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第8章 形容詞のはなし:その1

  1. 形容詞の区別
  2. <コラム>形容詞文の終わらせ方
  3. 限定用法:「赤い花」
  4. <コラム>名詞が名詞を修飾する?
  5. 叙述用法:「花は赤い」
  6. <コラム>海は生きている・生きている海
  7. イ形容詞<コラム>
  8. 連体詞とは
  9. ナ形容詞

ほとんどどんな単語とも関わりを持つ副詞と違い、形容詞はつねに名詞と関わりを持つ単語。日本語での使い方には3通りあります。一つは「問題は簡単だ」(形容詞文)、そしてもう一つは「簡単な問題」(名詞止め・・・名詞を修飾)、そして最後に「簡単に解決する」のように<・・・ニ>や<・・・ク>でおわる(副詞的用法・・・動詞を修飾)。最後の副詞的用法は、英語においては独立した副詞としての単語が別にある(たとえば easy と easily )のが普通ですから注意が必要です。

形容詞の区別

例文1;この建物は高い。 This building is high.

例1の主語は建物ですから無生物的なものです。もちろん、「あの人は高い」も可能ですが、その場合の主語は人であっても”物理的性質”の点から見ています。このような観点から使用するのは「低い」「元気な」「静かな」「細い」「太い」などで、みな<属性形容詞>とよばれます。これは英語にもだいたいあてはまることです。

例文2;(私は)彼女のそんな態度がうれしい。I feel happy to see such an attitude of her.

これに対し例2では主語はうれしさを感じる人が主語になっています。こちらは「いやな」「悲しい」「痛い」「かゆい」「恋しい」「さびしい」のグループで<感情形容詞>に属します。「私(たち)」つまり<1人称>での使用が多く、主語はたいてい省略されています。これらを英語で言えば I am / We are というよりは I feel / We feel で始まるほうが向いているかもしれません。

例文3;彼は彼女のそんな態度をうれしがっています(うれしく思っています・うれしそうです・うれしそうにしています)。 He feels ( looks / seems ) happy to see such an attitude of her.

ところが例3のように主語が<3人称>になったりすると、そのまま「(・・・ガ)うれしい」が使えず、「(・・・ヲ)うれしがる、(・・・ヲ)うれしがっている」というように「がる」という派生動詞が必要です。さもなければカッコ内に示したように別の方法で書き表すしかありません。しかし英語では主語が変わっても、動詞や形容詞部分には変化がありません。三人称単数現在のときに動詞のうしろに s をつけるぐらいなものです。

もっとも、中学校の教室では今日も、 He is happy. は「彼はうれしい・彼は楽しい」と生徒が訳して先生が「ヨシ!」と言っていることでしょう。口頭訳では日本語での不自然な表現が厳密に追及されることはないのです。英語教育の最初の段階でこのような状態ですから、内容のレベルがあがっていったときにどうなるか、読者のみなさんにも容易に想像がつくと思います。

「ほしい」も1人称のための感情形容詞です。「私はビールがほしい I want beer. 」と書くと want が動詞だということに違和感を持つ人もいます。でも一人称の主語に対して、「望んでいる」だの「ほっしている」だの、ましてや「ほしがっている」ではあまりに普通の日本語の感覚から離れてしまいますね。

例文4;悲しい。 I am sad.

例文5;その風景を見て悲しくなった。The sight made me sad.

例文6;その風景を見て悲しくなった。 I was saddened by the sight.

形容詞での「属性」と「感情」の区別は英語でも日本語でも割に似通っていますが、日本語での形容詞の問題点はしばしば動詞と区別がつきにくいことです。「驚く→驚かせる→驚いている」「悲しむ→悲しませる→悲しんでいる」のように、動詞から派生した表現は感情形容詞とはいえません。

一方、感情形容詞では「悲しい」から「・・・ガル」という派生動詞と結びついた形「悲しがる」を引き出すことができます。「悲しい→悲しくなる」は「・・・クナル」を結びつけて作りました。また、「ほしい」は動詞ではなく形容詞で、3人称主語の形は同じく「・・・ガル」をつけて動詞となり「ほしがる」となります。

