒を見てやるのだった。しかし最後には借金を取り返しに来たやくざに見つかりそうになり、学生たちは大計を組んで彼女を山奥の郷里に送り届けるのだった。 やがて学園祭が近づく。学生たちはヒロイン、アガーテを巡る、若者と彼女の父親の間の確執を描いた演劇をすることになった。アガーテには房子が決まった。そして若者役には洪介がやることになったのだ。演出を担当する「オンケル」をはじめとして連日の練習が実り、学園祭では大好評を博す。 劇が無事終わったあと、すっかり房子に惚れ込んだオンケルは、洪介に頼んで自分の恋文を持っていってもらうが、房子は人に頼んで自分の恋文を届けるオンケルに対してはもちろんのこと、使いの者になった洪介にも腹を立てて追い返す。房子は心の底では洪介に惹かれていたのだが・・・ 洪介と大喧嘩をしたオンケルは、その日から学校をやめ行方不明になる。そして学生たちには卒業式の日が近づいてきた。旧制高校はこの年で廃止になり、学生たちは来年の春には大学を目指してここを出ていかなければならない。 洪介は九州大学を受験した。帰り道に福岡の中洲で、オンケルが演出する町の旅芸人の演じる劇を偶然見かける。久しぶりに二人は再会することができた。そして最後に松山を訪れたとき、洪介は長いこと会っていなかった房子にも再会する。友はそれぞれに旅立って行く。熱き青春は終わったのだ。(1988年・松竹)・・・資料 監督: 山田洋次 原作: 早坂暁 脚本: 山田洋次 朝間義隆(役名)薬師丸ひろ子(中原房子)中村橋之助(志麻洪介)柳葉敏郎(檜圭吾=オンケル) 石田えり(谷口咲子) 米倉斉加年(ドイツ語教師) なつかしい風来坊 2007/09/23 (再)2024/02/13 湘南の茅ヶ崎に住む早乙女良吉は防疫の仕事をしている役人である。冗談を叩くこともなく、瘦せこけてツツガムシなどというありがたくないあだ名をちょうだいし風采の上がらないうえに、ひどい痔をわずらっている。家には妻、娘、息子とで4人暮らしだ。 ある日電車の中で訳のわからないことを騒ぎ立てる酔っぱらい、源五郎と顔見知りになる。それが後日またタクシー乗り場であったものだから、話をするうち意気投合し二人とも泥酔のまま、源五郎は早乙女家に上がり込んでしまう。 はじめは怖がっていた家族たちもこの源五郎がとても器用で修理は何でもしてくれるものだからすっかり仲良くなってしまった。ふだんは土方をしており、庭石を持ち込んでくれたり、保健所から迷いイヌを連れてきたあとそのもとの飼い主の青年と良吉の娘がこれが縁で結婚することにもなった。 ある日湘南海岸で入水をしようとしていたらしい娘、愛子は源五郎に救われて早乙女家に連れ来られる。医者でもある良吉がいくら尋ねても愛子が鹿児島県トカラ列島の義父から逃れてきたこと以外少しもわからない。心と体の回復のため愛子はしばらく早乙女家に滞在することになった。 その間に源五郎はすっかり愛子に惚れ込んでしまい、いろいろと意志表示をしようとするのだが、現金を渡したりするなどやり方がまずくてかえって彼女を遠ざけてしまう結果となった。 そんなある日源五郎は愛子をなんとか映画に誘ったのだが、帰り道の公園で愛子が転んだのを源五郎が救おうとして彼女の服を破ってしまい、愛子は靴は片足のまま、泥だらけで早乙女家に帰り着く。 その姿を見たみんなはてっきり彼女が暴行されたと思いこみ、警察に通報したものだからあえなく源五郎は捕まってしまう。愛子は何にもしゃべらない。良吉が告訴を取り下げに面会に行っても源五郎は自分が暴行をしたと言い張り、もう口も利きたくないと言う。 源五郎は別の場所で働いた盗みや暴力事件が発覚してしばらく警察のやっかいになることになったが、それきり良吉は彼に会うことはなかった。