コメント集(17) |
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今年見た映画(2002年)
Vivement dimanche! 日曜日が待ち遠しい! October 06, 2002 (再)November 15, 2005 (再)June 17, 2009 (再)2023/08/21 不動産屋のベルセルは、早朝の鴨狩りの時に不審な銃声を聞いたが、まさかそれが友人のマスリエが撃ち殺されたとは知らなかった。だが潔白を証明する決定的な証拠もないので、すでに彼は警察からマークされてしまった。 彼の秘書はバルバラといって、アマチュアの劇団にも打ち込んでいて、とても有能なのだが、どうもベルセルとはうまが合わないようだ。ベルセルの妻に嫌われたために彼女が解雇通知を受ける矢先、警察がベルセルに署に同行を求めにやってきてそれどころではなくなる。 署では弁護士クレマンに来てもらい、今後のことを頼むが、ベルセルが自宅に戻ってみると、今度は夫人が殺されていたのだ。妻とは結婚してまだ日が浅く、ベルセルは彼女の過去を調べるためにニースに向かおうとするが、追われる身になったベルセルの代わりに女傑バルバラが自ら乗り込んでゆく。 バルバラはニースでベルセルの泊まっていたホテルに泊まり、謎の人物が探偵社にこの夫人の捜査を依頼していたことを知る。結婚前にニースで美容院をやっていた夫人がどうも競馬に入れ込んでいたらしいことを突き止めただけでバルバラは戻ってくるが、今度は夫人に多数の愛人が出入りしていたと告げる、謎の電話の女の声の主を突き止めるべく売春街に乗り込む。 その女は場末の映画館の切符売りだったが、殺されたマスリエのかつての情婦であり、キャバレー、美容院と複雑な関係が明らかになってゆく。バルバラはクレマン弁護士の事務所にも訪れるが、そこに何らかの不審な点を発見したようだ。さらにバルバラは売春婦を装って、謎のキャバレーに潜り込んだ。ベルセルは自分の事務所にこもり、バルバラの「捜査」の結果だけがたよりだ。 いよいよ真相が明らかになりそうになったとき、切符売りの女も殺される。せっぱ詰まったベルセルは、クレマンに会おうとするが、ここでバルバラはベルセルに自分が恋してしまっていることをうち明ける。この長い土曜日の夜、二人はすっかり意気投合して翌日の日曜日が、待ち遠しい思いなのだが・・・ 一連の殺人事件は疑いの目が、当然ベルセルに向けられ、この夜ついに警官隊がやってきて逮捕されてしまう。だが、バルバラの機転で、ニースの探偵事務所へ依頼した謎の人物を明らかにする手掛かりを得て、ようやく事件は解決し、二人は結婚式を挙げる。 バルバラは何となく田中真紀子に似ている。あまりに聡明で身のこなしが軽く、彼女の大胆な行動はみんなスムーズに行って幸運がつきまといすぎているような気がするが、決して暗い印象のない、コミカルな流れのストーリー展開で救われている。 バルバラが怪しいキャバレーに乗り込むとき、売春婦に返送するが、そうするとそれまでの顔つきや立ち振る舞いとは全く異なるように化けてしまう。トリュフォー監督は、フランスのヒッチコックといえようが、あくまでもフランス風である。(1983年・モノクロ)・・資料 Directed by Francois Truffaut Writing credits Jean Aurel Suzanne Schiffman Cast: Fanny Ardant .... Barbara Becker / Jean-Louis Trintignant .... Julien Vercel / Jean-Pierre Kalfon .... The priest Massoulier / Philippe Laudenbach .... Maitre Clement / Philippe Morier-Genoud .... Superintendent Santelli / Xavier Saint-Macary .... Bertrand Fabre / Jean-Louis Richard .... Louison / Caroline Sihol .... Marie-Christine Vercel リスニング:フランス語 Crouching Tiger, Hidden Dragon グリーン・デスティニー・卧虎藏龍 (wo hu cang long) November 14, 2002 長いタイトルではある。