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第6章 動詞のはなし;その2

  1. タ・テイル・テアルは魔法のことば
  2. タ形は完了形か過去形か?
  3. タ形と複文
  4. <コラム>英語における完了・未完了
  5. 条件文におけるタ形
  6. 話法その他におけるタ形について
  7. テ形+イル・アルによる状態表現
  8. <コラム>英語における状態と動作
  9. テ形+イタによる状態表現
  10. 推量形は未来派課程を表すか?
  11. <コラム>現在完了形と日本語訳について

日本語に時制の区別がなくても問題ないそのわけは?何気なく使っている「タ」にその秘密があったのです。そして「テイル」「テアル」という“記号”がコミュニケーションに重大な役割を果たしていたということです。

「タ」「・・・テイル」「・・・テアル」は魔法の言葉

英語(西欧語)と違って、日本語にははっきりした時制の区別もないし、完了形や進行形という存在も見あたらないようです。多くの人々がはじめて英語を文法的に学習して、これらのシステムが英語に存在することを知りますが、いったい日本語はそれらなしでうまく言語生活を送っていけるのでしょうか?

もちろん可能です。というより縄文時代から現代に至るまで、日本人はこの大和言葉と漢語の組み合わせで立派にやってきたわけです。言語に優劣はないといいます。それぞれの文化的背景や生活様式に深く根ざした方法が見事に適応して定着したわけで、それぞれの話者はいったんそれを母語とすると、生まれてから死ぬまで立派に道具として使いこなすことができるわけです。これはもう、体の一部になったといってもいいくらいで、たとえば親指と人差し指を使って物をつまむ、というようなごくあたり前の存在になっているのです。

さて、日本語には面倒なシステムがないといいましたが、それでも表現の中心となるきわめて重要な語句が存在します。それは「・・・タ」「・・・テイル」「・・・テアル」の三つです。いずれも動詞のテ形をもとにしてつくり、<文末表現>に属します。動詞の表現する内容が文のもっとも大切な部分ですから、これらはその明確な位置づけをするのに役立っているのです。

「タ」は現在と過去のできごとを区別するだけではありません。あるできごとがすでに終わっているのか終わっていないのか、つまり<未完了>と<完了>とを区別するのに役立っています。そして世界の言語をみまわすと、現在形と過去形の区別がなくとも、未完了、完了の区別をしない、またはそれに無頓着な言語はありません。

日本語では未完了といっても、未来や現在や繰り返しなど、守備範囲は広く、これだけでは不十分です。このため「・・・テイル」は、未完了の表現の中で、動作・状態の継続がおこなわれていることを示します。これに「タ」を加えれば、「・・・テイタ」になり、過去における動作・状態の継続が示せます。

さらに、「・・・テイル」は、人間中心の「イル」と、モノ中心の「アル」の違いをそのまま引き継いだ「・・・テアル」を生み出しました。これにより、意思的なことに対応して無意志的、放任的なことをあらわすことが可能になりました。これは自然な状態、人間の手の加わらない状態、受動的な状態を示すのに有効です。

「イル」「アル」は本来、”存在表現”です。どうも日本語は、このタイプの表現が好きなようです。「私には家族が3人いる」というのが普通であって、英語式に「私は3人の家族を持っている」というのがが何か不自然に聞こえます。つまり存在表現が”所有表現”の代わりに使われるほど愛用されているのです。

このように日本語では英語とはまったく発想の違うシステムが展開しているのです。地球上の言語の多様性は驚くほど大きく、言葉を研究することに興味が尽きないのも、人間の知恵が生み出した産物が、場所や時が異なるとこんなに多くの種類が生じるということに気づかされるからでしょう。それでは次の項から、これらの魔法の言葉をくわしくみていくことにしましょう。

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タ形は完了形か過去形か?

<Warming up > 次の「タ」は何を表していると考えられますか。「水がなかっタら・・・」 

(1)現在、実際には水があるのだが、ない場合を想定した言い方。「水がなければ」と同じ意味。

(2)過去の経験について述べており、実際には水は存在していた。普通過去をあらわす語句や文脈が伴う。

「タ」はたいへん便利な言葉ですが、使用例が非常に多く、はっきりした使用基準がないようです。しかしこのままでは言語表現があいまいになってしまう恐れがあります。いくつかの例をあげてどんな働きをしているのかをみてみましょう。

例;書く kaku →書いて kaite →書いた kaita

すでに述べたように、日本語動詞の活用形のうち<テ形>の最後の部分 te を ta に直すといわゆる<タ形>が生じます。これは<過去形>とも呼ばれており、英語の場合 write → wrote となりますのでこれは単純に当てはめることのできる変化だと思う人が多いようです。しかし日本語での「タ」はもっとほかにもたくさんの使い方があるのです。

例文1;昨日、宿題を終えた。I finished my homework yesterday.

例文2;宿題を終えます。I will finish my homework.

例文3;宿題を毎日6時に終えます。I finish my homework at six every day.

