3804 |
午前9時30分に成田を出発したヴェトナム航空機は、途中ホーチミン市を経由して夕方6時前にはクアラルンプール市の国際空港に到着。空港の駅は市
内の鉄道網とつながっているし、30分ほどで中央の駅、KL Sentral に着くので実に楽だ。空港駅の窓口で Travel Pass Single
2日分を買ったので、乗り放題で明日の終日まで市内交通を利用するときは切符を買わずに済む。
宿泊予約をした Amigo Hotel は KL Sentral から別の線で次の駅 Pazar Seni 、直訳すれば「中央市場」で下車。実はここはクアラルンプール市の中華街なのだ。この地域を選んだ理由は、まずうまい食べ物に困らないこと、高層ビルではなく昔ながらの低い建物と下町の気安さがあるからだ。
駅のホームから写した上の写真では、高層ビル(建設中)が見えるが,、実際の位置はチャイナタウンからはずれている。宿は駅から歩いて5分ほど。ぼろぼろの建物だが、宿代の安さ、交通の便の良さは他に代えがたい。
|
3805 |
最初の夜の夕食はフードコート形式を選ぶ。タイ式、四川式、インド人のためのハラルなど、多数の小規模店が周囲に並んでいて、自分の気に入ったものを選ぶ。ビール専門店もあって、そこから
Tiger Beer を、食事は海鮮ラーメンを注文した。支払いは食事を運んできたときに、引き換えで行う。これだけ食事の種類が多いと、毎日ここに行くだけで多様な料理が食べられる。
|
3806 |
食後、午後10時近かったが、駅の周辺をぶらつき、できるだけ早くこの辺りの地理感覚を覚えてしまおう。もう営業時間を終えていたが、ライトアップされている白いファサードは「Central
Market」。後日多数のお土産を買うことになる。
|
3807 |
Pazar Seni 駅構内を歩いていると、宅配便のための無人投入ボックスがあった。この絵にある通り、会社は Ninja van (忍者便)という。
|
3808 |
翌朝、朝食を食べるためにアーケード付きの通りを歩く。ただしチャイナタウンとはいっても、インド人もマレー人も店を構えている。ただこの写真ではぶら下がっている4つの提灯だけが中国風を思わせる。夜間にはまともに歩けないほどの露店が密集しているところもあるのだが、朝行ってみるとみんな撤収してあって、もぬけの殻なのには驚かされる。その筋からの監視が厳しいらしい。
|
3809 |
これから仕事に出ようとする男女が大勢、朝食をかきこんでいる店を見つけた。ラーメンあり、ご飯とおかず形式あり、単なる菓子パンあり、何でもある。今回選んだのは薄味うどん。素うどんではなく、しっかり鶏肉が入っている。左の隅に見えるのは唐辛子ペースト。朝の眠気覚ましに最適だ。
|
3810 |
観光客としてはやはり「Dataran Merdeka (独立広場)」に最初に赴くことになる。マレー語のテキストに載っていた場所だからだ。広場はただの四角形の芝生だが、その東側の辺には
赤い丸屋根が3つ、最高裁判所だ。市内でコロニアル(植民地)形式の建物は、もうここら辺にしか残っていない。
観光案内書からもらった地図を頼りに、広場の西側に広がる丘の上の公園地域を歩こうとしたが、工事中のため、途中で引き返した。丘の上は湖を中心に広大な公園になっているという。
|
3811 |
ここは二つの川の合流点。この町の始まりとなった地点だという。遊歩道が整備され、正面には Masjid Jamek というイスラム寺院が立っている。観光客が大勢通り、にぎわっているが、川の水が泥色をしているのが唯一の欠点。川沿いの水槽では金魚が飼われているが、これを川に放流できるのはいつの日か…
|
3812 |
昨晩見た Central Merket に入ってみる。マレー人、インド人、中国人がそれぞれ特徴ある店を広げていてドロ臭く、モール的でないのが気に入った。上野アメ横に似ている。画廊まであり、ライオンの絵が気に入ったのだが、まだ旅の始まりでもあり、値段が値段だったのであきらめた。次に行ったときにはもう売れているだろうか。