直訳すれば「身をかがめる虎、隠れている龍」である。英語の題名は中国語の原題にほとんど忠実だが、日本でのタイトルは「緑の(碧の?)運命」である。 剣の使い手ムーバイは、自分の師を、妹弟子の碧眼狐(ビーアヘイ)に毒薬で殺された。だが敵討ちのむなしさに気づき、一度は自分の持っている優れた古来の名剣を手放そうとするが、譲り渡した知人の家から何者かに盗まれて、再びこの剣を取り戻すべく北京にやってきた。 心の底で密かに思いあっている女性剣士シューリンの助けを借りて、犯人は近くの長官の娘イェンであり、それをうしろから操っていたのはイェンの世話役を務めていた碧眼狐だと知る。 イェンは、天性の才能と、碧眼狐から受けた訓練によって、すさまじい能力を身につけていた。だが、性格的に曲がっており、ムーバイが自分の弟子になるようにとの薦めも受け付けず、傍若無人な振る舞いを続ける。 しかも、かつて旅行中に出会った盗賊団の首領ローと恋に落ち、親の勧める官僚との結婚にも気が進まなかった。シューリンが姉代わりになってローと結ばれるように取りはからっても、かえって腹を立てて、シューリンに戦いを挑む。 ムーバイは、イェンを追って山深く入るが、そこには碧眼狐が待ち受けていて、ムーバイは仇を討つことはできたが、自分の師と同じ毒薬を体に受けて、シューリンの手に抱かれたまま命絶える。イェンも、ローのところに会いに行くものの、碧眼狐にだまされた上、ムーバイを死なせてしまったことで自分も身を投げてしまう。 スケールの大きい中国大陸を舞台にした物語になっており、剣やカンフーの戦いの場面もスリル満点ながら、官僚的な漢民族、武芸の世界に生きる人々、西域の荒野に住む少数民族が織りなす、多数の登場人物と、広大な大陸の風景をバックに展開した構成は、久々の大作である。(2000年) Directed by Ang Lee Writing credits (WGA) Du Lu Wang (book) Hui-Ling Wang (screenplay) Cast: Yun-Fat Chow .... Master Li Mu Bai / Michelle Yeoh .... Yu Shu LienZiyi / Zhang .... Jen Yu (Mandarin version) * Xiou Long (English dubbed version) / Chen Chang .... Lo 'Dark Cloud' (Mandarin version) * Xiou Hu 'Dark Cloud' (English dubbed version) / Sihung Lung .... Sir Te (Mandarin version) * Be-La-Ye (English dubbed version) / Pei-pei Cheng .... Jade Fox (Mandarin version) * Be-Ah-Hui 'Jade Fox' (English dubbed version) / Fa Zeng Li .... Governor YuXian / Gao .... Bo (Mandarin version) * Yo-Shi (English dubbed version) リスニング;北京語だが、驚くほど明瞭でわかりやすい発音、単語もやさしい。 上へLe Doulos いぬ December 05, 2002 モーリスは、鉄道のやかましく行き交う高架に近い一軒家へ歩いていった。中にいる、盗品の金細工や装飾品を加工する男を殺すためだ。殺した直後、入れ替わりに、何も知らない男二人と女一人がその男を訪ねて入ってきた。使った凶器は帰り道にガス燈の下に埋めた。 モーリスが自分の女テレーズの部屋で寝ていると、仲間のシリアンが泥棒の道具を届けにきた。モーリスは仲間のレミと共にどこかの豪邸に押し入るつもりなのだ。 だがそのあとシリアンは公安警察に電話している。密告したのか?さらにモーリスが強盗に出払っているとき、テレーズを縛り付けて行き先を吐かせる。このため仲間のレミは刑事のサリに撃たれ、モーリスも傷を負う。だが不思議なことに気を失って目が覚めてみると、仲間のところに届けられ手傷の手当を受けているのだった。 