文 法 手 帖

ザンジバル島、タンザニア

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基礎文法用語

繋辞(けいじ)・・・英語における be動詞に近い。ただし、人称による違いはなく、肯定(ni)否定(si)による区別がつけられている。ただし現在以外は kuwa という動詞の過去形、現在完了形、未来形を利用する。

一般語順

西欧語と基本的に似ている。主語が省略されることがあっても、動詞に主語を示す記号(主辞)が含まれているので、問題は生じない。

一般に語形変化は接尾辞よりも接頭辞のほうに重点が置かれている。

前置詞・副詞

前置詞的なものは存在するが、場所や時間を示すために高度に発達しているわけではない。たとえば「・・・の中に」の場合、前置詞でも、名詞の最後に -ni という接尾辞を使っても、どちらでもあらわすことができる。

存在を表す po/ko/mo はうしろに名詞がつくので、一種の前置詞だと考えることができる。

日本語の「・・・の」にあたる a は前置詞の働きをしているといえるが、a +名詞が修飾する前の名詞のタイプに応じて、wa/za/cha/vya などとさまざまに変化する。

形容詞・副詞

形容詞も指示詞も必ず名詞のうしろに置く。冠詞は存在しない。形容詞には修飾する名詞に一致した接頭辞を必要とするものと、何もつけなくてもよい2種類がある。

副詞には形容詞のように接頭辞をつけたり、活用をすることがない。ただし、場所をあらわす名詞は実際には文中では副詞として使われている場合もあり、その境界は不明瞭である。また、指示詞の一種としての指示副詞があり、「ここ」「そこ」などをあらわす。

名詞・代名詞

名詞には性がない。また、格による語尾変化もない。しかし「クラス分け」(正確には8通り、「人」と「物」に分ければ2通り)があって、それぞれに属する名詞は単数・複数の活用も違うし、主辞、指示詞もそれぞれ違う。

指示詞は指示代名詞と指示形容詞をかねている。また、主辞や目的辞は代名詞の働きをするが、分かち書きをしないので、動詞の一部になっているように見える。ただし、「私」「あなた」などのいわゆる普通の<人称代名詞>は存在する。

一般動詞

まず多くが「-a」で終わる原形があり、これは辞書で検索可能である。ここから、命令形、接続形を作ることができる。さらに語尾変化によって、「自発」「受身」「使役」を作ることができ、これは日本語の変化に少し似ている。

主語が省略されるのが普通なので、その代わりに動詞の前に<主辞>という主語をあらわす一種の代名詞を分かち書きにしないでつける。これを接頭辞という。

時制は基本的に「現在」「現在完了」「過去」「未来」の4種類があり、それぞれの記号を主辞と動詞の間に置く。

目的語のうち「人」を表す目的語(多くの西洋語では間接目的語といっている)の代わりに、一種の代名詞である<目的辞>を動詞の前に置く。

前置詞・後置詞

スワヒリ語においては、前置詞のような働きをする語と、後置詞のような働きをする語の両方が存在する。

多くの言語がどちらかに特化して発達したのに、スワヒリ語ではどちらも用いているのである。

品詞の諸特徴

人称代名詞一覧

1単 mimi 1複 sisi 2単 wewe 2複 nyinyi 3単 yeye 3複 wao

主辞 subject prefixes 一覧 (肯定)1単 ni- 1複 tu- 2単 u- 2複 m- 3単 a- 3複 wa-

(否定)1単 si- 1複 hatu- 2単 hu- 2複 ham- 3単 ha- 3複 hawa-

目的辞 object infixes 一覧 1単-ni- 1複 -tu- 2単 -ku- 2複 -ku- 3単 -m- 3複 -wa- 
所有形容詞一覧 1単 -angu 1複 -etu 2単 -ako 2複 -enu 3単 -ake 3複 -ao
疑問詞一覧 何 nini (語尾) -je

誰 nani

どこ wapi

いつ lini

なぜ kwa nini

どのような vipi/namna gani

どの(語尾) -pi

どんな gani

いくつの ngapi

何時(に) saa ngapi

おいくら bei gani

どれくらいの期間 kwa muda gani

時制辞 tense prefixes 一覧 <現在形> -na- <現在形否定>

<現在完了形> -me- /- mesha- (-ja-) <現在完了形否定>

<過去形> -li- (-ku-) <過去形否定>

<未来形> -ta- <未来形否定>

<習慣> -hu-  

<過去進行形> -likuwa +・現在形 

<未来進行形> -takuwa +・現在形 

<過去完了> -likuwa +・現在完了形 

<未来完了> -takuwa +・現在完了形 

<命令形> 語幹(単音節動詞その他を除く)そのまま。ソフトな感じにするためには接続形語尾を使う。

<接続形> 語尾の -a を -e にそれ以外の場合はそのまま。

<条件形> -ki-

注;(・)は分かち書き

指示詞(人間用 m-wa ) huyu/huyo/yule//hawa/hao/wale
指示詞(もの用 n-n ) hii/hiyo/ile//hizi/hizo/zile
名詞クラス(8区分法)

