ホントに使える英語(2)

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モントレマリーナ・藤井正

これをやる前にホントに使える英語(1)

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目次

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第5章 形容詞節

第6章 名詞句

第7章 名詞節

第8章 動詞の基本文型

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第5章 形容詞節



形容詞節の先頭に来る語は次の3つに分類できます。(必要とあらば、各項目をクリックしてください)

<1>関係代名詞 which, who(m), that
<2>関係副詞 when, where, why
<3>接続詞 that, whether, as

形容詞節では修飾される名詞のことを「先行詞」と呼んでいますが、その理由は、本来形容詞節の中に含まれていたその名詞が「抜き取られ」て、修飾されるために前に出てきたからです。その意味では第4章の形容詞句の前にある名詞の大部分も、同じく先行詞と呼んでいいのかもしれません。関係詞のシステムとは「文中のどれか任意の名詞を取り出して、それを残った部分で修飾する」とまとめることができます。

しかし、同時に関係詞は接続詞の働きも兼ね備えています。特に、関係詞と先行詞の間にコンマが打ってあるとき、and, but の働きが見え隠れします。コンマを打つことは先行詞を修飾することを放棄して、そのまま文を「続行」することにほかなりません。さて、まず関係代名詞の例文から見てください。先行詞がどこから「抜き取られた」かを示す「格」から始めます。

<1>関係代名詞

(56)I got hold of the wallet which had been left on the desk.
例文(56)での元の文は***The wallet had been left on the desk. であり、主語であった wallet が先行詞になっているので「主格」と呼ばれます。

(57)I got hold of the wallet ( which ) I thought had been left on the desk.
例文(57)での元の文は *** I thought that the wallet had been left on the desk. であり同じく「主格」扱いです。違う点は、その前に I thought that がついていることですが、これは関係代名詞の文を作る上ではじゃまなので、関係詞の「直後」に置くことになっています。この場合の主格の関係代名詞は省略されることが多い。

(58)I found the bag ( that ) there was on the rack of the train.
例文(58)も「主格」ですがその理由は、there 構文では be 動詞のあとにくる名詞が主語ということになっているからです。元の文は *** There was a bag on the rack of the train. であり、関係代名詞は that であり、たいていは省略されます。

(59) That pianist whose performance I have seen once is said to practice ten hours a day.
この例文がもとになっているのは *** I have seen the pianist's performance once. であって、はじめは文中で「所有格」に収まっていたことが分かります。なお、performance は seen の目的語ですが、所有格と切り離してしまうと関係がわからなくなるので、関係代名詞とともに、文の前に出されています。

所有格と似ていて、実は違っているのが関係形容詞です。*** I want to learn Chinese, which language is spoken all over Asia. という文では、Chinese = the language となりますが、the は冠詞であって、所有格ではなく、むしろ形容詞の一種なので ( the の代わりに this, that と考えてもよい)whose は使わず、形容詞の働きを兼ね備えている which を用いることになります。

(60)The dog ( which ) I saw yesterday turned out to be a wolf. この例文が元になっているのは *** I saw the dog yesterday であり、dog は本来、saw の目的語であったので「目的格」ということになります。目的格の場合、コンマを使わない限り、また前に前置詞をつけない限り、関係代名詞は省略できます。

(61)The dog ( which ) I thought I saw yesterday turned out to be a wolf.
この例文が元になっているのは ***I thought that I saw the dog yesterday であり、これも「目的格」には違いありませんが、例文(57)と同じく、その前に I thought that がついていることです。やはり関係代名詞の文とは直接関係がないので、接続詞の that を取り除いてから関係詞の「直後」に置きます。

(62)The book ( which ) I found interesting had been sold out.
この例文が元になっているのは *** I found the book intersting であり、the book は found の目的語だったので、やはり「目的格」です。例文(60)との違いはそのあとにあった、( book に対する)述語部分を受け持つ形容詞の interesting が目的語が抜けたあとでもそのままついていることです。

