基礎からの積み上げ |
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英語を勉強する前に知っておいたほうが断然得する豆知識
英語のみならず外国語の勉強にはまず”品詞”をしっかり理解することが大切です。品詞とは言語にもちいられる単語を使い道別に分けて名前をつけたものです。 文章を見たら、まず(1)動詞 <v> を探します。動詞は文の中心となり「現在形」と「過去形」は通常1個の単語ですが、「未来形」「完了形」「進行形」「受動態」の場合には追加する語が必要ですから、2個~5個で一つの扱いとなります。 次に(2)名詞 <n> を見つけます。名詞は文の各所に散らばっているので、呼び名を変えて動詞の前にあるものを主語 <S> 、動詞のすぐうしろにあるものを目的語 <O> と呼んでいます。名詞の働きをするものは単語一個のみならず、多岐にわたっているので、それらを総合して<名詞相当語句>ということがあります。 名詞がわかったらそれを説明する語、つまり(3)形容詞 <adj.> を見つけます。形容詞は名詞の前につくのが原則ですが、たまにうしろにつくものがあり、2語以上のまとまりで形容詞の働きをする場合はすべてその名詞のうしろにつきます。 名詞以外を説明する語は(4)副詞 <adv.> といい、その語の前に置くのが通例ですが、動詞の場合は後ろに置いたり、ほかの語の邪魔にならないように文頭、文尾、などに置く場合もあります。 今の4つの品詞は日本語でも呼び名こそ異なっても、同じように(形容詞⇒連体形、副詞⇒連用形、など)存在します。基本となる語順は英語では <SVO> であり、日本語では <SOV> となります。また、否定語は英語ではできるだけ前のほうに現れますが、日本語では常に文尾です。この4つ以外の品詞は日本語にはそれにあたるものが、大きく形式が異なります。 日本語で「部屋の中ニ」「飛行機デ」のそれぞれの語尾は名詞のあとにつけられているので後置詞(別名;助詞)といっています。場所、時間、手段を表す主なものは「・・・デ」「・・・ヘ・ニ」「・・・カラ」「・・・ノ」の4つです。これらに該当する英語の品詞は(5)前置詞 <prep.> といい、用途別に細分化されていて、約60個ありますが、ほとんどいずれも最後の部分がこの5つに該当します。どちらも名詞(相当語句)を伴いますが、名前の通り位置はまったく正反対です。英語では <prep. + O >というように表すことができます。 主語+動詞の組み合わせは、1文につき1組ということになっていますが、2組以上を使うときは一組増えるたびに文頭に(5)接続詞 <conj.> をつけなければなりません。日本語では「・・・するトキ」「・・・するナラ」「・・・だケレドモ」などの文尾部分を”接続助詞”といっていますが、大体これに該当します。「しかし」「だから」などの”接続語”は、英語では大部分が副詞として用いられています。conj. も prep. と同じく、日本語の語順とは正反対です。ただし、and/or/but/nor/for という5つの接続詞に関しては、文の流れに沿って使うので、日本語の場合とほぼ同様です。 「・・・しようか」「・・・するはずだ」などと、話者が自分の感じたことを表現するには、日本語では動詞のあとにそのような要素を”接着(膠着)”していきますが、英語では10個ほどの(6)助動詞 <auxil> を SV の間にはさみます。助動詞によって、日本語にはない、「未来のこと」、「想像上の出来事」などを表現することもできます。 Mary が一人の女で she 、Tom and Bob が二人の男で they などと、一度出た名詞を再度使うときに繰り返しを避けるために用いられ始めたのが(7)代名詞 <pron.> です。「あんた」「きさま」「そなた」「そち」など、限りなく名詞に近いのが日本語ですが、英語では再使用が目的であり、I/me のように S/O の場所によって形を変えているのは、不明確にならないようにするためです。また one/some/any/many/none など、「はっきりしないもの」「数量の不明確なもの」「知らない人」を表現するためにも用いられます。 最後に「キャー」「アレー」「ワー」のように文にならず、思わず叫んでしまうものは万国共通で、(8)間投詞 <inter.> と呼ばれます。 動詞の9割以上については、 V+O (他動詞)と、 OなしV(自動詞)のふたつの形式に分類します。