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海に出るなら、早めにしなければならない。いつ天候が急変し、海が荒れて船が出ないとなれば、帰りの飛行機に間に合わないというような悪夢のような事態も起こりうる。まずは南へ300キロある、兵庫県に相当する巨大な島、クレタ島へ向かう。
エーゲ海の船は、のんびり進むフェリーと、高速の双胴船の二つに分かれるようだ。今回のアテネ➡クレタ島の首都イラクリオンは、大型トラックが何台も積まれている巨大フェリーに乗ることになった。午後9時発。ただしその3時間前から乗船できる。
客席はエコノミーの場合、飛行機と同じように座席に座り、わずかだが幅が広く作られている。100席ぐらいあったが、実際に乗っていたのは15人ぐらいだった。もちろん上級船室があり、ホテルのような作りになっている。
エコノミークラスと同じ階にはセルフサービスの食堂があり、まさに”定食”が提供されていたが、量ばかり多くて、正直あまりおいしいとはいえなかった。2426番にあるが、ANEK LINESという船会社である。なお、その左に傾いている船が見えるが、これは”廃船”であり、持ち主はそれを処分するお金さえないため、港に放置されているものと思われる。
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いよいよ出港!こんなに明るいが、すでに午後9時を過ぎている。右側のグリーンとブルーの船は双胴船。ピレウス港を背景に。例の廃屋になった”貿易センタービル”も見える。 |
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平穏無事な航海だった。エアコンが効きすぎて寒いのが欠点だった。朝6時になるとクレタ島が見え、間もなく入港した。この通り非常に濃い群青色である。南下したので気温が高くなっている。 |
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クレタ島の首都で最大都市、イラクリオンに到着した。港のすぐ横がバスターミナルで、市街地に出るには、2429番にみられるようなベネチア占領時代に作られたトンネルをくぐる。ベネチアは1204年から占領開始し、今度はオスマン帝国に占領されるまで、17世紀中葉まで続いた。ギリシャ本土と同じく、歴史に翻弄された島なのである。 |
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トンネルを出てすぐ内陸部へ向かうと、市街地に入る。このときは朝早かったが、昼間は地元の人と観光客でごった返している。悪い予想は当たり、1番目と2番目のホテルは満員。3番目のホテルで、連泊ということで部屋にありついた。高いホテルではないが、どこもまずまずの清潔さだ。ホテルに荷物を預けて観光地巡りに出発する。 |
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クレタ島で最大の遺跡と言えば、紀元前2000年ごろの古代ミノア文明を代表するクノッソス宮殿だ。バスターミナルから、待つ必要がないくらいたくさんの本数が出ていて、40分ぐらいで到着する。この遺跡を発見したのは、トルコ領にあるトロイ遺跡のシェリーマンに匹敵する、イギリスの考古学者アーサー・エヴァンズであり、その胸像が入り口に立っている。 |
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有名な赤い柱。ギリシャ本土より早くから文明が発達し、海で遮られていたために、独自の発達を遂げたのだろう。周りはオリーブ畑のある低い丘にかこまれているが、ここで600年ぐらいもの長い間、文明が栄えたのだ。それに比べると、現代文明はあとどのくらいもつものやら。 |
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イラクリオン市街地に再び戻る。フェリーの到着した港を起点に海岸沿いに進むと、西の方向には広く見渡せる湾が広がる。ここは島の北部だから典型的な地中海性気候である。海岸沿いに自然史博物館とかプールなどが並んでいる。 |
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市の中心部にすすむと、やはりベネチア風の市役所が見えてきた。ここも大変な賑わいを見せている。 |
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アヒルかカモ。こんな岸壁で何を食べて生きているのか。 |
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港の近くに、何やらおいしい料理を出すようなタベルナを発見。 |
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地中海の魚の”盛り合わせ”。イカ、イワシ、アジ、ムール貝、エビが囲み、中心には特大のピーマンにタジキを詰めたものが鎮座する。料理はオリーブ油で上げただけだが、いずれもすこぶる新鮮。典型的な漁師料理。 |
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クレタ島に着いた翌日、この島の第2の都市、ハニアと第3の都市、レシムノを訪れることにする。いずれも島の北部海岸沿いにあり、その間は高速道路ではないが、国道で結ばれている。
まずは一番遠い西の端にあるハニアに行き、そのあと、東に戻り、イラクリオンとハニアとの中間点にあるレシムノに行くことにする。
バスターミナルでは30分から、1時間くらいの感覚で出ており、タイミングがいいとキップを買ってすぐに乗り込むこともできる。各便とも満員ではないにしてもかなりの乗客が乗っており、外国人観光客も多い。
海岸はリアス式ではないが、丘が海辺まで迫っているので、急カーブが多く、スピードが出せない。時間があれば本当は南部海岸に行きたかった。そちらの気候は対岸のリビアと同じく、北アフリカ式だという。そのためには本数の少ないバスに乗って山脈越えをしなければならない。
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バスはインターシティといっても、かなりの停留所で止まる。コンクリート製のこのようなバス停もあり、地図やそこの特産物などが描かれている。 |
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3時間近くかかって、ようやくハニアの町に到着。 小さな町だから、バスターミナルからちょっと歩くとすぐに海岸が見えてくる。おなじみのベネチア式城壁が見えてきた。そして、前方には同じく石造りの灯台が見える。港の入り口が見えるのだ。 |
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そして城壁を回り込むと、そこは小さな湾になっていて、ベニスで見たような色とりどりの建物が、海に向かって並んでいる(Venetian Port)。なるほどこれなら観光客に人気があるわけだ。 |
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ゴンドラはないが、馬車は豊富に走り回っている。それもみんな白塗り。 |
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岸壁には、クラシックな漁船が係留されている。もちろん立派なヨットハーバーもあった。 |
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湾の両端には、「クレタ海洋博物館」があり、この写真の船は東端にある分館に展示してあった。イルカの模様は、地中海全般でも広く使われている。分館の建物は、カマボコ型で昔の港の倉庫をうまく利用しており、小樽の倉庫のように観光にうまく利用されている。 |
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このあと再びバスに乗り、1時間ほどで中間地点のレシムノに到着。バスターミナルのすぐ前が、この通りなだらかな曲線を描く海沿いの道路になっており、その先にまたまたベネチア式の今度は砦が見えている。 |
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砦に行ってみると、これが何とも大きく、海の展望が素晴らしい。というよりは、昔は敵の襲来(オスマントルコか?)を絶えず見張っていたのだろう。大砲のための銃口や、武器庫、教会までそろっている。2446番は西方向を撮影したもの。 |
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砦から東の方向を見下ろすと、フェリーの入る大きな港が見える。 |
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レシムノは小さな町だが、旧市街には、このように非常に狭い小路が縦横に走っていて、その散策が非常に面白い。こんな迷路みたいなのが、バスターミナルまで続いた。 |
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空き家があり、人はいないのに、猫がじっとこちらを見つめている。家の人に置いていかれたのだろか。でも猫は人ではなく、家につくというから… |