(63)Is there any place ( that ) it is worthwhile visiting?
この例文が元になっているのは *** It is worthwhile visiting the place. であり、the place は元は他動詞 visit の目的語であったので、やはり「目的格」です。worthwhile という形容詞のために、仮主語 it をたてた ing 形(動名詞)になっていますが、ing であろうと、to 不定詞の形式であろうと、他動詞である限りは、やはりうしろに目的語がつくことになります。 その目的語が前に出るのであれば、それは先行詞です。

(64)I found a shop at which they sell everything at a 20% discount.
この例文が元になっているのは *** They sell everything at a 20% discount at the shop. であり、shop は sellを含む文であとのほうにある、副詞句を作るための前置詞 at の目的語になっているので、やはり「目的格」です。前置詞は例文の前に置けば関係代名詞は省略できません。省略するためには、*** I found a shop ( which ) they sell everything at at a 20% discount. のように前置詞を文末に移動させる必要があります。(注: at が二回重なって不自然ですが)

<2>関係副詞

(65)I found a shop where they sell everything at a 20% discount.
この例文が元になっているのは例文(64)と同じものです。ただし、ここでは at the shop 「場所の副詞句」= there 「副詞」= where 「関係副詞」という3段階の変化を遂げたことになります。 これと同じように、「時間の副詞句」なら then = when ということになり、「理由の副詞句」なら for the reason = why ということになります。

(66)I don't like the way he talks with his girlfriend.
この文が元になっているのは *** He talks with his girlfriend in the way. であり、the way in which という文語的な表現方法もありますが、普通は the way のあとに来るはずの関係副詞である how はつけることなく、すぐに節を作ります。

<3>接続詞

(67)The fact that they were separated cannot be denied.
この例文では fact という名詞は、あとの文のどこにも入るところが無いので先行詞とはいえません「完全文」。それでも that 以下が fact を修飾しているように見えます。この that は接続詞と呼ばれ、これを「同格」と呼びます。名詞節と呼ばれることもありますが、cannnot be の主語はあくまで fact であって、that 以下ではないので、形容詞節に入れておきます。このタイプは形容詞句の中の to 不定詞の用法の例文(46)にもありました。この場合と同じく、同格表現に使える名詞は、news, idea, hope, realization などと数が限られています。また、question, doubt などのあとの接続詞は 「二者択一」なので that の代わりに whether によって同格を表すこともあります。

(68)The wilderness as we know it is quite different from what was 40 years ago.
この例文でも wilderness という名詞はうしろの文のどこにも入りません(注: know の目的語は it としてちゃんとある)。したがってこの as も接続詞で、同格ではなく「様態」(例文33参照)に近いのですが、形容詞節の働きをしているといえます。

継続用法について コンマのついた関係詞は、修飾なしでそのまま前へ文を読み進むので、継続用法といいます。and, but, for などの等位接続詞がついていると連想するとよい。

(69)I borrowed from the library twenty books, most of which I haven't read yet.
この文ではコンマがあるために、もはや修飾関係はなく、and を使って連結してみると、***,and I haven't read most of the books yet. となります。なお most of が read の目的語であるため、which と結びついて前に出ているという点では、例文(59)にある、所有格の場合と構成が似ていることがわかります。

(70)I want to join the club, the members of which are offered free meal at the meeting every day.
この文でも事情は同じで、 for (注:等位接続詞で「理由」を表す)を使って連結してみると、*** ,for the members of the club are offered free meal at the meeting every day. となります。なお、例文(69)と違い、the member of the club は are の主語なので、もともと前に出ており、関係代名詞を使っても使わなくてもその位置が変わることはありません。

第6章 名詞句



名詞句は3種類しかありません。名詞そのものは、すでに述べた形容詞句や形容詞節によって修飾可能ですが、独立した名詞句や名詞節は動詞の主語、目的語、 be 動詞のあとにつくだけで、先頭の形が問題になります。(必要とあらば、各項目をクリックしてください)

