映画の世界

フランス映画佳作

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どこの国でもそうだが、第2次世界大戦後、映画はアメリカ製が風靡し、それ以外の作品は少数の愛好者を除いて見られるチャンスが少ない。たしかにアメリカ映画にもよいものはあるが、全体としては大衆文化につき物の娯楽本位、興味本位の作品が多いことは否めない。だが、ハンバーガーやコーラのように、そのほうがたくさんの収入を見込めるのである。このような商業化した状況が好きでない人もいることだろう。

何かもっと心に残るような、繰り返し見たくなるような作品を求める人もきっといることだろう。フランス映画の場合、他国とは違った独特の雰囲気を作り上げている。ハリウッドとは180度異なる人間観、表面的なアクションより心理を重視した作品が多いのが特徴だ。中には難解な作品も少なくないが、じっくりと観ることによってその真価を発揮するものも数多く存在する。日本でもレンタルの場合、フランス映画はあまりおいていないので、素晴しい作品を知らない人が多い。将来すっかり忘れられてしまうことを危惧して、ここにリストを作っておきたい。

フランス映画は、作品ジャンルより、監督別にまとめてみるとおもしろい。それぞれの監督の個性がはっきりと映画に表れ、出来のよい作品と悪い作品との比較もまた興味をそそる分野である。中には歴史、恋愛、アクションと何でもこなしてしまう監督もいる。監督は一人の芸術家なのだ、俳優はその道具に過ぎない、という人もいる。また映画の国籍は、その金がどこから出たかとか、どこの国のスタッフが働いたかではなく、監督がどこの国の人かによって決まることにしておこう。

アメリカで生まれたハリウッド映画はハッピーエンドが多い。これは観客がそれを求めるのだという説がある。確かに悲惨な結末ではその映画がヒットしないのが大部分だ。かくしてアメリカ映画は娯楽映画が中心となる。ただし、「アパートの鍵貸します」や「俺たちに明日はない」のような流れは別である。これに対してフランス映画ではハッピーエンドが驚くほど少ない。そもそもフランスでは小説も映画も「C'este la vie (それが人生だ)」という意識が強いらしく、結末がどうなるかというより、いかなる人生があったのか、観客が自分では体験しえない人生がどんなものなのか、を表現することが主眼となるためだろうと思われる。

古典フランス映画5人組

ヌーベル・バーグ

注;*は映画そのものがフランス以外の国で作られたか、共同で作られたもの

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一方、俳優別に思い出深い作品も多い。その映画のタイトルを聞いただけですぐに思い浮かぶ女優、男優がいるものだ。

  • アラン・ドロン「太陽がいっぱい」
  • ジャンヌ・モロー「恋人たち」「エヴァの匂い」「黒衣の花嫁」
  • ソフィ・マルソー「恋人たちのアパルトマン」
  • カトリーヌ・ドヌーブ「昼顔」「シエルブールの雨傘」
  • ジャン・ギャバン「現金に手を出すな」
  • ジャン・ポール・ベルモンド「気狂いピエロ」

カンヌ映画祭をはじめとして、時に商業主義に毒されない佳品が紹介されることがある。これらの作品については人々の間で評価が割れるかもしれないが、映画の将来のことを考えると、できるだけ多様な試みがこの世に出ることが好ましい。「普遍性」より「多元性」を重視するのがフランス文化の特徴であり、強みである。

  • 「ピアノレッスン」
  • 「美しき諍い女」
  • 「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」
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