「私は水がほしい」といっても英語では wish, want, desire をつかい、いずれも動詞ですから厄介です。「水を望む」「水を欲する」「水を求める」と動詞で表現するとあまり現代日本語らしくありません。英語では例4のように sad という感情形容詞があり、be sad, feel sad, become sad のように形容詞は変えないままで( beタイプの)動詞を取り替えると表現に違いが生じます。

また、例5の文のように make の中に取り込んで主語に悲しさの<原因>を示しても sad は形容詞のままです。例6のように他動詞 sadden という語はありますがフォーマルですからわざわざこれを使う緊急性はありません。

英語では、似たような意味の場合、原則として動詞は「変化、動作」を表すことに重点がおかれ、形容詞は「状態」の表現に重点がおかれます。といってもそれは機械的に決めることができるわけではなく、たとえば「腹が立っている be angry →腹を立てる get angry 」のように形容詞の前に来る動詞を取り替えるだけでもその程度の変化をつけることは可能です(他動詞で anger というのは存在しますがたいていは受動態で使いますし、受動態に使われている過去分詞というのは形容詞に近い性質を持っているのです)。

形容詞の活用は動詞ほど豊富ではありませんが共通点もあります。普通形、ナイ形、タ形を使って基本4表現(下記参照)その他を作ることのできるほかに、バ形をはじめとする条件文、・・・ソウをつける様態(暗そう、うまそう、幸せそう)、・・・ヨウなどの推量、テ形(暗くて)、デ形(心配で)などがあります。

日本語の形容詞は語尾をちょっと変えるだけですぐに副詞的に使えるようになります。「美しい beautiful →美しく beautifully」「重い heavy →重く heavily 」「きれいな pretty →きれいに prettily」など。さらにそれらの変化を表す「・・・クナル」をはじめとしたいろいろな動詞に続く形にも使えます。

ところがこれを機械的に英語にあてはめると大変なことになります。「美しくなる become beautiful 」「美しくみえる appear beautiful 」「あいかわらず美しい remain beautiful 」ではいずれも副詞ではなく、形容詞の beautiful を使っています。日本語を直訳したような become beautifully はまちがいになります。これは日本語の場合、副詞用法である「美しく」と「なる」という派生動詞との結合であるのに対し、それに相当する英語では途中の動詞は be動詞タイプ(第2文型)であって、主語との直接的な関係で(主語は名詞なので、それを説明するため)形容詞を使うことになっているのです。

日本語では主語は書かれないことが多いために、文中の修飾関係からも仲間外れにされる傾向があります。ところが英語の場合は強制的に主語をつけるので、今の場合のように主語とのなんらかの結びつきのある語が文中に存在する be動詞タイプの文型が多数使われています。ですから形容詞か副詞かというような品詞の設定にも主語が大きくかかわってくるのです。

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<コラム> 形容詞文の終わらせ方

日本語の文では、<名詞文>、<形容詞文>、<動詞文>というふうに3つの区分の仕方をしますが、その中でデス・マス体によって作られる形容詞文というのはあまり最後がしまらないようです。

よくテレビのインタビューでアナウンサーが子供たちに向かってイベントなどの感想を聞くと、きまって「たのしかったです」「よかったです」「おもしろかったです」という返事が返ってきます。なかには緊張のあまり?、「たのしかったでした」のように過去をあらわす「タ」を2度も繰り返してしまう子もいます。

子供たち同士や親しい人との間では「たのしかったネ」「よかったヨ」「おもしろかったワ」で十分なものを、レポーターの前ではよそ行きの返事をしなければならないと彼らはかしこまっているものだから、わざわざ「デス」をつけることになります。

だが、もともとこれは<名詞+デス>で自然に使われるものなので、<形容詞+デス>はやや無理をした表現なのでしょう。こういうときは<形容詞+名詞+デス>の形式にすればよいのです。たとえば「たのしい祭りです」「おもしろい展示でした」のように。

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限定用法;「赤い花」

<限定用法>とは本来は英文法の用語です。主として形容詞(相当語句)が前からうしろの名詞を修飾する(前置修飾)用法をいいます。他の言語ではうしろから前のこともあります(後置修飾)。日本語では「連体修飾」に相当するといわれています。