例文4;もう宿題を終えた・宿題をすでに終えています。I have already finished my homework.

この4文を比較してみると、第1の例文では「昨日」が入っているために、「終えた」は問題なく過去形としてとることができます。英語の場合も過去形の finished です。ところが第2の例文はマス形で「終えます」とあり、一見<現在形>と見なしたくなりますが、こういう表現はたいてい本人の実行の決意を含んでいるときであり、むしろ<未来形>あるいは<非過去>といった方が正確なのです。

しかし例文3のように「毎日6時」とあれば、これは毎日の習慣や繰り返しを示すものであり、時間を超越しています。この場合、英語では(動作をあらわす動詞の)現在形を使うことになっています。日本語では「います」「あります」のように<状態>を示す表現の場合も、「終えます」「書きます」「走ります」のような<動作>を示す表現の場合にも、文脈や場面によって現在・未来の両方を感じさせます。

ですから英語でこれらをあらわす場合にはれっきとした現在形や未来形 will だけではなく、「・・・する予定である be to不定詞」「・・・することになっている be going to不定詞」「・・・するつもりだ intend to不定詞」「・・・する決意である be determined to不定詞」「・・・する計画だ plan to不定詞」などが必要になる場合が多いのです。

そして例文4にある「もう、すでに」を含む文の場合ですが、これはある過去の時点において宿題を終えたという意味ではなく、「さっきまでは宿題は未完成だったのだが、現在は完成した状態になっている」という意味ですから、新しい表現方法が必要になります。これを<完了>と名づけます。英語では<現在完了形>という時制がこれに最も適しています。

このように終わっているかいないかだけに注目すると<未完了・完了>の対立が生じるわけです。多くの人々がこのタ形を使うことによって生じる、<過去・非過去>と<完了・未完了>の違いを混同しています。なお、<・・・・・・テイル>は「走る」「食べる」などの一般的動作の場合には今やっているところ、つまり英語でいうところの<現在進行形>にあてはまる表現ですが、”瞬間的”動作を表す動詞の場合、完了の意味を持つ場合があります。たとえば「死んでいる」とは「死んでその結果が生じた状態で維持している」という意味だからです。

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mso-bidi- mso-font-kerning:0pt'>タ形と複文

多様なタ形の使い方は他の文との組み合わせでいっそうはっきりします。ここでは「動詞のル形+とき+一般動詞」の組合せで考えてみました(ただし、動詞の性質によっては必ずしもこれが通用しない場合もあります)。

英語の学習を始める人々がこの点に注目すれば時制の扱いがずっと楽になります。日本語には英語にある<現在完了、過去完了、仮定法過去、仮定法過去完了>に正確な意味で該当する時制がありません。しかし工夫次第ではこの「タ」をうまく使ってなんとか表現することが可能なのです。

ここでは連体修飾の一つである<動詞「スル・シタ」+トキ>を使ってふたつの行為の「同時性」と「時間のずれ」について4種類の場合を考察してみます。なお、日本語では全体の時制は<文末>によって決定されることを忘れないでください。

例文1;・・・スルトキ・・・スル 夕食を食べるときこの薬を飲みます。 When I have s I take this pill.

両方が時間的に原則的に同時である文。「飲みます」は夕食という毎日のできごとと組み合わされているため、<いつもの習慣>であると考えられます。「食べるとき」は食前・食中・食後の違いには正確に言及していないので、文脈によって変わってきますが時間的に「飲む」のとほぼ重なっています。英語では take は現在形でよい。have のほうは<時の接続詞による副詞節>の中という特殊な事情により、内容が現在・未来に関わらず will は使いません。

例文2;・・・シタトキ・・・スル 夕食を食べたときこの薬を飲みます。When I have had ( have finished having ) s, I take this pill.

「・・・トキ」の中身が完了したことを示している文。「飲みます」はやはり<いつもの習慣>であっても、これに対応する「食べた」は、常に「飲みます」に動作の順で先行し、正確には「食べ終わった」ことを意味しています。「食べた」は明らかに過去形ではなく、たんなる完了を示しているのです。英語ではこれも<時の接続詞>の中であるために完了形ではありますが(ここでは現在完了)、やはり内容が現在・未来に関わらず will は使いません。

例文3;・・・スルトキ・・・シタ 東京へ行くとき妹が駅まで来てくれた。 When I left for Tokyo my sister saw me off at the station. (注; see + 人 + off 見送る)

例3では主節にある「来てくれた=見送ってくれた」は昔に起こった話を述べているということで<過去形>だということは確定的です。「東京に行く」というのもこの文の中に含まれている以上、過去に起こったのは確実ですが未完了であるとすると、「来てくれた」のは「行く」のとほぼ同時またはその以前ということになります。英語では「行く」だけの表現では時間関係があいまいなので、瞬間を表す動詞の過去形、「出発した left 」 になっています。

例文4;・・・シタトキ・・・シタ 東京に来たとき妹が駅まで来てくれた。When I arrived in Tokyo my sister met me at the station.

