映画の世界

コメント集(7)

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  1. 前ページ
  2. Midnight Run ミッドナイト・ラン
  3. Punchline パンチライン
  4. Shadows and Fog 影と霧
  5. Cat on a Hot Tin Roof 熱いトタン屋根の猫
  6. Manhattan マンハッタン
  7. The Hustler ハスラー
  8. Harper ハーパー
  9. Il Clowns 道化師
  10. Mean Streets ミーンストリート
  11. Sting スティング
  12. The Verdict 評決
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今年見た映画(2000年)

Midnight Run ミッドナイト・ラン 2000年5月22日 2004年2月16日

Midnight Run最初の場面で、ドアに穴が突然あいて、見る人は度肝を抜かれる。犯人を捕まえるのは実に危険な仕事なのだ。アメリカには「保釈金融」という商売が存在する。逮捕されたひとは保釈金を払って釈放してもらうことが多い国だから、保釈金を貸す業者が現れる。またお尋ね者は賞金がかかっていることが多いから、まんまと捕まえれば報酬が得られる(もちろん仲介者にピンハネはされるだろうが)。

主人公のデ・ニーロ演ずるウオルシュは、元シカゴの警察官だが、麻薬王の買収を拒んだために、腐敗した警察から追われ、ロサンゼルスで賞金稼ぎの探偵まがいのことをしている。今度保釈屋に頼まれたのが、10万ドルの報酬と引き替えに、ニューヨークの会計士マーデュカスをさらってロスまで護送することだった。彼は、悪事の暴露を恐れるギャングたちに命を狙われている。

ところがマーデュカスは扱いにくい男で、飛行機に乗れず、列車、バス、オンボロトラックと乗り継ぎながら大陸を横断してゆく。実は何とか途中で逃げようというマーデュカスの計略の一つだったのだ。おかげで大変な時間と危険と苦労を背負い込むことになる。

マーデュカスはおしゃべりな男で、ウオルシュに次々とプライベートな質問をする。二人は喧嘩をしながらも、不思議な友情が生まれ始める。しかし護送といってもスムーズにはいかない。同じくマーデュカスを捕らえようと狙う FBI 、マーデュカスを消そうと狙う麻薬王の手下たち、マーデュカスを奪おうとするウオルシュと同じ賞金稼ぎ、と行く手には困難が待ちかまえている。

実はマーデュカスの飛行機恐怖症は芝居だったり、激流に飲まれたウオルシュは自由の身にするというでたらめの約束をして助けてもらったり、さまざまな駆け引きがあるのだが、そのうちにお互いの性格が明らかになり、もし普通の世界であったなら親しい友だち同士になったかもしれない。

ウオルシュは賄賂を受け付けないまっすぐな人間であり、そのため職場で疎まれ今では貧乏している。マーデュカスは麻薬王の金を横領し、よりによってそれを慈善に寄付してしまったという変わり者である。こうやってみると二人には多くの共通点があったのだ。

途中資金がなくなったウオルシュは、シカゴに住み再婚している前妻に会いに行く。再婚相手は賄賂を受け取り、今では警視にまで昇進している男だ。妻は迷惑がりながらも自分の車を貸してくれ、実の娘も自分のなけなしの貯金を貸してあげようとする。そしてウオルシュは結婚前に妻からもらった腕時計が今でも手放せないでいるのだ。

目的地も近づいたのにライバルの賞金稼ぎにマーデュカスを奪われてしまうが、FBI と取引をしてロスの空港で麻薬王との駆け引きをうまく利用して最後の土壇場で再びマーデュカスを奪い返す。

これはアメリカ映画が最も得意とするロードムービーの白眉であり、護送を扱ったという点では、「さらば冬のかもめ」を思い出させる。最後にやっとロスに到着するが、ウオルシュはなぜか寸前になってマーデュカスを自由の身にしてしまう。解放された会計士は、金よりも筋を通すウオルシュに友情の印として・・・実に後味のいい映画だ。お互いに「来世で会おうぜ」と言って別れる。(1988年)