愛子はしばらくして早乙女家を出ていった。良吉には割り切れない思いが残った。 それから数年後、良吉は青森県八戸に転勤命令が下り、ひとりさびしく単身赴任することになった。列車が常磐線の平(たいら)駅を過ぎた頃、彼の向かいに乗ってきたのは・・・(1966年松竹) 監督: 山田洋次 脚本: 山田洋次 森崎東 キャスト(役名) ハナ肇(伴源五郎) 倍賞千恵子(風見愛子) 有島一郎(早乙女良吉) 中北千枝子(妻絹子) 真山知子(娘房子) 山尾哲彦(息子学) 山口崇(伊達一郎) 久里千春(隣の奥さん) 松村達雄(林局長) 市村俊幸(吉川課長補佐) 太平洋戦争末期の土佐、高知。全編に「よさこい節」が流れる。戦争も敗色が濃くなったので、かなり年上の男たちにも赤紙が舞い込み始めた。理髪店を経営する清水豊松にもついに召集令状が届いた。 人の髪の毛を切ることしかできない豊松は、慣れぬ軍隊の中で二等兵として上官から殴られ怒鳴られて毎日を送っていた。アメリカ軍はすでに太平洋を制し、爆撃機が連日猛烈な空襲をかけていた。 ある日、爆撃機の一機が山中に墜落しその乗員は捕虜になった。上官の命令で彼らは捕虜であるにもかかわらず「処分」されることになり、豊松らの隊が現場に急行する。 中隊長の命令で、二人の捕虜を銃剣で刺し殺すことになった。豊松は普段たるんでいると言われ真っ先にその役目をいいつかる。そして間もなく終戦。ようやく人々の生活に平和が訪れたと思われたが、占領軍は戦争犯罪人を捕まえ始めた。 豊松は逮捕された。あの時すでに捕虜は死んでおり、銃剣はその腕に当たっただけなのだったが、アメリカ軍の軍事裁判所は有罪の判決を出す。それも絞首刑だった。豊松は巣鴨の刑務所に入れられ、死刑囚としての毎日を送ることになる。 自分に訪れた不条理な状況をつづった嘆願書を書き、ふるさとの人々の助命を願う署名も集められる。同じ刑務所に入れられていた豊松の上官は自分の責任をとってまずは刑が執行された。 その後、国際情勢の変化があり、日米講和条約の締結が近づいてきたために死刑執行は1年あまりぱったりと行われなくなった。死刑囚たちはいずれは釈放になるのではないかと期待を抱き始めた。 しかしある晴れた木曜日、豊松のいる部屋にMP(アメリカ陸軍憲兵)が入ってきた。部屋を変わるのだという。だが実は死刑執行だった。僧侶としばらく過ごした後、有無を言わされず彼は絞首刑の台に進まされる。 何で人間になんか生まれてきたのか?深海に住む貝に生まれればよかった・・・(1959年) 監督: 橋本忍 原作: 橋本忍 加藤哲太郎 キャスト(役名) フランキー堺(清水豊松) 新珠三千代(清水房江) 菅野彰雄(清水健一) 水野久美 (敏子) 藤木悠(酒田正士) 織田政雄(三宅) 多々良純(根本) 加東大介(竹内) 榊田敬治 (松田老人) 沢村いき雄(理髪店に来る客) 笠智衆(僧侶) ある夏の日、福島県金山町にある沼沢湖に東京から教師を突然辞めたカヌー男、梶良介がやってくる。ヒッチハイクで近くまでやってくると湖に向かって歩き出したのだが、のせてくれた軽トラックから落っこちた3羽のあひるの雛が後をついてくる。 いくら歩いてもついてくるので良介はしかたなく近くの雑貨屋でバケツを買うとそれに入れて湖まで運ぶことになった。良介は仕事を捨て妻もおいて単身この湖にテントを張ってただひたすらカナディアン・カヌーと釣りに没頭するつもりでいた。 郵便配達人堀内が近くを通り知り合いになる。地元の小学生たちが見物にやってきた。たちまち良介は村野中に知られてしまった。堀内のすすめでレストハウスの管理人をさせられ、建物の中にテントを張った良介は、アヒルの飼育に着手する。 