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森の人 0232

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音声できくマレー語のあいさつ スワヒリ語のあいさつ

Slamat + pagi/tengah hari/petang/malam

(スラマッ = こんにちは <朝、昼、夕方、夜>)

Terima kasih

(トゥリマ・カスィ=ありがとう)

Apa khabar?

(アパカバル=あなた元気?)

Khabar baik, terima kasih.

(カバル・バイ トゥリマ・カスィ=元気です、ありがとう)

注;この khabar は、本来、「ニュース、知らせ」という意味で、apa は「何」、baik は「良い」、したがって、「ニュースは何だ?」「いいニュースがあるよ」といったやり取りを使ったあいさつ。

怪傑ハリマオ  昭和35年から一年間、日本テレビで放送されていた人気抜群のテレビ番組、「怪傑ハリマオ」は正義の使者で、マレー半島をはじめとして、東南アジアの人々の解放のために戦った。harimau はマレー語で「虎」のことである。これが日本人にとって最も身近なマレー語だろうか。

あとはマタハリ Mata Hari。マレー系オランダ人のストリッパーで、18世紀から19世紀にかけてパリで活躍し、最後にスパイ容疑で銃殺された。これは「太陽 matahari 」からきている。もともと mata だけなら「目」であり、hari は「日・曜日」である。

そして「目の保養」をあらわす、 チュチマタ cuci mata。これは今では「ウィンドー・ショッピング」の意味になっているが、本来は「見るだけで、なにもしない」からきている。

忘れてならないのは、類人猿の一種、オランウータンだ。この綴りは英語では orangutan だが、インドネシアでは orang utan と切り離して書かれる。前のほうが「人」であり、うしろは「森」で、うしろの単語が前の単語を修飾するので「森の人」となる。

オセアニアの言語のひとつ オセアニアという地域は、数多くの島で構成されている。人々は太古の昔から舟を使って、お互いを行き来していた。彼はどこからやってきたのだろう。東アフリカ、エチオピアあたりが人類発祥の地といわれているが、そこから世界中に広がった人類のうち、太平洋の大海原に乗り出した人々はどんな言語を使っていたのだろう。 東アフリカの共通語として広く使われているスワヒリ語も、もしかしてその流れの中にあるかもしれない。また、インド洋に浮かぶマダガスカル島で使われている言語にも関係があるかもしれない。

一般に、この地域に使用されている言語で最も代表的なものは、西はマダカスカルから台湾も含み、東は南太平洋の島々であるメラネシア、ポリネシアに広がるオーストロネシア語族であり、マレー語と呼ばれるものはマレーシア、シンガポール、ブルネイ、フィリピン、タイ、そしてインドネシアでは呼び名が違っていても、それらは一つの言語の方言の一部とみなされている。 だから、学習者には「マレー語」と「インドネシア語」はだいたい同じものと考えて差し支えない。ちょうど英語と米語のように。またフィリピンの「タガログ語」や台湾の原住民の使う「台湾語」もそれらに近いと言われている。

語 順 語順という点から見ると、明らかにマレー語は日本語より英語に近い。SVOの順番をとることも、前置詞と名詞の組み合わせで副詞句を作ることも同じである。また助動詞が大きな役割を果たしておりそれが同氏の前に着くという点でも英語に近い。ただし、英語では a black cat フランス語では un chat noire となるように、形容詞が名詞を修飾する場合の語順は徹底的に「後置修飾」である。

もっと具体的にみても、英語の語順とマレー語は酷似している。その点では中国語もそうだ。まったく語源の異なる単語や、漢字というもので、非常に違った言語である印象を受けるものの、品詞を並べる順番という観点からすると、これらの言語は非常に似通っているのだ。

文法構造 マレー語は、学習するうちに中国語と似ている点がだんだん増えてくることに学習者は気づくだろう。例えば、動詞にしてみると時制がない、人称による動詞の変化がない、「カンカン」「タンタン」のように同じ音の繰り返しがある、などだ。

前置詞の存在は di (~で)ke (~へ)dari (~から)dalam (~の中)などで著しい。接続詞にしてみると、英語の when/if にあたるものは数多くあり、文はそのあとに来る。これらが副詞句や副詞節を作るという点では、インドヨーロッパ系と似ている。関係代名詞すらある。yang は英語の that 並みに万能で、先行詞のあとに形容詞節を作る。

SVOの語順は基本であるが、その倒置形が多い。「あとで私は太るわ」という文は Gmuk saya nanti. であるが、これは”太っている””わたし””後に”という語順で、<形容詞><主語><時の副詞>となっている。いわゆる be動詞にあたる連結のための語がないのは、他の多くの言語に見られることだが、どうもマレー語では形容詞が文頭におかれることが好まれるようだ。