Directed by Martin Brest Writing credits George Gallo Cast : Robert De Niro .... Jack Walsh Charles Grodin .... Jonathan Mardukas ヒアリングー大陸横断だから、さまざまなしゃべり方が出てくるが、どれも早口で発音の切れ目が明確でない。かなり上級でないと聞き取れない。ウオルシュとマーデュカスの間の果てしない議論が聞きもの。

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Punchline パンチライン 5/27/00

Punchlineパンチラインとはジョークの「オチ」のこと。ジョークに命をかける人々の物語。舞台の上で、観客を絶えず笑わせるというのはしんどい仕事だ。トントン拍子に行っている間はいいが、いったんうまくいかなくなると、白けた雰囲気、つぎつぎと席を立つ客たち、など演じる者にとっては耐え難い苦痛だ。にもかかわらず自分の天分を信じて、薄給、いや自分から金を出しても舞台に立ちたい情熱家もいるのだ。

ヒロインのライラは主婦だが、ジョークで人を喜ばせたいという熱意にとりつかれている。彼女の尊敬するスティーブンも彼らが演じている居酒屋「ガス・ステーション」の売れっ子だが、彼もあまりにこの仕事に身を入れすぎて、医学部を放校になってしまったほどだが、一方情緒不安定なところがあり、波が大きい。ライラはそれでも娘たちや夫の理解ある態度(この国でもこういう夫は珍しい!)に励まされて、コンテストで優勝候補になってしまう。だが彼女が心の中で尊敬するスティーブンにその地位を譲るべく、夫と共にさっさと家に帰ってしまうのだ。

スティーブンは、まるでレニー・ブルース(2000年4月5日に紹介)のような痛烈な社会やお偉方への批判を連発するジョークが受けて優勝し、いよいよプロとしての困難な道を歩き始める。(1988年)

Directed by David Seltzer Writing credits David Seltzer Cast : Sally Field .... Lilah Krytsick Tom Hanks .... Steven Gold ヒアリングー普通の会話はわかりやすいニューヨーク英語だが、舞台でのジョークの連発は聞き所。その早口についてゆくだけでなく、ジョークが笑いになるもとの背景がわかっているかが試される。漫才タイプの英語の格好の教材だといえる。

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Shadows and Fog 影と霧 6/2/00 (再)2014/03/28

ウッディ・アレンの作品。彼自身が情けない中年男の主人公クラインマンとして登場する。ある街では霧が深くなると夜間に絞殺魔が出没する。クラインマンは、熟睡中のところを起こされ、自警団のなわばり争いに巻き込まれ、はては絞殺魔の疑いをかけられたり、社長の怒りを買って昇進が絶望的になったり、全くついていない。

このクライマンと出会うのが、近くのサーカスから痴話喧嘩で逃げ出した女アーミーだが、この危険な街路を歩き、売春宿で初めて客を取って700ドルを得るという信じられない体験をしたり、、クラインマンに助けてもらったり。だが、依然として絞殺魔は捕まらない。

最後にはサーカスのテントの中で、クラインマンが魔術師と協力して絞殺魔を捕まえるが、見事縄抜けされてしまう。クラインマンはかねてからの念願だった、魔術師の助手になることを決心するが、最後の魔術師の言葉、「人生はすべて幻影だ」から、実は犯人はこの魔術師だったのではないか…、もしかしてクラインマンが夜中に起こされてから、縄抜けが起こるまでみんな幻影だったのかも・・・

クラインマンと他の人、特にアーミーとの会話には、人生の妙味がちりばめられていて、味わいがある。売春宿の中での女達の会話もおもしろい。「一番長続きする恋愛は片思いだよ」なんて、メモ帳に書き留めておきたくなる。またクラインマン自身は、成功して得意になっているより、人生に打ちひしがれてくたびれた、風采の上がらない、どもりの男のほうがはるかに何かいいものを持っていることを感じさせてくれる。