2,3ヶ月もしないうちにあひるたちはどんどん成長し、湖に泳ぎだした。でもまだ良介の後をしたってついてくる。少年風太と自然の中でカヌーを漕いだり、飲み屋の女将に言い寄られたりしているある日、同僚の教師の訪問を受け、さらに妻もやってきた。あひるは自分の子供たちだと妻に紹介する。 ある霧の日、いつもついてきたあひるたちの姿を湖上に見失う。ようやく彼らも巣立ちをしたのだ。それを見た良介はもう親代わりの時期は終わったことを知った。荷物をまとめるとカヌーは小学生に譲りひとり都会に戻って行くのだった。(1993年) 監督: 椎名誠 原作: 椎名誠 原案: 野田知佑 脚本: 椎名誠 田部俊行 白木芳弘 キャスト(役名) 柄本明(梶良介) 高橋恵子(高橋惠子)(梶淳子)萩野順一(少年・風太) 小沢庄一(郵便配達員) 上へシッコ Sicko 2007/10/13(ロードショウにて)(再)2014/11/26 マイケル・ムーア監督によるアメリカの医療を取材したドキュメンタリー。これは日本国民の10年後の姿になるかもしれないから、すべての国民が必ず見るべき映画の一つである。 アメリカには国民皆保険という制度がない。かつてはその提案はなされ、クリントン大統領の夫人ヒラリーがその運動の中心となったが、「医者の自由を奪うな!」「アメリカ人が社会主義の奴隷になる」というように、むちゃくちゃな主張が勝ってつぶされた。(オバマケアが2010年に成立するまでは。ただしそれでもまだまだ不完全!完全実施は2014年以降、共和党が優勢なので、それもあぶない) 保険制度に反対したのはいったい誰なのか?それは民間の保険業者たちである。彼らは人の健康をネタに金を儲ける連中だ。すべては最大の利益を生むように行動するのは当然のこと。そして違法行為や、法律違反ギリギリのことはいつでも行っている。 保険者が病気になって保険金の支払いを請求してくると、重箱の隅をつつくようなミスを見つけだしてきて支払いを拒絶する。保険会社専属の医師は、こうやって多くの患者を拒絶すればするほど給料が増える。 無保険者の惨状はいうまでもないが、このように保険に何とか入っている人でさえこのようなありさまだ。指を二本切断した人は二つとも縫合する金がないのでひとつはあきらめた。お金がない人はその医療を自分の経済的範囲内で行うしかない。 保険に入っていてもその保険会社と提携している病院でないとみてもらえない。その病院が近くにないとき、何時間もかけてそこへ向かい、患者は容態が悪化して死亡した例もある。 では入院していてその費用が払えなくなったら?そのときは路上に放り出される。慈善団体の事務所前に病院から運んできたタクシーが停車し、瀕死の患者が放置される。すさまじい国である。 アメリカ合衆国のこのような非人間的状況は、国民がこぞって改善しようという声がかき消されているから、もともとひどい貧富の格差と共にますます悪化している。隣のカナダ人と結婚して国籍をうつしてしまう人もいる。なぜならカナダでは医療費はほとんど無料だからだ。 そして海を越えてイギリス、フランスいずれも誰でもが病気になれば何の心配もなく治療を無料で受けることができる。フランスでは女性が子供を産むと、家の手伝いをする人を国家が派遣までしてくれる。 さまざまな人々へのインタヴィューの中で、「フランスでは政府が国民を怖がっているが、アメリカでは国民が政府を怖がっている」という発言があった。また、ある識者の「国民の大多数の人が望んでいることをその全員が本気で主張すれば真の民主主義革命が起こる」というのも示唆的であった。 