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コアジの南蛮漬け

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魚は大きな切り身よりも、小魚のほうが体によい。それは「全体食」ができるからだ。全体職とは骨も内臓も何でもかんでも食べてしまうから、栄養素の面で偏る心配がない。切り身はおいしくて食べやすいけれども、たとえば「トロ」ならその部分だけだ。

ただ小魚は骨があったりして食べにくい。しかも内臓を食べることに抵抗を覚える人もいる。そこで考え出されたのが南蛮漬け。酢につけることに骨はやわらかくなり、内蔵の苦味などまったく気にならなくなる。しかも保存性がぐっと増す。

まずタマネギを一個用意する。これは生臭さを防止することもあるし、酢を吸い込ませて、魚のオブラート代わりにするためでもある。透けて見えるほどの薄切りにして、一個の半分を容器の底に敷き詰める。残りの半分は魚の上にかぶせるため。つまり敷布団と掛け布団を用意するのだ。

コアジは、当たり前のことだが新鮮なものを。出血がひどかったり、汁がたくさん出ているようならあきらめる。なお、アジである必要はない。地方の市場などに行くと「小魚2キロで400円」などと表示してあったりして、その中に入っている魚の名前など一切わからない。味の冒険だ。アジよりうまい魚に出くわすかもしれないではないか。

ボールに小魚をあけて(汚れていないのなら水洗いの必要なし)、その上に小麦粉をまぶす。手を使うことなく、ボールを激しく揺さぶることによって、魚の体全体に小麦粉の膜がきれいにつくようにする。(写真上)炒めはじめには、魚の皮そのものが破れやすいのだから、扱いは丁重に。

焼き始める前に酢液を作っておこう。酢と砂糖を混ぜればいいことだが、理想は酢と梅干を作るときにできる梅酢を1;1の割合で混ぜることだ。砂糖は絶対に溶け残りが出ないように完璧に溶かしておく。これらは軽量カップの中で行うのがよい。分量は下に敷いたタマネギが全部吸い込むことができる程度で十分。

フライパンにごま油(これが一番!)を多めに入れて、加熱する。かなり高温になったら、おたがいに触れ合わないようにていねいに魚体を並べてゆく。(写真左)あとはステーキの焼き方と同じ。軽く焦げ目がついたらひっくり返し、なるべく早く魚体が小麦粉の膜にきれいに包まれるようにする。こうなればフライパンの温度を下げて、時々ひっくり返しながらじっくり焼く。

ゆっくり焼くのは、魚体から水分をできるだけ追い出してしまいたいからなのだ。カリカリとまではいかないまでも、水分を減らしておけば、あとで酢をかけたときにも吸収がよい。この所要時間は最低10分。そしてまだアツアツのうちに、先ほど敷いておいたタマネギの上にのせる。重ならないように、気をつけよう。全部並べたらその上に残りのタマネギの薄切りをかける。

最後に上からまんべんなく、酢液をかける。揚げたてで熱ければ熱いほど、酢の吸収がよい。原理は、揚げたアジをタマネギでサンドイッチして酢をかけるということに尽きる。あとはゆっくり冷まし、冷蔵庫で2日ほどおいて味を落ち着かせればできあがり。酒飲みにとってはたまらないつまみとなる。

2007年1月初稿

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro

 
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