ロシア語入門

русский язык

文 法 手 帖

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ロシア語文法のエッセンス

ロシア語は屈折変化(語形変化)をする言語である。名詞、代名詞、修飾語、動詞はその形を変えて、異なる意味を伝える。通常、辞書的な意味は、その語幹、つまり前半の部分にある。文法的な意味はさまざまに異なる語尾に含まれている。

名詞

ロシア語の名詞は性、数、格に従って分類される。男性、女性、中性があり、文法上の性は、生物学的性とは必ずしも一致しない。男性名詞は通常子音字で終わる。女性名詞は(-a)または()で終わる場合が多い。中性名詞は(-o)または(-e)で終わることが多い。

ロシア語の格は6つあって、主格、対格、生格、前置詞格、与格、造格とよばれる。それぞれに単数形と複数形があるので合計12個となる。(たいていの場面では、主格と対格を知っていれば十分)

男性名詞
単数形 ()で終わる語 ()で終わる語
主格
対格
生格
前置詞格
与格
造格
複数形

中性名詞
()で終わる語 ()で終わる語
単数形
複数形

女性名詞
単数形 ()で終わる語 ()で終わる語
複数形

ロシア語の女性名詞には”軟かい”音()で終わるものがあり、中性名詞の中には()で終わるものが少数ある。両方の場合とも、主格と対格はまったく同じ形をしている。こういったロシア語のつづり字の規則が上記の変化を引き起こしている。

3つの主要な規則とは;

「8」のルール:次の8文字()のあとでは、文字()も()もつけてはならない。代わりに()か()をおく。

「7」のルール:次の7文字()のあとでは、文字()をつけてはならない。代わりに()をおく。

「5」のルール:次の5文字のあとでは、文字()をつけてもよい。ただしそこにアクセントがある場合に限る。もしアクセントがなければ、()の代わりに()をおく。

ロシア語品詞の注意点

完了体と不完了体 ロシア語の動詞においては、必ずこのどちらかに分類される。「読んでしまった」と一つの動作が完了してしまったときには完了体を使用する。ただしこれは現在・過去・未来形のいわゆる「時制」の区別とは別に存在している。

これに対し「読む」つまり日常の習慣として、またはそのような能力を持っている状態を示すときは不完了体を使用する。たいていの動詞はそれぞれ対を持って存在するので、一つの意味に対して二つづつ覚えていかなければならない。

もちろん意味によっては「知っている」(ズナーティ)のように完了体のみ、または不完了体のみのどちらかしかないものも存在する。

運動の動詞・定動詞と不定動詞 「歩いて行く」「乗って行く」「持って行く」「連れて行く」「走る」「泳ぐ」「追う」「這う」「運ぶ」などはひとまとめにして運動の動詞と呼ばれる。11個。すべて不完了体であるが、ここでは定動詞と不定動詞の区別がある。

「今、うちへ帰るところだ」のように、その時に動作をしている最中を表し、英語の「現在進行形」のような働きをするのが定動詞である。これに対して、今まさに行っている状態ではないこと(行って帰ったー往復、歩き回ったー単なる過去の事実、泳げるー能力、など)を示す場合は、すべて不定動詞の担当となる。

他動詞と自動詞 ロシア語の動詞に他動詞と自動詞との明確な区別がない。意味によってうしろに目的格(対格)を必要とするのが他動詞だと考えておけばよい。その他うしろに不定形を伴うもの、接続詞を伴うものなどは、文法ではなく、それぞれの語における特性、つまり語法の範疇に属する。、

形容詞と述語 「赤い花 a red flower 」では赤いは形容詞の限定用法、「花は赤い The flower is red. 」では形容詞の叙述用法と一般に言われるが、ロシア語では前者を「形容詞」とし、後者は「述語」と称する。

形容詞は他の言語と同じく豊富に存在するが、述語は、主要な形容詞の派生形みたいな形で、少数存在する。また、英語のような be動詞を必要とせず、主語にいきなりつける。普通の名詞も述語になれる点では同じである。

例としては「・・・が見える」「・・・は美味しい」「・・・が騒がしい」「・・・は困難だ」などがあり、形容詞には使えず、述語専門でゆく。

助詞 いずれの範疇に入れることが困難な語で、「ホラ vot 」というような間投詞的なもの、「 bui 」のように、仮定法であることを示す単なる記号、などがある。

主語と述語にかかわる重要な問題

日本語では、レストランで「私はカレーを食べたい」というときは、「食べる」という動詞に対して、「私」が主語であると自然にわかるが、「私はカレーだ」というときは、厳密な意味でこの文の主語になるとは考えにくい。同様に、「象は鼻が長い」という場合も、「象」が主語のように見えながらも、じつは「象は長い」では文が成立しないので、論理的には「鼻」が主語だといえる。このように日本語では、「本物の主語」と「主題」、「主体」がごっちゃになっている場合が多い。

ところがインド・ヨーロッパ語族では、主語に相当するものとそうでないものとを厳密に区別する傾向が強く、その目印として「格」が発達したものと思われる。「私は21歳です」の場合、たとえば「私は学生です」の場合と異なり、「私」は純粋な意味での主語ではない。正しくは、「私にとっては、年齢が21歳です」となり、21歳の主語は「年齢」という概念のはずだ(実際には年齢にあたる言葉がないから、無人称文だといえる)。これが、ロシア語では<利害関係>を示すといわれる、「与格」、つまりМнеを使っている理由であろう。

