- taxman 原詩サイト
<概説>
Taxman は言うまでもなく「税吏(ゼイリ)」「収税吏(シュウゼイリ)」のことで、税金を取り立てる役人である。もっとも、一人の職業人をあらわす言葉でありながら、「国税当局」のように役所全体をあらわすこともある。
ビートルズのとんでもない大人気によって、4人の収入は天文学的数字になったであろうし、イギリスの国税局が何とかして税金を取り立てようと血眼(チマナコ)になったことは間違いない。彼らは毎日のように金銭状態を調べられたり、書類を提出したりしなければならなかったろう。
何事にも茶化してしまうのが得意な彼らだから、皮肉を込めて税務当局をからかった歌詞を作ったのだ。作詞作曲はジョージハリソン。ジョンレノンにちょっと手伝ってもらった。歌詞はすべて、”税吏(国税局)”が主語(I)になっていることをお忘れなく。納税者(you)が主語なのではない。「なんといっても俺は税吏だからな」という威張った口調を中心に曲が進む。
<直訳>
1、2、3、4 の数字が2回繰り返されるのが聞こえる。
どのくらい税をふんだくるか教えてあげようか/お前には収入の20分の1(5%)、俺は20分の19(95%)を取る。/何と言ってもく俺は税吏だからな。
Let me tell you how it will be./ There's one for you, nineteen for me.
/ Cos I'm the taxman, yeah, I'm the taxman.
手取り5%なんてあまりにひどすぎると思うんだったら/俺が全部取らないことを感謝しろ/何と言っても俺は税吏だからな。
Should 5 per cent appear too small / Be thankful I don't take it all /
Cos I'm the taxman, yeah, I'm the taxman.
ここで曲調が、リズミカルなものに変わる。
車を運転するなら、道路に課税してやる。/座ろうとしたら、座席に課税してやる/風邪をこじらしたら、発熱に課税してやる/散歩をするなら、脚に課税してやる
If you drive a car,, I'll tax the street. / If you try to sit, I'll tax
your seat. / If you get too cold, I'll tax your heat. / If you take a walk,
I'll tax your feet.
Taxman! のあとに、先の Cos I'm the taxman, yeah, I'm the taxman.が繰り返される。さらにここから曲調が元に戻って2番となる
何ゆえ金がいるのか俺に聞くな。(ねえ、ウィルソン首相)/もうこれ以上払いたくないって言うんだったらな。(ねえ、ヒース首相)/何と言っても俺は税吏だからな。
Don't ask me what I wanted it for (Aahh Mr. Wilson)/ If you don't want
to pay some more (Aahh Mr. Heath) / Cos I'm the taxman, yeah, I'm the taxman.
くたばるやつらへの俺の忠告だ。/棺桶に入れる小銭に至るまできっちり申告するんだぞ。/何と言っても俺は税吏だからな。
Now my advice for those who die / Declare the pennies on your eyes / Cos
I'm the taxman, yeah, I'm the taxman.
そしてお前らは俺だけのために働いているんだ。
And you're working for no one but me / Taxman!