残りの1割は8種類ほどの特別な語順(文型)が定まっています。 次に動詞については<単純形><進行形><完了形><完了進行形>の区別があり、これに<現在><過去><未来>の区別と組み合わせて合計12通りがあります。さらに<能動態(非受動態>と<受動態>の区別があり、この組み合わせを加えると、全部で24通りとなります。 さらに動詞については、これを本来の動詞から、不定詞 < toV > 現在分詞・動名詞 < Ving > 過去分詞 < Ved (ただし不規則形多数)> の3つの形式が生まれています。これらは<準動詞>とよばれ、形容詞・副詞・名詞の働きをするようになります。 形容詞・副詞については、2者間の比較に使える<比較級>、3者以上の比較に使う<最上級>の形式があります。 冠詞 the/a/an は such/no/some/any などと同じく、adj. の働きが可能で、後に来る名詞を”数量・存在”の点で規定することから、<限定詞 determiner >などということがあります。 疑問詞 who/what/which/when/where/why/how はconj. の働きが可能で、品詞が pron./adj./adv. の三つにまたがっています。 関係詞 who/which/when/where/why /how/that はconj. の働きが可能で、品詞が pron./adj./adv. の三つにまたがっています。that以外は疑問詞とまったく同じ形をしていますが、前に n. (先行詞)をつける点が異なっています。 ちょっとした豆知識(別の観点から) どんな言語でも「品詞」の知識は必要です。英語では8品詞と呼ばれ、その分け方はまちまちですが、古代の人間が言語を使い始めてから、辿ったとされる道筋を想像してみながら説明してみましょう。これに基づいて基礎的なものから複雑なものへ積み上げて行くと次のようになります。 (1)名詞と動詞 すべての言語のもと、名詞と動詞は、「動きのないもの」「動きのあるもの、流動的なもの」をあらわすために出現したようです。この二つは定義することが難しいのですが、ヒトがものになんでもかんでも名前を付ける習性から生まれたのが名詞であるとすれば、仲間と狩りに出かけたり、作業をするときに直接目にすることのできない、行動を説明するために動詞が生まれたのではないかと推測されます。 (2)形容詞と副詞 名詞や動詞はそのままでも使えますが、名詞の場合、「花」というより、「赤い・花」としたほうが、より現実世界を具体的に表現できるようになります。そこで形容詞が登場しました。また動詞の場合も、「走る」というより、「ゆっくり・走る」としたほうが、わかりやすいということで、副詞が登場しました。さらに副詞を付け加えて、「きわめて・ゆっくり・走る」とすることもできます。副詞はこのほかに、「赤い」という形容詞に対し、「目にしみるほど赤い」というように、付け加える働きもしています。このようなわけで、形容詞は名詞に、副詞は名詞以外にという分業が成立しました。 (3)代名詞と助動詞 名詞はその数が増えるにつれ、複雑な名前が増えてきました。そのため、すでに出てきた名詞については、同じ繰り返しをしなくても済むように代名詞が登場しました。代名詞の中には、名詞が前の文のどの位置で使われていたかを示す記号(格)を備えているものもあります。動詞についても、さらに話者の気持ちを付け加えたり、可能性を示したりするために、助動詞が加わりました。助動詞は動詞の前に置くことになっていますが、動詞と一体となって、新しい表現の境地を開くことになりました。 (4)前置詞と接続詞 これで文の骨格はそろったわけですが、文にさらに名詞を追加する必要も生じてきました。しかしただ追加したのでは、他の名詞とその働きについての区別がはっきりしません。古代語ではこれを名詞に様々な複雑な語尾を追加することによってあらわしていましたが、もっと簡単で軽快な方法が求められていました。そこで現れたのが、名詞の前に置いて文の他の部分を結びつける働き、前置詞なのです。この発明のおかげで、ことばの運用はダイナミックになりました。さらに、文が二つ以上に及ぶときにそれを連結する必要がありましたが、これは文の前におく接続詞という道具によって解決するようになったのです。但し、接続詞はさらに発達を遂げ、「理由」「時」「条件」などという名前の付いた働きを専門とするものに分化してゆきました。 