きまじめ英文法

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目次

副詞の注意点 名詞の格 

否定詞(1) 否定詞(2)

 that/what構文 代名詞

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副詞の注意点 目次へ

副詞を取り上げると、数限りなくあるが、そのうちで頻度、程度、時、場所、接続、様態などに分けて考えることができる。基本語と呼ばれるものがあり、それぞれはある程度定まった文中の位置を持っている。

例1

  • I have seldom heard her speaking ill of others.(彼女が人の悪口を言うのを滅多に聞いたことはない)
  • He is never late for the meeting.(彼は決して会合には遅れなかった)

頻度を表す副詞はゼロから、常にある状態に向けて never, seldom/rarely, sometimes, often, still/yet, always の順に並べることができる。もちろん、ほかの品詞を加えた熟語を入れれば、膨大な数になるが、一語でできているこれらの副詞の位置は be動詞のうしろ、一般動詞の前、助動詞(have を含む)のうしろである。

例2

  • I could hardly understand what she said.(彼女の言っていることはほとんど理解できない)
  • She scarcely ever tells me what she really thinks.(彼女は自分の考えをほとんど私に語ってくれない)

程度を表す副詞は、 not, hardly/scarcely/barely, only, very/much, nearly/almost, all などが主なものである。これらは動詞だけでなく、他の副詞、形容詞などにもかかることが多く、特に only は位置によって微妙に意味が変わる。万能選手なので、たとえば scarcely/hardly に時を表す ever がつくと、seldom の意味になる。

例3

  • Was he still be angry then?(あのとき彼はまだ怒っていた?)
  • He said she had visited him three days before.彼は彼女が自分を3日前に訪れたと言った)

時を表す副詞は when の元である then が過去、now が現在(か過去)を示す。ago は過去専用、before はある時を起点にしてそれより依然、since は完了形の継続的な表現に用いる。また熟語に多いが、 this/these が含まれているときは現在を、 that/those が含まれているときは過去を示す。

例4

  • People living there seem to be satisfied.(そこに住む人々は満足しているようだった)
  • Take your hat off when you enter the house.(その家にはいるときは帽子を脱ぎなさい)

場所は here と there が基本である。ほとんどは前置詞と名詞の組み合わせで示されてしまうので、一語の副詞は少ないが、 on, off, up, down, out, over などの形の上では前置詞と重複しながらも動詞と結びついて特殊な位置関係を示すばかりか、さまざまな熟語を生み出すものもある。(短副詞の項参照)

例5

  • I think, therefore, I exist.(我思う、故に我あり)
  • She shouted out. Otherwise, I would have met the accident.(彼女は大声を出した。さもなければ私は事故にあっていたことだろう)
  • She went alone notwithstanding.(それでも彼女は一人で出かけた)

接続を示すものは接続詞に似ていて、理論的流れを示す thus, therefore, hence, thence や全文の内容の繰り返しの too, either や前文の肯定や否定を受け継ぐ、 so, neither (+倒置文)や、条件的な then, otherwise そして譲歩的な notwithstanding, nevertheless, nonetheless などがあげられる。これらは使い方によっては大変便利で、代名詞ならぬ「代副詞」と名付けたくなるような働きができる。

例6

  • He was casually dressed. = He was dressed in a casual fashion.(彼は普段着の服装をしていた)
  • He always walks slowly and lazily.(彼はいつもゆっくりだらだら歩く)
  • She gladly accepted the invitation to the party.(彼女はパーティへの招待を喜んで受けた)
  • Unfortunately, she declined to date him.(残念なことに、彼女は彼とデートすることを断った)

一単語としての様態の副詞は数限りなくあり、多くは「 in +(形容詞)+ way/manner/fashion で書き表せるものである。自動詞にはうしろにつけ( vi + ad )、他動詞と目的語の場合はその前におく( ad. + vt + O )ことが割合に多い。文全体を修飾する場合には文頭に来る。

名詞の格 目次へ

名詞は、その文中の働きを示すために、格と呼ばれるもので分類する。ラテン語のように、名詞の語尾にそのはっきりした印を付けるのと異なり、英語では所有格の 's 以外は動詞からみた相対的な「位置」によって判断する。

例1

  • Who is he? / What is Mr.Johnson?
  • It's me that wrote the letter. ( = It's I...)(その手紙を書いたのは私だ)

主格は動詞の前、そしてまた be動詞のうしろにあるのが原則である。上の who, what の文では、前後どちらも主格であるといえる。また主格をうしろに持ってくると発音しにくい時は me, her, him, us, them の場合、「目的格」の形を借用する場合がある。

