(2015年6月)

Tower Bridge

目次

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ロンドンへ→市内(1)→市内(2)→市内(3)

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市内(4)市内(5)市内(6)

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トラムを使って香港島を東へ西へ さらに西へ

記 録

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観察日記(4)
監視カメラ: ロンドンを歩いていて気になるのは、監視カメラが至る所に設置されていることである。秘かに設置されているものだけでなく、バスの2階などではちゃんと張り紙がしてあるものの、あんまり気持ちがよいものではない。

犯罪防止には絶大な効果があるとは聞くが、オーウェルの「1984年」の雰囲気が漂う。独裁者ではなく、ちゃんと法の手続きを経て、設置が決まったのだとは思うが。警備の人手を節約するためだということもあろう。監視カメラを逆に自分のカメラで撮ってやろうと思ったが、気持ち悪くてやめた。

あるハプニング: 第1日目、川沿いのロンドン橋のあたりを歩いていると、ちょっと薄暗い部分があって、若い男が近づいてきてカメラのシャッターを押してくれという。わたしは、すぐにイスタンブールやカイロで、観光客にうまく取り入って騙そうとする連中の一人だとピンときた。

わたしに3回シャッターを押させた後で、話題を”地下鉄の駅にどういったらいいのか”という方向に向けた。とその瞬間、いきなり物陰から二人の男が現われて、私に「ロンドン警察のものです」と身分証明書をかざしながら、その怪しい男を連行して行った。

これは一瞬の出来事で、私もあっけにとられたが、監視カメラで通行人を見ていて、たまたま「(手配中の)男だ!」と気づいて跳びかかったのかもしれない。”地球を歩いて”いると、こんなことに出っくわす。

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市内(4) 美術館 と ビートルズ・トリビュート・バンド演奏会 

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午前中は北の方にあるギャラリーを見に行こうとしたのだが、どうしてもたどり着けず、あきらめて都心に戻ってきた。これは改めて翌日に行くことになる。(建物の前を気付かずに通過しただけ!!!)

前日の国会議事堂から、テムズ川沿いで少し上流のところに Tate Britain外部リンク がある。今回は地下鉄のVictoria 線の Pimlico 駅で下車してたどりついた。

ここはその名の通り、英国の画家たちの作品を主として集めたところで、最も有名な人といえばターナーであろうか。彼の作品は大部分ここに所蔵してあるが、 National Gallery にも置いてある。

入口のところで南欧系の観光客夫婦から、国会議事堂への道を尋ねられる。滞在2日目にしてロンドンっ子にみえるようになったのかな?

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ターナーだけでなく、ラファエル前派の作品のコレクションが見事だ。ただ、壁にぎっしり、あまり余裕もなく飾られているのが残念だ。ただ、National Gallery ほどの混雑ではないので、ゆったりと歩いて回ることができる。ラファエル前派とはちょっと関係が薄いけど、上の写真が気に入った一枚。John William Waterhouse による The Lady of Shalott だ。

このあと、バスに乗って北上し、Natoinal Gallery外部リンク へ向かう。ここは前日、トラファルガー広場の北側にあるのがわかっていたので、すぐ中に入った。こちらは観光客と小中学生で押すな押すなの状況。まともに歩けない。ヨーロッパ各国の名画が集まっているので、ことさら混むのだろう。

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パリにもアーケードが多いが、こちらでも見つけた。Royal Opera Arcade外部リンク でロンドン最古のものである。これは National Gallery の西側にある道を行って見つけた。

前衛的な画廊や画商の事務所が軒を連ねていて、非常にセンスの良い雰囲気を醸し出している。ワインの専門店まである。さっきまでの混雑がうそのようだ。

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Royal Opera Arcade の入り口。ちょっと奥に引っ込んでいるので、まっすぐ前を見て舗道を歩いていると気づかない。おもしろい絵をいくつか発見した。ちょっとした穴場ではないだろうか。
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Piccadilly Circus から北方にのびる Reagent Street で、ここらへんは West End の最も有名な部分だ。他の大繁華街と比べて最も特異な点は、大きく道がカーブしていて、それに沿って建物もこのように緩やかな曲線を描いていることだろう。