例4の文末「来てくれた=迎えに来てくれた)」は過去形です。ところが「来たとき」となっているので、これは完了をあらわし、時間的には「東京に来たとき」が先で「来てくれた」が後になります。英語の場合には「(瞬間的に)来た」をいいあらわすのに come では不正確なので、過去形の「到着した arrived 」を使っています。

なお、ここで arrived を<過去完了形>にするべきだと主張する人がいます。arrived の方が met よりも先に起こったからだというわけです。しかし When I had arrived in Tokyo my sister met me. という文は「私がすでに東京に到着しているのに妹は(遅ればせながら)迎えにやってきた」というような when の本来の用法にあわない、へんな意味です。例文の場面では到着と出迎えがスムーズに連絡しているので両方とも過去形であらわします。

まとめ;日本語動詞のタ形は単文においては一般的な過去形と考えて多くの場合差し支えないが、複文の一方に使われているときは、「完了・未完了」の観点から、もう一方の文の生起時間よりも<以前>だということを示すのに使われていると考えられます。このようにタ形はさまざまな使用状況を含むので、これを英文と比較するときは正確な分析が必要なのです。

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<コラム>英語における完了・未完了

英語においては完了・未完了をどうやって区別しているでしょうか?これは日本語と比較するときだけでなく、他の言語間での違いを知るためにも重要な点です。英語では<現在・過去・未来の完了形>という形で完備しているようです。もっとも、「瞬間」をあらわす arrive, finish, die などは過去形のままでも完了の意味を含んでいるようにもみえます。

例文1;郵便局に行って来たところだ。 I have just been to the post office. (完了)

例文2;鍵をなくしてしまった。 I have lost my key. (結果)

例文3;イタリアに行ったことがある。I have been to Italy before. (経験)

例文4;知り合って3年になる。We have known each other for three years. (継続)

例文5;けさからこの本を読んでいる。I have been reading this book since this morning. (継続)

一般に完了形、特に現在完了形ではその機能を4つの種類に区分しています。それは「完了」「結果」「経験」「継続」です。上記の4つの例文を見ると例1、2、3となるにつれ、”時間的な距離”が次第に遠くなってはいるものの、いずれも完了的な意味を示していることがわかるでしょう。特に been to という「往復運動」を示す場合に just (例1)と before (例2)によってその違いがあらわしていながら、根本的には連続していることがわかります。また例2は例1と例3の中間に位置すると考えられます。

ところが例4、5だけは異質な印象を受けるに違いありません。例4の know は状態を表す動詞、例5は現在完了の進行形であり、read という動作を表す動詞が使われています。なぜならこれらの文では何一つ行為が完結していないからです。完結するどころか現在に至っても続いているというある状態の連続性だけが強調されているように聞こえます。従って<継続>だけは現在完了の中ではその名前にそぐわない特殊な用法だといえます。

例文6;駅に着くとすでに列車は出ていた。When I arrived at the station, the train had already left.

例文7;日本に帰る頃には桜の花が満開になっていることだろう。By the time I come back to Japan, the cherry trees will have fully blossomed.

この区分は過去完了、未来完了においても同様です。ただ違いは例文では when節や by the time節によって示されている、それぞれ「過去の起点」「未来の起点」をもとにして話が展開しており、現在完了の場合には「現在」そのものが起点になっている点が異なっています。

例文8;何もしていないときは何か新しいことを考えている。When he is doing nothing, he is thinking of something new.

例文9;シャワーを浴びているとき電話が鳴った。When I was taking a shower, the phone rang.

それでは未完了はどのようにして表されているでしょうか?例8,9に見られるように<進行形>がその役割を果たしています。現在進行形は現在を視点において、いずれ”終わるはず”の行為や変化を示し、過去進行形は過去のある時点において同様の内容を表しますが、いずれも完結したということはまったく述べていません。完了進行形と違って for や since を用いないのは、始まりも終わりも明示しない、ある特定の時点における事実の恣意(しい)的な”切り取り”にすぎないからです。

英語では完了形が<完了>を、進行形が<未完了>を示すとなると、いわゆる現在形や過去形が中途半端な時制に見えてきます。時制の種類が多すぎるのかもしれません。実際のところ、現在形、過去形は時間の流れの中でそれぞれ<現在の点>、<過去の点>をばくぜんと示すだけで、話の舞台を設定する役割を持っているだけなのだと考えられます。

英語の動詞は、<状態動詞><動作動詞><瞬間動詞>などの名前で”非公式”に分類されていますが、これらの動詞の働きが多種多様なため、それぞれが進行形や完了形になった場合にはかなり複雑な様相を見せています。日本語でも動詞をこれと似たように分類することがありますが、そのときには<タ>と<・・・テイル>をうまく使い分けなければなりません。

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条件文におけるタ形

日本語で条件文を作るとき、「・・・タラ」「・・・バ」「・・・ト」「・・・ナラ」の4つが代表的ですが、その中で「タラ」にはすでにタ形が含まれています。「バ」「ト」にはタ形が含まれません(非公式に「・・・たらば」、「・・・たとすると」というのはあるが・・・)。「・・・ナラ」は<ル形>も<タ形>も両方使うことができますので、これを利用してその違いを見ていきましょう。条件文の場合でも「・・・スルトキ/シタトキ」の場合と同じく「・・・スルナラ」はうしろの文と同時かそれよりあとになり、「・・・シタナラ」はうしろの文より時間的に前ということになります。

例文1;・・・スルナラ・・・スル 8月に旅行に行くなら一週間休みを取ります。If I am to go on a trip in August I will take a week off.