(1)m-wa 「人・動物」タイプ 主辞 a/ha/wa/hawa

(2)m-mi 「木」タイプ 主辞 u/hau/i/hai

(3)ki-vi 「もの・。言語」タイプ 主辞 ki/haki/vi/havi

(4)n-n 「外来語・抽象語・地名・時」タイプ 主辞 i-/hai-/zi-/hazi-

(5)ji-ma 「果物」クラス 主辞 li-/hali-/ya-/haya-

(6)mahali 「場所」クラス 接頭辞 pa/hapa/ku/haku/m/ham

(7)u-n 「抽象名詞」クラス 主辞 u/hau/zi/hazi

(8)ku 不定詞タイプ 主辞 ku

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指示詞について;

  • コノ・コレは<h + 母音+主語接辞>となり、母音は主語接辞に含まれるものと同じ。
  • アノ・アレは<主語接辞+ le >
  • ソノ・ソレは<コノ・コレの文尾の母音を o に変える>
  • ドノ・ドレは<主語接辞+ p >

目的辞について;クラス1以外は主語接辞と同じ形。

否定主語接辞について;クラス1以外は主語接辞の前に ha- をつける。

概論

滞在する・住む・座るはみな同じ動詞 kaa 鳥・飛行機も同じ名詞 ndege

主語と自動詞の基本語順:(肯定)主語+主辞+時制辞+動詞語幹 (否定)主語+否定主辞+動詞語幹

主語と他動詞の基本語順:主語+主辞+時制辞+目的辞+動詞語幹(+目的語) 

注;単音節動詞の場合、肯定では動詞語幹の代わりに不定形、否定形では動詞語幹のまま

動詞分類;(1)語尾 a 動詞(2)語尾 e/i/u 動詞(3)単音節動詞

動詞変化;(1)不定詞 ku +語幹(2)命令形その1(単数形・複数形)(一般動詞・単音節動詞)(命令形+不定詞)(3)命令形その2(目的辞+)(単数の相手・複数の相手)(4)接続形①命令・依頼 主辞 u- / m- ②意向・許可・意志③勧誘 主辞 tu- (-ni) ④従属節中(5)条件形 時制辞 -ki- (-sipo-)

動詞派生形;(1)受動形動詞 語尾 wa/liwa/lewa 行為者 na 手段 kwa (2)自発形動詞 語尾 ika/eka/lika(3)前置詞形動詞 語尾 ia/ea/lea (4)使役形動詞 語尾 isha/esha/lesha

繋辞;主語と述語(名詞・形容詞)の間におき、主語はしばしば省略される。 (1)肯定 ni (2)否定 si

文脈副詞;basi/pia/yaani/labda

助動詞的動詞(+不定形・接続形);lazima/bora/taka/weza/wahi

接続詞;na/au/lakini/angalau/ila/ingawa/kama/kwa sababu/kwa hivyo/angalau/ili/kwamba/yaani/labda

前置詞;a(wa wa ya za)/kutoka/kwa/na/katika/ila/ndani ya/tangu/baada ya/

名詞+形容詞(形容詞の後置)

名詞による名詞の修飾「 B の A 」; A a B  ;m-wa タイプでは A wa B

形容詞分類;(1)接頭辞つき(2)接頭辞なし

形容詞節;(1)関係詞 amba +主辞+ o (2)(3)主辞+動詞語幹+関係辞 o (4)主辞+時制辞+関係辞+動詞語幹

名詞+主辞+ ote /名詞+主辞+ o-ote

場所の副詞;名詞+ ni

存在表現「ある・いる」;主辞+-po/-ko/-mo +(場所を表す副詞) 注;3単の主辞 yu-/hayu-

時刻表現 標準時刻( X > 6 )-6時間 標準時刻( X < 6 )+6時間 例;7時ー6=1時 3時ー6=9時

所有表現「・・・を持っている、・・・がある、・・・がいる」;主辞・否定主辞+na +名詞

2区分法名詞クラス(1)m-wa 「人・動物」タイプ 主辞 a/ha/wa/hawa (2)n-n 「外来語・抽象語・地名・時」タイプ 主辞 i-/hai-/zi-/hazi-

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