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音声できくロシア語のあいさつ 

Здравствуйте!

(ズドラーストゥヴィチェ=こんにちは)

Спасибо

(スパスィーバ=ありがとう)

Пожалуйста

(パジャールスタ=どういたしまして)

キリル文字 ロシア語を始めるにあたっての最大の心理的障壁はやはり文字でしょう。アラビア語や朝鮮語ほどではありませんが、あの上下がひっくり返った N を見ただけで、アレルギーを起こす人々も少なくありません。ロシア語のアルファベットはキリル文字( Cyrillic )と呼ばれ、スラブ民族の使用する言語の大部分に用いられているものです。しかしおそれるに足りません。その約半分は普通のアルファベットと共通であり、16個の文字を新しく覚えなければならないだけです。キリル文字はその作成にあたって、ギリシャ文字を参考にしたといういきさつがあります。

B の音が「ビー」ではなく、「v」になるのが有名です。またH が「エイッチ」ではなく「エヌ n」の音になり、P が「ピー」ではなく、「アール r」の音になるというのも聞いたことがあるかもしれません。また、日本語の「イ」の音に近いものは、И Й Ъ Ыの4つがあるというのも厄介なことです。

アルファベット
А Б В Г Е Ё Ж З И Й К Л М Н О П Р С Т У Ф Х Ц Ч Ш Щ Ъ Ы Ь Э Ю Я
а б в г д е ё ж з и й к л м н о п р с т у ф х ц ч ш щ ъ ы э ю я

活字体と斜字体と筆記体 普通英語を勉強したときはまず活字体を覚え、さらに筆記体も練習することによってアルファベットは覚えたことになりますが、ロシア語では、さらに斜字体というものがあり、これがさらに活字体とは似ても似つかないものが含まれています。たとえば、t の大文字の斜字体は T ですが、その小文字はなんと m にみえてしまうのです。一見 m に似ていますが違うのです。辞書では斜字体が重要語などに頻繁に出てきますから十分に気を付けてください。

カナに頼るな 大切なことは、最初の段階で確実に発音の特徴を覚え、カナに頼らないこと。テキストにカナ表示があるときは、コピーをとってカナ部分をホワイト・インキで消しておき、それを見ながら(苦しみながら)覚えることが絶対に必要です。それをしないと、あとになってさらに高いレベルになったときに、かえって苦労します。発音そのものは日本語を話す人にとって極端に難しいものはありません。むしろすでに見知ったアルファベットが全く違う発音をすることになるのでそれに惑わされないようにする練習が第一になります。また、全体的な特徴として、語尾では「アイウエオ」のような母音をはっきりと発音せず、どの母音だかよくわからないような、いわゆる「あいまい母音」が多いことがあります。たとえば、「海 море」などは、「モーリェ」「モーリァ」「モーリゥ」なのか・・・

スパシーバ(ありがとう)パジャールスタ(どういたしまして) ヨーロッパ言語の一つ ロシア語はヨーロッパ中・西部の言語と相違点は多いものの、最初の段階ではそれほどの違いは感じられません。男性名詞、女性名詞はもちろんのこと、中性名詞もドイツ語などにも見いだされます。またフランス語やスペイン語で悩まされる動詞活用もやはり同じように存在します。基本的な語順も同じで、関係代名詞を使う点も変わりはありません。やはりインド・ヨーロッパ語族という大きなグループに含められています。

複雑な活用 似た点はそこまでで、さらに学習が進むと、驚くべきことが待っています。まず、一般的な単語に関しては、語幹に接頭辞や接尾辞をつけると、意味が大きく異なってくる場合があります。特にそれは動詞の場合顕著で、「飛ぶ」などのような基本的な動作を表す動詞が、「飛び立つ」「飛んでくる」「飛び回る」「飛んで通う」などのように、英語、フランス語などですとほかの動詞や副詞を結合することによって表す表現が、こうして表されています。

代名詞や名詞は、複雑な語尾変化によってその機能を受け持たねばならないのです。それらは「格」と呼ばれ、主格、対格(目的格)生格(所有格)以外に、3つもの活用があります。それに複数名詞がありますから2倍して、男性、女性、中性名詞がありますからさらに3倍して、36通りの活用ができてしまいます。これを修飾する形容詞も、性、数に応じて変化をしなければなりません。その変化の仕方もいくつかのタイプに分かれます。