例2

  • Who are you looking at? ( = At whom are you looking at? )
  • This is the person I have been talking with. ( = This is the person with whom I have been taking. )

目的格は他動詞や前置詞の後ろに置かれる。 what や which と違い、 who には疑問詞でも関係詞でも目的格専用の whom があるのだが、次第に発音しやすい who に置き換えられつつあり、前置詞があっても後置される傾向にある。

例3

  • My son's house is near the station.
  • The train's passengers were all saved.
  • a friend of mine /that camera of Tom's(私の友達・トムのあのカメラ)

所有格はそれと所有関係にある名詞の前に置かれるが、人や動物に用いる場合と、無生物に擬人的に用いる場合とに大別される。後者は慣用的なものが多く、自分勝手に作ると不自然な文になる。また共に並べられない語があるときは、所有格代名詞を of のうしろに持ってくることができる。

例4

  • He insisted on their (them) coming to the dinner.(彼はぜひとも彼らが夕食にやってくるようにと言い張った)

動名詞の意味上の主語は目的格より、所有格にする方が文法的に正当であると言われている。ただし一般名詞は 's を省略する(つまり目的格)ことが多い。

例5

  • Don't touch the book whose cover is broken. ( ...the book's cover )(表紙の破れているその本にさわるな)
  • Don't touch the book the cover of which is broken. ( ...the cover of the book )(同上)

所有関係は of によって表すことができる場合があり、その場合は意味的な違いはほとんどないので、関係代名詞を使った場合でも、二通り書き表すことができる。

例6

  • Japan's attitude / Japan's economy(日本の態度・日本経済)
  • Japanese garden / American heritage(日本風庭園・アメリカ独特の伝統)
  • the street of (in) New York / the population of China(ニューヨークの通り・中国の人口)

固有名詞を修飾するという次元での所有格、 of と名詞、形容詞の3種類の持つ、名詞との関係はそれぞれ微妙に違う。所有格は実際の所有、擬人的用法も共に用いられている。形容詞は「・・・固有の」「・・・だけ特別の」という意味を含んでいる。

これに対し of は今の二つを含んでおり、理論的にはすべて of表現に還元できるわけであるが、実際には慣用的なものが多いので、不自然な表現になるおそれがある。

要するにそれぞれの特色を生かしたいのなら、上の二つがよいことになろう。ただし全体の趨勢としては 's は of に取って代わられつつある。ただし of が万能だといってもさらに場所などを細かく示すためには、、やはり前置詞( in など)を使わなければならない。

例7

  • The building is five minutes' walk of the square.(数量・その建物は広場から歩いて5分だ)
  • I am looking for men's gloves.(性質・目的・私は男性用手袋を探している)
  • Have you ever seen Shaw's plays?(発明者・作者・ショウの劇を見たことがありますか)

最後に所有格が所有関係を全然持たない場合の例である。慣用的表現が多い。所有格には、その他主格、目的格、同格の用法もあるが、 of その他の前置詞を用いた方が文意が明確になる。

否定詞(1) 目次へ

否定詞とは、一般に not, no, never, neither, nor の n がつく5つが代表的である。これらは文の中でどのように使われているだろうか。特に not と no の違いが判然としていない人が多い。これらの用法の基礎を学ぼう。

例1

  • I cannot understand at all what she says.彼女の言っていることがまったくわからない
  • Not a soul was seen in the street.通りには人っ子一人見あたらなかった
  • Do you think she will pass the examination? I am afraid not.彼女は試験に合格すると思う?残念ながらだめだと思う
  • Who broke the window? Not me.誰が窓をこわした?私じゃありません

副詞である not は動詞をはじめとする名詞以外のものに係り、一般的な否定文を作る。not を名詞に連結するには途中に a, one, any を挟む。また at all や in the least と結びつくと否定の語気を強める(完全否定)。また省略的な用法としては、 that 以下の内容や会話の返答を not 一語で否定文を代表する働きがある。

例2

  • Not every student was present at the meeting.すべての学生が会合に出席したわけではなかった
  • All surgeons are not clever with their hands.すべての外科医の手先が器用だというわけではない
  • It is not always difficult to solve mathematical problems.数学の問題を解くのは必ずしも困難だというわけではない
  • This new music group is not unpopular.この新しい音楽グループはなかなかの人気だ
  • There were not a few people in the square.広場には少なからぬ人々がいた
  • The impact of the incident is not small.事件の衝撃は大きい

部分否定は形容詞の every や all, 副詞の always, entirely, completely のような「100%」を示すような語と結びついて示される。二重否定的表現は un のつく語、small や low のような「減少傾向」を示す語と結びついて表される。

