映画の世界

ロシア映画

H O M E > 体験編 > 映画の世界 > ロシア系映画

激動の国、若い国、発展する国には、優れた映画作品が出てくる。映画はその社会の活気と矛盾を映す鏡の一つなのだ。ロシアもその例に漏れない。一見荒削りな作品群の中に、光るものあり、将来への希望にあふれるものあり。なお、ロシア映画の場合は、他国との「合作」が多い。

  1. Dersu Uzala デルス・ウザーラ
  2. Иваново детство僕の村は戦場だった

Dersu Uzala デルス・ウザーラ 05/25/01

Dersu Uzala黒沢監督の後期の作品。ここは東部シベリア、ハバロフスクの近くの森の中。軍から派遣された隊長が、数人の部下と共に地域探査を行っている。

ある夜、薄気味悪い密林の中でキャンプを張っていると、アジア系の顔をした男が突然彼らの前に姿を現す。名前はデルスといい、シベリア原住民族の出身らしい。職業は猟師というが、たまたまルート探索に難航していたときであり、隊長は彼にガイド役を依頼する。

雇ってみて、その役に立つこと。デルスは、シベリアの自然を隅から隅まで知り尽くしており、足跡を見て、その動物や人間である場合にはその民族名まで言い当ててしまう。

射撃の名人で、隊長の部下たちが、木から下げたガラス瓶すらまともに撃てないのに、デルスは瓶をつり下げている糸を撃ってしまう。厳しい自然を生き抜く知恵を持っていながら同時に、山小屋を立ち去るときに、緊急食糧を詰めた包みをぶら下げておく細やかさも持っているのだった。

ある時、吹雪の吹き荒れる湖沼地帯の真ん中で隊長と二人で迷ってしまう。このまま夜が来れば確実に凍死するだろう。デルスは、辺り一面に生えている枯れ草を刈り取り、大きな山をこしらえる。中に穴をあけ、測量器具を支える三脚を柱に利用して、無事一夜を切り抜けるのだった。

こうして何度も命を救ってもらい、隊長はすっかりデルスが気に入り、一緒に街に出て暮らすことをすすめるが、デルスは自分は文明社会の中では生きられないからと言って、探査が済むと、クロテンを追って、隊長一行に別れを告げる。(第1部)

再び隊長は、探査に出た。今回もあちこちで苦しい思いをして測量を続けたが、幸いデルスに再会できたのだった。密猟の落とし穴を発見したり、匪賊に捕らわれていた人々を救い出したり、相変わらずデルスの活躍が続く。

だが寄る年波は、デルスの視力を確実に悪化させていた。かつてはあれほどの射撃の名手であったのに、もはや簡単な獲物さえ撃てなくなってしまった。デルスは、自分が近づいてきた虎を撃って(殺さなかったが)しまったのが原因だと信じている。自分たちの掟では、虎は決して殺してはいけないのだった。

ついに弱気になったデルスは隊長の説得に応じて、ハバロフスクの街に彼の妻や息子と共に暮らすことに同意する。だが、自給自足で自分の生活を支えてきたデルスにとって、何でも金を出して手に入れる街の生活がどうしても自分に合わない。ついに森へ戻ることを告げると、隊長は黙って、照準のすぐれた最新式の銃を餞別として渡すのだった。

だが、この銃の贈り物は裏目に出た。間もなくデルスは、おそらくこの銃を奪おうとした犯人によって殺されてしまう。懐に持っていた名刺によって、連絡を受けて駆けつけた隊長は、デルスの埋葬に立ち会うことになってしまったのだった(第2部)。

文明とは相容れない、自然界の英雄。だが英雄も体に少しでも故障があれば、もう生きてゆくことはできない。そしてこの映画のように、多くのエスキモーやアメリカン・インディアンとよく似た最期を遂げることになるのだ。(1975年)

Directed by Akira Kurosawa / Writing credits Vladimir Arseniev (journals) Akira Kurosawa Cast: Yuri Solomin .... Captain Vladimir Arseniev / Maksim Munzuk .... Dersu Uzala リスニング;ロシア語の初心者には理想的な教材!デルスのとつとつとしたロシア語は、重要語ばかり、また隊長や部下の会話もゆっくりで、単純明快である。

上へ

Иваново детство ( Ivanovo detstvo ) 僕の村は戦場だった

タルコフスキー独特の人物に動きのない場面が特徴的な映画。ロシア(ソビエト)の森林地帯にある村。イワンはまだ年端もゆかぬ少年で母親と妹と自然の中で楽しく暮らしていた。父親は国境で戦死したらしい。そこへ突然ドイツ兵が襲ってきて村は戦場となる。母親と妹は殺され残されたイワンは復讐心に燃える。

ソビエト軍の斥候として活躍することになった。村には大きな川が流れ対岸にはドイツ兵が陣取っている。イワンの役割はその人数、規模を調べることだった。すでに寒さがこの地域を訪れていたのにイワンは流れを泳ぎわたり貴重な情報をソビエト軍にもたらした。

イワンはその大人顔負けの有能さと強情さで地域の軍幹部にかわいがられていたけれども、コーリン大尉たちは少年を戦場から施設か幼年学校へ行かせなければならない、そして自分たちがこの子の教育の責任を負わなければならないと感じていた。

だがイワンは言うことを聞かない。二人の兵士とボートを使ってドイツ軍の潜む対岸に渡った後イワンは彼らと別れ消息不明になった。やがて終戦が訪れる。兵士たちはドイツ軍が殲滅された後の建物の中でイワンの写真をみつけ、あのとき彼が捕まって銃殺されたことを知る。(1963年・モノクロ)

Director: Andrei Tarkovsky Writers: Vladimir Bogomolov (screenplay) / Vladimir Bogomolov (story) (Cast)/ Nikolai Burlyayev ... Ivan (as Kolya Burlyayev) / Valentin Zubkov ... Capt. Kholin (as V. Zubkov) / Yevgeni Zharikov ... Lt. Galtsev (as Ye. Zharikov) リスニング;ロシア語。初心者にとっても聞き取りやすい単語がたくさん聞こえる。

上へ

H O M E > 体験編 > 映画の世界 > ロシア系映画

inserted by FC2 system