最後にTaxman を叫んで締めくくる。
<構文>
Let me tell you... の動詞 let は使役動詞として<let O 原形>の文型を持つ。命令形なので、「Oに・・・させてくれ」という意味だ。
Should 5%... で使われている助動詞の shoud は倒置されている。つまり<Should S V...>という文型である。これは<If
S should V...>をあらわしており、「(万が一)…するようなことがあれば」という条件文の一種である。
Be thankful は文頭が原形のbe動詞なので、命令形である。
those who... は、前が先行詞、うしろが関係代名詞だが、このタイプでは those = people ということで、“複数の人々”をあらわす。
no one but me の but は「しかし」ではない。これは<no (代)名詞 + but O>という文型の一部である。この場合の but
は前置詞 except 「…を除いて」と同じ意味になる。だからこの部分を直訳すれば、「私を除いて誰も…ない」となる。つまり「私だけ」ということになる。
<語句>
- how it will be :直訳すれば「それがどのようになるか」というわけだが、税吏が納税者に向かって言うとすれば「税率がどのようになるか」と想像できる。
- one...nineteen :1対19だとすれば、これが税率。納税者は年収の95%というとんでもない高率の税を払うことになるのだが、実は本当にあったことだ。現在はともかく、当時のイギリス労働党政府は「ゆりかごから墓場まで」の社会保障の資金をねん出するために、ビートルズのような高額所得者から累進課税で取ったのだ。それでも、超金持ちには痛くもかゆくもない額だろうが…
- Cos = Because 明確な理由をあらわす接続詞。
- appear small :「(金額が)少なく見える」。appear は seem と似た動詞。うしろに形容詞(ここでは small )をつけることができる。
- Be thankful :先に述べたように命令形である。Thank you の thank は動詞だが、thankful は形容詞なので、前に be動詞が付いたのだ。
- get cold :直訳すれば「寒くなる」だが、ここでは「風邪をひく」。= have a cold
- what I wanted for :本来 what は for のあとにあったのを文の先頭に持ってきたので、直訳すれば「私はそれを何のために欲しかったのか」となる。it は税吏が徴収した税金であろう。
- Mr. Wilson :ハロルド・ウィルソン首相は当時の労働党政府で税制を変えた張本人である。在任は1964~1970と1974~1976の二期)
- Mr. Heath :エドワード・ヒース首相はその間の1970~1974に在任した保守党政府の首班である。首相が変わったからと言って、そう簡単に税金が値下がりするわけではない!
- declare :これは動詞で、最もよく使われる意味は「宣言する」だが、税の世界では「申告する」となる。
- pennies :イギリスの通貨における最小単位。だから「小銭」「わずかなお金」という意味にもなる。
- on your eyes :「お前の目の上に」とはいったい何のことか?日本でもヨーロッパでも、死人を見送るときは小銭(冥銭メイセンともいう)を棺桶の中に、あるいは目の上に置いていたのである。なぜなら現世とあの世を隔てる川(日本では三途の川)には渡し船があって、その渡し賃が必要だからだ。無賃乗車は許されない。それなのに、その金さえも税吏は取っていくというのか???
<解釈>
ジョージハリソンの税金を取られることに対する不満をぶちまけた傑作だ。庶民の不満と重なっていて、歌の意図ははわかりやすい。
この曲の発表された1966年も、ベトナム戦争、平和運動、ヒッピー文化の出現などが特徴とされる年だ。
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- Eleanor Rigby 原詩サイト
<概説>
ポールの少年時代に、近所に住んでいた貧しい老女のことを思い出して作った歌。この名前は、Eleanor と Rigby とを別々の場所で見つけてきて、響きのよい音だとして結びつけたという。
<直訳>
Intro
見よ、孤独な人々がいる/見よ、孤独な人々がいる
Ah, look at all the lonely people / Ah, look at all the lonely people
歌詞その1
エリナー・リグビー結婚式の行われた教会で米粒を拾っている/夢見ながら暮らしているのだ/ドアのそばの壺に隠し持っていたよそ行きの顔をしながら、窓辺にたたずむ/誰のために?
Eleanor Rigby picks up the rice in the church where a wedding has been
/ Lives in a dream / Waits at the window, wearing the face that she keeps
in a jar by the door / Who is it for?
Chorus
孤独な人々よ/ふるさとはどこなんだ?/孤独な人々よ/身よりはいないのか?
All the lonely people / Where do they all come from? / All the lonely people
/ Where do they all belong?