だが、一軒家の殺人については、モーリスが疑われ、シリアンの警察への協力で、最後にはあっさり捕まってしまう。モーリスはシリアンの密告がこんな結果を招いたのだと、獄中でまもなく出所する予定の男にシリアンを殺すように頼む。 ところが、シリアンは、このあと高架下の一軒家を訪ねてきた男二人をおびき出し、いかにも殺しはこの二人がやったかのように見せかける。これでモーリスの嫌疑は晴れ、釈放されることになる。 これはどういうことなのか。実はシリアンはガス灯の下に埋めた拳銃のことも、テレーズが裏切り者だということも、すべてを知っており手の込んだやり方で警察への協力を逆に利用して、拳銃で撃たれたときも、モーリスを助けてくれたのだ。 分け前をモーリスに渡したあと、そして今後はすっかり足を洗い、余生を女と買ったばかりの一軒家で暮らすのだという。ギャングのままでは悲惨な最期を遂げることになるからと・・・ シリアンを送ったあと、モーリスはふと胸騒ぎがした。獄中の仲間との「花輪」の件で電話があったというのだ。モーリスは雨の中を飛び出していくが・・・(1961年) Directed by Jean-Pierre Melville Writing credits Pierre Lesou (novel) Jean-Pierre Melville Cast : Jean-Paul Belmondo .... Silien / Serge Reggiani .... Maurice Faugel / Jean Desailly .... The Superintendant Clain / Rene Lefevre (I) .... Gilbert Varnove (as Rene Lefevre) リスニング;フランス語。きわめて会話が多く、地名と人名が入り乱れ、記憶しておくのが大変。 男はつらいよ・純情詩集 December 06, 2002 寅さんが柴又に戻ってみると、小学校に通う甥の満男の産休代用の雅子先生がちょうど、とらやに家庭訪問に向かうところだった。自分の娘ぐらいの若い先生に向かって大騒ぎを演じた寅さんは、当然のことながら家族たちの大反発をくい、すぐに旅に舞い戻る。 行った先は、長野県別所温泉。そこでは、旅回りの昔なじみの芝居芸人たちに出会い、大宴会を開く。ところが払う金がない。無銭飲食ということで、はるばる柴又からさくらが、お金を持って駆けつける。 柴又に戻ってみると、雅子先生の母親綾が、3年ぶりの退院で、とらやに挨拶に来ていた。それがなんと、昔のとらやに通っていた幼なじみだということが判明。娘に劣らず美しい、だが年齢的には寅さんにぴったりの「昔のお嬢様」である未亡人の綾に寅さんは夢中になる。 二人は意気投合し、寅さんは近所の噂にもお構いなく、綾と雅子先生の住む大邸宅に通う。だが、綾の退院は、実はもう余命がないためだったのだ。医者は好きなことをさせてあげようと、病院生活から綾を解放したのだった。 二人の楽しいひとときはわずか1ヶ月だった。でもお互いに「恋人」と呼べるような間柄になったのだった。体調が悪くて、寅さんが駆けつけてきたとき、綾は聞く。「ねえ、どうして人は死ぬのかしら」と。寅さん曰く、「それはねぇ、人がどんどん増えちゃって、ぎゅうぎゅう詰めになり、そのうち押しくらマンジュウがひどくなって、海岸の縁に立っている人があーっと言って海にドボンとおちるわけなので。」 やがて、イモの煮っ転がしを届けるにも間に合わず、綾は息を引き取る。とても意気投合した二人だったのに。雅子先生も自分の母親が本当に楽しそうにしていたのを思いだしている。寅さんもさくらに向かって、綾さんには花屋さんを開業してもらい、俺はいっさいの仕事を取り仕切ろうと思ったのになあ、とつぶやく。(1976年・第18作) 監督: 山田洋次 原作:山田洋次 脚本:山田洋次/朝間義隆 出演: 渥美清/倍賞千恵子/京マチ子/檀ふみ/笠智衆 上へIntolerance イントレランス December 13, 2002 (再)2012/11/12 何ともはやこんなスケールの大きい映画が、20世紀初頭にできたものだ。163分の長丁場だが、もちろんサイレントで、モノクロである。映像と、紙芝居のような筋書きが交互に出て、BGMは実際の映画館では、楽団が演奏したそうだ。 