例文2;・・・シタナラ・・・スル 旅行に行ったならおみやげを買ってきます。If I go on a trip I will buy you souvenirs

例1の「行くなら」は不完了であり、旅行についての予定、予想、思い付きを示しているに過ぎません。この例1での英語の文は<条件の副詞節>の中なので will を使えませんが、「予定である be to不定詞」などを使って未来をあらわす工夫ができます。

例2では前から順に読んでいけば時間の流れに逆らうことはありません。英語の仮定法過去による形式に< if + 動詞の過去形>というのがありますがこれは実際にあり得ない想像の世界で起こることを述べるためにわざと過去形にしているのであって、これを機械的に受け取り日本語にあてはめて、「水がなかったら」にしなければならないという”思いこみ”を聞いたことがあります。「水がなければ」「水がないなら」でもいっこうにかまわないはずです。

むしろ例2で気をつけなければならないのは、主節が未来についての内容ですから、「旅行に行ったなら」も同じく未来の出来事であり、ここでは時間の前後というよりも、「旅行が実現したならば」という点が強調されていることから、旅行の出発についての<完了>を示しているだけだということです。

例文3;・・・シタナラ・・・シタ(ダロウ) もし私が助けなかったなら、あなたはおぼれていただろう。If I had not rescued you, you would have drowned.

例3では「・・・ナラ」の節にも主節にも<タ形>が用いられています。この場合違った機能をそれぞれ持っていると考えなければなりません。・・・ナラ節における<タ形>は、「助けないなら」と比較してみるとわかるとおり、<完了>と<過去>の両方の意味を表すことが可能です。

ところが主節の「イタだろう」は「イルだろう」と比較すると、これは純然たる過去の内容を示していることがわかります。もっとも、「おぼれてイルだろう」も<結果>を表していると解釈すれば過去の内容だととることもできます。この点、日本語では表現にかなりの幅があるようですが、「タ」を加えた方が誤解のおそれがないのは確かなようです。これに対応する英語では<仮定法過去完了 had + p.p. >という動詞の形式があり、この公式に従って書いてある限り、誤解の心配はありません。

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話法その他におけるタ形について

例文1;あの人は毎日運動をしていると言いました。He said that he took exercise every day. / He said, "I take exercise every day."

<タ形>がもう一方の文よりも以前におこったということから、これを英語での話法による複文と比較すると、それぞれ興味深い現象が観察できます。例1では話法として「・・・と言った」の中にだけタ形が含まれています。日本語では、同時性がはっきりしていれば、鍵かっこに包まれていてもいなくても同じく、しゃべった内容そのものを書き写せばよい。ですから「言いました」がタ形であっても、「運動をしている」にはタ形の出番はありません。

英語の場合では said は過去形ですが、直接話法では日本語と同じく take は現在形、ところが間接話法となると主動詞に引きずられて took 、つまり過去形になっています(<時制の一致>の規則)。

例文2;あの人は昨日運動をしたといいました。He said that he had taken exercise the day before. / He said "I took exercise yesterday."

例2ではしゃべった内容が本来過去形になっていますから「運動をした」もタ形が使われています。すなわちタ形の”二重使用”です。こういう場合はどちらが先なのかは付属している語と文脈でもっで判断するしかありません。日本語はタ形で書かれたことよりさらに以前のできごとを表すのは、「昨日」「去年」のような過去をあらわす語句なしには不得意なのです。ところが英語の場合には過去完了 had taken を利用して「言った」より「運動した」ほうが先であることを明示しています。もっとも、英語では過去完了よりさらに古い過去を現す方法はありませんが・・・

例文3;彼は金持ちだったといわれていた。He was said to have been rich. / It was said that he had been rich.

例文4;30分前に到着したので何もしないで待っていなければならなかった。Having arrived there thirty minutes before, he had to wait doing nothing.

英語でのこのような記述の方法は例3,4での<準動詞>の場合にも徹底しています。例3では「言われていた」より「金持ちだった」ことのほうが先です。It was said that の場合には後の文が過去完了になっています。準動詞の一つである<to不定詞>を用いた場合には、 to be rich ではなく、 to have been rich という<完了不定詞>というものを用いて時間のズレを明示しています。

例4では「到着した」と「ならなかった」の二つがタ形になっています。先に起こった「到着した」に着目すると、準動詞である<分詞構文>で書いてありますが「30分前」なので arriving の代わりに having arrived という<完了分詞>が使われています。

例文5;明日映画に行くんだと彼は言った。He said that he would go to a movie the next day. / He said, "I will go to a movie tomorrow."