例3

  • The cat was not thirsty, but hungry./ The cat was hungry, not thirsty.猫はのどが渇いていたのではなく、空腹だったのだ
  • The cat was not thirsty, but it wanted to drink it.猫はのどが渇いていたわけでなかった、しかしそれを飲みたがった
  • She is unmarried, not that ( = not because ) she dislikes men but that ( = but because ) she wants to have her own way.彼女が未婚なのは男が嫌いだからではなく、自分の生き方を通したいからだ
  • Time is not only precious but also elusive.時は貴重なだけでなく、すばやく逃げてゆく

また not は A を否定して B を肯定にする [ not A but B または B, not A ] や A よりむしろ B を選択させる [ not only A but (also) B (as well) ] 表現の材料として重要である。なお、 A と B は原則として同品詞で「対照」関係にある。だから、2番目の例文の場合の but はただの「しかし・・・」である。

例4

  • No food was found in the refrigerator. ( X Any food was not found...) 冷蔵庫には食べ物がまったくなかった
  • No loitering.あたりをうろつくな

no + 名詞は not a/one + 名詞または not...any + 名詞と見なすことができ、「一つもない」ことをはっきり示す。また any + 名詞を not の先においてはいけないことになっているため、当の名詞が主語に当たるときには必ず no で始めなければならない。また、掲示でお目にかかるのは No + ing の形である。これは禁止事項を示す簡潔明瞭な表現である。

例5

  • She took no small part in the business.彼女はすこぶる重要な役割を果たした
  • There were no fewer than 100 people at the party.パーティには100人もの人々がいた
  • Oyayubi-kozo was no larger than a thumb.親指小僧は親指ほどの大きさしかなかった

例4では no を名詞の前に置く決定詞的働きを示したが、例5のように副詞的働きもある。no + 形容詞の原級は、単なる否定を越えてしばしばその逆の意味にまで達するが、not + 形容詞に比べると大げさな感じがする。(軽いどころか実に重い役割だ)

no + 「減少傾向の形容詞・副詞の比較級」は予期したよりも多かったことを示す(・・・も)、no + 「増大傾向の形容詞・副詞の比較級」は予期したよりも少ないことを示す(たった・・・だけ)。

否定詞(2) 目次へ

not と no 以外にはどんな否定の語があるだろうか。

例1

  • I have never seen such a stupid person as he.( = Never have I seen...)彼のような馬鹿な人間をみたことがない
  • Never mind!気にするな、もういいよ
  • Have you ever been to China? I never have.( = I have never been to China.)中国へ行ったことがありますか?一度もありません

まず never は ever の否定形ということで主に時・頻度を表すのに用いられる。時を示すときは通常現在完了形と共に用いられ、否定の副詞の一種なので文頭に来るとそのうしろが疑問文のような倒置になる(・・・倒置の項参照)。

また命令形の強めにも Don't の代わりによく見かける。また現在完了形で、過去分詞を除いて返答をする場合にはリズムの関係から never を have の前に持ってくる。

例2

  • Neither of the students is good at mathematics.( X Either of the students is not...)学生のどちらも数学が得意ではなかった
  • Neither book is interesting.どちらの本もおもしろくない

neither は both, either の系列で of の前につく代名詞用法と、名詞の前につく形容詞(決定詞)用法があり、二者間のものに関して両方を否定する。なお any の場合と同じように not を either の前に先立たせてはいけない。

例3

  • He neither smokes, goes to karaoke bars, nor plays golf. / He doesn't ( either ) smoke, go to karaoke bars, or play golf. 彼はたばこを吸わないし、カラオケにも行かないし、ゴルフもしない

either の接続詞的な用法の時は、二者間でもそれ以上の個数でもすべてを否定にすることができる。このときに最後のものの手前に来るのが nor である。またこの言い方は not A (n)or B でも not either A or B でも代用できる。

例4

  • "I don't know the way.""Neither ( Nor ) do I!"「道がわからない」「私もわからない」
  • I can't swim, and neither can he. / I can't swim, nor can he.私は泳げないし、彼も泳げない

副詞的な用法では、対話文の中で先にしゃべった文の中の no, not, never に対応してこちらも否定であることを示すのに用いられる。代わりに nor を用いてもよい。

これに対して二つの文が結びついている形では、副詞である neither の前には and を必要とする。もともと接続詞である nor には and は不要である。なおこれらの文で気を付けるべきことは、 neither も nor も共にその後の語順が疑問文と同じく倒置になっていることだ。

例5

  • This radio has been nothing but trouble.このラジオは故障だらけだ
  • I had no alternative but to save her.彼女を救う以外に手だてはなかった
  • There is no question but (that) he is a coward.彼が臆病者だということは疑いの余地がない
  • There is no man but has self-esteem.