しかも話は4つで構成されていて、同じテーマ、つまり「不寛容 intolerance 」がどれだけ人類に不幸をもたらしたかを、タイムマシンに乗り、みて回るような設定だ。場面の切り替え役は、ゆりかごを揺さぶる運命の神だ。 もっとも時代的にさかのぼるのは、バビロニアでの話。大王がこれまでの栄華に酔っている間に、隣のペルシャの王が陰謀を企てために、自分の神殿の僧に裏切られ、神像やくさび形文字など数々の遺産を生み出した文明はあっけなくつぶされてしまう。 2番目に古いのは、聖書の時代で、イエスがあちこちで話をして歩いたあとでパリサイ人など、多くの人々の反感を買い、ついには十字架で処刑されるという、あまりにも有名な話である。 3番目はフランスのシャルル9世の時代、プロテスタントの一派であるユグノー教徒が、増えてきたために、カトリック以外を許さない側近がその勢力を一掃するために、あの「バーソロミューの虐殺」を実行にうつす。 4番目は、現代(20世紀初頭)社会での工業生産が高まる中での労働者弾圧がひどくなった頃、些細なことで夫は刑務所に入れられ、親が不適だとして慈善(偽善?)団体に、自分の子供を取り上げられてしまった女の奮闘を描く。ほかの3話ではすべて悲劇に終わるが、この話だけは、危ういところで、彼女の夫は絞首刑を免れる。 この4つの話が次々とめまぐるしく入れ替わり、観客はのんびりしている暇がない。しかもバビロニアの壮大な神殿、すさまじい数のエキストラが参加する戦い、各時代のそれぞれの凝った衣装、歴史を描きながらも、その中でもみくちゃにされる個人を忘れない視点、そして今と同じ水準のカメラワークと、グリフィン監督による、いかにも映画芸術の始まりにふさわしい古典だ。(1916年)・・・資料 Directed by D.W. Griffith Writing credits Tod Browning D.W. Griffith Cast; too many 上へ上海ルージュ Shanghai Triad 摇啊摇 摇到外婆桥 (Yao a yao yao dao waipo qiao) December 29, 2002 中国の鬼才、イーモゥ監督の作品。まだ14にしかならない唐家の少年シュエシュン(水生)は、田舎から上海の同じ唐家に属するおじさんを頼って、中心街ブンドに着いたばかりだ。おじさんについて仕事を習い、いずれはこの大都会で出世をしたい。 だが、おじさんは、この町を牛耳るマフィアの幹部だったのだ。シュエシュンは早速ボスの愛人で歌姫であるチンパオ(金宝)の世話係をさせられる。 チンパオは、わがままを絵に描いたような女で、ボスに隠れて恋人を引き込むわ、クラブの舞台ではほかの女たちに対して威張りくさるわ、シュエシェンはただ呆然と眺めるばかり。しかも田舎者ということでドジの連続だ。 それでも3日目ぐらいになってようやくまわりの様子がつかめるようになってきた。マフィアたちの抗争、連日の会議、周りを取り囲む女たち、とシュエシュンは次第にこの世界になじんでゆく。 ところが4日目の夜、チンパオの館で大変な物音がして、シュエシュンが駆けつけてみると、自分のおじさんが抗争相手に無惨にもナイフで引き裂かれていた。相手グループのボスは、おじさんたちのグループが上海を牛耳っているのを好ましく思わず、乗っ取りをたくらんでいるのだ。 敵に見つけられないように、ボスはいやがるチンパオを連れて、上海から離れた小島に避難する。周りは厳重に監視され、シュエシュンたちはろくに外にも出られない生活が始まる。 真っ先に退屈を感じたのは、都会暮らしに慣れきったチンパオだ。自分たちの食事を作ってくれる島の土着の母娘と親しくなる。娘はまだ10歳ぐらいだが、とてもかわいくて歌もうまいので将来はチンパオのようになりたいと思っている。 だが、上海から刺客がやってきて、シュエシュンは、男たちがチンパオとボスを殺す計画を話し合っているのを立ち聞きしてしまう。大急ぎで二人に伝えるが、すでにボスはその計画を知っていて、裏切った男を処刑することにした。 だが、おしゃべりなチンパオが母娘と親しくしていたので、マフィア全体の秘密が漏れることを防ぐために、その母親も、隣村から夜這いに来ていた婚約者も、犠牲になる。そしてチンパオ自身も、ボスは前から恋人が彼女のもとに出入りしていたことを知っていて、チンパオも一緒に処刑される。 