Bridge
見よ、孤独な人々がいる/見よ、孤独な人々がいる
Ah, look at all the lonely people / Ah, look at all the lonely people
歌詞その2
マッケンジー神父は、説教の原稿を書いているが、そんなの誰も聞きやしない/誰も近くに寄ってこない/彼が何かしている/夜中に自分の靴下をつくろっているのだが、まわりには誰もいない/でもそんなことを気にはしない
Father McKenzie writing the words of a sermon that no one will hear / No
one comes near / Look at him working / Darning his socks in the night when
there's nobody there / What does he care?
Chorus
孤独な人々よ/ふるさとはどこなんだ?/孤独な人々よ/身よりはいないのか?
All the lonely people / Where do they all come from? / All the lonely people / Where do they all belong?
歌詞その3
エリナーリグビーが教会で死んで、一人寂しく埋められた/誰も来ない/マッケンジー神父だ/墓穴から立ち去るとき、手についた泥を拭う/誰も救われない
Eleanor Rigby died in the church and was buried along with her name / Nobody
came / Father McKenzie / Wiping the dirt from his hands as he walks from
the grave / No one was saved
Outro
孤独な人々よ(見よ、孤独な人々がいる)/ふるさとはどこなんだ?/孤独な人々よ(見よ、孤独な人々がいる)/身よりはいないのか?
All the lonely people (Ah, look at all the lonely people) / Where do they
all come from? / All the lonely people (Ah, look at all the lonely people)
/ Where do they all belong?
<構文>
- Ah, look at :命令形。
- all the :直訳すれば「すべての・・・」となるが、ここではそれほどの意味ではなく「見渡してみると…がいる」ぐらいの意味。
- the church where :この where は場所をあらわす関係副詞。 the church はその先行詞。
- the face that :この that は関係代名詞目的格。the face は先行詞となり、keep the face in the jar 「壺の中に”顔”を保存しておく」となる。
- picks / lives / waits :いずれも三人称単数現在の -s がついているので主語はすべて Eleanor Rigby である。
- Who is it for? :前置詞 for のあとに続けてみると for who(m) となる。これは修辞疑問っぽいので「誰のため?➡誰のためでもない、誰のためにもなっていない」という意味を含む。
- a sermon that :この that な関係代名詞目的格。a sermon は先行詞となり、No one will hear a sermon. となる。
- What does he care? :これも修辞疑問であろう。「彼が何を気にするというのか?➡何も気にしてない」。
<語句>
- the rice :西洋の結婚式では、式の参加者たちが新婚夫婦に、お米や紙吹雪を投げつける。エリナー・リグビーは貧しくて毎日の食事にも事欠いているので、地面に散らばったお米を拾っているのだ。
- wearing the face :「顔を着る」とは「(見せかけの)顔をする」ということ。おめでたい出来事のときは人々の前で、にこにこした顔をする必要がある。普段の貧しいときは、そういう顔は使わずに“ドアのそばの壺”の中に隠しておくのだ。きわめて比ゆ的な表現である。
- come from :会話でもよく出てくる、出身地を示す表現。例:Where do you come from?
