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スペイン系映画

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スペイン系映画は、その数は少なくとも、珠玉の作品が多い。ピカソやダリの世界を受け継いだ独特の風土によるものか、フランス映画ほど洗練された面はないが、素朴な田園の中でのストーリーの展開が、見るものにきわめて新鮮な感動を与える。南アメリカにもすぐれた作品が現れていることを忘れてはいけない。

  1. Marcelino pan y vino 汚れなき悪戯
  2. El sur  エル・スール
  3. EL Espiritu de la colmena ミツバチのささやき

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Marcelino pan y vino 汚れなき悪戯

Marcelino Pan y Vinoスベインの寒村に立つ男だけの修道院。12人の修道士がそこに住んでいたが、ある日、生まれたばかりの男の子が戸口に捨てられていた。村人に頼んでも誰も養育を引き受けてくれなかった。仕方なく12人が父親がわりになって慣れない子育てを始めることになった。マルチェリーノと名付けられた坊やは、はや5歳。いたずら盛りでさんざん修道士たちを困らせるが、その愛くるしさでみんなの人気者だ。すっかり修道院の生活に溶け込んでいる。ある日、絶対に行っていけないと言われた二階にこっそり入り、そこに十字架にかけられたイエスの像を発見した。不思議なことにイエスは口を利き、マルチェリーノの差し出す食物を受け取り、すっかり仲良くなってしまった。このため、原題になっている、「パンとぶどう酒のマルチェリーノ」という愛称をイエスからもらう。これに気づいた修道士がそっと部屋の隅から見守る中、マルチェリーノが自分の母親に会いたいという願いをイエスに言うと、イエスはこれを聞き入れて、マルチェリーノを天国へ運んでいってしまったのだ。修道士たちはびっくり仰天し、この村の奇跡として一躍有名になってしまった。

キリスト教が生活にしみこんでいない日本では、この物語をすんなり受け取りにくいだろう。原題と、日本語名とがあまりにかけ離れていることでもわかる。有名になったテーマソングと共に、「愛らしい男の子」が全面に出ている。ところが、ヨーロッパでは「聖衣」「聖杯」「ルルドの奇跡」など、イエスやその遺品、あるいは聖母マリアが人々の前に現れて、危機を救ったり病気を治すという話がたくさんあり、この映画もそのような話の一種として考えられているのだ。日本では、マルチェリーノが「天に召された」ことが、悲劇なのか、喜ばしいことなのか意見の分かれるところだろう。ちなみにアメリカの映画評論では、この映画は「コメディ」のジャンルに入っている!(1954年・白黒)

Directed by Ladislao Vajda Writing credits Jose Maria Sanchez Silva (also story) Ladislao Vajda Cast overview, : Rafael Rivelles .... El Padre Superior / Antonio Vico / Juan Calvo (I) .... Fray Papilla / Fernando Rey .... The Monk Who Narrates The Story / Jose Nieto (I) .... Blacksmith (later the Mayor) / Jose Marco Davo / Juanjo Menendez / Pablito Calvo .... Marcelino ヒアリングースペイン映画である。スペイン語の初心者には、少年のセリフといい、まわりの大人たちのセリフといい、歯切れのいい基礎単語が次々と出てきて理想的。

El Sur エル・スール

ガルシアの作品の映画化。少女と、その父親との間の心の交流を描くホームドラマ。不思議な雰囲気を持つ作品で大部分が、少女が亡き父の思い出を語る形になっている。

スペイン北部の一軒家に住む少女エストレーリァは、両親と3人暮らしである。母親は平凡な主婦であったが、父親は娘にとって不思議な存在であった。父親は一種の「霊力」を持っていて、それで井戸を掘るべき場所を予言したりしていた。ストレーリァもその性質を受け継いだらしく、父親から、霊力を集中させるための振り子をもらったりしている。