「赤い花」は「赤い」+「花」の組み合わせでできています。「白い花」も「黄色い花」と花はいろいろあり、それらの中で、形容詞(相当語句)を使って「赤い」だけに限定するのが「名詞修飾」です。これは日本語、トルコ語、朝鮮語などでは<連体修飾>といっています。

連体修飾は名詞の前にしかつかないので、わずかな単語のときはいいが、情報量が多いときは不便です。英語をはじめとする西欧系の言語では<分詞>や<関係詞>など接続のための形を使って名詞のうしろに置くことができるので、いくらでも長くすることが可能です。

「赤い花」と a red flower / red flowers を比べてみましょう。日本語では「赤い」は、「大きい」「重い」などと並んで「い」で終わるため<イ形容詞>の仲間です。「元気な」「静かな」「便利な」も形容詞と考え、最後が「い」ではなく、「な」で終わっていますので<ナ形容詞>とよびます。ナ形容詞は学校文法では形容動詞とよんでいます。「元気」だけだと名詞として使えますが、ここでいうナ形容詞とは、「元気な・元気です・元気だ」と変換できるものをいいます。もちろんすべての名詞に機械的に「ナ」がつけられるわけではありません。

名詞修飾での日本語と英語との語順を比較しますと、形容詞が前、名詞がうしろで基本的には同じです(英語では名詞のうしろにくる特殊な形容詞もありますが、それは例外的です)。ところが決定的に違う点がありますね。それは red のまえの a / the 、または flower のあとの s です。

英語では flower が数えることが可能な名詞(可算名詞)なので、必ず a (単数)または -s (複数)の記号を必要とします。さらに特定のものであることを表す定冠詞 the があり、不特定のものであるときは、単数では a に置き換えて、複数ではうしろに s を伴ったまま先頭につけることになっています。

冠詞も一種の形容詞であって、a flower があって、そこにさらに形容詞 red を加えるときも特殊な構文( so/as/how/too のあと)の一部にならない限り、a が先頭です。。さらに「3本の・・・」と数詞をつけたいときには可算名詞の場合、単に three red flowers とするだけで「・・・本」にあたる言葉を必要としません。ただし不可算(数えられない)名詞や対(つい)になっているものは a cup of coffee や a pair of shoes のように< (単位)名詞+of >を利用して形容詞の働きをさせます。

日本語では、花が一本なのか数本なのか特定のものなのかそうでないのか、必要に迫られない限りあまり気にしないようなので、それを示す特別な言葉がいりません。このように限定用法に関する限り、日本語での表現は非常にシンプルです。

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<コラム>名詞が名詞を修飾する?

形容詞が名詞を修飾する以外に、英語では”前の名詞がうしろの名詞を修飾する”という場合が数多くあります。たとえば stone も bridge も名詞ですが、a stone bridge となれば「石(製の)橋」ということになります。これは形容詞と名詞の組み合わせである a stony bridge における、「石のような橋、石に覆われた橋」とは違った意味を持つようになります。

一般に名詞が名詞を修飾するとき、ずばりそのものを示すのに対し、形容詞のときは”性質”だけを説明することに重点がおかれているようです。このシステムのおかげで、表現手段が増え、変化が激しく次々と新しい現象が生まれる現代生活での語彙作りに一役買っています。

このやり方は日本語の中の昔からの文法体系に基づく”大和(やまと)言葉”には見受けられないものの、漢字の熟語ではまさに”石橋”に見られるとおり、さまざまなコンビネーションが使われています。漢字の場合も英単語と同じく、何も特別な語尾の記号がつくこともなく容易に他の漢字と結びついてしまうのです。

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叙述用法;「花は赤い」

本来は英文法の用語です。叙述用法とは主語を説明する形容詞が be動詞またはその同類のあとのくる用法をいいます。ただし目的語を説明する場合には間に be動詞は一部の例外を除いてはさまない。日本語でもこのタイプをこのように呼ぶことがあるが、be動詞がないのだから安易な同列化は危険です。

一般に、「赤い花」のあとに<。>は来ないが「花が赤い」のあとには<。>が来る。これは前者が単なる名詞を中心とする固まりなのに対し、後者は文だからです。文は主語とそれに続く述語部分が結合したものです。