9.11の同時テロの時にボランティアとして残骸の中で人々の救出に当たった人々の多くが建築物から出た粉塵のために呼吸器障害を起こしたが、彼らに対する救済はきちんと行われていない。ムーア監督は彼らを引き連れてキューバへ出向く。 この国も医療費は無料である。外国人に対しても治療や検査が行われ、信じられないほどの安い値段で薬をもらう。キューバはアメリカの経済封鎖によって経済的に窮乏しているが、この面ではアメリカ合衆国とは比較にならないほど進歩している。 世界一の富を持ちながらのこの惨状!間違いなく米国は世界一の野蛮国である。そしてアメリカのやることをまねるのが大好きな日本人は日々その状態に近づいているのだ。・・・資料 上へこの作品は今のところ5本作られている。これはその2番目。リメイクの多さは、「伊豆の踊子」に匹敵する。なぜそんなに繰り返し作られるか?それはおそらくヒロインの生きざまが多くの共感を呼び、それを表現できる女優の実力を比較するにはもってこいだからだろう。 愛知県の知多半島、渥美半島、紀伊半島の鳥羽を臨む神島は小さくて零細漁業に生きる人々が住んでいる。久保新治もその中でまだ未成年だが、母親のとみや弟を支えるために漁船に乗って一刻も早く一人前の漁師になろうと励んでいる。 島に初江という娘がやってきた。やかましじいさんがかつて養女に出していた娘で今回実の娘が死んだので島に呼び戻した。給料袋を港に落としてしまった新治は、届けてもらったことが縁で初江と知り合う。最初の出会いですっかり忘れられなくなった新治は、島の山頂にある燃料置き場で偶然に初江と再会する。初江は毒蛇に咬まれ、素早く処置した新治のおかげで事なきを得る。 初江は安夫という裕福な漁師の息子とのお見合いよりも新治の方が気に入ってしまった。嵐で漁が休みになった晩、二人は上半身を裸にして愛を確かめあう。それを目撃した東京の大学から里帰りをした千代子が嫉妬心から村中に二人が体の関係を結んだと言いふらしてしまう。 その噂に腹を立てたじいさんは新治が初江とつきあうことを禁止してしまう。だが二人の手紙のやりとりはその後も続いた。ある嵐の晩、爺さんの持ち船のとも綱が切れて沖合に流される。船を救おうにもだれもが尻込みをしている中、新治は気が狂ったように海に飛び込み船を救う。 東京に戻った千代子から、自分のたてた噂は悪意にもとづいたものだという手紙が来た。じいさんは新治をみなおし、成人したら二人が夫婦になることを認めたのだった。(1964年・日活) 監督: 森永健次郎 原作: 三島由紀夫 キャスト(役名) 吉永小百合(宮田初江) 浜田光夫(久保新治) 望月優子(久保とみ) 石山健二郎(宮田照吉) 菅井一郎 (大山十吉) 前野霜一郎(林竜二) 平田大三郎(川本安夫) 衣笠真寿男(川本隆一) 高橋とよ(お産婆さん) 清水将夫(灯台長)松尾嘉代(宮田千代子) 上へ日本人には2種類いる。見知らぬ土地へ流されたとき、故郷に帰りたくてメソメソ泣く連中と、さっさと気持ちを切り替えて新しい土地での生活を開始する人間と。もっとも前者のほうが圧倒的に多いようであるが。これは定住型人間と放浪型人間の違いでもあろう。 「デルス・ウザーラ」とならびロシアを舞台とする壮大な物語。圧制がひどくどんなに息苦しくてもふるさとに帰りたいという典型的な日本人と、さっさと新しい生活に適応して未来を切り開く若者の姿との対比が面白い。 1782年、大黒屋光大夫を船頭とする船は積み荷と乗組員18人をのせて伊勢の港を出発したが、途中嵐に襲われ200日以上たってやっとたどり着いたのはカムチャッカのロシア領であった。ロシア人や現地人のおかげで彼らは厳しい冬を乗り越え、少しずつ仲間を失っていたが生き延びることができた。 