ところで売春宿の場面で、売春婦の中に太ったのがおり、どこかで見たことがあると思って調べたら、何と「フライド・グリーントマト」の主演女性 Kathy Bates だった。ここでは端役だが、その特徴のある顔にはすぐ気づいた。最初から最後まで(霧の中の)白黒映画。(1992年)・・・資料外部リンク

Directed by Woody Allen / Writing credits Woody Allen (also play Death) Cast; Michael Kirby .... Killer / Woody Allen .... Kleinman / David Ogden Stiers .... Hacker / James Rebhorn .... Vigilante / Victor Argo .... Vigilante / Daniel von Bargen .... Vigilante / Camille Saviola .... Landlady / Tim Loomis .... Dwarf / Katy Dierlam .... Fat Lady / Mia Farrow .... Irmy ヒアリングーウディ・アレンの作品は舞台がニューヨークか、それに似た都市なので、きれいな発音が多い。また夜間の、殺人鬼を追う話だから、込み入った会話は少ない。

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Cat on a Hot Tin Roof 熱いトタン屋根の猫 06/08/00

Cat on a Hot Tin Roof「猫」とはエリザベス・テーラー演じるマギーのことだ。元フットボール選手の夫は、親友を自殺に追いやったと悩み、自分の妻がその友だちと寝たと思いこみ、アル中に陥っている。マギーはその姿にいたたまれないが、それでも夫を愛している。夫の兄は弁護士で、父親の財産をいただこうと強欲な妻とたくらんでいる。

父親は自分が末期癌で余命幾ばくもないことを知ると、自分の誕生日に、前からかわいがっていたこのアル中の息子と対峙し、自分の築き上げてきた家族が「虚偽( Mendacity )」で塗り固められてきたことを知り、同時に息子と和解する。

全体を通して、熱さで転げ回る猫のようなマギーだが、この物語ではもっとも力強く生きて、最後に夫の愛を取り戻す。たまたまハッピーエンドになる話だけれども、他のテネシー・ウイリアムズの戯曲と同様に、物語の進行のあらゆる側面でさまざまな人生が描き出される、きわめて複雑な構成になっている。登場人物はわずかで、場所は父親の豪邸での誕生パーティだけだから、ここで一大ドラマを展開できる、脚本家や監督の実力には、ただただ感服するほかない。(1958年)

Directed by Richard Brooks (I) Writing credits Richard Brooks (I) James Poe Cast: Elizabeth Taylor .... Maggie 'The Cat' Pollitt / Paul Newman .... Brick Pollitt / Burl Ives .... Big Daddy / Jack Carson (I) .... Gooper / Judith Anderson .... Big Mama ヒアリングー最高の戯曲の一つだから、その内容が理解できなければ意味がない。聞き取れるかどうかではなく、前もってセリフをチェックしておかなければなるまい。

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Manhattan マンハッタン 2000/10/06  (再)2012/07/29 (再)2023/03/14

Manhattan再びウディ・アレンの監督・主演作品。ニューヨーク・マンハッタンを舞台にテレビの放送作家アイザックは目下一人暮らしだ。2回の離婚を経験したのだが、その女達はレスビアンだった。そのうちの一人がかつての夫婦生活を、赤裸に描いた本を出版して、自分の私生活が丸見えになってしまう。

42歳の彼にとって、今つきあっている17歳の女の子、トレーシーは忠実で彼を深く愛してくれるのだが、彼の親友で女房もちの男の恋人だったインテリのメリーに惹かれて、そちらに乗り換えてしまう。だがこんどは、メリーは再びその恋人の元に戻ってしまう。いったんは捨てたトレーシーに会いに行くが、俳優を目指してロンドンへ出発するところ。

二人の女を失い、アイザックは孤独な生活に逆戻り。この先どうなるか分からない、アン・ハッピー・エンドなストーリーの閉じ方はまるでフランス映画のようだ。ニューヨークの独身男の生態をよく表している。「ミスターグッドバーを探して」のダイアン・キートンと「ソフィーの選択」のメリル・ストリープの2大女優が出演している。特に前者は当時のインテリ女としては適役だし、「グッドバー」と同じく60,70年代の雰囲気をよく出している。