名詞や形容詞の語尾活用の複雑さに目をむく一方で、動詞の活用は差ほどではありません。スペイン語などで動詞活用に悩まされた方には、「こんなに単純でいいの?」と心配になるほどです。なるほど、1,2,3人称の単数、複数で計6種類の現在の活用形がありますが、第1変化と第2変化の二通りの規則活用があるだけ、あとはよく使う動詞の不規則形が若干あるだけです。

さらに驚くべきことに、過去形においてはそのような区別がなく、男性形、女性形、複数形という3つの区別によって変化するだけ。しかもその語尾はほぼ規則的。未来形は、英語の will に当るような助動詞的語彙のあとに動詞の不定形(原形)をつけるだけです。ラテン系のフランス語、スペイン語、イタリア語などでおなじみの条件法(仮定法)、接続法も存在しません。

古代の言語形式 このように名詞や形容詞を正しく一致させなければ文章ができないので、日常会話がほかの言語の場合と同じく、一般人が早口で喋れることはとても不思議な気がします。もっと不思議なことは、古代の言語形式が現代に至るまでこのように生き延びていると言うことです。ラテン語やサンスクリット語をはじめとして、大昔に人間が使用していた言語は、昔にさかのぼればさかのぼるほど、このように活用や一致のルールが複雑になって行くのです。しかし庶民が商売や生活をするには面倒なので、次第に簡略化されてきたわけです。それなのに、ロシア語は近代国家への道を他のヨーロッパ諸国と同じように進んだはずなのに、余り古代から言語が変化(進化?)していないのです。

保守的言語? これにはずっと中世以来、農村地域が中心であったことや、ロシア農民の保守性などが原因に挙げられるでしょうが、ソビエト連邦ができるまでは文盲が非常に多かったことを考え合わせると、字の読める人だけが、かたくなに文法ルールと綴りルールを守り続けたためだと思われます。これからロシアが、まわりの中央アジアの国々と共に、経済的に発展して行かなければならないときに、このように難しい言語は外国人の学習の足かせになりかねませんが、しかし言うより行うが易し。やってみると、次第になれ、さほどのものでもないのです。言葉というものは人間が発明したもので、毎日の生活に差し障るようなものを作り出すわけがありません。

オンライン辞典

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韻を踏んだ語尾変化 あまりに複雑な活用に驚いて、ロシア人というのは記憶力抜群なんだな、などと思ってはいけません。外国人にとって目の回る体系も、よく見ると、我々が詩を作るときに使う「韻(イン)」を踏むことが基本になっていることがわかります。形容詞である「ルースキー(ロシアの)」と、アで終わる女性名詞の「ポエージ(詩)」を結合すると、「ルースカ・ポエージ」となるのもうなずけます。大体がこんな調子なので、記憶力よりも「リズム感」「語調」の方を磨くべきなのです。

格変化の楽な覚え方 というわけで、いきなり理論から教わって、機械的な語尾変化の暗記に取り組むより、もっと楽な方法を考えなければなりません。一つには辞書などの例文の「自己解析」です。語尾変化の全体的なルールをざっと覚えたら、実際にに例文にあたり、これはどのタイプにに該当するだろうかとチェックする方法です。これを数多く繰り返してゆくとよく使うものから少しずつ自然に頭に入ります。ロシア生まれの赤ちゃんのように頭を柔らかくして臨むのです!!!

動詞活用の暗記を少なくするには? まるで自分の記憶力が限界に来るのではないかと思うほどの、数多くの活用!これを少しでも減らすには、工夫が必要です。ロシア語の動詞には、数多くうしろに不定形(辞書に載っているもともとの形)を伴うことができるものがあります。英語ですと、これは助動詞に限られますが、ロシア語の場合には、「・・・したい」のような普通の動詞でも、不定形を伴う場合が数多くあります。このような動詞を前もって覚えておけば、使える状況を巧みに工夫して、複雑な個々の動詞の活用を覚えずに済む場合が多いのです。また不定形を専門に使った文もありますから、それらを活用することも一つの手です。