翌朝、チンパオを救おうと突っかかっていったシュエシュンはお仕置きのために、上海に戻る船のマストから逆さまにつり下げられ、その横には何も知らない幼い娘が心配そうに見つめているのだった。(1995年) Directed by Yimou Zhang Writing credits Bi Feiyu Li Xiao (novel) Cast :Li Gong .... Xiao Jingbao / Baotian Li .... Tang, the Gang Boss / Wang Xiaoxiao .... Shuisheng, the boy / Xuejian Li .... 6th Uncle / Sun Chun .... Song, Tang's No. 2 / Biao Fu .... Tang's No.3 リスニング:北京語、せりふは明快で、とても聞き易い。 上へ今年見た映画(2003年) シュリ Swiri 쉬리 January 01, 2003 国全体が良かれ悪しかれ、活気にあふれているときは、そこで作られる映画もそれを反映して、緊張感のあるものができあがるようだ。韓国映画が、国際的な注目を浴びるようになったのも、監督たちが次々と社会の雰囲気を取り上げて、意欲的に表現するようになったからだ。 「シュリ」とは韓国の河川に生息する淡水魚の名前だという。この話の影の主人公は水槽に飼われている魚たちだ。そして敵対しあうのは、韓国の情報部員たちと、北朝鮮から送られてきた工作員たちだ。 北朝鮮には腕利きの女工作員、リーがいてそのめざましい働きのために、特命を受けて韓国社会に潜入する。目的はこともあろうに情報部員の一人の妻になることなのだ。彼女はすでに何人かの重要人物を射殺しているほどの銃の達人でもある。 情報部員の一人は、ペットの魚を売っている店をやっている女性と知り合い、二人は恋仲になる。彼は自分の職場に水槽をたくさん持ち込み、そこには多数の魚が泳いでいるのだが・・・ 同僚と共に、工作員の行方を突き止めようとするが、武器の取引相手に会いにゆく寸前に、その相手は射殺されていたり、液体爆弾の研究員も事前に殺され、爆弾も待ち伏せによって奪われてしまう。 このような事件が次々と起こるのだが、どうして自分たちの情報が漏れるのか不思議でならない。情報部員たちは互いに疑心暗鬼になり、長年の仲間を疑うようになってしまう。 爆弾を奪ったあと、工作員たちは爆弾を脅迫の材料にして韓国社会を混乱に陥れ、北朝鮮による半島統一の野望を遂げようと行動を起こす。一方水槽の魚が一匹死んで、体の中に盗聴器が埋め込まれているのがやっとわかり、婚約者だった女は、実は済州島に住む少女(一人二役)そっくりに日本で整形手術を受けていたリーだということが判明したのだ。 捜査が進み、工作員と情報部員が遭遇し、激しい戦いを繰り広げ、さらに南北の親善サッカー試合が行われているスタジアムが爆破される危険に陥る。彼らのもくろみはスタジアムのライトを昼間ながら点灯して、爆弾が爆発するまで温度を上げようというのだ。そしてイーは、もし爆破が失敗したときには、南北首脳を狙撃する役目だった。 情報部員たちが工作員の占拠する操作室に入り、激しい銃撃戦のあと、危機一髪でライトを消すことができたので、スタジアムの爆破は免れたが、今度は首脳たちを守るためにイーを射殺しなければならなかった。 「祖国統一」のためには、どんな事件でも起こす北朝鮮の工作員たちの様子が、情報部員との戦いの中で浮かび上がる。イーは、本当に恋をしてしまったのか?それとも最後まで「任務」に忠実だったのだろうか。(1999年) Directed by Je-gyu Kang Writing credits Je-gyu Kang Cast: Suk-kyu Han .... Yu, JongWon / Min-sik Choi .... Park, Mu-young / Yoon-jin Kim .... Lee, Myung-hyun (Lee, Bang-hee) / Kang-ho Song .... Lee, Jang-gi リスニング;朝鮮語。きわめて明瞭で、日常語が多く初学者にもおすすめ。 男はつらいよ第1作 January 07, 2003 寅さんは20年前に親父と大喧嘩をし、ぷいと家を出たまま帰らなかった。渡世稼業に明け暮れていたものの、ふと葛飾柴又の家族に会いたくなってひょっこり姿を現した。 