だから、曲線を描く髪型を「リーゼント・スタイル」といったり、どこかのスキー場の緩やかにうねるコースを「リージェント・コース」といったりするわけだ。

ここの商店街とは財布の中身の点で縁はないけれど、通行人の姿を観察するのは実に興味深い。きょろきょろしながら歩く観光客、猛スピードで直線的に歩きぬけるビジネス・ウーマン、行くあてのない中年過ぎのおっさんなど…

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William Morris Gallery外部リンク は Victoria 線の北の終点 Walthamstow Central 駅を降りて北の方向にバスで5分か、歩いて15分ぐらいのところにあり、前日はその前を通りながら気づかなかった。

産業革命の生み出す大量生産ために俗悪化した製品デザインを嘆き、中世ヨーロッパのデザインを取り入れた新しい方向を提唱した。インテリア・デザインを志す人なら必ず研究することになる。

ギフトショップで、 モリスのデザインした植物模様をプリントした傘が売ってあったのに、すでに売り切れとのこと(2015年6月現在)
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またジョン・ラスキンらの社会主義にも傾倒し、上のポスターにあるようにパリ・コミューンに対しても大きな期待を寄せた。
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Forest Road から眺めた Gallery。大きな看板もないので、ちょっと見過ごしてしまう。しかも近所の八百屋のおばさんや掃除人に聞いても知らないといわれるばかり。通りかかった郵便配達人に聞いて、やっとたどり着くことができた。
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Walthamstow Central 駅に戻ると、駅前は土曜の市(イチ)の真っ最中であった。地下鉄の終点にある郊外の町ながら、すさまじい混雑。

昼食は Copperfield という、ディケンズの小説の主人公を思わせる店に入ったが、その名の通り庶民的な食堂。混雑しているが、浅草娘のようにチャキチャキした二人のウエイトレスがテーブルの間を駆け回っている。

相席した黒人のおばあさんは、「わたしゃ(脳梗塞の後遺症で)指がまともに動かん。あんたのスプーン借りるよ」と言って豆のケチャップ煮込みを食べ始めた。

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途中からまた二階バスに乗って都心へ向かう。このとおり Piccadilly Circus 周辺では、通行人がすれ違うことすら困難な混雑で、デモ行進が行われているかのように町の賑わいはけた外れだ。だが、バスの二階は空いていて実に快適で、町の様子を観察できる。
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バスや地下鉄を乗り継いで、午後5時ごろ、 郊外電車の始発駅のひとつ、Victoria 駅に到着。古い駅舎に、あとから増築したような構造だから、1~3番線と4~7番線がまるで離れたところにあったりする。

中距離列車仕様の Southeastern (南東)線に乗り、テムズ川を越えて、しばしロンドンの市街地から離れる。地下鉄とは経営主体(National Railroad外部リンク)が別だが、Oyster Card は引き続き使える。

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発車後、30分余りで典型的な郊外の駅 Eltham に到着。ここは観光地でもなんでもない。駅前通りにはマクドナルドと、上の写真の古い教会が立っていたが、それ以外はほとんど住宅地。ここはロンドンのベッドタウンなのだ。
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 教会からすぐのところに目的地である Bob Hope Theater 外部リンクを発見。イギリス生まれのアメリカの俳優 Bob Hope が資金難で倒産しかかっていたこの小劇場を援助して、息を吹き返させれくれたのだ。
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ちょっと早めに着いたので、付近を散策。こんな郊外だと、roundabout の利用状況をよく観察できる。真ん中の円を中心に、車は時計回り(イギリスは日本と同じく左側通行なので)まわる。やってきた車より、回っている途中の車が優先である。