- belong :動詞句<belong to O>は本来、「・・・に所属する」という意味。ここから転じて、「(家族・組織など)の一員である」とか「(品物など)を所有している」が生じた。
- Father :カトリック教会や英国国教会では”牧師”ではなく“神父”と呼ばれる。
- sermon :日曜礼拝などで信徒に向けて語られる説教。「鮭」は salmon 。
- buried along with her name :直訳すれば「名前とともに葬られる」であるが、墓標を立ててもらうこともなく、ひとりぼっちで埋葬されたということになるのだろう。
<解釈>
エリナー・リグビーとマッケンジー神父がこの歌の登場人物だが、彼女が死んでも、誰も看取ることのない。神父は淡々と墓穴を掘るだけで、こちらもひとりぼっちだ。絶望的な人間たちの断絶が描かれている。「愛しちゃったよ、惚れちゃったよ」の流行歌の世界とはまったく違う世界にビートルズの歌は進んでいたことがわかる。
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- I'm only sleeping
原詩サイト
<概説>
ジョンによる“眠り”の曲。忙しい演奏活動に追い回され、ベッドの中で思い切り睡眠をむさぼることは、至福の時間だったであろう。ベッドの上は睡眠だけでなく、読書をしたりテレビを見たり、する活動の場でもあった。これはのちにオノヨーコとのベッドインにつながるのかもしれない。
<直訳>
◎歌詞その1
朝早く目が覚めると/頭を上げてまだあくびをしてるんだ/夢の真っただ中にいるときは/ベッドにいたままで川の流れをさかのぼるんだ(さかのぼるんだ)
When I wake up early in the morning / Lift my head, I'm still yawning /
When I'm in the middle of a dream / Stay in bed, float up stream (Float
up stream)
◎コーラスその1
お願いだから起こさないで、ゆすらないでよ/ほっといてくれよ、ただ寝てるんだから
Please, don't wake me, no, don't shake me / Leave me where I am, I'm only
sleeping
◎歌詞その2
みんなは俺のことを怠け者だというが/気にするもんか、奴らは狂ってるのさ/猛烈なスピードで走り回ってさ/後でそんな必要なんかないと気づくだけさ(必要なんかない)
Everybody seems to think I'm lazy / I don't mind, I think they're crazy
/ Runnning everywhere at such a speed / Till they find there's no need
(Therer's no need)
◎コーラスその2
お願いだから俺の一日をダメにしないで、俺は別世界にいるんだぜ/つまるところ、ただ寝てるんだから
Please, don't spoil my day, I'm miles away / And after all I'm only sleeping
◎ブレイク
◎ブリッジ
窓辺から世の中を見守ってるよ/たっぷり時間をかけてね
Keeping an eye on the world going by my window / Taking my time
◎歌詞その3
横になって天井を見つめ/眠気が忍び寄るのを待つんだ
Lying there and staring at the ceiling / Waiting for a sleepy feeling...
◎ジョージによる逆回しギターソロ
◎コーラスその2
お願いだから俺の一日をダメにしないで、俺は別世界にいるんだぜ/つまるところ、ただ寝てるんだから
Please, don't spoil my day, I'm miles away / And after all I'm only sleeping
◎ブレイク
◎ブリッジ
窓辺から世の中を見守ってるよ/たっぷり時間をかけてね
Keeping an eye on the world going by my window / Taking my time
◎歌詞その1
朝早く目が覚めると/頭を上げてまだあくびをしてるんだ/夢の真っただ中にいるときは/ベッドにいたままで川の流れをさかのぼるんだ(さかのぼるんだ)
When I wake up early in the morning / Lift my head, I'm still yawning / When I'm in the middle of a dream / Stay in bed, float up stream (Float up stream)
◎コーラスその1
お願いだから起こさないで、ゆすらないでよ/ほっといてくれよ、ただ寝てるんだから
Please, don't wake me, no, don't shake me / Leave me where I am, I'm only
sleeping
<構文>
特になし
<語句>
- wake up :get up 「起き上がる」とは違い、wake up は「目覚める」。go to bed と sleep との違いに似ている。
- Lift :名詞では「エレベーター」であるが、動詞の場合は「(上方に)持ち上げる」。
- float up stream :float が動詞で使われ「浮かぶ」というのが原義であるので、「ふわふわと浮かびながら川をさかのぼっていく」というイメージ。
- Leave me where I am :動詞 leave を「放っておく」という意味に使われる場合が多い。Leave me alone. 「私にかまわないで」とか leave her
behind 「彼女を置き去りにする」など。
- Till :接続詞。A till B / Till B A とは「BまでAする」の意味だが、時間の流れを重視すれば「AのあとBする」とも表現できる。
- spoil :動詞の原義は「(よいはずのものに悪影響を与えて)ダメにする」であるから、spoil the child 「子供を甘やかす」The food
spoiled 「食べ物が腐った」となり、ちょっと変な方向に行くと、spoil oneself 「(旅行、ごちそうなど)自分にご褒美を与える」
- I'm miles away :直訳すれば「私は数マイル離れている」となり、相手とは大変な遠距離で隔たっていることを示す。
- after all :副詞句「結局のところは」
- Keeping an eye on :動詞句<keep an eye on O>となり、「しっかりと見張る」「注意深く見つめている」。an eye と単数形になっているのは「器官としての目」ではなく「心の目」だからであろう。
- Taking my time :動詞句<take one's time>は「急がず、丁寧に物事を行う」こと。
- staring at :stare at は look at よりももっと「じっと見つめる」こと。
<解釈>
この歌が特に麻薬による陶酔状態につながるという説はないようだ。
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- love you to
- here, there and everywhere 原詩サイト
<概説>
原題は「ここ、そこ、そしていたるところに」。歌詞はともかくとして、優しいメロディーが秀逸のポールの曲。
<直訳>
◎イントロ
よりよい人生のため、愛がここにあってほしい
To lead a better life I need my love to be here ...