<1> to 不定詞
<2>疑問詞+ to 不定詞
<3>ing 形

<1> to 不定詞

これは不定詞の「名詞的用法」です。主語のない動詞の形で使われるわけですから、その主語にあたるものが不明の場合、いわゆる「一般論」になります。to 不定詞の他の用法と名詞的用法が区別できるのは、動詞から見た「位置」によってです。では次の例文を見てください。

(71)To know the secret may risk your life.
主語に to 不定詞が使われている場合、ing 形(動名詞)と違って、「一般論」の中でも、特に具体性を帯びた事柄を示すことが多いようです。ここでは the secret の the により、特定の「事情」が暗示されます。

文頭に to があって見極めるのに大切なことは、副詞句のところでやった、to 不定詞の副詞的用法のうち、「目的」を例文(17)でやりましたが、これと識別を素早く行うことです。見極めの基準は簡単で、主動詞からみて主語がほかにあれば、副詞的用法で「目的」、ほかに主語が見あたらなければ、「名詞的用法」となります。

(72)She promised to go there in time.
目的語に to 不定詞がくるかは、その他動詞の用法の問題になりますが、promise, wish, want などに to 不定詞がつくのは、これらの動詞がたいてい「未来志向」を持っているからです。( cease to 不定詞などはこれに当てはまりませんけれど)また、同じ目的語でも、他動詞とちがい、前置詞のあとにはこの to 不定詞を持ってくることはできません。代わりに ing 形(動名詞)を入れます。

そもそも他動詞のあとに目的語として to 不定詞がくるという考え自体が怪しいのです。(本物の)他動詞とは目的語に名詞、代名詞をとることができるものをいうのであって、たまたまその名詞部分に to 不定詞を入れてもその動詞の意味が変わらない時のみに、初めて名詞的用法といえるのです。 ですから、want milk が成立するというなら、want to drink milk の to 不定詞は名詞的用法だと断定できますが、hesitate + 名詞というのは成立しないので、hesitate to go の to 不定詞が名詞的用法とできないのが筋でしょう。結論は動詞が他動詞か自動詞かは気にせず、 to 不定詞がつくかつかないかだけ覚えればよいということでしょうか。

(73)His intention was to establish a political party in secret. すでに intention = to establish... が等しいとあらかじめわかっているときだけ、間に be 動詞を入れることができます。この文の場合、すでに intention to 不定詞という組み合わせ(注:同格で等しい関係にあった・例文46参照)が存在していたことがこのように作られた最大の原因です。

<2>疑問詞+ to 不定詞

本来、疑問詞のあとは主語と動詞がくるのが原則のはずですが、やはり主語を除き、形を簡単にしたのがこの形式です。( why を除く )主語と動詞の間に助動詞の should (すべき)が入っていると見なしたほうがよいでしょう。主語はその文脈で適当に判断します。

(74)Do you know well how to go there and what to do ?
この文での how 以下とは *** how you should go there のことであり、what 以下は *** what you should do のことだと見なします。いずれも、ここでは know の目的語としての名詞句となっています。

<3>ing 形

(75)Traveling makes me away from the daily routine. 主語に ing 形を置くことは to 不定詞に比べると抽象性が高いと言われていますが、それは、名前が動名詞と呼ばれるように、動詞の性質を失って、かなり名詞に近づいているからだといえます。

この traveling はもとより、名詞化の進んだ swimming, acting などは特に、使う前にただの名詞か、動名詞なのか決めておくべきです。動名詞なら、動詞の約束(注:目的語や副詞をつけること)を守らねばならないからです。

(76)You had better avoid speaking to her about this matter.
いくつかの他動詞の中には目的語として動名詞をつけることができるものがあります・BR> B
stop -ing, avoid -ing, finish -ing に見られるように、「抑止、停止」を示すこともあれば、remember -ing, forget -ing, regret -ing, のように「完了、過去」を示すタイプもあります。例文(72)で述べた、to 不定詞の「未来志向」と比較してください。

(77)His favorite sport is hitting a small ball away, that is, playing golf.
例文(77)は例文(73)と同じく、sport = hitting... の関係が前もって成立しているときのみ、その間に be 動詞を挟むことができます。等しくないときは進行形(動詞と機能語・例文131参照)になってしまいます。