さて、これで8個の品詞は出そろいましたが、さらに細かく分けないと英語の学習に差し障りがあるので、さらに5項目を追加します。 (5)動詞・・・他動詞と自動詞 動詞にも二つの大きな区分が必要になってきました。英語において、「(手紙を)書く」「(山に)のぼる」は動詞とそのあとの名詞(目的語)という二つの語の結びつきが大変強いので、途中に何も入れずに直接つないだほうがよいと分かってきました。一方で「歩く」では「(駅へ)歩く」や「(道路を)歩く」や「歩き(まわる)」といろいろな種類の結びつきがありそうなので、特定の名詞を結びつけないでおき、必要に応じて前置詞により自在に取り外しがきくようにしたのです。前者のように目的語を直接付けるタイプを他動詞といい、後者のように普段は目的語を付けないでおいて、必要に応じて、前置詞などの手段により語を追加できるものを自動詞といいます。 (6)動詞・・・ing形とed形とto不定詞 一つの文の中に動詞が一個では間に合わなくなってきました。助動詞でも間に合いません。そこで発明されたのが、主動詞に追加される形で書かれる「準動詞」なのです。主語との関係や、時間的な違いから、3種類が使われています。言い換えるとたった3種類しかないので、一つでたくさんの機能を受け持たされています。残念ながら、初心者にはつらいところです。でも種類がたくさんあって、機能はそれぞれひとつづつの場合とどちらがいいですか? (7)名詞・・・主語と目的語と補語 名詞は動詞の前に来るものを主語、他動詞や前置詞の後に来るものを目的語と呼ぶことにします。代名詞の場合は、それぞれ置くべき位置をを「主格」「目的格」と名付けて区別するものもあります。「彼は学生だ」とか「彼女は踊り子だ」とという場合、学生や踊り子は名詞(ここでは主語)を説明していますから、補語と呼びます。名詞が主語であれ、目的語であれ、それを説明してくれる語はみな補語と呼び、名詞だけではなく、形容詞、準動詞も使われることがあります。 (8)形容詞・・・限定用法と叙述用法、そして限定詞 「赤い花」というように花の中の「赤い」ものだけを取り出して言う場合を限定用法といいます。名詞と直結(前とは限りません)します。これに対し「花は赤い」というのは、たまたまある特定の花について説明をしたものですから「赤い」は補語の役割をしており、これを叙述用法といいます。ほとんどの形容詞は両方の働きが可能ですが、例外もあります。 the, a のようなものは冠詞、 this, that のようなものは指示、 many, some, any, no などは数量を示していますが、普通の形容詞と違って、文の構造や意味の流れを大きく左右するので特別に限定詞と呼びます。全部で20個ぐらいです。 (9)副詞・・・普通の副詞と文修飾副詞 副詞を余り精密に分けても意味がないのですが、「残念なことに」とか「おそらく」というように、一体どの語を説明しているのか判断に迷う副詞がかなりあります。これらはみな文全体を説明しているということにして、文修飾副詞として他の副詞と区別してあらわされています。 英語が専門でない人も、これだけの知識はぜひ持ってもらいたいと思います。これらの用語のおかげで英語の学習はグーンと効率的になるはずですから。 英語学習の必須事項
辞書を効果的に引くための用語解説
初心者のための「基本語」を身につける英英辞典 桐原書店 ロングマン エルドス2000活用英単語 Longman Ldoce 2000 Active Words ・稲村松雄・監修/名和雄次郎・編著 ・B6判(ケース入り)/376頁/本体1800円 OXFORD WORDPOWER / 本体2200円 INTRODUCTION;効果的に学ぶための順番 (1)動詞からの出発・例文集
(2)副詞からの出発・例文集
(3)形容詞からの出発・例文集
(4)名詞からの出発・例文集
次の語句の説明をせよ 自動詞 他動詞 基本5文型(第1,2,3,4,5)のうち他動詞なのは? 基本5文型のうち第2と第3との違いと見分け方 基本5文型のうち第4と第5との違いと見分け方 形容詞の2つの用法とは 副詞の用法とは 形容詞句を作る形式4種類をあげよ 副詞句を作る形式4種類をあげよ 形容詞節の先頭に来るもの2種類をあげよ 副詞節の先頭に来る語(句)をいくつかあげよ 名詞節の先頭に来る語(句)をいくつかあげよ 英語構文の知識をチェックする問題(中級) (1)次の中で主語にできないものはどれ?
(2)次の中で主部の先頭に立てないものはどれ?