◎歌詞その1
ここで毎日を過ごし/彼女の手の動きで僕の人生は変わる/必ずやそこに何かがある
Here, making each day of the year / Changing my life with the wave of her
hand / Nobody can deny that there's something there
◎歌詞その2
そこで彼女の髪をまさぐり/二人はなんて幸せなんだと思う/誰かの声が聞こえてきても彼女は気づかない
There, running my hands throught her hair / Both of us thinking how good
it can be / Someone is speaking but she doesn't know he's there
◎ブリッジ
僕のそばにいてくれるんだったら、いたるところにいてほしい/何も思い煩うことなんかないけれど/彼女を愛すると、あらゆるところにいてほしい
I want her everywhere and if she's beside me / I know I need never care
/ But to love her is to need her everywhere
◎歌詞その3
愛はともに分かち合うものなのさ/愛は決して消えないと信じているのさ/彼女の目を見つめいつもそこにいられたらなあ
Knowing that love is to share / Each one believing that love never dies
/ Watching her eyes and hoping I'm always there
◎ブリッジ
僕のそばにいてくれるんだったら、いたるところにいてほしい/何も思い煩うことなんかないけれど/彼女を愛しているから、あらゆるところにいてほしい
I want her everywhere and if she's beside me / I know I need never care
/ But to love her is to need her everywhere
◎歌詞その3(繰り返し)
愛はともに分かち合うものなのさ/愛は決して消えないと信じているのさ/彼女の目を見つめいつもそこにいられたらなあ
Knowing that love is to share / Each one believing that love never dies
/ Watching her eyes and hoping I'm always there
◎アウトロ
僕はそこにもあらゆるところにいるよ/ここ、そこ、そしてあらゆるところに
I will be there and wverywhere / Here, there and everywhere
<構文>
特になし
<語句>
- making :<make one's day>という「誰かを幸せにする」という動詞句があるが、その make のもつニュアンスを受け継いでいるのがこの表現。
- wave :もちろん本来は「波」という意味であるが、「波のように(手を)振る」というふうな転用もある。
- Nobody can deny :動詞 deny を使って「誰も…を否定できない」の意味。強い肯定の気持ちを表す。
- care :動詞で「世話をする」のほかに「気にする、思い煩う」の意味があり、多くは否定文で用いられる。
<解釈>
here there everywhere の3語が歌詞の中で順番に配置され、最後に everywhere が来ることによって、気持ちの広がりを表すようになっている。
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- yellow submarine
- she said she said
- good day sunshine
- and your bird can sing
- for no one
- doctor Robert 原詩サイト
<概説>
ジョンによる曲。この曲が書かれた当時、ニューヨークに正当な治療をするふりをして、セレブの“患者”たちに麻薬や覚せい剤をばらまいている悪名高き医者がいたそうだ。それがばれて医者の資格をはく奪されたが、この「ロバート先生」はこの人のことを歌っていると言われている。(諸説あり)
<直訳>
俺のダチに電話かけてごらん、ロバート先生って言うんだ/ロバート先生は昼も夜もいつだってそこにいるよ/ロバート先生にかかれば、生まれ変わって良くなれるぜ/何でも分かるように教えてくれる/できることは何でもやってくれるんだ、ロバート先生は
Ring my friend, I said you'd call Doctor Robert / Day or night he'll be
there any time at all, Doctor Robert / Doctor Robert, you're a new and