第7章 名詞節



名詞節は名詞句と同じ位置にありながら、その先頭に来る語の多様さのために文を作るのに最も苦労する単位です。従ってここでは、その先頭に来る語を具体的に分類してみていきたいと思います。 全部で品詞別に6種類に分けてあります。(必要とあらば、各項目をクリックしてください)

<1>that, whether, if 節(接続詞)
<2>why, where, when, how 節(副詞)
<3>who(m), which, what 節(代名詞)
<4>who(m)ever, whichever, whatever 節(代名詞)
<5>what, which, whose 節(形容詞、所有格)
<6>whatever, whichever 節(形容詞)

<1>that, whether, if 節(接続詞)

最も単純な名詞節です。なぜならば、接続詞のあとには主語や目的語の抜けていない、「完全な文」をただ足せばそれですむからです。まず例文を見てください
B
(78)It is certain that he is over 60.
(79)It depends on the cost whether your business will be successful or not.
(80)I asked him if he really wanted to do it.

例文(78)のように「事実( the fact )」を書きたければ、that で始め、例文(79)のように「二者択一」の状況であれば whether で始めればよい。ただし例文(80)のように if は他動詞のあとの目的語としてのみ使えます。

<2>why, where, when, how 節(副詞)

この4つはいずれも疑問副詞であって、このあとに文を作るときは、接続詞の場合と同じく、「完全な文」をただ足せばよい。まず例文を見てください。

(81)I want to ask him why he so badly wants to have a car.
この例文にあるように、why, when, where に関しても独立した「完全文」をあとに足せばよいのです。気をつけるべきことは、これらは疑問詞なので、疑問詞で始まる名詞節を受け付けるタイプの「他動詞」でなければならないことです。 tell, ask, know, understand などがそれにあたります。

なお、例文(83)にあるように、surprised, sure, certain など、一部の形容詞のあとでも疑問詞は可能です。

(81)He asked me how I had solved such a difficult problem..
ところが、how については少々事情が違います。「完全文」は付きますが、副詞でありながら、他の形容詞や副詞と結びつくことがあるのです。ここでの疑問詞 how は「単独」で使われていますので、how = the way と考えておけばよいでしょう。(形容詞節・例文66参照)

(82) I don't know how quickly he could finish the job.
例文(82)での how は quickly と結びついています。[ how + 形容詞・副詞 ]の場合には注意が必要です。この文が元になっているのは、*** He could finish the job ( somewhat ) quickly. であり、somewhat の部分を疑問詞の how に置き換えたものだといえます。how long, how often, how many, how much など、おなじみの表現はいずれもこれに属します。

(83)They were surprised how fluently she could speak French.
例文(83)での how は、fluently と結びついています。この文が元になっているのは、*** She could speak French ( very ) fluently. であり、very の部分を how に置き換えて、fluently とともに前に出て、「感嘆文」になったものと考えられます。感嘆文になったかどうかの判断はそのあとにある、表現内容で判断します。

<3>who(m), which, what 節(代名詞)

この3つの語はいずれも代名詞ですので、文を作る際には、これらを主語、目的語、 be のあとにくる語のいずれかに「繰り入れて」おかねばなりません。「人」を表す who/whom を除いてはいずれも主格と目的格の形が同じですから、どちらなのかの確認が必要です。それでは例文を見てください。

(84)I knew who stole the bag from the rack. この例文で元になっているのは、*** Someone stole the bag from the rack ですから、主語の Someone を主格の who に置き換えたものといえます。

コラム

奥の深い what

次の3つを比較してみましょう。what I have (私の持っているものすべて・お金、家、土地、車、歯に詰めた金歯、指輪など=関係代名詞)、what money I have (私の持っているお金のすべて=関係形容詞) what little money I have (私の持っているなけなしのお金=関係形容詞にさらに他の形容詞がついたもの)このように what には3段階の使い方があります。