不可解な語順 時制がない、語順が英語に似ている、などと聞くとなんかマレー語は易しそうだと思えてくる。ところが、そうもいかないのだ。学習を進めて初級から上のレベルに進みはじめると、「おやっ」と思うことが出てくる。

英語の語順に親しんだ人ほど、その違いに驚くに違いない。それは一つの文の中に、動詞が2回3回と重ねて使っているように見えることだ。でも主動詞は一つだ。それ以外の”動詞”に見えるものは、実は品詞が変わってしまっている。

英語の辞書にあるような<動詞・形容詞・副詞・名詞>といったような品詞の区別がないというべきか、だから辞書を見ても、「意味」はわかっても、それを実際に文の中でどのように置くのかに戸惑ってしまう。

どうやら、マレー語では、ある単語はその隣にある単語との結びつきで品詞が決まる、あるいは文中での位置で品詞が決まる、と言っていいのだろう。だからその手順を抑えないと、文章を作ることができない。もちろん人間が作り上げた言語に規則性がないわけはないが、西洋言語の常識では通用しない部分がある。

他文化の影響 「私」をあらわすのは saya だが、日本語でも母親が子供に向かって、「私」と呼ばずに「お母さんが…」と言ったり、夫婦なのに妻が夫に向かって「お父さん」と呼ぶ現象がマレー語にも見られる。これらは言語というより、何か関連のある文化が底を流れているせいであろう。主語の省略もかなり頻繁に起こる。 いや、主語が完全に存在しない文も普通だ。

マレー半島や、インドネシアは、インド洋を挟んでアフリカ大陸、特にマダカスカルとつながっている。かつて貿易風に押されて、つまり偏西風に乗ってアフリカの言語や文化が、オセアニアへと運ばれたと考えられる。だとするとマレー語をはじめとするオセアニア諸語はアフリカの言語と何らかの共通点があるのではないだろうか。

たとえばアフリカ東海岸に多く用いられているスワヒリ語。この語はバンツー語系という中央部のコンゴあたりから派生した言語だが、SVOの語順、前置詞+目的語、接続詞+節という点を除いて、今のところ特筆すべき共通点は見つかっていない。時制にしてみると、スワヒリ語は現在完了形にあたるものまで立派に持っている。

いまのところマレー語とバンツー語系との近隣関係を無理やり指摘するのは無理だろうか。ただし、ひとつだけ述べておきたいのは”後置修飾”である。どちらの言語にしても形容詞は、必ず名詞のうしろに置かれる。(ただし強調や”大きい””たくさん”などの語は除く)

語 彙 マレー語で興味深いのは単語の構成である。中国語の場合、漢字の登場で、篇(ヘン)や旁(ツクリ)をつけたり外したりすることによって、品詞や意味を変えたりできるが、マレー語では ter-/ber-/ke-といったような接頭辞や -kan/-i といった接尾辞をつけて語彙の増加を図っている。だからもとになる単語を知っておけば、前後についている”辞”がついていても大体の意味を把握することができ、学習者にとっては、単語覚えの苦労からかなり解放される。

たとえば、「ajar 学ぶ」を知っておけば、「balajar 勉強する」「parajaran 勉強」「mengajar 教える」 などと語彙が広がる。このパターンは英語でもおなじみだが、マレー語では一層それが押し進められ、かなり体系化されているようなので、覚えやすい。

助動詞 そしてマレー語で特筆すべきことは、助動詞の活躍である。助動詞といっても、英語の must/can/may のように「動詞の原形の前につける」よりももっと広い使い方と種類がある。簡単に言えば、「know/come to know 知る・知るようになる」のように、動詞を二つ重ねて、前のほうにある動詞が文法的な意味を受け持つことがあるが、そのようなものがマレー語の助動詞である。

その中には「 must しなければならない」などと、まるで英語そっくりか、偶然に同じなのか(調査中)首をかしげるようなものもある。<可能・義務・必要・意思・未来>といった重要なものは言うに及ばず、「すでに・・・した」「・・・したことがない」のように明らかに完了時制を示しているようなものもある。マレー語の上達の早道は、これらの助動詞を早いところ覚えてしまうことだろう。

マレー語には時制がないといったが、時の副詞を適切につければ、大体わかるものだし、tengah のように進行中を表したり、「…が存在する」という意味の ada を動詞の前に使って”状態の継続”をあらわすことができる。これらも一種の助動詞だ。そもそも人間生活で起こることを表せない言語はないのだ。

発音 フランス語の単語には、最後の子音字を発音しないものが多いが、マレー語も同様である。発音しないのか、聞こえないだけなのかそこのところは微妙だが、たとえば baik は「良い」という意味だが、「バイク」ではなく、「バイ」と聞こえる。「お姉さん(呼びかけ用)」は kak だが、「カック」ではなく「カッ」と聞こえる。慣れるまでちょっと時間がかかる。