better man / He helps you to understand / He does everything he can, Doctor
Robert
落ち込んでたら元気づけてくれるよ、ロバート先生は/先生の特効薬を一口飲むんだ/信頼置ける先生だよ/困ってる人は誰でも助けてくれる/ロバート先生ほど、はやっている医者はいない
If you're down he'll pick you up, Doctor Robert / Take a drink from his
special cup, Doctor Robert / Doctor Robert, he's a man you must believe
/ Helping everyone in need / No one can succeed like Doctor Robert
ブリッジが入る
ほら、ほら、ほら、イイ気持ちだよ/ロバート先生が、気持ちよくしてくれるよ…/ロバート先生
Well, well, well, you're feeling fine / Well, well, well, he'll make you
... Doctor Robert
俺のダチのロバート先生は健康保険に勤めているんだ/先生に診てもらうだけなら金は要らないよ/ロバート先生にかかれば、生まれ変わって良くなれるぜ/何でも分かるように教えてくれる/できることは何でもやってくれるんだ、ロバート先生は
My friend works for the national health, Doctor Robert / Don't pay money
just to see yourself with Doctor Robert / Doctor Robert, you're a new and
better man / He helps you to understand / He does everthing he can, Doctor
Robert
ここで再びブリッジが入る
ほら、ほら、ほら、イイ気持ちだよ/ロバート先生が、気持ちよくしてくれるよ…/ロバート先生
Well, well, well, you're feeling fine / Well, well, well, he'll make you
... Doctor Robert
電話かけてごらん、ロバート先生って言うんだ/電話かけてごらん、ロバート先生って言うんだ/ロバート先生!
Ring my friend, I said you'd call Doctor Robert / Ring my friend, I said
you'd call Doctor Robert / Doctor Robert
<構文>
- helps you to understand : 動詞 help の文型は<help +O+原形>又は<help +O+toV >で、「…が…するのを助ける」
- everything he can :everything that he can do のこと。関係代名詞目的格が省略されている。
- No one can succeed like... :これは no と like を利用した”最上級的”表現で There's no place like home. 「我が家ほどいいところはない」が有名。
- he'll make you :これは he'll make you feel fine のこと。使役動詞 make の文型は<make + O + 原形>。
<語句>
- ring my friend :動詞 ring は call と同じく「電話をかける」という意味がある。「ロバート先生に電話をかけよ、と私は言った」と付け加えたのだ。
- you'd call :これは you would call の短縮形だが、ここでの would はsaid が過去形なので、will の時制の一致による変化だろう。
- any time at all :副詞句で、「いつ何時でも」。at all は一種の強調でついている。
- a new and better man :直訳すれば「新しくてより良い人間」であるが、これはロバート先生に治療を受けたあとの”変化”を示すものだろう。
- pick you up :動詞句<pick O up>には様々な意味があるが、「元気づける」という意味が無難であろう。
- in need :形容詞句で「困っている、困窮している」などの意味がある。
- national health :正式には Nationa Health Service といいNHSが略語となる。ヨーロッパの先進国にみられる“国民皆保険”の英国版。診療費は無料。ただし薬代は別。
<解釈>
比較的シンプルで歌いやすい曲なものだから、悪名高き”麻薬医者”のことを歌っているとは知らずに、当時大勢のファンたちがこの歌を愛唱していた。パーティが開かれると、飲み物などに様々な麻薬を混入させることが平気で行われていた時代背景がある。
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- I want to tell you