しかしどの日本人もどうしても故国に帰りたいという思いを強くした。そのためにはイルクーツクにあるシベリア総督府に行き、帰国するための手だてをしてもらわなければならない。だが迎えの船は難破し再び船がやってくるのはいつになるかわからないという。 途方に暮れた光大夫たちだが、船大工の経験を持った者もあり流木を拾い集めて海を渡る船を造ってしまう。現地に派遣されていたロシア人も乗せて無事イルクーツクに着いたのだった。だが、ちょうど総督の入れ替え期にあり新総督が就任するのはいつになるかわからないという。 年寄りの船員たちはますます故国への思いを募らせる。だが一人の若者は現地の娘と親しくなりロシアに骨を埋める決心をする。また凍傷にかかり片足を切断した船員は一時自暴自棄に陥るがかつてこの地に定住していた日本からの漂流民の娘の励ましを受けて立ち直りこの地で日本語教師をして生きて行く決心をするのだった。 ロシアの国家は漂流民に生活費を支給するという非常に太っ腹な国であった。光大夫はこのまま時間を空費するよりも首都のサンクトペテルブルグに出向き女王のエカテリーナ2世に直訴することを考える。親しいロシア人の援助を受け何度も挫折しそうになりながらやっとの事で女王との会見を実現した。 女王は帰ることを許し光大夫は船員の二人と共にロシアの軍艦で蝦夷地に上陸しようとする。現地の役人はいったん江戸までお伺いを立て、ようやく日本の地に帰ることを許されるのだが、鎖国のさなかであり最初は囚人扱いであった。(1992年) 監督: 佐藤純彌 原作: 井上靖 キャスト(役名) 緒形拳(大黒屋光太夫) 江守徹(松平定信)(庄蔵)西田敏行 リスニング;初歩的なロシア語を聞く絶好のチャンス 上へ小林多喜二の小説の映画化。函館の港を出た蟹工船は北を目指す。監督の淺川は会社がチャーターしたこの船に乗り組んで全権力を握っている。労働者たちは日本各地、特に東北で食い詰めた人々がまとまった給料欲しさに乗り組んできた。 はじめのうちこそみんな身の上話をしたりして楽しくやっていたが、北へ進みいよいよ本格的なカニ漁が始まり甲板上での仕分け、身の取り出し、缶詰への装填、そして煮沸という厳しい工程が始まると体の不調を訴えるものや、監督への不満を持つものが増えてきた。 監督は会社の命令どおり労働者を搾取し、海の掟も無視するのだった。沈没しかけている船のSOSに応答して救援に向かうことを船長に禁じ、嵐が近づいても無理やりにカニ漁の船を出漁させた。ソ連の領海にも平気で入ろうとする。病死した者もきちんと葬式をしてもらえなかった。 再び荒天でも無理やり出漁させようという監督についに労働者たちは爆発した。ストライキが勃発し監督は要求を突きつけられた。だが翌日蟹工船の横には日本国海軍の軍艦が横付けされ、武器を持った兵隊たちがストライキの首謀者を拘束しようとした。甲板は大混乱となり兵士たちは労働者たちに発砲して多くの死者がでた。そのなかにはまだ幼い14,5歳の少年も含まれていた。労働者たちは監督に裏切られ、日本国海軍にも裏切られたのだった。(1953年) 監督: 山村聡 原作: 小林多喜二 キャスト(役名) 山村聡(のんだくれの松木)日高澄(娼婦) 森雅之(新船医谷口) 変な名前だが、これはこの映画を受け持った4人の監督の頭文字を並べただけに過ぎない(ロッセリーニ・ゴダール・パゾリーニ・グレゴレッティ)。イタリア映画ではこのように何人かの監督による短編集というのが結構多く見かけるようだし、作品それぞれの質はともかく、それぞれの監督の個性がよく比較できる。第4話が社会風刺の面で一番おもしろい。 第1話;シドニー東京線を就航するアリタリア航空のスチュワーデスは恋人がおり、行く先々で8ミリ映画を撮影して彼に送り自分の潔白を証明するような、純真で内気な女だ。