政治時評

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22世紀にも日本国に米軍基地はあるだろう

エアコンをつけてもらう、米軍基地周辺の屈辱

厚木基地では毎日のように海軍機が太平洋での演習のために、人口密集地帯上空を往復する。その騒音は耳を覆うほどで、会話はまったくできないし、音楽もまったく中断される。そこでその周辺の市町村では、住民が窓を閉めたままでいられるようにと、エアコンの取り付け補助を行っている。これほど屈辱的なことが考えられるだろうか。60年前にアメリカに負けたことで、これほどまでに耐え忍ばなければならないのか?

実際に聞いてみよう!

音声ファイルspeaker

これがアメリカ軍ジェット戦闘機の騒音。雨の日、厚木基地へ、相模湾から帰る戦闘機2機が頭上を通過したときに録音したもの。これが3時間にわたって次々と飛来する。ボリュームをいっぱいにして聞いてみてほしい。通過する間は、会話はもちろん音楽も何も聞こえず、ただ神経に障る轟音が生活するわれわれのうえにたたきつけられる。

耐え難いジェット戦闘機の騒音。太平洋戦争で負けたばかりに占領された日本の国土は60年断ってもいまだにアメリカの占領下にある。日本の歴代首相は、経済の安定的発展と引き替えに恒久的な軍事基地を国内に置くことを認めてきた。

何事にも事を荒立てるのが嫌いな日本国民は一方では経済繁栄というアメをもらい、独立国に基地が存在するという屈辱的な自体に、大多数が見て見ぬ振りをしてしている。これは従順な「同盟国」を望むアメリカにとってうってつけの相手だった。ヨーロッパには自分たちの意向に頑として考えを曲げない国々がいっぱいあるから。

フランスは第2次世界大戦終結時にアメリカ軍が入ってドイツの占領から解放されたが、間髪を入れずアメリカ軍に国外に出ていってもらった。彼らにとっては外国軍隊が長居をするとは敵でも味方でも決して受け入れられることではないのだ。外交の老練さを駆使したその素早さは見事という他はない。

これに対してお人好しの、いや何事にも無関心の日本人は、プライドも何もかもかなぐり捨てて、基地の存続を認めてきた。米ソ対立時代には、朝鮮半島に最も近いということで、冷戦終結後には、太平洋の安全を守るという名目で、アメリカ軍は居座り続けてきた。

最も悪質なのは沖縄占領である。沖縄の島々が日本本土から離れているために、本土に住む人々は沖縄の惨状を理解しようとはしない。どこか遠くの国の他人事のような形で接してきた。おかげで沖縄の島は、完全に基地によって牛耳られているし、反対勢力も手を出せないでいる。

憲法第9条は、戦争をしないということで世界で最も進んだ内容を持つが、実はアメリカの傘のもとにあったわけだから、実際には有名無実なわけだ。真の非戦国家であれば、外交の駆け引きを通じて、各国との友好協力体制を積み重ねることによって平和を維持するはずである。

だが、日本の外交が世界的にもバカにされ、経済大国政治小国と揶揄され、北朝鮮の主席によって言いようにされている現状ではとても今後とも国際的に尊敬されるような国家を作り上げることは無理なようだ。

結局アメリカ軍基地が居座っているのも、圧力に屈する弱い政治力と、中国、朝鮮半島、ロシアなどと積極的に外交を展開していく努力を全く怠ってきたツケでもある。おかげで東アジアで占めるべき主導的な地位も単に経済的な面だけに偏った情けない状態になってしまった。

外務省のリーダーシップの不在と、自民党政府のアメリカにだけ向いた卑屈な外交面での態度が、結局世界の国々から軽蔑のまなざししか受けないことになってしまったのだ。これはもう取り返しのつかないイメージとしてまわりの国々に染みついている。

タイ、台湾、韓国、フィリピン、シンガポール、マレーシア、インドネシアなどは日本を経済的な利益のもとにしか見ていない。経済援助を期待はしているが、政治的に建設的な方向づけをしてくれるとは夢にも思っていない。中国は近い将来政治的にはもちろん、経済的にも日本に取って代わる。

そしてアメリカ軍が依然として独立国の中に居座っていることが国としての誇りやプライドを全く無意味なものにしている。このままだと日本はアメリカの単なる便宜的な属国としての存在だけになり、周辺諸国にもバカにされることになる。それでなくても太平洋戦争における侵略を真剣に反省する様子を見せないものだから、ますます持って軽蔑の対象になるのである。