"I want water!"と叫ぶとき、この water を強めるにはどうしますか?強調構文を使って "It is water that I want!" と言うこともできますが、次のような言い方もあります。"What I want is water !" これは前もって what で表して聞き手の注意を引き、そのあとで改めて water を言う方法です。


(85)Tell me who(m) you met at the station.
これに対し、例文(85)で元になっているのは、*** You met someone at the station. ですから、目的語にあたる someone を目的格の whom に置き換えたものといえます。なお、前に直接に前置詞がつかない限り、whom の代わりに who を使ってもかまいません。

(86)I cannnot decide which is a genuine pearl. この例文における which は例文(84)と同じく、主格になっています。which という疑問詞は、what と違い、「限られた」選択肢の中から選ぶという状況を示します。従って、ここでは真珠らしい物が数個置いてあって、その中から本物を選ぶ、ということになります。

(87)She doesn't know what makes him so unhappy.
この例文でも、what は主格になっています。what は which と違い、「無限」の選択肢から選ぶという状況を示します。従って、ここでは彼を不幸せにする原因は考えつく限りあるわけで、その中からどれかを選択することになります。

(88)Even if he gives up what he has, he wants to leave this country.
この例文における目的格の what は疑問詞としては、前にある動詞の give up にそぐわないことがわかります。このような場合、what = something とみなさず、what = ( all his ) things と考えれば、「彼の全財産」となり、give up 「手放す」とうまく一致するようになります。このような場合の what を(先行詞抜きの)関係代名詞と呼びます。関係代名詞の what は疑問詞の場合と違い、前にある他動詞の語法に左右されることはなく、純粋に文脈の点で判断します。

(89)You should marry someone who are interested in what you are rather than what you were.
さらに進んだ関係代名詞 what の用法としては、be 動詞のあとにくる語の代わり、というタイプがあります。元の文は、*** You are someone. または You are something. と考えられ、その人が「何者」かを示す表現です。この文では現在形 are の場合は「現在のあなた」であり、過去形 were の場合は「過去のあなた」を示しています。ここでは be 動詞が「性質、状態」を示す性質を応用したものですから、主語は人間だけではなく、物事の場合でも可能です。

<4>who(m)ever, whichever, whatever 節(代名詞)

同じ代名詞であっても、これらの語尾には ever がついています。これによって特殊な意味が加わりますが、副詞節だけでなく、名詞節をも作ることもできるのです。ただし、副詞である、whenever, wherever, however の3つは例文(32)にあるような、副詞節にはなれても、名詞節にはなれません。では例文を見てください・BR> B
(90)Give it to whomever you see in need.
この例文で名詞節が成立しているのは、前置詞 to の目的語としてです。さて、その中身について、元になっている文を探ると、*** You see anyone in need. となり、someone ではなく anyone が使われています。つまり、 ever がつくということは、some の代わりに any がつくことを示します。肯定文での anyone は「誰でも」を示しますから、「制限を設けない」で、どんな人でもよいということです。

(91)Whichever you have chosen may lead to disaster.
同じことが whichever にもいえます。元になった文は、*** You have chosen any of the things. となり、すでに例文(86)で述べたように、「限られた」選択肢がすでに存在し、その中なら何でもよい、という状況です。

(92)She will accept whatever her mother wants to do.
この例文で、元になった文は、*** Her mother wants to do anything. であり、例文(87)で述べたように、「無限」の選択肢の中から選んでよいのです。例文(91)の whichever との違いは、any of the things と anything に表されています。

注意 これらの代名詞は、複合関係代名詞と呼ばれますが、そのわけは、形容詞節に変えた場合、これらの any のつく語がすべて先行詞として機能するからです。すなわち、who(m)ever = anyone who(m) であり、 whichever = any of the things which となり、whatever = anything which と考えられるからです。

<5>what, which, whose 節(形容詞、所有格)

what, which が代名詞で用いられる限り、文中の主格や目的格になることはすでに述べました。ところが、これらを単独で用いるだけでは不便なことも出てきます。従って、文脈に合わせてそのあとにさらに名詞を加えて、その名詞そのものを主語や目的語に据えようとしたのが、what, which の疑問形容詞としての用法です。who だけは人間という特殊事情がありますので、形容詞の代わりに、所有格である whose を用います。では例文を見てください。