父はしばしば家を空けたり、部屋の中にずっと閉じこもっていたり、8歳になったエストレーリァはいつも好奇心をかき立てられるのだった。やがて彼女のはじめての聖体拝領の日がやってくる。カトリックの儀式の中でもとくに子どもの成長を祝う行事だから、スペイン南部(スール)から、父親側の祖母と乳母が駆けつけてきた。

泊まっていった乳母から、自由主義の父親はフランコ将軍派の祖父と仲違いをして家出してきたことを知る。それでもカトリック嫌いの父親は、自分の娘の聖体拝領の儀式には教会の片隅で見守ってくれていたのを知り、エストレーリァは感激する。

祖母と乳母は帰っていったが、その故郷は父親の育ったところであり、自分のルーツもそこにあるような気がしてエストレーリァは南の地方にひそかな憧れを持つようになった。

ある日映画館でエストレーリァは父の秘密を知ってしまう。ある女優とかつて恋をして、その女を忘れることができないのだった。しかも彼女最後の出演となった映画を見た父親は思わず昔の女に手紙を書き送った。

15歳になったエストレーリァは父とレストランでまともに話す機会を得て、父が相変わらずその女のことで苦しんでいるのを知る。だが、娘としては何も手を貸してやることはできない。それから少しして、父親はオートバイに乗って死んだ。

そのショックも薄らいだ頃、祖母から気分転換のためにも遊びに来ないかと誘われ、エストレーリァは父からもらった振り子と謎の電話番号が書き入れてある紙切れを持って南へと旅立つのだった。(1983年;スペイン/フランス [製作年]1983 )

監督: Victor Erice 原作: Adelaida Garcia Morales  キャスト(役名) Omero Antonutti(Agustin)Sonsoles Aranguren(Estrella;8 years old) Iciar Bollan(Estrella;15 years old)(Julia)Rafaela Aparicio(Milagros) Maria Caro(Casilda)Germaine Montero(Dono Rosario)Aurore Clement(Laura) Francisco Merino(Enamorado)言語;スペイン語

EL Espiritu de la colmena ミツバチのささやき

スペインの地平線が遙かに見渡せる平原に住むフェルナンドは養蜂家である。かつては妻のテレサ、長女のイサベル、次女のアナとの幸せな4人暮らしだったが、スペインの内乱のために妻は行方不明になり、フェルナンドは娘二人を抱えて小さな村にある大きな屋敷で暮らしていた。

村に移動映画館がやってくる。今回の出し物は「フランケンシュタイン」であった。その内容に興奮したアナは姉から平原の空き家になっている一軒家に精霊が出るなどという作り話を聞いて本気で信じ込む。昼間におそるおそるその一軒家に近づき古井戸をのぞき込んだり家の中に入ってみたり、ある日家に入り込んだキチガイ女によって姉が気絶したりしたものだから、ますますアナはその一軒家が気になっていた。

村を通る鉄道から一人の男が飛び降りた。その男は内戦で追われていた。例の一軒家に隠れるとアナによって発見され、彼女からリンゴをもらう。だがその夜彼は撃ち合いの末殺される。死体とともにオルゴール時計が出てきた。フェルナンドはそれが妻のものであることを確認する。ようやく妻と再会することができた。

アナは男が殺されたことを知ってショックを受け一晩荒野を放浪する。翌朝ようやく捜索隊によって発見された。内乱がごくふつうの家庭にどんな傷を負わせたかを描いているが、映像の流れが非常に簡潔で観客に想像力を大いに働かせてにその間の穴埋めをさせるのである。(1973年)

Director:Victor Erice Writers:Victor Erice (also story) Angel Fernandez Santos (also story) Cast: Fernando Fernan Gomez ... Fernando / Teresa Gimpera ... Teresa / Ana Torrent ... Ana / Isabel Telleria ... Isabel / Ketty de la Camara ... Milagros, la criada / Estanis Gonzalez ... Guardia civil / Jose Villasante ... The Frankenstein Monster / Juan Margallo ... The Fugitive

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参考文献;映画に学ぶスペイン語ー台詞のある風景*柳原孝敦*東洋書店

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro

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