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食品の大量生産時代に生きる10箇条

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第1条 弁当を買うときはコンビニの弁当のように「工場」から運ばれてきたものは避ける。我々の目の見えないところで作られたものは危険なのである。駅弁のように少量が特定の場所に納品されるのと違い、コンビニの弁当は絶えず生産者が変動する(少しでも早く安いところが納品し業者間の競争が激しい。これが安定して継続的に作ることを不可能にしている)

第2条 パンも同様である。店そのものに「焼き釜」を持っているところのパンのみを買う。いったんビニールに包装されたものはやめたほうがよい。つい最近まで保存料がたっぷり入っていたし、保存料を使っていないと公言しているところは逆に保存性が悪くなっている。やはりパンはまだ焼きたてでほかほかしているのを持ち帰るのが一番だ。少しぐらい高くても。

第3条 輸入牛肉、特にアメリカ産は自分の命が惜しければ絶対食べないようにする。BSE だけでない。シカゴを中心とする「糞と消毒薬」にまみれた屠殺場を見学してくるべきだ。しかし他の国でも事情はあまり変わらないが。牛の飼育には広大な土地と穀物による肥育が一般的であることを忘れず、一年に食べる量はせいぜい1キロ以下にとどめておく。そうなると年末の忘年会などで食べるすき焼きは実に美味に感じられるだろう。

第4条 アメリカだけでなく日本にも肥満が忍び寄っている。飽食を奨励するような世間の風潮もよくない。第一おいしいものを食べ過ぎるのがいけないのだ。普段はあまり美味しくないもの(まずいものとはいわないが)を食べるようにする。いわゆるケの日とハレの日とをきちんと区別してリズムを持って食生活を楽しめばよいのだ。常に美食をしているよりも誕生日や記念日などにごちそうを食べる方が人生の喜びははるかに大きい。

第5条 輸入された青物は絶対食べない。鮮度に問題があるだけでなく、海の向こうで一体どんな農薬や化学肥料を使っているか皆目わからないからだ。いったんそのために体をこわしても誰も責任を負ってくれない。日本の食糧自給が最悪に落ち込んでいることを忘れるな。国産のものを食べればそれだけ国内の農業が上を向く。そして旬のものを中心に食べる。ハウス栽培や遠距離輸送のものはできるだけ避ける。冬季の青菜は自分でハウス栽培ができればいいのだが。

第6条 魚は近海のものを食べるようにして、養殖のものや遠洋ものはできるだけ避ける。他の国の漁民に取らせたものは最もよくない。厳重な資源管理は近くの海から始まる。マグロのように日本人に金があるからといってインド洋やもっと遠くまで行って獲ることはその地域の人々のタンパク質を奪うことになるから、牛肉の場合と同じように食べる頻度を極端に減らすべきだ。

第7条 安物の食品に手を出すな。たとえば卵10個で100円というような場合はまずそれを産んでいる鶏がどんな暮らしをしているかを知るべきだ。身動きできず日の当たらない中に一生閉じこめられてエサを押し込められ卵を「押し出す」だけの実態を見たら食欲がなくなると思うのだが。ブロイラーしかり。豚肉しかり。

第8条 外食はそのレストランの仕入先が分かっている場合以外はもうやめた方がいいだろう。特にファミリーレストランやファストフードの食事はほとんどすべてが輸入食品に頼っているから、安いけれどこれこそが日本の食糧自給率を下げている真犯人なのだ。外食産業の99%はもはや人間の食べるところではない。

第9条 アメリカ人のように一週間分の食料の買いだめは避ける。せめて生鮮野菜だけでも週に2回以上に分けて買いたい。買い置きは加工食品に頼る割合を高める。保存方法で信用できるのは昔ながらの「乾燥」と「缶詰」だけだ。冷凍は途方もない電力を必要とするし、添加物は論外だ。

第10条 小売店をきちんと選ぼう。食料を売る店はまず安いことではなく、地元の野菜、魚、獣肉を多く扱っていることが一番のポイントだ。得体の知れない輸入肉などを買ったりすれば自殺行為だ。安さでなく、新鮮さ、品質の高さをまず主眼におくべきだ。ぼろ服、雨漏りのする家に住んでもいい。食料こそ生命の基本なのだから。

補足

健康に悪い食べ物は手に入りやすくて安く、幅広く魅力的に宣伝され、調理が簡単かまったく必要なく、おいしく味付けされている。。健康によい食べ物は手に入りにくくて高く、宣伝はほとんどされず、あまりおいしくなく調理が面倒である。この状況を放置すると、健康に関心がある金持ちだけが長生きし、食生活に無関心な低所得者が早死にするという未来図が生まれることだろう。恐ろしい世の中になったものだ。21世紀とはこんな世界だったのか。もう少しましな世界かと思っていたが。

レストラン選び;チェーン店でないこと、テーブル数が多すぎないこと、コックの姿が見える(またはテーブルに出てくる)こと。パンなどは自分のところの釜で焼くこと。それにしても良い店は、本当に少なくなってしまった。今は「自由競争」のおかげでコスト減を実現できるところだけが「勝ち犬」なのだ。

手料理;たいていの女性は嫌々ながら食事を作る。主婦は作るのは義務だからと思っている。(もちろんそうでない人もいる、念のため)。男性はそもそも作る基本技術そのものがない。好きでないのに我慢してやっているとストレスの原因になり、品質の向上などあるわけがないから、インスタントや加工食品に走る。スーパーでそういったものを買ってゆく人の顔をご覧なさい。そんな料理を食べるくらいなら良心的な店を探してそこの常連になることを考えたらどうだろう。もちろん自炊が最高なのだが。

純粋な食品は避けよ;塩、砂糖、グルタミン酸を代表とする調味料類のうち、精製されたものを良質だと勘違いしている人々がいる。純粋であれば、味も栄養も種類が減少して単純なものとなる。音楽でいえば両手ではなく一本指でピアノを弾くようなもの。味覚というのはオーケストラのように複合的な味のハーモニーなのだ。ワインの鑑定を見てごらん。漬物が白くなるほど”味の素”を振りかける人、野蛮人!

2004年10月初稿・2009年4月追加

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro

 
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