たったそれだけのルールと譲り合い精神で、信号機はいらず、車はスムーズに流れる。また、写真にあるように、特に広い場所が必要なわけでもない。日本は過疎地帯でさえも、信号機だらけだ。電気代がもったいない。

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 ここで午後7時半から Imagine... The Beatles外部リンク という tribute band (コピーバンド)が演奏するのだ。6月6日にロンドン南部で公演があることを知り、出発前にネットで予約をすることができた。Imagine というのは有名なジョン・レノンの曲のことではなく、動詞の命令形で、「(目をつぶって聞いて)ビートルズだと思ってごらん」というような意味。
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開始15分前。客は老人から3歳まであらゆる年齢層に及ぶ。隣に座ったおばさんは私とほとんど同い年だった。十代のころは彼らの演奏に気絶していたのかもしれない。ほぼ満員で、この郊外の近隣からやってきている。
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7時半から延々3時間で41曲の演奏。途中20分間の休憩を置いた後は、Sergeant Pepper の軍服を着て現れた。聴衆からの熱烈なアンコールに答えているうち10時を回り、もし最終列車に乗り遅れたらどうしようとひやひやしていた。

公演後、大急ぎで駅に向かうと、正面入り口は閉鎖されていてヒヤリ!裏の狭い通用口を通り抜けて、ようやく最終からひとつ前の列車に乗れた。

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観察日記(5)
人種構成  モスクワに行ったとき、市内を歩く人ののほとんどがロシア系白人であり、有色人種はきわめて少なかった。一方、パリは地球上のいたるところの人種が全部歩いているような都市だ。

パリと比べると、ロンドンはやや少ない。紫外線が弱い欧州の北の部分は、南から来た人間は少なくなる傾向にあるようだ。もちろん、英国は旧植民地の住民がすでにたくさん来ており、郊外の住宅地の一部にはそれらの人々が固まって暮らしている。

どんな人種であれ、イギリス人が Excuse me / I'm sorry というのは本当だ。込み合う地下鉄でも頻繁に聞くし、昼休み時、ベンチで一人ボォッとしていたら、「May I ... ?」と声をかけられて、並んで座ることになったり、やはり日本とは見知らぬ人に対する態度が明らかに違う。人間関係の潤滑油がうまく浸透している感じだ。

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市内(5) リージェント公園を経てハロッズ、ヴィクトリア&アルバート博物館へ 

 
 ハイドパークからさらに北にあがったところに Regent's Park がある。ここは産業革命時代に大活躍した運河が通っているのだ。船を引く馬の道など、そのままの姿で保存され、水上生活が気に入り、上のような屋形船から陸に上がる気のなくなった人々が大勢暮らしている。
 
地下鉄 Paddington 駅北口を出ると、そこは Little Venice と呼ばれ、すぐに運河が見える。運河には散歩道が完備しているが、同時に河船の運行もあり、大勢の子供たちを乗せて、ロンドン動物園前の船着き場を経て公園の東側に向かう。 

Paddington 駅で思い出すのは、高校時代に勉強した原仙作氏の英語参考書にあった、自動車と鉄道の利便性について論じた文である。「いつでも出発できるとモタモタしている自動車より、Paddington 駅に行って決まった時間に列車に乗ったほうが、はるかに早く目的地に着けるのだ」と。

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河船の終点は Camden Lock である。Lock は「閘門(コウモン)」と訳され、水位の異なる川や運河を船が通り抜けるときに使われる。

左手前と右向こうに見える黒い棒がそれで、閘門を開閉することによって水を入れたり抜いたりすることができる。産業革命のころに作られた古いものなので、みな”手動”である。

運河の左手は有名なマーケットだ。この日は日曜日だったので、露店やら大道芸やらで、これまた大変なにぎわいなのだが、一隻の小型船がちょうど閘門を通過するところで、すっかりそれに見とれていた。