では未来の場合はどうでしょうか。例5では「言った」だけがタ形で、もう一方の文には「明日」が含まれていますから前後関係に迷うことはありません。これに対して英語での直接話法で使っていた助動詞 will が間接話法では would となっています。この would を見る人は本来、未来形だったのだが、said という主動詞が過去形であるために would になってしまったとわかるのです(これも<時制の一致>の規則)。

例文6;もっと朝早く起きるべきだった。I should have gotten up earlier this morning. / I ought to have gotten up earlier this morning.

例文7;昨日雨が降ったに違いない。It must have rained yesterday.

例文8;それは本当だったはずがない。It can't have been true.

例文9;彼は迷ってしまったかもしれない。He may have lost the way.

最後に未来形以外の助動詞の場合ですが。義務の気持ちを表す「・・・べきだ」に対して後悔の気持ちを表す「・・・べきだった」とタ形を含む場合は、話者のもつ<現在の気持ち>に対して動詞の方はそれより<以前の出来事>であることを示しています。この「べき」以外では、タ形の位置は共通です。

これらを英語で表現するには shall-should may-might, can-could のような単なる過去形への変換ではなく、should get up を使う代わりに should have gotten up という<助動詞完了形>を利用します。例6から9まではみなそのタイプに属します。

まとめ;このようなわけで日本語では<未完了=タ形なし>と<完了=タ形>の2段階だけを巧みに使って時間の前後を表現してしまうが、英語の場合には過去形のほかに過去完了というものがあり<過去のそのまた過去>を示すことができるし、現在形も未来形もそれぞれの規則に従って正確に時間を示していることが特徴です。

一言でいえば日本語のほうが2分法のためずっとシンプルで、西欧語の一つである英語のやり方では時制の扱い方が複雑です。ただし皮肉なことに、時制がきっちり決まっているほうが外国人にとってはいったん覚えてしまえば扱いやすく、シンプルすぎるとかえって微妙な点にいたる習熟に悩まなければならないという面があるようです。

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テ形+イル・アルによる状態表現

<ウォーミング・アップ>次の5つの文にある「・・・テイル」の区別をつけてみよう。また英語ではどんな表現がよいか考えてみよう。

(1)太郎さん、イスの下に何か落ちていますよ。

(2)学生たちは今図書室で数学の勉強をしています。

(3)テロリストは移動する際、バスを使っている。(捜査官のコメント)

(4)彼女の意見は間違っています。

(5)ソマリアでは今も、多くの子供たちが死んでいる。(報道文)

解答例;(1)結果の状態→一般動詞は不要。be動詞と前置詞の組合せ。Somthing is under the chair. など (2)動作の持続→現在進行形 are studying mathematics (3)過去の事実→過去形 used the bus / took the bus など(4)単なる状態→適切な形容詞(句)を探す。 Her idea is in the wrong. など(5)反復を表す→die ではなく成句 die off の現在進行形。 are dying off. など

このようにしてみると、「・・・テイル」といっても実に多様な使われ方をしていることがわかります。それではその実体を詳しく眺めてみましょう。

例文1;彼は本を読んでいる。He is reading a book.

例文2;彼はそのことを知っている。He knows about it.

「・・・テイル」でもっともよく知られているのが<未完了>を継続させる働きでしょう。もとになるのは、日本語でも英語でも<動作>が示されている動詞です。英語では< be + Ving >、つまり現在進行形にになる場合が多い。中学校では「・・・しテイル」「・・・し・・・テイルところだ」は、機械的に進行形に変換するように指導しているところが多い。しかし動作が伴っているとは思われない動詞(状態動詞)の場合にも「・・・テイル」は使用可能です。ですが英語ではそのタイプの動詞は進行形が作れないので現在形のままにしておくしかありません。

例文3;彼女は母親に似ている。She resembles her mother. 誤 She is resembling her mother.

例文4;ホテルは駅前に立っている。The hotel stands in front of the station. cf. 兵士は門の前に立っている。The soldier is standing in front of the gate.

