文明時評

ライフスタイルに関わる、偏見と独断に満ちた考察

きつね

お母さん、カタカナ・
メニューを子供のために
作るのは避けよう

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日本の子供の血液中にあるコレステロール量がアメリカ人の子供よりも多いとされてから、だいぶ時間が経っている。信じられないことだが、江戸時代までの百姓たちの食生活が、粟、ヒエを主体とする穀物食であり、我々の大部分がその子孫であることを考えると当然だといえる。

しかも、日本史で習ったように江戸時代には大規模な飢饉が何度も起こって、多数の人々が死んだ。我々は、その生き残った人々の子孫である。運の良かった人もいたろうが、体質的に飢饉に強い、つまりカロリー補給が少なくとも生きていける遺伝的特性を持った人々の末裔なのだ。

つまり現代日本人の内臓は、明治維新以来たった150年程度しかたっていないのだから、水飲み百姓の体そのものなのである。ここにたっぷりした脂肪食をどんどん取り入れたらどうなるか、素人でも想像がつく。

これに対し、アメリカ人、特にヨーロッパに起源を持つ白人たちは何千年もの間、獣肉や乳製品を多く取ってきた。だから彼らの体は脂肪分をうまく処理することにかけては日本人よりもはるかに上手である。それでもかの国には「超肥満」が目に付くが。その重さたるや尋常ではない。プロの相撲取りが青ざめるほどの重さなのだ。

食生活は小さい頃のパターンが一生続く。現代の若い母親たちは、(1)肉や動物性脂肪が比較的安く手に入る(2)子供たちが(本能的に)脂肪分を多く含むものを求める(3)学校や近所の状況に合わせざるを得ない(4)テレビでしつこく流されるコマーシャルにほとんど洗脳に近い状態にさせられている、などの理由により作る料理がパターン化されてきた。

具体的には、脂肪をたっぶりつかった洋菓子、カレー、ハンバーグ、カルビの焼き肉など、カタカナ食品の洪水である。これらの「洋風」食品が含む動物性脂肪分の多さは、今から数十年後にならないとその影響が現れない。だから今、人々はこれらが体にいいとまでは言わないまでも、空腹を満たすにはベストだと考えている。

お母さんは、自分の子供が中年を過ぎて動脈硬化などの障害に悩むことがないように、注意を払うべきだ。本当の子育ては当たり前のことだが、「健康な」人間を作ることなのだから。その努力を怠り子供の好きなものを食べさせているようでは、これは緩慢なる「子殺し」だと言われても仕方がない。

そのためにはお母さんが賢くならなければならない。まず第一にコマーシャルに乗らないこと。食品成分表を見て、「ソルビン酸」とあったらどんなものか分かるのは「基礎」知識のレベルだ。

もっと大切なのは子供の要求を鵜呑みにしないことだ。子供に求められて、それが特に問題がなければ、そしてお金で解決できるならすぐに応じてしまうのが現代の大部分のお母さんである。

「子供が喜ぶなら」というのは、健康を考えるお母さんなら、食品については妥協すべきではない。極端な話、覚醒剤を与えても子供は「喜ぶ」わけだから、自ら厳しい境界線を引くことが求められる。

ひところ、母親がパチンコ屋でゲームに熱中するあまり、直射日光の当たる駐車場にとめてあった車の中で、我が子が熱死したために、世間に多大なショックを与えた。だが、彼女らを責めるなら、自分の子供たちの食生活に気を使わず、金儲け(別名:社会に出るとか、社会に参加する、とかいう)に奔走する母親たちも同様に断罪されなけば公正な判断とはいえないだろう。

カタカナ食品を避けてどうすべきか。もちろん江戸時代以来の体にぴったりなのは和食である。子供は煮付けや大根をいやがるだろう。だがそこを押し通せるか否かが、お母さんの子育ての真の価値が問われるところだろう。

2000年3月作成・2002年7月追加

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