比較してみたい言語 マレー語における動詞の文法構造は、英語、フランス語、スペイン語などの西欧語とも、アラビア語とも、言うまでもなく日本語やトルコ語とも違う。ただ学習を始めてみると、西欧語との違いはたいしたことではないように思えてくる。というのも主語や動詞、目的語、副詞的表現にはかなりの類似性が見出されるからだ。今後比較の対象になりそうなのは、インドネシア語は言うに及ばず、同じく太平洋の言語である、台湾原住民の言葉、インド洋を隔てて遥か西のマダカスカル島の言葉、すぐ東のフィリピンにおけるタガログ語などがあげられよう。

マレー語における音声配列

アルファベット a b ch d e f g h i j k l m n o p r s t u v w y z

母音 a e i o u ( e には二種類の発音がある。単語によって異なる)二重母音は au ai oi の三種。

子音 p b f v t d c j k g kh gh h l r s z sy m n ny ng y i u y w q k x

何でも後置! フランス語を習った人は、a black cat が un chat noir となり、形容詞がほとんどの場合、名詞のあとに置かれる(後置)にショックを受ける。なんでもフランス人によれば、「存在は属性に優先する」という、なにやらむずかしい哲学的理由があるかららしいが、マレー語はその上をゆく。

なぜなら100%の形容詞はおろか、指示代名詞、所有格まですべて名詞のうしろに置かれるからだ。つまり英語で書けば this book ではなく book this なのだ。それならそれでいい。中途半端なところがないからだ。関係代名詞( yang )もちゃんとあって、これは大部分の西欧語と同じく、先行詞のうしろに形容詞節が続く。

また、東アフリカの有力言語であるスワヒリ語も徹底的に後置傾向がある。東海岸から西アフリカに至る、コンゴ地域の諸言語もそうだ。したがって、昔そちらからの人々がインド洋を渡って、東南アジアやポリネシア方面に移動したのではないかという憶測も成り立つ。

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マレー語による新聞サイト(全国4大紙) 
外部リンクHarian Metro 外部リンクBeria Harian 
外部リンクUtsan Malaysia  外部リンクKosmo!

前置詞の存在 さて、西欧語では大手を振って歩いている「前置詞」だが、これはマレー語にあるのか?

 オンライン辞書
外部リンクCambridge Dictionary 英語ーマレー語、マレー語ー英語で使用可能。

外部リンクBab.la これはインドネシア語辞典であり、英語・インドネシア語の両方で使える。

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 インターネット・ラジオで聴くマレー語 

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学習書 外部リンク白水社の「ニューエクスプレス・マレー語」(ファリダ・モハメッド+近藤由美:著)を使いました。マレー語の教科書は、英語などと違って学習者の数が問題にならないほど少ないので、これといったよいものが見つかりません。しかしこの本は、日常会話のさまざまな場面を取り扱っており、文法も一通り学べますので、一番すぐれた入門書だと思います。これより上のレベルについては、英語で書かれたテキストや副読本を探すことになります。

また、「ニューエクスプレス」に先立つただの「エクスプレス・マレー語」(著者は同じ)というのもあり、少々難しいが、これもまた優れた教科書です。ベストはこの二種類を同時に勉強することです。残念ながらこの旧版は絶版になっており、各地の図書館でも処分されたりしていますが、どこかの古本屋の片隅にきっと残っています。私もそういう方法で手に入れました。

辞書 マレー語の学習者には、やはり英語⇔マレー語タイプがよいでしょう。イギリスの出版社には長い歴史を持っているものもあると思いますが目下調査中です。参考までに、これはペナン島へ行ったとき(1977年!)に、書店で買ったもの➡ Practical New Crown Dictionary of National Language / by Dr.S.Santoso / Singapore Royal Printers.co.

簡易会話教本 外部リンクlonely planet 社の、Malay Phrasebook は容易に手に入ります。解説は英語です。重要なマレー語の決まり文句や東アフリカ圏内の旅行や生活に必要な単語はほとんど網羅されています。さらにバスや鉄道の利用の仕方、一般的な商習慣などの文化面についても詳細の解説がついています。英マレー・マレー英の小辞典つき。マレー語の基礎を一通り勉強した方なら、実に実用的価値の高い1冊だといえます。

また、2019年クアラルンプールに行ったとき書店で勧められたMalay Made Easy / A.W.Hamilton / Crescent News 社のものが、例文も豊富な初心者向け教科書です。

音声できくマレー語のあいさつ スワヒリ語のあいさつ  

Jumpa lagi nanti

(ジュンパ ラギ ナンティ=さようなら、また会いましょう)

2014年6月初稿 2020年9月最終更新

以後随時更新します

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro

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