「(何かに・誰かに)似る→似ている resemble 」や「(山が)そびえる→そびえている stand 」などは英日いずれも共通点があります。つまり<動作・変化>から<状態の継続>への移行です。これらの動詞は日本語では日常生活において「・・・テイル」を使うのが普通で、単なる<ル形>ではあまり使い道がありません。これに対して英語では、これらを現在進行形にしなければいいだけのことで変化はありません。ところで stand には”生物”を主語とする用法があります。この場合は山や建物と違い、いつかは立つのをやめるものですから進行形が可能です。

<瞬間変化>を表す動詞の場合ですと、また別の意味が生じます。「到着する arrive →到着している have arrived 」と変えた場合、今到着の”最中”であると思う人はいません。これは到着がすでに終っており、その場所にいるという<結果を表す状態>だと解釈できます。ですから英語の場合には、過去形ではなく現在完了・結果>を使って表さなければなりません。

しかし日本語の動詞「ありふれる→ありふれている」「ばかげる→ばかげている」「すぐれる→すぐれている」となると、英語ではこれらに相当する適当な動詞があるでしょうか?ここまで<状態>に重点が置かれると、もはやこれは動詞ではなく形容詞の領域にはいってくると思われます。動詞は<動作や変化>、形容詞は<状態>というようにだいたい受け持ちが決まっていてその間のグレー・ゾーンでいろいろと問題のある語句が見つかるわけです。

例文5;彼女は数学がすぐれている。She excels in mathematics.

例文6;トムにすばらしいアイディアが浮かんだ。Tom had an excellent idea.

したがって英語では、形容詞であれば「ありふれた common, ordinary, everyday 」「ばかげた foolish, stupid 」「すぐれた excellent 」などが和英辞典では見つかるわけです。もっとも「すぐれる」という動詞は「・・・の点ですぐれる excel in... 」「・・・よりすぐれる excel (他動詞)」というふうに具体的な説明や比較を伴うときにはなかなか使い勝手がよいのです。

例文7;本が机に置いてある。The book is left on the table. ← They left the book on the table.

例文8;壁に落書きが書いてある。A scrabble is left written on the wall. ← A scrabble is written on the wall.

例文9;掲示板に伝言が書いてある。A message is written on the board.

「・・・テアル」は意志的な「・・・テイル」と異なり、モノが放任されているという意味を含んでいます。したがって誰かが何かをしたのだが、今では誰も省みる人もなくそのままになっていることを示します。これをあらわす代表的な英語の動詞は leave でしょう。また、例7で示したように、本来は人間が主語になるものをモノが主語になっているので受動態にしなければなりません。例8も同様で単なる write の受動態とは違い、left written となることによって放置されているさまを強調します。しかし例9では文脈上、放置されているという意味が弱いですから、left を含みません。

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<コラム>英語における状態と動作

日本語では、「・・・テイル」「・・・テアル」に示されるように、比較的手軽に<状態>を示す方法が発達しています。英語では、状態と動作を区別するのに、動詞を使い分ける傾向があります。たとえば「走る run ・歩く walk 」は動作動詞、「知っている know ・所属している belong ・似ている resemble 」は状態動詞、「死ぬ die ・到着する arrive ・終える finish 」は瞬間動詞、と大まかに分けることができます。この3つの区分に従いますと、進行形や(現在)完了形の使い方に関しても一様ではありません。

状態表現はかなりの部分がこの状態動詞によってあらわされていますが、「驚かせる surprise 」に対して「驚いている surprised 」や、「がっかりさせる disappoint 」に対して「がっかりしている disappointed 」のように感情表現になると、動詞表現では扱いにくくなります。そこで登場するのが形容詞です。正確には<be + 形容詞>という表現をとるようになります。「死ぬ die →死んでいる dead 」や「生きる live →生きている alive / living 」「結婚する marry →結婚している married 」なども同様です。

このような場合、動詞とは別個の形容詞を作ることもできますが、動詞を変形させて形容詞を作って間に合わせることも数多く行われてきました。英語の語彙では Ved や Ving の形をとっていながら、もはや現在分詞や過去分詞ではなく、すっかり形容詞となって辞書の見出しに載っているのが多いのはそのせいです。

これらに加えて、日常生活ではさまざまな場面があり、「暗い be dark 」「怒っている be angry 」に対して、「暗くなる get dark 」「怒る get angry 」が必要になることもあるわけで、再びわざわざ動詞を持ち出すことも面倒ですから、ここで< get + 形容詞>が工夫されました。これは動詞と形容詞の”中間的”存在だとみなすこともできます。get の代わりに become / turn / run / grow などを使うこともあります。

こんなわけで英語の場合、動作状態表現に関しては、<瞬間動詞><動作動詞><状態動詞><get + 形容詞><be +形容詞>という、5つの大まかな区分けで語彙を作ってきました。これらが出てきたときには、使われている時制に注目しましょう。

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テ形+イタによる時間表現

例文1;彼はかつてたばこを吸っていた。He used to smoke. 

例文2;彼は昨日の休憩時間中にたばこを吸っていた。He was smoking during the break yesterday.

例文3;彼が10歳のときにタバコを吸っていたという事実を私は知っていた。I knew the fact the he had smoked when he was ten.

「吸う→吸った→吸っていた」のように並べて書いてみると「・・・テイタ」は単なる過去だけではなく、過去における状態、またはさらにさかのぼった過去を示すのにも利用されているのがわかります。このため「・・・テイタ」の場合には状況や他に付属する語によって三つの解釈が可能です。

例1のように、昔はしていた<過去の習慣>で、今はしていないことを暗示しています。英語では used to + 原形の形がよく使われます。もう一つは例2,3にあるように<一時的な状態>と<一定期間の状態>で、動作動詞の過去進行形や過去完了形を使うタイプ。

例文4;袋から取り出したときに花瓶はすでに壊れていた。 When I took it out of the bag, the vase had already broken.