だが、両親も兄もすでにこの世を去り、残っているのは妹のさくらだけだった。彼女はだんご屋をやっている叔父叔母夫婦に引き取られ、年頃の美しい娘になっていた。 さくらは自分の勤める電気会社の社長の息子とお見合いをすることになっていたが、おっちゃんの代わりに寅さんが付き添うことになって、てんやわんや。酔って騒いで相手方の家族をあきれさせたあげく、もちろん縁談は断られてしまう。 そのおかげでとらやでは大喧嘩になるが、飛び出した寅さんは奈良・二月堂で、御前様と、幼なじみの娘、冬子とばったり会い、寅さんはすっかり彼女に夢中になってしまう。 3人で一緒に葛飾に戻るが、そこで知ったのは、隣の印刷工場で働いている工員の博が、さくらに思いを寄せていることだった。寅さんのむちゃくちゃな仲介が逆に功を奏して、二人はめでたくゴールインする。 結婚式の当日には、博が8年前に大喧嘩をして縁を切られた、北海道に住む両親が来ていた。父親はその結婚式の暖かい雰囲気に感動し、みんなの前で深く感謝するのだった。 寅さんと、御前様の娘、冬子とのデートは回を重ねるが、寅さんは実は彼女は寺の婿を呼ぶことになっていることをまったく知らない。ある日ばったりその男性と彼女が会っているところに出くわして、寅さんは失恋ですっかりがっくりきてしまう。 再び旅に出るときがやってきた。第1作から、このパターンが始まる。しかし何よりもこの作品では誰もがまだ若い。寅さんのしゃべる言葉も荒っぽくかなり衝撃的だが、登場人物全体のエネルギーがあふれている。(1969年) 監督: 山田洋次 原作:山田洋次 脚本:山田洋次/森崎東 出演: 渥美清/倍賞千恵子/笠智衆/志村喬/前田吟 マドンナ;光本幸子 上へ八月のクリスマス Christmas in August 8월의 크리스마스 January 11, 2003 ジュウォン青年は30歳を過ぎたばかりだ。まだ独身で写真館を経営している。自分だけで撮影、現像、配達をやり、裏の建物で自分の父親や兄、妹と暮らしている。母親はまだ彼が小さい頃死んだ。 自分の出た小学校が近くにあり、もうずっと同じ場所で暮らしている。お客との接触、友達との飲み会、ハイキングと、何とはない日常がすぎていくが、実は彼は自分が致命的な病気を抱え込んでおり、余命幾ばくもないことを知っている。 ある日、駐車違反の取り締まりをする、タリムという名の婦人警官が、急いで現像をしてくれと店に駆け込んできた。それは暑い日で、できあがるまで外で待っているタリムにジュウォン青年はアイスキャンデーをご馳走する。 二人はこれをきっかけに急に親しくなった。タリムはかなり年下なので、ジュウォン青年を「おじさん」と呼びつつ、少しずつ恋心をいだいてゆく。仕事の途中で立ち寄ったり、急な写真の焼き付けを頼んだり、一緒に遊園地に行ったりと、二人が一緒に過ごす時間は増えてゆくが、タリムは彼の病気のことは少しも知らない。 ある日、大家族が写真を撮りに来た。みんなで撮ったあと、おばあさんが一人で撮影してもらった。その夜遅く、そのおばあさんは綺麗ななりをして再び写真館を訪れ、もう一度撮ってほしいという。自分の葬式写真はきちんとしたのが欲しいからだという。 ジュウォン青年も、そのころから自分の死後のためにいろいろ準備を始める。写真館の跡継ぎがスムースに仕事ができるように。そしてそのショーウインドウには自分の撮影したタリムの写真が飾れるように・・・ 青年は倒れた。しばらく入院している間、主のいない写真館の前を何度も言ったり来たりしていたタリムは、自分が捨てられたと思ったかもしれない。退院してみると、タリムは別の場所に転勤していて、その姿を見ることはできなかった。ジュウォンはいよいよ自分の死期が近づいたのを知り、自分の写真を撮る。 そして、タリムのことを胸に抱いたままこの世を去った。父親が写真館を引き継いでいた。ある日店のショーウインドウに近づいたタリムは、自分の写真が飾ってあるのを見てにっこりほほえむのだった。 撮影は、韓国の町並みが多い。普通のドラマの場合と違って、警笛やトラックの通り過ぎるときなど、「町の騒音」が飛び込んできて、ドキュメンタリー風だ。 また、ハリウッドの制作方式に慣れた人にはとまどうような構成だ。身近な日常のシーンが短くつなぎ合わされているだけだからだ。