ノーマンメイラー、レニーブルース、果てはポールマッカートニーに至るまで当時の有名人の名前が次々と飛び出す。白黒映画で、マンハッタン・ブリッジや摩天楼の写りがとてもよい。さらにガーシュインの「パリのアメリカ人」や「ラプソディー・イン・ブルー」が背後に流れている。

放送作家としてのアイザックに、監督ウディはテレビ文化の退廃と、大衆を馬鹿にした番組づくりについて皮肉な批判を言わせているのが気に入った。またメリーとの会話にも「頭で理解できるものは無価値だ」などという、おそらくウディの考えがところどころに現れている。(1979年)資料外部リンク

Directed by Woody Allen Writing credits Woody Allen and Marshall Brickman Cast: Woody Allen .... Isaac Davis / Diane Keaton .... Mary Wilke / Michael Murphy (I) .... Yale / Mariel Hemingway .... Tracy / Meryl Streep .... Jill / Anne Byrne .... Emily / Karen Ludwig .... Connie ヒアリングーまたまたニューヨークの標準英語、次々と飛び出す固有名詞についての知識さえあれば、聞き取りにさほどの苦労はない。

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The Hustler ハスラー 06/15/00

The Hustlerばくち打ちをハスラーというが、「トタン屋根の猫」と同じくポール・ニューマン演ずる主人公のエディは自分専用のキューを持ち歩いて各地の玉突き場で賭け金を稼ぐ。だが才能はありながら、人間的に未成熟で、酒に頼ったり精神的に不安定なため、名人の「ミネソタデブ公」に24時間を超える対戦で、気力負けてしまう。

相棒と別れて町をふらつくうち、孤独に悩むアル中気味の足の悪い女サラと知り合い、一緒に住むようになる。サラはエディを愛するが、賭博師によって博打の深みにはまって落ちてゆくのを知り、必死で止めようとする。だがエディはサラの懇願を聞き入れず、サラは自殺してしまう。深く傷ついたエディは今度は何も恐れるものがなくなり、ミネソタのデブ公を一気に負かすが、賭博師にリベートを渡すことを拒絶したため、玉突き場から追われる身となる。

舞台は玉突き台が大部分だ。だが玉突きを知らない人間にも緊張感が伝わってくる構成だ。白黒フィルムがぴったりだし背景に流れるジャズの曲がまたいいのだ。才能がありながら人間としての弱さのために試合でも生活でも女との関係でもうまくいかない人間が描かれる。最後のライバルに勝つにしてもそれでハッピーエンドにならないのがいい。題材は特殊でも、よくある人生がここに表現されているのだ。(1961年)

Directed by Robert Rossen Writing credits Sidney Carroll Robert Rossen Cast : Paul Newman .... 'Fast' Eddie Felson / Jackie Gleason .... Minnesota Fats / Piper Laurie .... Sarah Packard / George C. Scott .... Bert Gordon ヒアリングーばくち打ちの間での会話は早口で、少々崩れていると言える。ただし玉突きのむずかしい専門用語は余り出てこないので心配無用。なお「プール pool 」とは手球 1 つで 15 の球をポケットに落とすゲームのこと。

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Harper ハーパー 6/17/00 

Harper私立探偵のハーパーはある日、行方不明になった大金持ちの捜索をその夫人に依頼される。だがその男は息子を失って以来、全く家族を顧みず、夫人にも娘にも愛想を尽かされている状態なのだ。ハーパーは相棒の弁護士、パイロットらの協力を受け、あちこち探し回り、奇妙な宗教団体や、麻薬中毒の歌手など、失踪した男にまつわる人間たちを調査するが、いずれも決め手は見つからず、やっと苦労して探し当てた男も、無惨に廃船の中で殺されてしまっていた。