「・・・スルトキ」に対して「・・・シタトキ」がもう一方の文より時間的に前だということを示すといいましたが、単に前というだけでなく、すでにある<結果>が生まれているときには、あとにくる文は「・・・シタ」では同時性しかあらわさず(つまり「壊れた」ではなく)、例4のように「すでに」を補助にして、「・・・テイタ」や「・・・テシマッテイタ」が必要です。

「・・・テイル」「・・・テイタ」のさまざまな使い方のうち、このようにいくつかの動詞(瞬間・変化・結果をあらわすもの)は結果の<持続過程>を表すというものにあたります。ですから「花瓶の壊れた状態がいつまでも続いていた」ことになります。連続した出来事ではなく、このように一方の結果がすでに出てしまったいる場合、英文では過去形+過去形の組合せで書くわけにはいきません。先に結果が生じてしまった内容のほうは<過去完了形>を使って書かなければなりません。

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推量形は未来や仮定を表すか?

「読む yom-u →読もう yom-ou 」で<意志形>が生まれます。さらに「読むだろう、読むことだろう、読むでしょう、読むと思われる」はいずれも「読む」から派生した表現で、これらは一般的に<推量>と呼ばれる分野に属します。話者の主観的態度(モダリティ)の一種で、日本語では動詞のうしろ、つまり文末に置かれます。これにはさまざまな種類があり、そのいくつかをのぞいては普通の人には英語に翻訳不可能です。しかしどうしてもはっきりさせておかなければならない部分もあります。

例文1;明日は雨でしょう。It will rain tomorrow.(予想)

例文2;明日は雨になりそうだ。It is likely to rain tomorrow.(可能性)

例文3;明日はきっと雨だ。It is certain to rain tomorrow.(確信)

例文4;もし携帯電話がなければ暮らしていけないだろう。If I didn't have a portable phone, I could not go on living.(想像)

例1のように英語で未来形を必要とする文に対して、日本語に実は will に対応するぴったりした語がないため仕方なく、<推量>表現のどれかを借りて間に合わせているのが実状なのです。推量を使ったのは未来世界について確実に予見できる人は誰もいないからです。そもそも英語の will にしても<単純未来><意志未来>などと話者の気持ちと実際のできごとが混ぜ合わさっています。

ところで「私は来年アメリカに行くでしょう」は I will go to the U.S. next year. の訳として正解といえるでしょうか。そうだとすれば、この人は”予言者”なんですね!この「私」を主語にする「・・・でしょう」では、未来でもないし意志を表してもいません。むしろ、「行こうと思っています」「行くつもりです」「行きます」のほうが近いでしょう。特に、日本語の現在形というのは現在と未来の両用タイプですから、最後の「行きます」でも十分ではないでしょうか。

例2,3における be likely to不定詞、be certain to ( be sure to ) 不定詞も、<話者の態度>を表しています。例4では仮定法の would を使っていますが、仮定法は日本語に存在しませんから、これも<推量>表現を使うことになります。学校教育では訳をするとき、未来形や仮定法は「だろう」をつけるように指導していますが、試験の点数を減らさないためには仕方がないにしても、このような機械的な当てはめかたに固執するのは危険です。「・・・と思われる」「・・・であろう」「・・・という想像が可能である」など、さまざまなバリエーションが考えられるわけですから。(仮定法をはじめとする<法>については第14章「モダリティ」で詳述します)

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<コラム>現在完了形と日本語訳について

日本の中学校では英語の時制をわからせるためにそれぞれに固有の日本語を当てはめておぼえさせるのが”主流”です。

例文1;私はちょうど宿題を終えたところです。I have just finished my homework.→「・・・したところです」(現在完了・結果完了)

例文2;私は今数学を勉強しているところです。 I am studying mathematics now. →「・・・しているところです」(現在進行形)

例文3;フランスに行ったことがありますか?Have you ever been to France?→「・・・したことがあります」(現在完了・経験)

例文4;私はけさから数学をずっと勉強しています。I have been studying mathematics since this morning.→「(ずっと)・・・しています」(現在完了進行形・継続)

それぞれの日本語訳には、できるだけ英語のもとの意味を写し取ろうとした諸先輩の苦労のあとがよく読みとれます。例1での「ところ」とは本来の場所の意味からものごとが成就したときの時間的区切りを示すために用いられているのを借用したわけで「・・・したばかり」と同様、物事が生起してからわずかしか時間がたっていないことを的確に表しています。

これは例文2の現在進行形でも効果的に使われています。この場合「・・・している」でも重文に伝えることができるのですが、「ところ」を加えることによって、限定された時間枠を暗示できるからです。進行形は必ず始まりと終わりがありますからその点をよく表しているのです。