「花が赤い」では、<・・・が>が主語であるという印<ガ格>になっています。困ったことに、この「花」が既知のものなのか初登場のものなのか、単数なのか複数なのかまるでわからないということです。ですから明確に伝えるために「この・あの・その」のような言葉を補う必要が出てきます。

英語では冠詞があります。これでだいぶ話しているときの状況がつかめてきます。ただし問題となるのは、a と the との違いです。英語ではある名詞が指すものが自分にとって特別な意味合いを持ってくるとき the が必要になります。それは単数の時も複数の場合も同様です。a は数多くの中から任意に取り出したひとつであることを示しますから、当然初登場です。

西欧語に多数で見かける冠詞は不可欠なものなのか?それとも無しで済ませることができるのか?これは大変難しい問題です。ごらんのとおり、日本語には冠詞が存在しません。冠詞の存在しない言語は世界中にいくらでもあります。でもおそらくその働きは別の表現方式が肩代わりしているのでしょう。これは将来解明すべき大変興味深いテーマです。

次に主語と形容詞の間に挟む is (単数)と are (複数)ですが、これらがなくても文だとわかりそうなものだけれども、英語ではあえて両者が結合しているという印を付けることになっています。この<BE 動詞>のおかげで、その前の名詞が主語、そのあとにくる語が主語と密接な関係を持っている(述語)ことが容易にわかります。

この BE動詞は特別に「・・・です」とか「・・・であります」という意味をもっているわけではありません。もちろん日本語では「花は赤いです」といわなくても、ほかに「赤いわ」「赤いよ」「赤いね」「赤いぞ」「赤いのである」など最後の形がいろいろありますから、状況に応じていろいろ付け替えてもかまわないわけです。

「元気な」「便利な」「静かな」などのナ形容詞では、「赤い」などのイ形容詞とは終わり方が異なります。文として終わるときは「彼は元気だ・元気です He is fine. 」とするしかありません。しかし英語で書くときの基本形式は「花は赤い」と同じです。

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<コラム>海は生きている・生きている海

この二つの例を英語になおすと、「海は生きている」が The sea is alive. であり、「生きている森」は the living sea. となります。形容詞をおく語順としては従来と同じですが、それぞれに使っている形容詞が異なります。というのも両者はほぼ同じ意味でありながら alive は叙述用法専用であり、 living は限定用法専用だからです。

英語の形容詞の場合、このような場合が往々にしてあるので、辞書で形容詞を調べる場合はこの点にも気をつけておかなければなりません。日本語の形容詞では学校文法での<連体詞>(後述)とよばれる一群が、限定用法専用となっています。

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イ形容詞

日本語における代表的な形容詞、イ形容詞をもっとくわしくみてみましょう。

形容詞の大部分を占めるのは、「赤い aka-i リンゴ」「広い hiro-i 部屋」「固い kata-i パン」「厚い atsu-i 氷」のように、<連体修飾(名詞修飾)>の時にイでおわる<イ形容詞>です。最後の「イ i 」をとれば語幹が残ります。<叙述用法>の4つの基本的な形を確認してみましょう。

「赤いです It is red.」(現在肯定)

「赤くないです・赤くありません It isn't red.」(現在否定)

「赤かったです It was red.」(過去肯定)

「赤くなかったです・赤くありませんでした It wasn't red.」(過去否定)

他の活用としては条件文「赤かったら aka-kattara 」「赤ければ aka-kereba 」、譲歩的表現「赤くても aka-kutemo 」や推量「赤いだろう aka-idarou 」そして連用形(副詞的用法)「赤く aka-ku 」、テ形「赤くて aka-kute 」などがあげられます。

日本語を母語にする人にとっては何でもないこの変化も外国人にとっては頭痛の種です。というのももう一つの形容詞の活用タイプがあるからです。そして日本語の場合には形容詞の語幹の後の形がどんどん変化しますが、英語の場合は比較級、最上級、付属する be動詞の一致(時制や数の変化)にだけ気をつければよい。