マレーシアで一番流行っているコーヒー店、Old Town White Coffee もマーケット内にあった。ホワイトチョコレートがあるのだから、ホワイトコーヒーがあってもおかしくないが、飲んでみると単なる濃厚ミルク入りではないかという感想だった。
|
3813 |
11月とはいえ、ここは正真正銘の熱帯。天気予報では雨続きだというが、一向に降ってこない。すぐにのどが渇き、特製の氷水を注文。マンゴーやらドリアンやらいっぱい混じっているのだが、不思議とハーモニーになっていて、なかなかうまい。 |
3814 |
氷水を頼んだのは、マーケットわきの賑やかなアーケードに陣取っている露店の一つ。店の主人はインド系のようだ。このようにメニューは写真入りなので、注文しやすい。この後中国人の露店で、「甘い豆腐」を注文。正式の名前は忘れた。露店をハシゴする癖がついた。 |
3815 |
ついにやってきた。スコールが。短時間に降ってすぐやむのだが、その激しさは3秒当たれば、ずぶぬれになるほどだ。日本の雪国では雪の日でも歩きやすいように「雁木(ガンギ)」が駅前通りなどに設置されているが、こちらでは雨除けのための”雁木”が結構できていて、傘無しでも歩き回れる範囲が広い。上の写真の3人の青年たちも雁木の下で雨があがるのを待っている。
地球温暖化により、スコールの降る地域が熱帯から次第に北進し、東京あたりでもこんな激しい雨が普通になるのだろう。いや、すでにもうそうなっているか…
|
3816 |
チャイナタウンをぶらつく。そんなに広くはなく、すぐに隣の高層ビジネス街になってしまうのだが、雰囲気は歴然としている。これは世界のどこのチャイナタウンにあるような「開帝廟」。商売繫盛の守り神だ。 |
3817 |
ここは中国料理の素材を扱う市場。食堂でもある。独特のにおいが漂う。 |
3818 |
日本の銭湯や温泉では「入れ墨お断り」が普通だが、こちらではタトゥ店が何軒も連なっている。暴力団とは関係ない。立派な文化なのだ。この店の場合、店員に写真をとってもいいですかと聞いたら「どうぞ、どうぞ」という返事。それにしてもヘヤスタイルと同じように、実に豊富なデザインがあるものだ。 |
3819 |
駅前から、泊まったホテルの前を通っている通り、 Jalan Sultan は東に進むとすぐに左にカーブしていて、昔からの古びた家々が目に入る。曲がった先には、比較的高級な中華料理店が並んでいる。
かつてはこの辺りに「中央市場」があり、400以上の露店がひしめき、人力車や荷車が走り回っていたという。今は移転して中心は駅前のほうにある。
もう一つ特記すべきことは、このチャイナタウンを中心に路上生活者がかなり多いことだ。超高層ビルの林立とは裏腹に、最下層の人々が減っていないことは確かだ。また食堂にも、ティッシュを売りに来る女性がかなり来る。ティッシュを売るのは物乞いが禁止されているからだろう。
|
3820 |
昨日飲んだ Tiger Beer とならんで、この Skol も地元の有名ビールである。ただしちょっと水っぽいので、昼間の炎熱を冷ますのに向いている。もちろん、カルスバーグやアサヒもあるが、割高である。 |
3821 |
駅の表示はこの通り、たいてい日本語が併記されている。マレー語と英語はつづりがそう違いはなく、たとえあっても想像がつく(例えば central
/sentral とか bus/bas)ので、併記されることはあまりない。マレーシアは周りをいろんな国に囲まれているので、タイ文字、ベトナム文字、カンボジア文字、ハングル文字が併記されていても不思議はないが、飛行機で6時間以上もかかる遠い日本の文字が書かれているのである。 |
3822 |
電車の中の、”してはいけないこと”一覧表。左から、「タバコだめ」「飲食だめ」「ごみの散らかしだめ」「チューインガムだめ」「騒ぎまわることだめ」「危険物持ち込みだめ」「動物だめ」とある。ずいぶん日本と違う。「携帯電話での通話だめ」がない。ただしたいていの国でも通話は禁止されていないが…