否定詞ではないが、 but は「・・・を除いて」「・・・しないで」というような否定的な意味を持ち、no と結びついたときは only に近い意味が生ずる。例文では1行目が前置詞的用法、2,3行目が接続詞的用法、4行目が関係代名詞的用法になっている。なお3行目の but は特別で、 that に置き換えられるので、否定的意味はない。

例6

  • I can't go on without any of his advice.彼の忠告なしには何もできない
  • In a hurry, I left home without having lunch.急ぐあまり、昼食を食べずに家を出た
  • There is no coat, so you have to go out without.コートはないのだから、着ないでで外出しなさい

前置詞の without はnot に近い意味を持っている。だからそのうしろの名詞の前に any を入れることがある。また動名詞を入れることによっても否定の句を作り、前にある動詞や名詞を修飾することができる。最後の例は名詞がうしろにつかない without の副詞的用法である。実際には coat を補って考える。

that/what構文で名詞節を作る 目次へ

名詞節を形作るものとして that と what は中心的な働きをしている。これらのパターンをしっかり頭に入れておくと名詞節の入り交じった長い文の読解がスピーディになる。

例1

  • What I saw is beyond description.(私の見たものは言葉ではとうてい言い表せない)
  • That he is alive is certain.(彼が生存していることは確かだ)

まず that と what との違いであるが、that は接続詞であるから、そのうしろに完結した、いかなる文をつけてもよい( that SV...)。これに対し what は主語・目的語・BE同士の補語の役割を果たすという3つの場合がある(what SV.../what V.../what S be... )。例文では saw の目的語となっている。that の系列では whether (接続詞) when, where, why, how (いずれも副詞)などがあり、what の系列では、which, who(m) がある。例1ではそれぞれの名詞節が is の主語となっており、原則として単数扱いである。

例2

  • I don't think that it will rain.(雨が降らないと思う)
  • Do you know what has become of him?(彼がどうなってしまったか知っていますか)
  • I wonder if she will accept my offer.(彼女は私の申し出を受け入れるかしら)
  • I am afraid that she will not come on time.(彼女は時間通りにこないのではないかしら)

名詞節の2番目のパターンは最もよく見かける形である、他動詞の目的語としてである。 think や know のように that も wh- も両方とれるものもあれば、 believe のように that のみのものもある。また wonder, decide, ask, know, doubt, see, remember などはうしろに whether だけではなく文頭にはつけられなかった if もくることもできる。なお afraid, aware, careful などの形容詞と that の結びつきも純粋な意味では名詞節ではないのだが、このパターンに類似している。

例3

  • The trouble is that he is always doing it very slowly.(問題なのは彼はいつだって鈍いということだ)
  • The reason is that ( x because ) he is not used to quick action.(その理由は彼が素早い行動に慣れていないことなのだ)
  • The question is whether he tries to improve his skill.(問題は彼が自分の腕を磨こうとするかどうかだ)
  • The question whether he tries to improve his skill is still unclear. (彼が自分の腕を磨こうとしているかどうかは未だに不明である)

第3のパターンはBE動詞のうしろの that/whether節である。reason のあとは because(副詞節)でないことに気を付けよう。ほかに The problem / The fact / The point is that...などがあるが、いずれも熟語的なものとして定着している。なお4番目の例にあるような question と whether 以下との同格関係はこの間にあったBE動詞を取り除くことによってできる。同格節は名詞を修飾するので、形容詞節と見る人もいる。

例4

  • I worry about whether he is willing to do it by himself.(彼が一人でそれを喜んでやるかどうか心配だ)
  • They talked late into the night as to what was in store for India.(インドには何が待ち受けているかについて、彼らは夜遅くまで話し込んだ)

4番目として、数は多くないが前置詞の目的語としての名詞節がある。これらは depend on などのように動詞と組になっているものが多い。ただし as to は wh- とよく結びつく。なお except that, in that の熟語的表現を除いては that の前に前置詞をつけることができない。

例5

  • That a bear in the cage is always walking back and forth means that it is desperately bored.(檻の中のクマがいつも行ったり来たりしているのは、恐ろしく退屈しているのだ)
  • Whether he will pass the examination depends on how many books he can read through.(彼が試験に合格するかどうかは何冊の本を読破できるかにかかっている)
  • What I want to say is that nothing is so precious as time.(時間ほど貴重なものはない、と私は言いたいのだ)

最期に名詞節が2つついた例を示した。一般に what が前、 that が動詞のうしろに来ることが多いようだ。1番目の例では mean が使われているが、これはBE動詞についで使用範囲が広い。depend on は「・・・かどうか」の二者選択を示すので whether を使うことが多い。