むしろフランス映画のようなつくりかたになっており、テレビドラマの安易な展開と違って、観客に想像力を要求する。(1998年) Directed by Jin-ho Hur / Writing credits Jin-ho Hur Seung-ook Oh Cast: Suk-kyu Han .... Jung-won / Eun-ha Shim .... Da-rim / Goo Shin .... Jung-won's father / Ji-hye Oh .... Jung-sook / Han-wi Lee .... Chul-goo リスニング;朝鮮語、日常会話の短い取り合わせだから、初心者のリスニング訓練には理想的。 上へThe Matrix マトリックス January 18, 2003 20世紀末の大都市。青年ネオはソフト会社に勤めながら、夜は次々とコンピュータに悪事を働くハッカーだった。風采のあがらないこのやせぎすの男に、不思議なメールがやってる。 彼は、未来世界からやってきたあるグループに「選ばれ」、その活動に加わるように勧められたのだ。突然警察のような組織から追われ、拷問を受けるところを助けられ、何がなんだかはっきりわからないまま、若さの行きがかりで、ネオはメンバーになることを承諾してしまう。 21世紀の中頃には、コンピューターがマトリックスと呼ばれる一つのまとまった頭脳を持つ組織体になって、人類を制圧し、コンピューターのエネルギー源として人類が「飼育」される羽目になっていた。そこから解放されようと、劣勢ながらごく少数残された自由な人々が、その支配体制に戦いを挑んでいたのだ。警察のような組織はエージェントと呼ばれ、彼らを殺そうと常にねらっていた。 リーダーのモルフェウス、女性司令官のトリニティをはじめとして数名がホバークラフトに乗り込み、マトリクスが支配する世界の地下に残るかつての下水道などに潜んで攻撃のチャンスを待っていた。 ネオは、今までの世界から「転送」されて、彼らと合流しさまざまな訓練を受ける。モルフェウスによれば、実はネオがマトリクスを叩きつぶしてくれる「救世主」ではないかと思われていたのだ。もしそうだとすれば彼の活躍で人類はやっとコンピュータ支配から解放されることになるかもしれない。そのことは「予言者」もそれとなくにおわせていた。 現実の世界と思っていたもの、つまり都会の雑踏などは実はみな「仮想現実世界」であって、ホバークラフトの隊員たちも現実の肉体は座席の中に残したまま、その世界に入っていくのだった。だがその世界で殺されたりすれば、本人は座席の上で死ぬ。殴られれば、血が出てくる。 数人で仮想世界への「外出」の最中、ひとりの隊員の裏切りによって、何人かは殺され、モルフェウス、トリニティ、ネオの三人はエージェントたちに追いつめられて、危機一髪の状態となる。モルフェウスはとらわれ拷問にかけられるが、これを見ていられないネオは、トリニティの助けを借りてエージェントたちのもとに乗り込む。 激しい銃撃戦と、ヘリコプターを利用してのモルフェウスの奪回は成功したが、ネオだけは元の肉体に帰り損ね、エージェントに追いつめられて銃弾を撃ち込まれてしまう、だが・・・ 舞台が、21世紀の中頃だけにかなり生々しいし、「仮想現実」はコンピュータ・ゲームでかなり実現しているからその点で純粋な SF ではないだろう。マトリクスというコンピューター頭脳による得体の知れない怪物が生まれてしまう可能性もゼロとはいえない。(1999年) Directed by Andy Wachowski Larry Wachowski Writing credits (WGA) Andy Wachowski (written by) & Larry Wachowski (written by)Cast :Keanu Reeves .... Thomas A. Anderson/Neo / Laurence Fishburne .... Morpheus / Carrie-Anne Moss .... Trinity / Hugo Weaving .... Agent Smith / Gloria Foster .... Oracle リスニング;アクション映画だから、個々のせりふは短い。 H O M E > 体験編 > 映画の世界 > コメント集(17) © 西田茂博 NISHIDA shigehiro |