バンコックに向かう機内で、女に飢えているが恋人ではなく母親のような優しさしか受けつけないヘンタイ男に付きまとわれてしまう。彼女の恋人は精神医に相談した挙句、彼女をすれた男慣れした女に仕立て上げる。これを見た男は彼女の突然の変身に驚いてそれきりよりつかなくったのだ。 第2話;男は恋人とうまくいきそうなのだが、その進展は遅い。ある日突然パリの上空で原爆が炸裂し、その日からイタリアの人々も放射能よけの(おそらく)ヨード錠剤を飲み、街の雰囲気が変わってしまったようだ。恋人の行動もわけがわからなくなる。見知らぬ男にプールで抱きついたり、その日の予定を突然変更したりで男は混乱する。 第3話;ある野原で映画撮影がおこなわれていた。内容はキリストの処刑に関するもの。そこへホームレスの男が迷い込んできて何とか食べ物を手に入れようとする。暇をもてあましたスタッフたちに大量の食べ物を恵んでもらったのはいいが、腹が破裂するほど詰め込んでしまった。十字架にキリストとともに処刑される罪人の役をもらったのはいいが、磔(はりつけ)にされたまま死んでしまった。 第4話;ある経済同友会の会合で、高名な教授がどうやって人々を欲求不満に陥らせて不必要な品物を消費させるかについての戦略を説く。一方(その実例として)どこかの平均的なサラリーマンが登場。苦労してテレビを手に入れても次々に新製品がでてきてそれまでの製品は陳腐化してしまうのだ。ある日、妻と二人の子供をつれミラノから離れた大自然の中にある分譲地の見学に向かう。高速道路のレストランでは入り口に行き着く前に要らないおもちゃを買うはめになり、投資目的の土地ころがしの現実を見てさっさと帰途に着くのだが・・・(1963年) Directed by Jean-Luc Godard (segment "Nuovo mondo, Il") Ugo Gregoretti (segment "Pollo ruspante, Il") Pier Paolo Pasolini (segment "Ricotta, La") Roberto Rossellini (segment "Illibatezza") Writing credits Jean-Luc Godard segment "Nuovo mondo, Il" Ugo Gregoretti segment "Pollo ruspante, Il" Pier Paolo Pasolini segment "La Ricotta" Roberto Rossellini segment "Illibatezza"リスニング;イタリア語 上へ大学の若大将 2007/12/9 (再)2016/01/10 (再)2021/01/14 京南大学の学生田沼雄一は麻布にある老舗のすき焼き屋の息子。バンドで演奏し歌い、水泳部に属して試合を目指す青春真っ只中。大学の授業料をクラブの楽器を買うのに使ってしまったことがばれて、おばあちゃんのとりなしで何とかおさまるが、父親は息子に店の低迷のことで意見され、近くにできたキャバレーにいってみると、なんと自分の息子がバンドで演奏するバイトをしているのを発見。 水泳部主催のパーティの券を売る際に、お菓子屋で働く娘中里澄子と知り合う。青大将の妨害にもめげずパーティが終わると夏休み。店の上等な肉を勝手に持ち出したことで父親から家を追い出された雄一は、芦ノ湖湖畔にある部のマネージャが管理する別荘に転がり込もうとするが失敗、湖畔のボート屋のアルバイトを始める。湖でおぼれかけた親子を救ったことで、娘とのお見合いをぜひともといわれる。 