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ここから Regent's Park の中心部である Queen Mary's Gardens へ進むが、この写真の通り、バラの花が咲き誇っている。まだつぼみも多い。広々とした芝生も多く、旅の疲れを取るべく昼寝をするのに最適だった。
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ここでは深い山の中の沼地に出たかのような風景が広がる。そしてこの公園の南が、シャーロック・ホームズでおなじみの、あのベーカー街なのだ。もっとも、中学校の時に想像していた街並みとはまるで違っていたが。
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2日前に降りた Hyde Park Corner 駅の西隣の駅 Knight's Bridge 駅を降りると、西側には高級デパート Harrod's外部リンク がある。この角度で写すのが最も威風堂々としていると思うのだが、何しろ面積が広い。

1階は化粧品や装身具が主だが、混雑がひどくて、同じ階の奥にある食料品売り場にたどり着くのがひと苦労だ。2階以上はどうなっているかといえば、「予約済みの方のみ入れます」の表示。フリの客と金のない客は入ってはいけないのだ。

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さらに道を南西に進むと、すぐに Victoria & Albert Museum外部リンク が右側に見えてきた。初期の電気製品を含む、工芸品の美術館だが、集め方がユニークだし、芸術性より実用的なにおいのするところが、イギリス人の性格とあっているような気がする。
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 しかしまあ、イギリスはもとより、世界中からよくも集めたものだ。おもしろい造形を探すのも楽しいし、家具、食器、と用途別に限ってみて歩くのもよい。上の写真のようにあまり多すぎて、整理が間に合わず、ガラス棚に詰め込まれているものが何十メートルも続く階もある。

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市内(6) 大英博物館

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イギリスの代表的料理、Fish & Tips。昨今のアメリカ流ファスト・フードの流行により、店の数はかなり減少してしまったが、それでも一つの街区には必ず一つは専門店があるようだ。

ジャガイモのフライの上に載っているタラは日本でよく見るように小さく切ったりせず、ドーンと一匹分をおいている。どんぶりメシの感覚だ。

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最後の日、飛行機は午後5時だったので、昼間を有効に使うべく、再び都心に出かけて大英博物館外部リンクに入る。たとえ全部見きれなくとも、やはり全体の雰囲気だけは、この際つかんでおきたい。正面入り口は意外に小さく、両側にいるライオンが印象的だ。
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真ん中の柱の左には小学生たちが床に座っている。柱の右には金色の帽子をかぶり、赤い服を着ているおじさんが腰かけている。彼は何をしているのか?

彼は博物館の小学生向けに説明をするスタッフで、わざわざ王様の恰好に扮して、当時の王様の生活について説明するため、子供たちの興味を引くべく涙ぐましい努力をしているのだ。

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大英博物館の巨大な中庭。天井は網目模様の曇りガラスが貼ってあり、雨の心配はない。
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駆け足で館内をめぐり、ロゼッタ石もひどい混雑で、ちらっとしか覗き見できなかった。

エジプトなどの旧植民地から集めたものより、イギリス古代、中世世界の品物を見る方が面白い。写真は山賊ロビン・フッドがつかったような「石弓(イシユミ)」。相当な殺傷力がある。

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観察日記(6)
EUから脱退すべきか?: ロンドン滞在中、BBCニュースではしきりにEUを脱退すべきかどうかについての議論が報道されていた。2017年までに住民投票をするのだから、まだ時間はあるけれど、数日いただけの印象だが、脱退するほうに傾いた雰囲気が感じられる。

同じヨーロッパでありながら、海を隔てているというだけで 大陸とは文化のずれがあるようだ。そして米国を含めたかつての植民地と仲良くしたいし、いざというときに信頼できると考える人が多いのではないか。

ギリシャの経済危機など、ヨーロッパのことにかかわりあっていると、厄介な問題に引きずられる可能性がある。それにEUは特に農業政策など、保護貿易主義的な傾向が強いから、昔から自由貿易主義を掲げてきた英国には肌が合わないところがあるようだ。

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