(93)Tell me what book you want to read.
この例文の元となっているのは、*** You want to read some book. であり、read の目的語は book であって、形容詞の some が what に置き換わったのです。例文(59)で述べたように、whose, what, which に修飾されている名詞も共に文頭に出なければなりません。

(94)I don't know which way I should take.
この例文の元となっているのは、*** I should take one of the ways. であり、take の目的語は way(s) であって、way を修飾している、one が which に置き換わったのです。なお、この文は例文(74)のように to 不定詞で書くことも可能です。*** which way to take となります。

(95)I wonder whose house they are making now.
この例文の元となっているのは、*** They are making someone's house now. であり、making の目的語は house であり、house を修飾している、所有格の someone's が whose に置き換わったのです。これも例文(59)と同様、名詞の house は whose を伴い文頭に出なければなりません。

<6>whatever, whichever 節(形容詞)

最後に代名詞であった、whatever, whichever がうしろに名詞を伴う形容詞タイプを紹介します。これは<4>で述べた、 ever がついていますから、疑問形容詞ではなく、複合関係形容詞と呼ばれます。では例文を見てください。

(96)In this town, you can choose whatever country's dishes you have a liking for.
この例文の元となっているのは、*** You have a liking for any country's dishes. であり、any という形容詞が whatever に置き換わって、country's dishes と共に文頭に出たのです。

(97)Because you are tall, whichever jacket you like will go well with you.
この例文の元となっているのは、*** You like any of the jackets. であり、any という形容詞が、「限定された」中での選択のために whichever に置き換わって、jacket と共に文頭に出たのです。

今まで見てきたように、名詞節の構造は複雑です。ホントに使える英語(1)で学んだ基礎の上に、文を作る上で先頭に立つ、that, wh-, how の性質を十分に知っていなければ正しい文を作ることができないことがわかります。

第8章 動詞の基本文型  



さて、話は変わって、動詞を中心とする形式を整理しておく必要があります。というのも、英語では、動詞を中心とする並べ方が強固に決まっていて、第6,7章で述べた、名詞句、名詞節を設定する上でも、決して見過ごすことができないのです。動詞の文型は大きく2つ、つまり、自動詞他動詞に区別されます。しかしそのあとをさらに細かく見ると全体で5つに区別されます。(必要とあらば、各項目をクリックしてください)
<1>第1文型
<2>第2文型
<3>第3文型
<4>第4文型
<5>第5文型

<1>第1文型

いわゆる純粋の自動詞です。うまく使いこなすには「副詞、副詞句、副詞節」のどれかを追加する必要があります。

(98)Just as I stood up, she came here hurriedly with a broad smile.
ですから、たった一つの自動詞、come であっても、そのあとにいろいろな副詞によって修飾すれば、豊かな表現となります。

(99)They have been waiting for a bus in the rain for a long time.
第1文型の自動詞を最も助けてくれるのが、その動詞専属の前置詞+目的語による副詞句です。[ wait + for ], [ look + at ],[ go + to ] などに使われている前置詞は成句ではないにしても、それぞれの動詞を生かすにはなくてはならない存在です。ぜひ覚えておきましょう。

<2>第2文型

これも同じく自動詞ですが、be 動詞タイプと呼ばれ、目的語はつかなくとも、主語を説明するのに必要な語(補語)を付け足さなければなりません。

(100)They are terribly superstitious in this village.
最も基本的な第2文型の動詞、be はそのあとに、主語と等しい、または主語を説明する働きをする語、つまり、形容詞・名詞・to 不定詞・動名詞を連結し、「そのときの実際の状態」を示し、そして1種の助動詞として進行形、受動態も作れます。(例文131から142参照)

このうち、「形容詞」だけが、ほかのほとんどすべての第2文型の動詞に転用することができます。名詞は become, remain など、ごく一部の第2文型に転用できるだけです。残りの to 不定詞の名詞的用法(例文73)と動名詞(例文77)の連結は be 動詞だけの「専用」です。 .