だがその娘は水泳部マネージャ多湖の熱愛の相手だった。お見合いの席で二人を引き合わせる。いよいよ水泳大会が近づいてきたが、悪友の策略で澄子は会場に姿を現さない。彼女は青大将の車に乗っていたのだ。ところが青大将は水泳の応援に出かけるおばあちゃんをはねてしまう。 雄一は病院に急行、輸血をして事なきを得たが800メートルリレーの時間が迫っている!部員たちが心配する中、会場に躍りこんだ雄一は見事優勝する。一見荒唐無稽な話ながら、時代の持つのんびりした雰囲気、バスの中で席を譲るシーンなど、まだ人々の心がささくれ立っていないころの懐かしい映像を見ることができる。(1961年東宝)・・・資料 監督: 杉江敏男 キャスト(役名) 加山雄三(田沼雄一) 有島一郎(田沼久太郎) 飯田蝶子(田沼りき) 中真千子(田沼照子) 星由里子(中里澄子) 団令子(団野京子) 北あけみ(北川はるみ) 江原達怡(多湖誠) 田中邦衛(石山新次郎) 土屋嘉男(滝沢) ハワイの若大将 2007/12/16 (再)2016/01/18 京南大学ヨット部に属する田沼雄一はレースの準備に忙しい。ある日へたくそなモーターボートにぶつけられ操縦していた中里澄子と知り合う。彼女は化粧品会社の宣伝部に勤めていた。壊れたヨットの修理資金を集めるため開いたダンスパーティにも彼女はやってきた。 大学の試験の日、青大将のカンニングのために雄一も一緒に停学を命じられてしまうが、息子のほうが悪いと知った青大将の父親はハワイに遊びに行った息子を連れ戻してくれるように田沼に頼む。 ハワイに着いたのはいいが、青大将は居候をしていた古屋氏の家を飛び出して行方不明。おまけにタクシーに雄一は現金もパスポートも入れたかばんを置き忘れてきてしまった。そこへ現地の店に出張中の澄子にばったり出会う。そして石山をも発見する。 石山もすっかり澄子にほれ込んでしまい、雄一に取次ぎを頼むが、それに気を悪くした澄子は石山の悪友によって危うく乱暴されるところを危うく助けてもらいながら、お礼も言わずに帰国してしまった。 石山も日本に帰りたくなり、雄一もヨットレースのこともあって現地の娘の縁談も断り、帰国する。レースの当日、澄子も葉山港へ応援にやってきた。最後のコースで一位の船を抜き、田沼・石山組はめでたく優勝する。(1963年東宝) 監督: 福田純 キャスト(役名) 加山雄三(田沼雄一) 星由里子(中里澄子) 田中邦衛(石山新次郎)上原健(上田) 中丸忠雄(平岩) 江原達怡(江口敏) 堺左千夫(赤塚) 飯田蝶子(田沼りき) 有島一郎(田沼久太郎) 中真千子(田沼照子) 藤木悠(常吉) アルプスの若大将 2007/12/23 (再)2016/01/29 田沼雄一は学友の石山とともに大学の教授のお供をしてジュネーブにきている。今、マッターホルンを臨むスキー場で思い切り滑った後だ。帰り道乗っているそり馬車を呼び止める日本女性、岸澄子に出会う。彼女は航空会社の社員で、ここにやってきていることがわかった。二人は親しくなり田沼はヨーロッパの町をあちこち案内してもらう。 田沼と石山は帰国するが石山がパリで親しくなったパリジェンヌ、リシェンヌが本当に日本にやって来てしまって田沼の家で引き受けることになる。久太郎ははじめ渋い顔をしていたが、リシェンヌは日本の生活に溶け込み、店に来た外国人の相手をするなどとても役に立つことがわかった。 田沼はスキー部のキャプテンで近く開かれる全日本選手権に出場するため、苗場に合宿に出かける。そのとき澄子も帰国していて合宿を応援に行きたいと思うのだが、雄一を取り巻く女の子が多くて、うまく入り込めない。石山の先輩にあたる女癖の悪い男に引っかかり危うくのところを田沼に助けられる。 