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<コラム>連体詞とは

連体詞という品詞は学校文法では、活用がないが連体修飾をするものということになっていますが、ここではイ形容詞の例外的な形と思っておけばよいでしょう。このような単語は英語でもあり、それらの多くが<限定詞 determiner >などとよばれていて、限定用法(注;連体修飾に該当する)だけで叙述用法がなく、ある名詞を他の名詞グループと区別したり、ある特定のものとして指し示したりします。

ある 、さる、きたる a / a certain ・・・特定せず、初めて登場したものごと(多くは単数)について述べるときに使います。

この this その the あの that どの which ・・・これらはいわゆる指示代名詞「これ・それ・あれ」、疑問代名詞「どれ」から来たものです。ものごとを特定する働きです。

こんな・そんな・あんな such 、どんな what kind of / what...like 、かかる・・・物事を特定せず、同じ種類のものを指すための語です。

大きな・小さな・・・「大きい」「小さい」という立派なイ形容詞があるにもかかわらず、こちらもけっこう使われています。「おかしな」などもこのグループに属するでしょう。

あらゆる all / every いわゆる・主たる・単なる・たった・とんだ・わが・・・これらは限られた意味しか持たないが、頻繁に使われています。

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ナ形容詞

活用の点からもうひとつの形容詞のグループを見ると、「ナ」「ダ」「デス」などで終わることのできる<ナ形容詞>をまとめることができます。ナ形容詞は学校文法では<形容動詞>と呼ばれますが、なにぶん形容詞には違いないので、日本語教育では「静かな shizuka-na 朝」「きれいな kirei-na 服」のように<連体修飾>のときの形をとってこう呼んでいます。

「きれい」はイで終わっているので一見、イ形容詞に見えますが、「きれい服」と言わず、必ず「ナ」をつけるので注意しなければなりません。「抽象」は本物の名詞ですが、「抽象的」はナもダもつけられますから、ナ形容詞です。この「・・・的」は名詞をナ形容詞に変える便利な言葉ですが、乱用は避けましょう。

最後の「ナ na 」をとれば語幹が残ります。「元気」も「清潔」ももとはといえば名詞です。これがいつの間にか形容詞になりました。このタイプの形容詞はふつうの名詞から形容詞への変化の途上にあり、いわば原始的な形容詞ともいえます。これも4つの基本的な形を書き出してみます。現代日本語では動詞もイ形容詞も<終止形>と<連体形>は同じです。しかし「その花はきれいだ」「きれいな花」で見るとおり、ナ形容詞は連体形と終止形が唯一違っているのです。

「静かです It is quiet. 」(現在肯定)

「静かじゃないです・静かじゃありません・静かで(は)ありません It isn't quiet. 」(現在否定)

「静かでした It was quiet. 」(過去肯定)

「静かじゃなかったです・静かじゃありませんでした・静かで(は)ありませんでした It wasn't quiet. 」(過去否定)

肯定形、否定形にはさまざまな変形がありますが、意外に規則的です。ここでは一部だけを書き出しましたが、時と場面、話す人と相手との関係によってずいぶん細かい際が生じるものです。英語ではこれほどの違いはなく単純化されています。

例文1;この議題は大変重要です。This agenda is very important. X This agenda is very importance.

例文2;我々は重要な議題を討議した。We discussed an important agenda.

英語でナ形容詞にあたる語を考えてみるときは注意を要します。たとえば例1では「重要です」とありますが、ふつう「重要」といえば漢語ですから名詞文を連想しますね。英語での名詞形は importance ですからこれがそのまま当てはまるのだと勘違いする人がいます。ところが、例2のように<連体修飾=限定用法>にしてみるとナがつき、「重要」と「議題」との修飾関係がはっきりします。したがって例1は名詞文ではなく、形容詞文つまり<叙述用法>であることが判明します。

日本語では、すでに使われている名詞を必要に迫られてナ形容詞を大量生産した(している)ので、両者の区別をきちんとしていない人が多いのです。こうやってみると、「ハンサム handsomeness - handsome 」「危険 danger - dangerous 」「複雑 complexity - complex 」「親切 kindness - kind 」などはみなナ形容詞の材料ですから要注意です(英語では左が名詞形、右が形容詞形)。

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro

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