政治時評

杭州・西湖

電力節減へ

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原発事故のあと、日本は率先して新しい方向へエネルギー政策を作り出していく必要がある。”薄皮饅頭”のような弱々しい容器の中で、ほんのわずかな故障でコントロール不能になるような、毒物や放射線を環境に撒き散らす、原子炉はさっさとすべて廃炉にして、持続可能な再生エネルギーへの道に向かわなければならない。

風力と太陽光のふたつは今、最も脚光を浴びているが、曇り空や凪(ナギ)に大きく左右されてしまうことが欠点だとされている。しかしそれはそれらの機器の設置がまだ狭い範囲にとどまっているためであって、今後広い地域にまたがって作られ、すぐれた蓄電装置の開発と共に一層協力に推し進めていかなければならない。

日本があれこれ迷っているうちに、世界ではどんどん、その方面の技術が進んでいる。原発をやめる方向に動いているドイツでの目覚しい、発電に適した社会制度の拡充や、スペインのカナリア諸島における全島すべて再生エネルギーでまかなうモデル・ケースの設置など、どこの国でもエネルギー政策には懸命だ。

日本の場合、技術力はすぐれているといっても、それを生かす社会体制が少しも工夫されていない。売電・買電にしても、民間の発電を援助するシステム、そしてなによりも節電への働きかけが少しもなされていなかった。今後はこの方向に進んでいくのだろうが、これが実現するために福島原発のあまりに多大な犠牲を必要とした。ちょうど、悲惨な交通事故死が起こってはじめて、道路が改良されるのとそっくりである。

節電に関しては、まだまだ人々の自覚も少ない。なぜならば、戦後から一貫して続いてきた”思想”である、「金を出せばなにをしてもいい」「金があればどんなに使っても使い放題」という、まったく環境をめちゃくちゃにし、”持続可能”という観念のない風潮がいまだに抜けきれていないからだ。

ついこの間、計画停電の話があったばかりなのに、もうそれを忘れたようにコンビニエンス・ストアでは、天井に蛍光管をまさに”敷き詰めて”光の牙城に見せようとしている。法律で、コンビニの1平方メートルあたりの照度を厳しく規制しなければいけない。それに違反すれば目の玉の飛び出るような罰金を課すようにすべきだ。この規制は北海道から沖縄まで平等に実施されるわけだから、競争の妨げにはならない。すべてのコンビニやスーパーを等しく対象にするべきだ。

また、スーパーでの食品売り場での冷凍食品陳列ケースの、フタなし展示も早急にやめさせるべきだ。フタがなくても冷気は下に沈むので差し支えないなどという意見があるが、夏の暑い日、スーパーのひんやりする店内でわかるとおり、途方もない電力が浪費されている。それも1年365日、途切れることなく!客が商品を取り出しやすいようにフタを取ったわけだが、そんなつまらないことで電力が無駄に使われているのはたまったものではない。これも強力に全国にわたってやめさせるべきだ。

オフィスビルで、冷房が効きすぎて、女子社員がセーターを着ている愚かさ。これが今まで放置されてきたのである。一つには、アメリカ式の金を惜しまない、ひたすら浪費することを目指す、商品管理や生産方式が間違っていたのだ。日本はアメリカ式を取り入れるまでは、江戸時代以来、省エネは生活のあらゆる面で徹底していた。それを愚かな人々がひっくり返し、日本中に50もの原発を作らせる結果となったのである。

2011年は人類のエネルギー政策の大転機になるかもしれない。このまま中国やインドのように人口が極端に多い国々がエネルギーを使いまくれば、どうなるかは素人でも、サルでもわかる。上に述べた以外、パチンコ屋、自動販売機など、電力の無駄はいくらでもある。今回の原発事故の常に悲惨さを思い出して、代償の大きさを忘れないで欲しいものだ。

2011年5月初稿

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