やがて大会の日がやってきた。同じく澄子にほれてしまった石山が受け取った手紙には彼女が石山の結婚申し込みは受けることができないし、田沼のことも忘れたいから再びウィーンに転勤させてもらったと書いてあった。それを知った田沼は元気百倍、大会では大活躍をして見事ヨーロッパへの選手派遣をものにする。(1966年東宝) 監督: 古沢憲吾 脚本: 田波靖男 (ジャック・プロダクション) キャスト(役名) 加山雄三(田沼雄一) 有島一郎(田沼久太郎) 中真千子(田沼照子) 飯田蝶子(田沼りき) 星由里子(岸澄子) 田中邦衛(石山新次郎) 江原達怡(江口) 松原光子(久原悦子) 若林映子(清水知子) イーデス・ハンソン(リシェンヌ) レッツゴー!若大将 2007/12/28 (再)2016/02/02 京南大学のサッカー部に所属する田沼雄一は西北大学との試合で惜しくも敗れるが、大学生選手権のメンバーに抜擢されて、香港に出発することになった。一方親友の青大将、石山は西北の大学の連中とけんかをはじめ、仲裁にやってきた雄一は乳母車が危うくプールに落ちるところを救い、宝石店の店員、仁科澄子と知り合いになる。 おばあちゃんの付き合いで銀座を歩いていると、雄一は偶然宝石店のガラス越しに澄子を見つけた。雄一は香港行きの壮行会に彼女を招待する。澄子は好意を感じたが雄一に群がる女の子たちを見て、雄一のハートを得るのは並大抵ではないと悟る。 ちょうど、宝石店の専務は女癖が悪かったが、澄子に目をつけていて香港の出張に行かないかと誘っていたのを彼女はちゃっかりと利用する。香港に到着すると、さっそく雄一や石山たちの泊まっているホテルを探し出したのだが、雄一は香港の大レストランの経営者である若き娘,陳と市内見物に出かけたあとであった。 石山はマカオで金を盗まれてしまい、雄一に頼み込んで陳に金を貸してもらう。澄子は陳がいつも雄一と一緒にいるので、どうしても近づけない。東京に戻ると雄一は宝石店に澄子に会いに行くのだが、陳と雄一が親しくしていたことに腹を立てている彼女は専務と結婚するのだと言い出す。 がっかりした雄一は、サッカーの練習にも熱が入らない。しかも久太郎が新規開店したすき焼き屋の向かいが、なんと陳の日本進出によって開店したレストランだったのだ。陳は雄一に京都見物に連れて行ってくれるようにせがむが、雄一はその気になれないでいた。しかし澄子が仕事で専務とともに京都に出かけたと聞くと新幹線に飛び乗り、雄一の代わりに石山を連れた陳とばったり車内で出会った。 京都での澄子との出会いは惨憺たるものだった。雄一は専務のことを口にしたし、澄子は陳のことを口にして二人は別れる。雄一は陳が京都に連れて行ってほしいという意味をようやく理解した。京都には彼女の許婚が住んでいたのだ。雄一は二人をめでたく再会させてやった。 東京に戻ると西北大学との試合の日になった。澄子がきてくれない試合では雄一は全然元気がない。そのころ澄子は宝石店に結婚指輪を買いに来た陳とその許婚を見て、自分が誤解していたことを知る。大急ぎで彼女はサッカー場に駆けつけると、雄一に向かって「好きよ!」と叫ぶのだった。(1967年東宝) 監督: 岩内克己 脚本: 田波靖男(ジャック・プロダクション) キャスト(役名) 加山雄三(田沼雄一) 有島一郎(田沼久太郎) 中真千子(田沼照子) 飯田蝶子(田沼りき) 星由里子(仁科澄子) 田中邦衛(石山新二郎) 江原達怡(江口敏) 陳曼玲(林美芳) 宝田明(呉隆) 田島義文(足立) H O M E > 体験編 > 映画の世界 > コメント集(35) © 西田茂博 NISHIDA shigehiro |