主人公の女の子は各地を売り歩く行商人である両親に連れられて瀬戸内の町、尾道へやってきた。この町は魚がうまく、活気があり家族はみんな気に入った。ここに腰を落ち着けようかという話まで出た。
父親は風琴を鳴らしていろいろなものを人々に売りつけるのが商売だったが、インチキ品を売っているのを警察に見つかり、淡い将来への期待がうち砕かれる。
全編にわたって広島方言が使われており、なじみのない人にはわかりにくい部分もあるが、これが地方独特の雰囲気をよくかもしだしている。
尾道は、小津監督の「東京物語」や大林監督の「尾道三部作」をはじめとして、多数の映画、舞台、文学作品に登場する。これは急坂と小路の錯綜する独特な街並みだからだ。
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