 インターネット・ラジオで聴くロシア語

Radio Sputnik(;The Voice of Russia)・・・かつてのモスクワ放送。Radio Sputnik ともいう。

Radio Channel 101 ・・・モスクワのFM局。ロック、ロシアの曲、ダンス曲、ディスコなど。

英語によるロシア語講座

ロシア語に関する学習教材は、英語版ならいろいろと手に入ります。Learning Russian.com もその一つ。語彙の増やし方、辞書、音声指導など至れり尽くせりです。

Rober Beard 先生が作ったロシア語文法講座もユニークな教材です。品詞別に実に詳しく説明がなされています。

東京ロシア語学院・・・学校に通ってロシア語を勉強したい人へ

子音中心 語尾変化の激しい言語に限って、多くは「子音」が大切な役割を果たし、これが単語の基礎となります。ロシア語でも子音の音は、そのままでそれに付属する母音が変化するのです。上で述べたように、母音はアイウエオのタイプ以外に、英語と同じく「あいまい母音」というのがあり、アクセントのない母音はたいていこれで済ませています。たとえば「年」は「ゴート」ですが、これが格変化により「ガデュー」とか「ガダー」「ゴーディ」になったりしますが、子音のг (g) とд (t/d) は何も変わっていません。ですから初心者の聞き取りの基本は子音をいかに「正しく拾い出す」かということになります。

もう一つ英語と似ているところは、アクセントの位置があまり規則的には決まっていないことです。ですから教科書や辞書には、アクセント位置の表示がありますが、実際の生(なま)教材の場合は何にも印がついていませんから、前もってちゃんと知っておく必要があります。アクセントがあればきちんとそれに該当する母音を発音するが、そうでなければ、あいまい母音になってしまうのが一般的傾向なのです。

連結動詞 ロシア語をやってまず気づくことは、現在形では英語の BE動詞にあたるものが明確には存在しないこと。従って、主語とその補語を結びつけるとき、いきなり直結です。しかし、中国語、アラビア語をはじめとして、このような連結動詞がないものは世界中に少なくありません。日本語だってそうです。「夏は・暑い」だけ。ただしロシア語では「未来」や「過去」を示すためには、それ専門の動詞があります。

他動詞と自動詞 英語もフランス語もスペイン語も動詞の後に直接、目的語を付けられるタイプを「他動詞」と呼び、辞書にも明記してあります。これに対し目的語を直接に付けられないタイプを「自動詞」と呼んでいるわけです。ロシア語にはこの区別がありません。不便でしょうか?必ずしもそうではないようです。というのも、「対格」(直接目的語)か「与格」(間接目的語)の形の目的語を付けられるため、意味として釣り合いがとれてさえおれば、動詞そのものよりも、その後の目的語の適合性が問題になるからです。つまり言い方を変えれば、ロシア語のすべての動詞は他動詞・自動詞いずれも可、ということになりましょうか。もし目的語がその動詞に適合しないならば、そのときには前置詞がちゃんとありますから、ふさわしいものを選んで間に挟めばいいのです。

目的語的副詞? そこで、英語とはまるで違う奇妙な現象に出くわします。英語で「ロシア語を学ぶ」は learn Russian 、「ロシア語を話す」は speak Russian で、いずれの動詞も他動詞でそれぞれの目的語が付いています。ロシア語では前者を「изучает русский язык イズチャーイェット・ルースキー・イズイーク」といい、他動詞と目的語の組み合わせです。ところが、後者は「говорит по-русски ガバリート・パルースキー」といい、何とパルースキーは副詞なのです!いわゆる「読む・話す・書く・理解する」という動詞のあとでは、副詞を用い、それ以外の動詞の場合は目的語、つまり名詞を用います。これは一体何を意味するか?「ロシア語」と「話す」のように(ここでは語学面で)密接な関係を持つときは動詞を修飾するというわけで副詞形にし(ロシア風に話す!)、「学ぶ」のように「ロシア語を」だけでなく、他の言葉、たとえば「物理学を」「技術を」「理論を」など、他の分野の言葉をも自由に入れ替えられるものについては、目的語を付けるというように理解できます。さらに大胆な仮説を言わせてもらえば、動詞の目的語と、動詞を修飾する副詞とは言語発達上、近縁関係にあると。

