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一日三食の哲学

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どのように配分すべきか

人間が一日に3回食べるようになってからそれほど時代がたっていないという。特に飢饉に悩んだ国では、ごく最近のことだ。元来、人間は食いしん坊であり、脳細胞を働かせるには多量のエネルギーがいるから、こんなに食べるようになったらしい。

リスやネズミも絶えずクチャクチャしているから、彼らと人類との近縁関係は決して遠いものではないことを考えると、食事の回数が多いのは太古の昔からの習慣だともいえる。

だが運動量が極端に不足している現代人は特に、3回ともたっぷりと食べていたのでは、たちまちのうちに肥満に陥ってしまう。ただしエネルギー消費量の多い人では逆に、適切なときに補給を行わないと、活動に支障が出る。

かつてスペインやイタリアなどの南欧諸国では昼にたっぷり食べる習慣があったが、これは午後に昼寝ができる時間的余裕があるからで、現代のようにグローバルな時代には、これを維持していくことは難しくなるだろう(残念なことだ!)。

これからは3食の内容を吟味して自分のリズムを作ってゆかなければなるまい。特に最近の朝食抜きなどは言語道断であって、高齢になってからのボケや健康悪化を望まないなら、一刻も早く改めるべきだ。昼食抜きのほうがまだましだ。

朝食は「目覚め」と「午前のエネルギー補給」のためにある。カフェインを含む飲料や、タンパク質に富む少量の固形物は寝ぼけた神経を覚醒させてくれる。単に胃袋が膨らむだけでも覚醒効果がある。

朝食べることのできない人は、まさに習慣の産物である。誰でも同じ時間に食べないことを何十年も繰り返していれば、完全に胃袋が順応してしまうはず。逆に朝にたくさん食べることができる人は、体内エンジンのかかりが良くなっている。

朝食はまず、すぐ役立つエネルギー源を、ゴハンかパンで補給し、多すぎない程度のタンパク質を補ってやればよい。胃のこなれがよいものを選べば、通勤通学途中で大半の消化は済んでしまう。ただ副食のことを考えるとゴハンが勝る。豆腐や納豆をパンと一緒に食べる人はあまりいないだろうから。

これに対し昼食は「午後を支えられる程度のエネルギー」だけを補給し、余計なものを詰め込まない。登山、飛脚?、など肉体エネルギーを必要とする場合は特に、でんぷん質だけを補えばよい。

腹持ちをよくするために少々のタンパク質、脂質を補うのはよいが、食後眠くなるようであれば明らかに摂りすぎである。「ちょっと物足りないな」と思うくらいが理想である。野菜、ミネラルなどは必要ない。

最後の夕食こそ、朝と昼に足りなかったものを補う好機である。このときこそ、野菜、果物、海草と微量栄養をを取り入れるときであり、朝と昼には単調になりがちだったメニューを豊かにするときでもある。

また肉や魚の消化に手間のかかる大量の蛋白質を摂取するときでもある。時間は6時7時の早めが望ましく、寝るまでに消化が完了してしまっているのが理想である。

まとめれば、朝食は手早く中量を、昼食はエネルギー補給だけ、夕食は総合的に食べてしっかり消化させる、となろう。

2000年6月作成 2001年2月増補改訂

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro

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