(101)They proved to be superstitious even ten years after leaving their village.
ここで出てくる prove to be, turn out to be は「(それまで知られていなかった事柄)の判明」を表す第2文型の動詞です。あとにくるのは名詞か形容詞です。

(102)They became superstitious when they saw the shooting stars. このbecome をはじめとして、get, grow, turn, go, などの動詞は第2文型として使うと、「状態」ではなく、「変化」を示す動詞として使えます。

(103)They remained superstitious even when they came to live in big cities.
このremain をはじめとして、keep, stay などの動詞は第2文型として使うと、単なる「状態」ではなく、状態の「継続」を示す動詞として使えます。

(104)They seemed superstitious when I heard their story.
この seem や appear という動詞は、第2文型として使うと、「実際の状態」ではなく、話者が「主観的」に見た状態を示します。・BR>
(105)This flower smells sweet in the morning.
このsmell をはじめとして、taste, feel, look, sound などの動詞は、第2文型として使うと「自分の感覚で感じ取った状態」を示します。

このように第2文型では be 動詞を基本にして、それぞれ違う状況に対応して、いくつかの動詞に置き換えることができます。共通点は、主語と、動詞のあとにくる単語との関係です。これは第2文型の動詞が使われている限り、変わりません。例文(100)から(104)まで同じ superstitious が使われているのはそのためなのです。

<3>第3文型
^

これは最も典型的な他動詞で目的語を1個持つものです。目的語は、名詞、代名詞のほか、名詞句で出てきた、 to 不定詞(名詞的用法)、ing 形(動名詞)、名詞節で出てきた、that, wh-, how 語族があります。 どのタイプの目的語がつくかは動詞によって決まっています。

(105) He said something to her, but she didn't reply.
(106)The accident surprised them and they went out at once.
名詞、代名詞を目的語に持つ第3文型の動詞は、目的語を「人」に持つもの、「物事」を持つもの、どちらでもかまわないものに分類できます。例文(105)にある say、explain, suggest などのタイプは目的語は必ず「(話している)物事」になります。また、例文(106)にある surprise、please, injure などのタイプは目的語が必ず「(驚いた)本人」となります。

(107)They hope to enter a university in France.
(108)She enjoyed dancing with her friends.
to 不定詞を目的語にとるのは例文(72)で述べたように、「未来志向」が多く、ing 形をとるのは例文(76)で述べたように、「抑止、過去」を示すものが多いといえます。

(109)I hope that she will join our company someday.
(110)You don't understand why you have failed in the business.
that 節を目的語をとるものは、think, realize, say などの知覚・思考・発言型の動詞に多いようです。wh-/how 語族の節を目的語にとるものは、それらとの兼用、または、ask, inquire のような疑問型が多いようです。

<4>第4文型
^

これも他動詞で、目的語を2個持つものです。前のほうの目的語は「相手」(間接目的語)を表し、あとのほうの目的語は「物事」(直接目的語)を表します。間接目的語は、to 不定詞、that 節のものもあります。

(111)Depression allowed me a lot of time to rest.
最も一般的なタイプで、 give をはじめとして、その意味を受け継ぐ、show, send, offer などがあります。

(112)He promised her to be there at 9 am.
うしろにある「物事」を示す目的語が to 不定詞の形をとったものです。 このタイプは、promise に特有のものです。

(113)They convinced me that honesty is the best policy.
うしろにある「物事」を示す目的語が that 節の形をとったものです。「人」を主語にして受動態を作ることもできます。*** I was convinced that honesty is the best policy.このような動詞は persuade, inform, assure など数多くあります。

コラム

3文型と第4文型との書き換えは可能か?

