Cooking!

ぬか漬けの魅力

ぬか漬けキュウリ

HOME >体験編 > 料理! > ぬか漬け

 

漬け物の発明 一体いつ頃から漬け物は作られるようになったのだろう。保存食品の中で、これほど手軽に作れるものはない。塩漬け、酢漬け、砂糖漬け、ニョクマム漬けに至るまで、ありとあらゆる材料が、きわめて多種多様な調味料の中につけ込まれてきた。

その中で、ぬか漬けは特に日本の米作りが生みだした傑作だ。ぬかの中に含まれる乳酸菌が絶えず弱酸を作り出すから、腐敗の心配は全くない。大根、人参、キュウリ、その他考えつくほとんどの根菜類はこのぬかの香りに浸ってしまう。

ヌカ昔から「ぬかみそ臭い」などといわれてきたが、うまいものに臭みがあるのは当然。あの猛烈な匂いの「クサヤ」を見よ。初めての人々をほとんど拒絶しながら、いったん気に入るとやめられなくなる。

よく漬かったぬかみその味は、ゴハンにぴったりと合い、アミノ酸の旨味の攻撃に疲れた舌をいやしてくれるのだ。だが恐るべき事に、これに醤油をたらしたり、果ては「味の素」を振りかける人もいるというが、それは個々の好みといえようか。

正統派は、そのまま薄切りにして熱いご飯の上に載せるだけでよい。そしてその作り方は、ぬか床さえあれば、あっけないほど簡単だ。適当に水洗いした野菜をぬかの中に埋め込む。これで終わり。ただキュウリのように水分の多いものは切り口をぬかにさらすとそこからぬかの中へどんどん水が抜けてぬかがびちゃびちゃになる恐れがある。

ぬかに含まれている塩分が野菜へ移動するから、時々適量の塩を補ってやる必要がある。つけ込んで翌日に食べるのなら、多めに、2,3日後に食べるのなら少し押さえ気味に入れてやる。塩は切り口にすり込んでやるとよい。

ヌカから取り出すまた漬け物を取り出すときに、少しずつぬかも減ってゆくから時々少量を補ってやる。ただ、一般の米から取ったぬかには農薬が含まれている心配が多少あるのだが。農薬は白い部分ではなく、胚芽やぬかに集中しやすいという説もあるからだ。

でも、そんなことは気にしない。米屋でぬかを所望すれば、ただでくれるか、300グラムせいぜい10円だ。誰もほしがらない。園芸家が、スイカなどのために肥料として買ってゆくだけだ。

ぬか漬けの魅力はヨーグルトと同じく乳酸菌にあるのだ。そのほのかな酸っぱさが、食欲を増進させ、梅干しほどではないにしても殺菌効果まで引き受けてくれる。

問題はどうやって、ぬか床を用意するか?市販のぬか床を利用するのが最も簡単だが、できたら江戸時代ぐらいから代々受け継いできた料理を大切にする家庭からいただければ最高だ。

もちろん格式ある料亭では、自らのぬか床を備えているが、そこからちょうだいするのは少々コネが必要だろう。結局のところ、ぬか漬けのうまさは、そこに含まれる乳酸菌の種類によるのだろうから。

HOME >体験編 > 料理! > ぬか漬け

© 西田茂博 NISHIDA shigehiro
 
inserted by FC2 system