Cooking!

根菜類の電子レンジふかしと魚の缶詰

サツマイモと里芋

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お昼は何にしようかな。誰でも困ってしまうのが昼食のメニュー。安易に外食すれば食べ過ぎてしまい、かといってパンと牛乳で済ませるには腹が空く。かつて中(ちゅう)食とは朝夕の間に食べるだけでいわゆる「おやつ」の感じであった。昔の人は肉体的な重労働が多かったから、どうしても12時頃には食べたくなった。現代人はほとんどからだを動かさないが、習慣とは恐ろしいもので、つい口に入れないと気が済まない。まあ、これは気分転換もかねているのだろう。

今はやりのコンビニ弁当など、いわゆる弁当類を食べるとかならずカロリー過多になる。そのおかずに大部分揚げ物が入っているからだ。また一方で栄養素は驚くほど貧困である。だから普段私は出先では自分で作った梅干し入りのおにぎりを持参している。これは「使っただけの」エネルギーを補給するだけ。バランスのとれた食事は朝夕にとる。

しかし自宅にいるときはもう少し変わった物を食べたい。草原の真ん中ならともかく、書斎でおにぎりでは少しわびしい。そこで低カロリーでなおかつおなかが膨れるメニューを考案した。これがこのタイトルにある根菜類の電子レンジふかしと魚の缶詰である。手軽に10分以内に作れ、しかも美味である。

根菜類はイモに代表されるように、繊維質が多く食べると満腹感が容易に得られる。しかも米麦に含まれていない栄養素も入っている。緑の野菜も大切だが、地下や地上近くで育った土の香りを楽しみたい。

人参、大根、ゴボウ、カボチャ、ジャガイモ、サツマイモ、里芋の7種が八百屋の常連である。問題はその調理法だ。これを生で食べる人はあまりいないだろう。どうしても火を加えなければならない。「煮る」「蒸かす」「茹でる」はいずれも昔から採られてきた方法であるが、時間がかかるのと、味付けが難しいのと、どうしても加えた水に栄養素が溶け込んでしまうことだ(そのお湯も一緒に飲んでしまうなら問題ない)。

電子レンジは登場以来料理の世界では冷淡な扱いを受けてきた。中にはお酒のお燗にしか使い道がないとのたまう方もいる。また「TVディナー」などはどうもインスタントの感じが強くてイメージがよくない。だがこのマイクロ波を食品の内部にあてて、それぞれの分子を「高速回転」させることによって発熱させる方式はとてつもなく省エネ方式である。

そしてなによりも根菜類はまったく水を入れることなく蒸しあがってしまう。つまり栄養素が外に流出しないのである。「アク」の強い類は別にしても普通の野菜においては栄養学的には最も損失の少ない方法なのだ。100グラムぐらいで3分半。これでそれぞれの固まりは芯から煮えている。熱を加えることにそれぞれの野菜は自らの甘みを最大限に発揮する。ここでしょうゆなどの「塩味」を加える必要はない。むしろそのまま食べた方が実にうまいのだ。

例えばカボチャの「ホクホク」した味は、愛好者には答えられない。かつてこれが飢餓の時代における「救貧食物」だったとは想像もつかないほどだ。しかしはじめの2,3口を食べた後でなにか飲み込みにくい感じにとらえられる。一般にイモ類は水分をたくさん持っていないためにのどにつかえてしまう。だがそれで水を飲んではいけない。水の代わりに油なのである。

誰でも夜店で食べた「じゃがバター」のうまさは覚えているだろう。バター(実際には偽物が多いが)とそのわずかな塩味がいかにジャガイモをうまくしたか。この方法を応用する。用意するのはマグロの「油漬け」缶詰である。ライト・ツナなどの名前でよく出回っているが、これが根菜類とぴったり合うのはそのせいなのだ。

食べ方は実に簡単。ただ単に混ぜ合わせるだけ。両方とも電子レンジで同じ温度に暖めておけばなお美味しい。ほかの魚の缶詰も試してみよう。イワシ、サンマ、サバ、サケなどのしょうゆ漬け、水煮、それぞれの味付けはもともと根菜類もそのような調味料と合っているだけに少しも違和感なく食べられる。

これをおかずにご飯を食べれば満腹感が与えられる。しかもカロリーは大して高くないし消化が非常にいいからすぐ腹が減る(夕食が美味しくなる)。出来合いの総菜なんかよりはるかに健康的で安価で塩分が少なく、太りにくい。いいことづくめなこと請け合いだ!

2004年12月初稿

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro
 
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