柴又めぐり |
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上野から京成線で各駅停車にのって9つ目、高砂駅で今度は金町行きに乗り換える。この路線は、間にたった一つ「柴又」駅があるだけだ。駅前に降り立つと、いかにも下町風の風景の中に、寅さんの像が例の鞄をさげて立っている。まわりには年輩の観光客が引きも切らない。みんな像の前で最初の記念写真を撮っている。 ここから右手にはすぐ帝釈天への参道が始まる。大した距離ではないが、草団子の店をはじめ、おせんべ、飴、中には寒天やテングサなど、昔懐かしいお菓子を売る店が軒を並べている。自動車は通行できないので、誰もがゆったりと歩くことができる。映画のモデルになった「とらや」がちょうど真ん中へんにある。ただ奥行きは広くて、普通の食堂のようだ。 突き当たりには帝釈天がある。ここは正月には大変にぎわうそうだ。まるで映画そのままだから、笠智衆扮する御前様が現れてきそうだ。また、第4作に登場した「ルンビニ幼稚園」は実在したのだ。この境内の裏手にあった。 帝釈天に入らず、左に折れると、普通の車道に出る。ここを右に曲がって200メートルほど行けば、そこは広々とした江戸川の河川敷に出る。映画の通り、野球をするところや広場があって、葛飾公園と呼ばれている。左手には、6号線の橋と、その向こうには常磐線の鉄橋が見える。この場面は何度映画に写ったことか。サイクリングコースには自転車に乗った人やマラソンマンが行き来している。 そのまま、川辺に出ると、そこは「野菊の墓」でも有名な矢切の渡しだ。片道100円の昔をしのぶ、優雅な旅である。もっとも船頭さんは櫓をつけてはいるが、実際にはモーターを回して船を動かしている。渡し場から、右手、300メートルほど下流の方へ歩くと、そこには寅さん記念館がある。こんもりした丘の中をくりぬいた構造で、遠くから建物があるとは思えない独特の造りだ。 2003年10月29日
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