細かいことで、分かっていることなのに、それをはっきりと提示せずにいられないのは国民性なのだろうか。シンガポールでも同じ傾向が見られたから、マレー人はそういうことが気になるのか。あとで分かったが、反則に対する罰金も高額で、シンガポールではさらにその点では上回る。
|
ここからあとは、マラッカとイポーから帰り、再びクアラルンプール市内を見物した時(11月25日)のこと。 |
3845 |
ここもチャイナタウン。みごとなヒンディー教寺院の建物。中には大勢のインド系の人々が参拝していた。金をかけていることにかけては本国顔負けかもしれない。 |
3846 |
Bukit Bintang (星ヶ丘)はクアラルンプールの銀座。同名の駅に着くと、巨大広告が目に入り、世界中どこにでも進出している企業の名前が目につく。ここは新興モールの聖地なのだ。 |
3847 |
この地域では百貨店ではなく、超巨大モールが主役である。しかしアメリカ生まれのモールは世界中どこへ行っても内容は同じなので、差をつけるには豪華さを競うか、ユニークな遊びスポットを作るしかない。このモールではバスケットコートをこしらえた! |
3848 |
モールの階段の踊り場で見つけたチャリティ・ボックス。このボックスに入れられるのは、衣類、ハンドバッグ、ベルト、リネン、やわらかいおもちゃのみ。「世界を救おう」と書いてある。ポストの投入口には各国語で「ありがとう」が書いた紙が貼ってある。しかしクアラルンプール市内にも路上生活者は大勢いた。 |
3849 |
たしかこのモールは Pavilion という名前だったと思うが、クリスマスシーズンが近づき、吹き抜けの店内には多数の飾りつけが始まっていた。客の買い物意欲を掻き立てようと店側も必死である。 |
3850 |
「日本横丁」とでも呼べばいいのか。高級日本料理店があちらにこちらにもある。それでいてここは日本ではないことが、雰囲気の違いですぐ分かる。どこの店も客がいっぱいで、こんなに日本料理が人気あるのか! |
3851 |
ついに出た!鳥居が飾られている。そしてその横はペコちゃんか?右側の人がきは吹き抜けの舞台で、Star Wars の巨大な宇宙船から壮大な音楽が演奏されているのを見入っているからなのだ。館内いたるところアトラクションだらけだ。 |
3852 |
学校が休みなのか、月曜日なのに若者、小中学生がやたら多い。グループで行動しているようだ。驚いたのは、みんなおそろいの「ミロ(ネスレの栄養飲料)」のTシャツを着て、リーダーに引率されて店内を回っているのを見たからだ。
私の直感では、この子供たちは地方からやってきて見学し、この壮大な物質文化に圧倒され、将来大人になって収入を得た時に、すぐに”物欲”を発揮するようにするための訓練ではないかと思う。モールが将来も繁栄するかどうかは、この子供たちがいかに物を欲しがり買い求めるために、あくせく働くかにかかっているのだから。
マレーシアも先進国並みに、消費者が不要なものを買い、資源を浪費し、二酸化炭素をせいぜい排出しないと経済が成長しないのだ。それはこの巨大モールに投資した銀行家たちの痛切な願いである。なんとしてもモールへの投資はモトをとらねばならない!主体性のない消費者が育つことはとても大切なことなのだ。かつての日本の高度成長期にそうだったように。
|
3853 |
雑踏の中での”社会学的”考察を終え、高層ビルの間に作られた公園で一休み。この後有名なツィンタワーをはじめとする、KLCCと呼ばれる非人間的なビジネス街へ行くのだが、途中で迷ってしまい、大いに時間を無駄にした挙句、くたくたに疲れて宿に戻った。
その途中で、バスツァー途中の中国本土からの観光客の一団を発見。興味深かったのは、バスから降りる彼らの前に、自分の顔を隠してプラカードを掲げている人々がいたことだ。そこには「香港での弾圧をやめよ」「法輪功への弾圧をやめよ」と書いてあった。
クアラルンプールに住む中国人に、中国共産党政府への敵意を持っている人々がいることがわかる。世界中のチャイナタウンで、中国政府への政治的態度がどの程度なのかを知りたい。華僑(カキョウ)は巨大な投資を中国本土にしているから、彼らの態度で未来の中国が維持可能かを占うことができる。
|