アメリカ軍基地は、青森県の三沢、関東での横田、厚木、横須賀など、いずれも敗戦当時の軍キャンプから続いている。演習の時は人口密集地域があることなどまったく関係ないように、爆撃機が上空を飛んでいく。周辺自治体が抗議をしようが、肝心の国家が追従の態度を変えないからまったく変化がない。

アメリカの軍人が日本の国内で犯罪を犯しても、日本の裁判所でまともに裁くことすらできない。もし機密の指名で飛んでいたヘリコプターが墜落しようものなら、警察も何も現場に近づくことすらできない。これではアヘン戦争の時の香港におけるイギリス人の治外法権と何ら変わりはない。

1945年の敗戦時占領されたが、サンフランシスコ講和条約の時にさっさと日本国内から出ていかせるべきだったのに、それを怠ったためにこれはもう60年に及ぶ事態となってしまった。自民党政権はもちろん、共産党や社民党をのぞいて基地の存在を黙認している。

政府の人間の繰り返される決まり文句は「アメリカが我々を守ってくれる」である。だが、核兵器も含めて強力な武器の存在が、周辺諸国を警戒させむしろ緊張状態を高めている。これは今後の中国の強大化に大きな影響を与えるだろう。中国は日本にいるアメリカの軍事力に拮抗するほどの力をできるだけ早くつけたいと思っていることだろう。

イラクの例でわかるように、資源の豊かな国は大国につねに目を付けられるが、北朝鮮のように資源のない国は話し合いでも十分事態は進展する。資源のない日本にとっては不要な軍事力は無駄な緊張を高めるだけなのだ。

日本の自力による再軍備、核兵器の装備が起こったらもちろんのこと、アメリカ軍の存在自体が平和を乱している。歴代自民党政府のアメリカ追従は根本から間違っていた。日本をアメリカ依存、輸出依存の体質にし、食糧自給でさえめちゃくちゃにされてしまった。最初のこの方針を決めたのは吉田茂である。この視野の狭い無脳な(無能ではない)政治家と、それ以降の前例主義のまるで官僚としか言いようのない政治家たちが、その後の日本を決定してしまった。

このような政治家たちを持ったことは日本国民の将来にとってまことに不幸なことである。なぜならこの方針はすっかり固定化し、これを変更することは、アメリカから見れば共産革命でも起こったような激変に映るからだ。仮にアメリカ軍基地を撤去する方針の政府が日本に誕生したりしたら、アメリカはためらわずに武力で脅すだろう。

これでは基地の存在を揺るがすような大事件が起こらない限り、22世紀にもアメリカの基地は日本に存在し続けるだろうと考えるのが当然ではないか。1945年の敗戦と、その後の政治は、日本をすっかりアメリカのとらわれ人にされてしまったのである。

それにしても、日本国民というのは自分の国が外国に占領されていてもあまり感じないのだろうか。米軍の基地によって、平和憲法が有名事実になり、他の国ではとうてい許せない基地運営に、総理大臣や外務大臣がペコペコしている現状がある。

フィリピンでは、米軍基地を出ていってもらった。基地を置くことによって多くの収入があり、それは貧しい経済にとっては大いに助かっていただろうが、フィリピンは自分たちの尊厳を選んだ。

キューバにはグアンタナモ基地がある。宿敵同士であるアメリカの基地がキューバにあるのは、もちろんキューバが認めているからではない。米西戦争によって勝利したアメリカがかつての香港のように永久租借しているからであり、強大な武力を背景にしているのでキューバは手を出せないでいる。

グランタナモ基地は、「西のアウシュビッツ」である。アメリカ本土とは別の「治外法権」だから、アルカイダやタリバンの捕虜を連れてきて拘禁、拷問、虐待が自由にできるところとして世界に知られている。何百年もたってここが遺跡として発掘されたとき、おびただしい数の白骨が出てくることだろう。

今はっきりとアメリカ軍基地への反対を打ち出しているのは日本共産党と、右翼の一部だけだ。いわゆる「中道路線」にいる人々は一体何を考えているのだろう。無責任きわまりない宙ぶらりんで難題はすべて先送りの態度をこれから何十年も続けていくのだろう。

2004年9月初稿2005年2月追加

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