よく、中学校で、He gave her a present. と He gave the present to her. との書き換えをさせられることがあります。果たしてこれらの文は相互に書き換えができる、同質の文章なのでしょうか?どうもそうではないようです。上の二つの文における present の前にある冠詞の違いに気づきましたか?present が最後に来るということは、彼女にあげたものは何かを紹介している、つまり「新情報」の扱いを受けているともいえます。これに対し、present が to her に先立つということは、あらかじめ present の存在がわかっていて、つまり「旧情報」であってそのあとに誰に渡すかを明示しているとも考えられます。つまり第4文型である前者の文は彼女に「何をあげたか」を強調したいのに対し、第3文型である後者の文はそれを「誰にあげたか」を強調したいという雰囲気が感じ取られます。


<5>第5文型

学習者が一番困難を感じるのが、この第5文型でしょう。このシステムは中国語にもありますが、日本語や朝鮮語にはないのは語順が根本的に違うせいです。

二つのSVがあるとします。一方は「彼は見た」であり、もう一方は「彼女が走っている」だとします。実際にこの場面を彼が見ているとすれば、この二つのSVを結合したいと思いませんか?

理論的には、SVSV と二つ重ねればいいわけです。ただ、実際には、そのような記述は混乱を招くので、あとの SV を OC と書き改めて、前半の方が主要な部分であることを示すルールになっています。

従って C とは補語ですが、元々動詞だったわけで、それを示すのに、to不定詞が最もよく用いられます。ただ、進行形的な意味を出すためには ing形が、受動態であれば、過去分詞が用いられるわけです。

なお、be動詞はほとんどの場合省略されます。ですから、be動詞の後に付いていたはずの形容詞や、名詞もその後に続く可能性があるわけです。

かくしてこの C (補語)の部分は、5種類の品詞が入ることが予想されます。(これに toなし不定詞、つまり原形が加わって6種類)もちろん動詞によってその種類は異なりますが。

(114)Why do you call him Charles instead of Tom?
この文は He is Charles. を元にしています。つまり he に対する述語部分が Charles である関係が call のあとに出現したわけです。この call や name など、呼称の働きをする動詞や make にみられるタイプです。

(115)The police found the man dead in the river.
この文は The man was dead in the river. を元にしています。形容詞を使うのはfind をはじめとして、 keep, leave, make などに多く見受けられます。

(116)Let children play in the park.
この文は Children play in the park. を元にしています。動詞の原形を使うのは、いわゆる「使役動詞」 make, have, let, そして 「知覚動詞」 see, hear, watch などがこれにあたります。

(117)Did they ask her to stop complaining ?
この文は She stops complaining. を元にしています。to 不定詞を使うのは、「人」に働きかける動詞、ask, advise, allow, persuade などに多く見かけられます。

(118)Don't keep that pregnant woman standing in the train.
この文は、 That pregnant woman is standing in the train. を元にしています。ing 形を使うのは、進行形に近いので、「状態維持」を受け持つ動詞、leave, keep, find, see, hear などに見いだされます。

(119)I saw a boy hit by someone with a stick.
この文は、 A boy was hit by someone with a stick. を元にしています。過去分詞を使うのは、意味上の主語との関係が「受動関係」になっていることを示すためです。例文(118)のタイプの動詞はたいていこの過去分詞形を使えます。

コラム

文型を見分けるには

文型があるといってもいったい何が含まれているかさっぱり判断がつかない場合があります。注意点としては(1)まず動詞を発見し、その前の名詞(相当語句)を「主語(S)」とする。動詞の後にある名詞(相当語句)を目的語(O)」とする。(2)名詞につく冠詞、形容詞を取り去る。ただしbe動詞のあとにある形容詞はそのままにして主語を説明する語・補語(C)」とする。(3)動詞は進行形、受動態、完了形はいずれも1語扱いとする。助動詞(相当語句)は取り除く。(4)場所、時、様態などをあらわしている前置詞+名詞(相当語句)を取り除く。(5)副詞を取り除く。(6)接続詞+節を取り除く。この「節」の内部については別の機会に改めて点検する。(7)目的語のあとに来る、名詞、形容詞、to不定詞、原形不定詞、現在分詞、過去分詞は、目的語との間に「ミニ文ー主述関係」を作っていない場合は取り除く。以上の7点です。

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これをやる前に基礎構文・前編
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