代名詞は特定・不定二つのパターン 目次へ

代名詞の用法は冠詞の使い方と似ていて、特定・不定の2種類に大別することができる。種類がかなり多いのでここでしっかりまとめておこう。

例1

  • Here are some books. These are hard to understand.(ここに何冊かの本があります。これらは理解が難しい)
  • He laughed in a loud voice. How could he behave like that?(彼は大声で笑った。なんでそんな振る舞いができるんだ?)
  • The population of China is far larger than that of Japan.(中国の人口は日本の人口よりはるかに多い)

距離的に近いものをさす this, these は了解済みであったり、これから述べられようとしている人・もの・考えが現在存在していることを示す(現在・未来的)。一方、距離的に遠いものをさす that, those は現在了解済みのことのほかに、たった今話題にされた人・もの・考えをさす(完了的)。さらに that, those は it と違い、うしろに前置詞句(特に of )をつけることができる。距離的に中間的な it, they/them はすでに述べられたものをさす。だから this, that より常にあとに出てくる(過去的)。これらはみな I/me/mine などの人称代名詞と同様、「特定」のものをさしている。

例2

  • I want to get an umbrella. Show me a red one.(傘を買いたいんです。赤いのを見せてください)
  • Which one is your new girl friend? She is the one whose hair is curly.(君の新しいガールフレンドはどれ?巻き毛の子だよ)

「不定」を表す代名詞の代表格は one である。it などがすでに出てきたものをさすのに対し、 one などはこれから登場するものを前もって述べていると考えられる。one の特徴は前に形容詞を、うしろに分詞や関係詞をつけることができ、複数形にもできることである。関係詞でつなぐときには the をつけることもある。

例3

  • Does she have any good idea? No, she has none of it.(彼女はなにかいい考えはありますか?何にもありません)
  • Few of the passengers were alive.(乗客のほとんどは生存していなかった)
  • Do you like milk?Yes, give me some.(ミルクが好きですか?ええ、少しください)
  • Don't drink too much even through there is plenty of water.(たとえ大量の水があっても飲み過ぎてはいけない)

数量の系列 all, each, many/much, some, any, few/little, none は普通の代名詞としてだけでなく、「全体の中の一部」を示すために「...of (the) 名詞」の形でも用いることができる。また none 以外のものは名詞の前につける決定詞的用法を兼ねている。(たとえば some milk ・・・決定詞の項参照)

例4

  • Nobody knew how to swim in such a rushing stream.(こんな激流の中では誰も泳ぐすべを知らなかった)
  • I think someone is at the door.(誰かがドアの所にいるようだ)

不定代名詞の中で人をさすときには every/some/any/no+one/body があり、ものをさすときには every/some/any/no+thing が使われる。例4のような使い方ではうしろに of をつけることができない。( x somebody of )

例5

  • I have two fountain pens. One is okay, but the other is leaky.(私は二本の万年筆を持っています。一本は正常ですが、もう一本はインク漏れがします)
  • There are many candies. Did you take only one? Take another.(キャンディがたくさんあります。一個しか取らなかったのですか?もう一個とってください)
  • One-third of the audience are boys.The others are girls.(観客の3分の2は男の子だ。残りは女の子だ)
  • Some people are fond of apples and others oranges.(リンゴの好きな人々もいるし、オレンジの好きな人もいる)

相関関係を持つ代名詞の対は3種類に分けられる。まず2者間では one...the other の組み合わせ、3者以上の中では one/ones...another/others/the other/the others の組み合わせがある。ここで other(s) に the がついたときに注意すること。 a がつけば another となり不定であるが、 the の場合は「残り全部」を特定することになる。不特定多数の中では some...others の組み合わせが用いられる。ここでも others の前に the がつかないならば、第3のグループ、すなわちリンゴもオレンジもどちらも好きでない人も存在することになる。

例6

  • When you take a bath, don't forget to wash yourself.(お風呂にはいるときは体を洗うのを忘れないように)
  • He could not make himself understood in English.(英語をしゃべっても彼は相手に通じなかった)
  • We thought he would fail the examination and such was the result.彼は試験に不合格だと思っていたが、結果はその通りだった)
  • The twins looked the same.(その双子は同じに見える)

再帰代名詞と呼ばれる oneself は人称代名詞の強調形として使われるほか、主語と同一人物の「体」や「考え方」を示す目的語を示すのに使う。such は it/one と違って前述の事実や行動を示す。 same はうしろに person, thing, condition などが省略されていると考えるので、必ず the を same の前につける。

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