- got to get you into my life
- tomorrow never knows
原詩サイト
<概説>
ジョンの曲。瞑想の手順について述べている。チベットの仏教徒の経典「死者の書」の内容を使って書かれた、幻覚剤の使い方についての本である「チベット死者の書サイケデリック・バージョン」をもとにして作詞されている。だから、まるでお経の内容を聞いているみたいだ。ジョンが自分の作った歌詞の内容をしっかり理解していたかは定かではない。
<直訳>
カモメの鳴き声で始まるイントロ
歌詞その1
心の働きを止めてごらん、心の緊張を解き流れに身を任せるんだ/それは死ぬことじゃないよ、死ぬことじゃないよ
Turn off your mind, relax and float down streram / It is not dying, it
is not dying
歌詞その2
ふつふつと浮かび上がってくる考えを鎮めるんだ、虚空に身を任せるんだ/それは輝きだ、輝きを増すことになる
Lay down all thoughts, surrender to the void / It is shining, it is shining
歌詞その3
それでも心の中がもつ意味が見えてくるかもしれないよ/それこそ存在することなのだ、存在することなのだ
Yet you may see the meaning of within / It is being, it is being
ソロ演奏
歌詞その4
愛こそはすべて、愛は万人のもの/愛とは知ること、知ることだ
Love is all and love is everyone / It is knowing, it is knowing...
歌詞その5
無知と憎しみが死を悼むと知ることだ/愛は信じること、信じることだ
... that ignorance and hates may mourn the dead / It is believing, it is
believing
歌詞その6
でも夢のもつ色彩に耳を傾けてごらん/それは生きていることじゃない、生きていることじゃない
But listen to the colour of your dreams / It is not living, it is not living
歌詞その7
だから行き着く先まで輪廻をめぐるんだ/初めから、初めから
So play the game "Existence" to the end... / ...Of the beginng,
of the beginning
アウトロ
初めから/初めから、初めから/初めから...
Of the beginning, of the beginning / Of the beginning, of the beginning
/ Of the beginning
<構文>
<語句>
- turn off :動詞句で<turn O off>は通常「明かりを消す、スイッチを切る」の意味だがここでは「(意識して)心の働きを止める」といったところだろう。
- lay down :動詞句で<lay O down>は本来「…を横たえる」ということであり、目的語が all thoughts なので、人間は生まれてから死ぬまで下らない、悩み、心配などに付きまとわれているところから、禅における「雑念を払う」という意味に近いと思われる。
- surrender :動詞句で<>は本来「(相手に)降伏宣言をする」ことであるが、目的語が void なので、「自らを無のなかにゆだねる」こと。
- meaning of within ここでの within は名詞として用いられているので「心の深部、人格の中心的部分」を指すのであろう。
- being :この being が単独で使われるとき、「存在、実存」といった哲学的な意味が表されることがある。
- listen to the colour :色は「見る」はずのものなのにここでは「聞く」と言っている。これはLSDによる体験のことを物語っている。ジョンはこの薬を服用して、歌詞を考えたといわれている。
- the game "Existence" :直訳すれば「存在ゲーム」。始めから終わりまでのひとつながりの流れと言えば、これはインド思想でよくお目にかかる「輪廻」だ。人は誕生、成長、死をぐるぐる繰り返しながら、永遠に続いていく。LSDによって一時的な体験をした後、今度は自分の本物の輪廻の世界に飛び込むのだと言っている。
<解釈>
「チベット死者の書サイケデリック・バージョン」は、幻覚剤を用いて、いったん自我の喪失を経験した後、再び幻覚剤から覚めた後の自我の再生(輪廻)について解説した本だ。だから、歌詞は最後に「輪廻」の思想に行きつく。このタイトルは、たまたまリンゴが国際的事件について聞かれて、「明日のことはわからないよ(Tomorrow
Never Knows)」という返事をしたことによるという。
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