しかし例文3の「・・・したことがある」については、「こと」がまとまった行動を表すことから採用されたわけですが、生徒たちは逆にこの表現から現在完了が可能であると短絡的発想をする場合が少なくありません。日本語では「・・・ことがある」が他の表現と併記されることを禁じる決まりなどありませんから、「子供の時アメリカに行ったことがある I went to the U.S. when I was a child. 」などを作った場合でもここに「行ったことがある」が入っているから現在完了形にするのだと思いこんでしまう。

実は英語では「子供の時 when I was a child, in my childhood 」などは<過去の時点>を示しているために現在完了形とはいっしょに用いることができない。代わりに過去形を使わなければなりません。

例4では、<継続>を表すのに「・・・テイル」を採用しています。しかしこれは現在進行形と混同しやすいこともあり、「ずっと」を付け加えて区別しようとしたりしています。実はこれは「・・・から since 」(出発時点)か「・・・のあいだ、間 for 」(継続期間)を加えることで解決します。

このようによくできた日本語訳ではありますが、それらの機械的運用は禁物であり、日本語の分析と英語の分析を同時におこなって思わぬ行き違いが生じないように注意しなければなりません。だからこそ日本語と英語の文法構造の違いをきちんと理解しておく必要があるのです。

<わかりますか?>状態動詞 know と動作動詞 run を使った表現を、英語と日本語で考えて比較してみましょう。

状態動詞

(1)知る come to know ;(2)知った knew ;(3)知っている know ;(4)去年から知っている have known since last year ;(5)その時、知っていた knew then ;(6)去年から知っていた had known since last year (7)知るだろう will know (8)知っている(こと)だろう would know (9)知っていた(こと)だろう would have known

考察例;

(1)正確には「知るようになる」。つまり、はじめは知らなかったが、時間がたつうちに知識・情報が増えていくのである。know は動作動詞ではないので、 come to / get to のような助動詞的表現の補助がいる。

(2)不思議なことに、英語の過去形ではある時点で、突然知識・情報が手に入ったことをあらわしている。

(3)この動詞のもっとも得意とするところ。このように現在形のままで「状態の継続」を表している。将来、”知らなくなる”などということはないから終わりを想定していない。進行形は不適。

(4)知り始めた出発点( since )、現在に至るまで知っている期間( for )を加えた場合には、現在完了形が必要である。

(5)過去の時点を明示した場合は(2)の場合と異なり、その時点での「状態の継続」が示される。

(6)たとえば、”秘密”がばれたときに使う。ばれた時点からさかのぼって出発点( since )か期間( for )とともに、過去完了形を用いる。

(7)「だろう」は推量であるが、ここでは未来をあらわすのに使われている。

(8)これを「知るだろう」と厳密に区別するのはむずかしいが、・・・テイルを使っていることは「状態」に重点をおいているのだから、未来というよりも、自分の頭で想像した世界を示すのにふさわしい。英語では仮定法過去の助動詞( would 原形)を用いる。また、コトを加えれば、ますます物語性が増大する。

(9)これは(8)と同じく想像の世界であるがタを含んでいるので過去に起こったことを示している。英語では仮定法過去完了の助動詞( would have p.p. )を用いる。

動作動詞

(1)走る run ;(2)走った ran ;(3)走っている is/are/am running ;10時から走っている (4)have been running since 10 ;(5)その時、走っていた was/were running then ;(6)10時から走っていた had been running since 10 (7)走るだろう will run (8)走っている(こと)だろう would be running (9)走っていた(こと)だろう would have been running

考察例;

(1)この日本語では現在、未来、毎日の習慣、どの解釈でも場面しだいである。英語では現在形であるが、未来の場面に使うには will をつけたほうが無難だろう。

(2)過去のある時点においてあったできことを示している。過去形。

(3)・・・テイルがあるために状態の継続であり、いずれは必ず”終了”するべき性質のものなので、英語では現在進行形。

(4)走り始めた出発点( since )、現在に至るまで走っている期間( for )を加えた場合には、継続だということもあって現在完了進行形が必要である。

(5)過去の時点を明示した場合は(2)の場合と異なり、その時点での「状態の継続」が示される。英語では過去進行形。

(6)たとえば、突然アキレス腱が切れたときに使う。切れた時点からさかのぼって出発点( since )か期間( for )とともに、過去完了進行形を用いる。

(7)「だろう」は推量であるが、ここでは未来をあらわすのに使われている。

(8)これを「走るだろう」と厳密に区別するのはむずかしいが、・・・テイルを使っていることは「状態」に重点をおいているのだから、未来というよりも、自分の頭で想像した世界を示すのにふさわしい。英語では仮定法過去の助動詞( would 原形)を用いる。走っている姿を思い浮かべるのだから進行形にするのが望ましい。また、コトを加えれば、ますます物語性が増大する。

(9)これは(8)と同じく想像の世界であるがタを含んでいるので過去に起こったことを示している。英語では仮定法過去完了の助動詞( would have p.p. )を用いる。

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