本めくり新聞(検索)サイト
Pravdaプラウダは「真実」を意味し、ソ連時代から有名である。ただしソ連崩壊以後はだいぶ体質が変わったようだ。
 観光案内は、Russia Net(英語版)

完了・不完了 動詞の時制に関しては、いわゆる過去形や未来形はあるものの、動詞の”種類”として、「完了体」と「不完了体」の2種類があり、後者の存在は世界の言語の中でも珍しくないのです。日本語の「・・・した」も過去形と言うよりは、一種の完了表現なのですから。日常生活では「やる」と「やってしまった」の区分が非常に大切です。ですからロシア語では、動詞は必ずどちらかに属することになっています。悪く言えば、一つの意味を英語なら1個で済むところを、2個覚えなければならないわけですが、一方では完了時制などは必要なく、現在・過去・未来の3つだけです(完了体は現在と未来をいっしょにするから2つだけ)。

定動詞・不定動詞 さらに「行く」「来る」「持ってくる」などのいわゆる運動を表す動詞については、すべて根本としては「不完了体」と考えますが、さらに細分化して、進行中の「行くところ」(定動詞)と、反復や能力を含んだ「よく行く・行ける」(不定動詞)に分けて使います。これらも英語であれば、現在完了形の have been to とか、進行形を使う代わりになるものと考えられます。「言語機能」はどの言語でも共通です。ただ表す方法が違うだけです。

ロシア語はむずかしくない! 初歩のロシア語を学んだ人はたいていの人はその文字の違いや、格変化の複雑さにおびえますが、世界の言語を見回してみると、A と B の二つの面があるとして、ある言語で A の面がやさしくて B の面が難しいとき、別の言語では逆に A の 面が難しくて の面 B がやさしいという場合が非常に多いのです。

言語を使うのは一般庶民です。忙しい毎日で、コミュニケーションに支障をきたすような複雑さを彼らが受け入れるわけがありません。また言語操作能力というのは民族、人種によって違いはありません。つまり総合的に見れば、それぞれのむずかしさややさしさは適当に相殺されて、みな同じくらいになってしまうものです。

教材 外部リンク白水社の「ニューエクスプレス・ロシア語・黒田龍之助著」を使用しました。ロシアにホームステイしている日本人青年つばさ君と現地の美少女リューダとを中心とする会話が面白い。基礎例文を全部朗読すると15分弱になります。パスポート初級露和辞典CD教材もついています。文法事項は一通り学べますが、関係代名詞などの記述は、複雑な「格」の問題にページを割かれているため、省かれています。単語はかなり豊富に用意されていますから、しっかり覚えましょう。

聞き取りにはなんといっても映画です。一通り基礎的単語を覚えたら、ぜひあの黒沢明監督の「デルス・ウザーラ」を見て下さい。主人公のとつとつとしたロシア語は、初心者にとって実に聞きやすい理想的な教材です。

辞書 同じく外部リンク白水社の「パスポート初級露和辞典」を使っています。カナ表記が加わっているのが気になるのですが、初心者が陥りそうな問題についてはまんべんなく説明が加えてあります。いきなり高度な辞書に進むことはせず、まずこのレベルの辞書で徹底的に基礎単語をマスターしましょう。最重要語は850個で、例文がたっぷりあり、赤文字で見出しが出ています。

リスニング力を楽しみつつ高める・・・ロシア語によるおすすめ映画

Dersu Uzala Dersu Uzala デルス・ウザーラ・・・なんと黒沢明監督の作品だが、現地撮影で、シベリアの自然人デルスとの会話はみなロシア語なのだ。本ホームページに掲載。デルスのモデルとなったアルセーニエフの記念館がウラジオストクにあるとか。

おろしや国酔夢譚・・・井上靖の原作の映画化。江戸時代に嵐によって漂流した漁民たちがロシアを訪れる話。初歩のロシア語を聞くには絶好の教材。本ホームページに掲載。

Иваново детство ( Ivanovo detstvo ) 僕の村は戦場だった・・・タルコフスキー監督の戦争映画。家族を殺された少年の復讐悲劇。本ホームページに掲載。

音声できくロシア語のあいさつ   

Досвидания

(ダスヴィダーニャ=さようなら)

1999年2月作成 2018年7月増補・改訂

以後随時内容を追加します

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro

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