(3)次の中で他動詞のあとに(目的語として)来てはいけないものはどれ?
(4)次の中で前置詞のあとに(目的語として)来てはいけないものはどれ(熟語の場合をのぞく)?
(5)次の中で、接続詞や関係副詞ではダメで、関係代名詞を先頭に付けなければならないのはどれ?
(6)主部と動詞部の間に入っている可能性のある単語や句・節といえば?
(7)be動詞の文型は?
(8)be動詞の後に来ていけないものは?
付録・6つの機能語対照表
得られた知識を8つの方面で応用する (1)ここに名詞があるということは?・・・6つの可能性
(2)ここに SV~ があるということは?・・・5つの可能性
(3)機能語;ここにto不定詞があることは?・・・5つの可能性
(4)機能語;ここにing形があることは?・・・6つの可能性
(5)機能語;ここにed形があることは?・・・5つの可能性
(6)機能語;ここに前置詞があることは?・・・3つの可能性
(7)機能語;ここに接続詞があることは?・・・3つの可能性
(8)機能語;ここにthat / wh- / howがあることは?・・・3つの可能性
中学生の英語学習について これまで述べたことは、16歳以上、つまり中学卒業生を対象にしたものです。中学校時代の英語学習があまりにお粗末だったために、後の勉強が全く進まず悩んでいる人も多いことでしょう。 もし中学生のうちに手を打って、効率的な勉強法を身につけておけば、高校以降の勉強は実に楽に進むはずです。別に外国人教師につかなくとも、わずかな出発時点での工夫が大きな効果を生みます。 アルファベットが書けるようになることよりも先に行わなければならないのは、「8品詞」の区別と「発音指導」です。 8品詞 日本語からの導入をまず始めます。beautiful が形容詞だ、と頭ごなしに説明しても何の本質も理解しないままになる恐れがあります。まずは現象を観察させ、生徒の内面に特定のイメージが固まったようだったら、そのとき初めて品詞名を告げる。はじめに品詞名をおぼえさせてからその説明を行うことは、抽象概念の不得意な生徒には学習の妨げになる恐れがある。 例文として、太郎は走る、あなたが行くのだ、みんなはスポーツをする と挙げてみる (1)名詞は主語の説明に連動させる 上の各文での主語の部分に注目させ、共通の性質に気づいたら、名詞という名称を教える。 (2)動詞は、上と同じ例文を使って、名詞と主語の説明のあとで導入する。 例文として、赤い花、花は赤い と挙げてみる (3)形容詞導入のために、上の2つのタイプに注目させる。赤いを、白い、大きい、などと入れ替えてみる。 例文として、 速く走る、ていねいに作る、とても赤い、あまり赤くない と挙げてみる (4)副詞導入のために、動詞への修飾と、形容詞への修飾の例を示してその性質を観察させる。 (5)代名詞は、太郎=彼 のような例を提示する。 ここまでは極力日本語による説明を行うが、これから先は、実際に英語に触れていかなければならない。 (6)前置詞は、まず実際の単語を提示しておぼえさせてしまうほうが早い。 in the house, in the kitchen, in the room, in the box on the table, on the desk, on the floor, on the paper at the station, at the hospital, at the school, at the house to the park, to the station, to the store, to the market (7)接続詞はまず3個の等位接続詞から。同品詞連結の原則を徹底させる。従位接続詞は、文の概念が定着してからでよい。 red, white and blue / coffee or tea / This house is small, but good. (8)助動詞は、動詞の前に付けるもう一つの動詞として定着させる。 I swim. I can swim. You go. You must go. 発音指導 日本語と音声が似ているものは総てカタカナ表記でよい。異なるものだけをピックアップし、そこだけアルファベット表記にする。発音記号の習得ははじめのうちは不要。 子音では c , f , d , r, th , t , v の7種が最も間違いやすく、覚えにくい。また母音の指導も行うべきだが、最初はそこまで立ち入らない。ただ、「オー」と「オウ」のような、表記による区別は必要。 this<th いす> those<th オーズ> tree<t リー> cat<キャッ t> sea/see<c いー> vase<v エイス> village<v イレッジ> football<f う t ボール> four<f オア> bed<べっ d> drill<d リル> rice<r アイス> river<r イ v ア> 1999年8月初稿・2001年3月改訂 |