ロシア語での、「私は・・・がほしい」をあらわす二つの言い方、Я хочуМне хочетсяの違いについては、英語でもスペイン語でもよくお目にかかる現象である。「驚く」の場合、The news surprised me.(直訳すれば、「そのニュースが私を驚かせた」)となるように、「私」は(英語における)目的格となっている。だから「私」を主語にするためにはI was surprised at the news. のように受動態にせねばならない。もちろん I wonder at the news. のように、はじめからそのようなパターンに属しない動詞もある。

ロシア語では、wonder の側のパターンに対応するのが хочу であり、surprise の側のパターンに属するのが、хочетсяだといえる。後者の場合、受動態などという面倒な文作りをしないで、単に人をあらわす「与格」を前におき、(ほしい)ものを表す単語を「主格」の形のままでうしろにおく形式が定着したようなのだ。

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;代名詞の格による変化

代名詞
単数 あなた 彼・それ 彼女
主格
я  
ты он (оно) она
対格 меня тебя его её
属格 меня тебя его её
前置詞格 мне тебе нём ней
与格 мне тебе ему ей
造格 мной тобой им ей
複数 私たち あなた方 彼ら
主格
мы
вы они
対格 нас вас их
属格 нас вас их
前置詞格 нас вас них
与格 нам вам им
造格 нами вами ими
疑問詞 もの
主格 кто что
対格 кого что
属格 кого чего
前置詞格 ком чём
与格 кому чему
造格 кем чем

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動詞の時制
完了体 現在形
過去形
未来形
命令形
不完了体 過去形
未来形
命令形

Atràs

基礎文法用語

特徴;語尾変化を中心とする言語

名詞3種;男性名詞 女性名詞 中性名詞 それらの複数形

現在表現;BYT' を用いない文の構成 主語+名詞 ・ 主語+形容詞

過去表現;BYT' の過去形を間に挟む

未来表現;BYT' の未来形を間に挟む

合成未来;BYT' +不完了体動詞不定形

指示代名詞 Eta (主語)+名詞

指示形容詞 Etat/?/? +名詞

存在文その1(それはどこにあるか・その人はどこにいるか) 主語+場所の副詞(句)

存在文その2(そこに何があるか・その人は何を所有しているか) 前置詞 y +ひと(生格)+ YEST' +ひと・もの(主格)主格と対格だけで何とかやっていける

格6種;主格 生格 与格 対格 造格 前置格

*主格と対格だけで何とかやっていける

移動表現;iTI +主語 (YEkhat' +主語)

目的表現;iTI +動詞不定形 (YEkhat' +動詞不定形)

不定人称文;(主語なし)動詞の現在複数3人称・過去複数形

動詞+副詞タイプ(ロシア語で・ロシア語を読む・話す・書く・理解する)

動詞+名詞対格タイプ(ロシア語を学ぶ・知っている)

ロシア語基本文法用語(つづき)

ズドラストビーチェ・・・チェがつくとていねいな言い方。ないとくだけた言い方。

完了体動詞;過去;過去以外

不完了体動詞;過去・現在・合成未来

定動詞・不定動詞

形容詞短尾形

1人称命令法・2人称命令法

疑問詞+不定形

不変化名詞

比較級;合成比較級・単一比較級+cheem

最上級;SAmy +長語尾原級

存在・所有の否定;niet +生格

無人称文;(主体ー与格) mojuna / nado / nudgena +動詞不定形

無人称文;形容詞短語尾中性+不定形

年齢表現;人(与格)+ LYET

動詞パターン;「・・・が気に入っている」 人(与格)+ NRAvitsa +対象(主格)

動詞パターン;「・・・は名前を・・・という」(不定人称文) 人(対格)+ zaVUT (3人称複数形)+名前

BYT' +職業などの名詞(造格)

関係代名詞; kaTOry

接続詞;SHTOBY +主語+動詞過去形・動詞不定形

仮定法;(YEsli) + BY +動詞過去形

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動詞活用例(1)

ar-vergo er-vergo ir-vergo conocer dar decir estar haber hacer ir oír poder querer saber ser seguir tener traer venir ver

ar-vergo
時制 1単 1複 2単 2複 3単 3複
現在形
過去形
命令形

Atràs

ar-vergo
時制 1単 1複 2単 2複 3単 3複
現在形
過去形
命令形

Atràs

ar-vergo
時制 1単 1複 2単 2複 3単 3複
現在形
過去形
命令形

Atràs

ar-vergo
時制 1単 1複 2単 2複 3単 3複
現在形
過去形
命令形

Atràs

ar-vergo
時制 1単 1複 2単 2複 3単 3複
現在形
過去形
命令形

Atràs

ar-vergo
時制 1単 1複 2単 2複 3単 3複
現在形
過去形
命令形

Atràs

ar-vergo
時制 1単 1複 2単 2複 3単 3複
現在形
過去形
命令形

Atràs

ar-vergo
時制 1単 1複 2単 2複 3単 3複
現在形
過去形
命令形

Atràs

ar-vergo
時制 1単 1複 2単 2複 3単 3複
現在形
過去形
命令形

Atràs

ar-vergo
時制 1単 1複 2単 2複 3単 3複
現在形
過去形
命令形

Atràs

ar-vergo
時制 1単 1複 2単 2複 3単 3複
現在形
過去形
命令形

Atràs

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro

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