だが誰も悲しまず、むしろ喜んでいるくらいだ。それどころか弁護士もパイロットも自分を裏切っていたことが最後に発覚する。だがハーパーはめげない。男を殺したその弁護士がふるえる手でピストルで自分を狙っている中、飄々と依頼人の夫人の家に報告に向かう。ハーパーは次々と手際よく事件を解決する腕利きの探偵ではないが、憎しみや金銭欲に狂う人間たちの中で颯爽と仕事を続けているのが小気味よい。(1966年)

Directed by Jack Smight Writing credits William Goldman Cast : Paul Newman .... Lew Harper / Lauren Bacall .... Elaine Sampson / Julie Harris .... Betty Fraley / Arthur Hill (I) .... Albert Graves / Janet Leigh .... Susan Harper / Pamela Tiffin .... Miranda Sampson ヒアリングー登場人物はいずれも難しいことをしゃべらないので、聞き取りやすい。ハーパー自身も、演じているポール・ニューマンはいつもそうだが歯切れがよい。

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I Clowns 道化師 6/25/00 

I Clownsサーカスの道化師は、19世紀には全盛時代を迎えたものの、現代の「忙しい」時代には子供以外にはそっぽを向かれるようになってしまった。つまりおとなが「子供」でなくなってしまったのだ。道化師があらゆるものを茶化し、ふざけ、自分を悲しき笑いの対象にすることは、イタリアやフランスでは芸術の一種だとみなされた時代(ベル・エポック)があったのだ。

監督のフェリーニは、その過去の栄光を担う、すでに死んだ道化師や引退した道化師たちを追い求めて、彼らの写真や道具を発見し、ある時はインタビューを試みる、ドキュメンタリー風の作品である。

最後の4分の1は、おそらくフェリー二の頭にある道化師のイメージなのだろう。道化師の天才オーギュウストが死んで、仲間たちによって葬式が行われる場面で、次々と登場する奇態なピエロたちとその演技は圧巻だ。まるで現代の道化師の終焉を象徴しているようだ。フェリー二の作品は難解だといわれているが、これは通「つう」でなくともよくわかる。(1971年)

Directed by Federico Fellini Writing credits Federico Fellini Bernardino Zapponi Cast : Anita Ekberg Pierre Etaix Fanfulla Federico Fellini .... Himself ヒアリングーところどころフランス語や英語も混じるが、大部分イタリア語である。それもインタビューに答える形式が多いのでかなり難解な内容だ。字幕を見ているとせっかくの映像が見れなくなる。吹き替えのほうが適しているのではないか。

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Mean Streets ミーンストリート 06/29/00

Mean Streets舞台はニューヨークのイタリア移民が住むリトル・イタリー。チャイナタウンと同じく、イタリア人もしばらくの間アメリカでは下層に属していたから、小さな街区に集中して住んでいた。登場する三人の若者はいずれも幼なじみだが、若きデ・ニーロ演じるその中の一人ジョニーは精神的にも不安定で、借金を重ねたあげく友だちにも返す気がない。

暗躍するマフィア、チンピラたち、故国と同じお祭り、カトリック教会でのお祈りや告解、乱痴気パーティなど、リトル・イタリーのさまざまな断面を描きながら、ストーリーは展開する。最後は悲劇だ。ジョニーはピストルで撃ち殺される。なお三人の中で一番まともなチャーリーは「テルマとルイーズ」では落ち着いて思いやりのあるハルという名の刑事役で出ていた。(1973年)

Directed by Martin Scorsese Writing credits Martin Scorsese (story) Martin ScorseseCast : Robert De Niro .... Johnny Boy / Harvey Keitel .... Charlie / David Proval .... Tony / Amy Robinson .... Teresa / Richard Romanus .... Michael ヒアリングー実に聞き取りにくい英語。低く押し殺したようなしゃべり方で、抑揚が少ない。ところどころにイタリア語が混じる。(そこは英語の字幕が付いている)

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Sting スティング 7/2/00

Sting時は1936年。アメリカの田舎町でのこと。詐欺師というのは自分の「腕」が優れていることを試してみたいものらしい。主人公の若きレッドフォード演ずるジョニーは仲間が殺された復讐のためにも、シカゴの悪徳銀行家を一泡吹かせてやりたいと心に決める。

ポール・ニューマン演ずる詐欺師のベテラン、ゴンドロフに相談を持ちかけたところ、アメリカ全国から腕利きの詐欺師たちを集めて大がかりな「罠(スティング)」を仕掛けてみせるという。銀行家が無類の賭博好きに目を付けた二人は、ニセモノの場外馬券売場をニューヨークの真ん中に作り上げてしまう。

従業員やサクラはすべて詐欺師揃い。しかもニセFBI係官までそろえて、まんまと銀行家から大金をせしめてしまうのだ。痛快なるコメディだが、同時に社会悪に対する斜めに構えた見方がおもしろい。ピアノの主題歌はスタンダードナンバーだ。(1973年)

Directed by George Roy Hill Writing credits David S. Ward Cast : Paul Newman .... Henry Gondorff / Robert Redford .... Johnny Hooker / Robert Shaw .... Doyle Lonnegan / Charles Durning .... Lt. Wm. Snyder ヒアリングー戦前のニューヨーク英語で、しかも詐欺師連中のことだから、決してわかりやすい言い回しを使っているわけではない。かなり注意深く聞いていないとわけがわからなくなる。

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The Verdict 評決 07/07/00

The Verdictすっかり老い込み、敗訴続きで仕事はうまくいかず、ひとりでピンボールに熱中する、半分アル中になってしまっている、ニューマン演ずるしょぼくれた弁護士フランクがいる。そこへ医療ミスで自分の妹を植物人間にされた、女の依頼人がやってきた。彼にしてみれば今までの失敗を挽回する最後のチャンスとみた。あえて高額の示談を断り、腕利き弁護士コンキャノンのついている病院側と裁判で対決の決意をする。

だが現実は甘くない。相手側の手段を選ばぬ汚い妨害に合い、フランクは何度もあきらめるが、一度始めたことは止められなくなっている。ふと酒場で知り合った若い女ローラと同棲をして、大いに彼女からも力づけられるのだが、何とその女は相手の弁護士から送られてきたスパイであったのだ。にもかかわらず、幸運にも医療ミスの現場に居合わせ、医者から書類のねつ造を強制された、元看護婦の居所を突き止めることができた。

アメリカの裁判は「陪審員制度」だ。原告側も被告側も、一般人の中から無作為に選ばれた12人に、自分の主張をひたすら聞いてもらう努力をする。初めは百戦錬磨のコンキャノンのために、到底勝てそうもなかったのだが、元看護婦が証人に立つと形勢は逆転し、最終弁論で「正義の勝利」について陪審員たちにフランクが静かに語りかけると、原告勝訴の評決が出たのだった。もちろんここで敗訴になったら、観客としてもやりきれない。最後のシーンがいい。自分の裏切りを後悔したローラが何度も電話をかけてくるが、フランクはベルの鳴る電話機を前に、それを無視する。

***この映画は文句なく第1級に属する。酒におぼれる老弁護士の人間的弱さ、手段を選ばぬハイエナのような「腕利き」弁護士たち、医療ミスをひた隠しにして、無能なのに権力を持つ医者を示談でかくまおうとする病院、など社会の暗部が実にしっかりと描かれている。そもそも裁判は映画の題材にもっともしにくいはずだが、これにあえて挑戦するためか、秀作が多い。「12人の怒れる男たち」は、後で知ったことだが同じ監督の作品だった!(1982年)

Directed by Sidney Lumet Writing credits David Mamet Cast : Paul Newman .... Frank Galvin / Charlotte Rampling .... Laura Fischer / Jack Warden .... Mickey Morrissey / James Mason .... Edward J. Concannon ヒアリングー舞台が司法関係だから、会話そのものは聞き取りにくいことはない。内容勝負だ。

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro

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