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今年見た映画(2022年) タエ子という都会から来た女性がふらりと島(与論島)にやってくる。季節外れなので、ほかに客はほとんどいない。彼女が宿泊した宿には、ハマダという主人と、サクラという女性がおり、ここに高校教師のハルナが加わって、4人で食事をする。朝早くにに起こされたり、ラジオ体操みたいな「メルシー体操」を勧められたり、タエ子はこの一風変わった暮らしに戸惑い、いったんはほかのホテルを探すが、これまたもっと耐え難いと気づき、再びこの宿に戻ってくる。 しかし、次第に島独特の暮らしに慣れ、目の覚めるような美しい海岸風景の中、体操にも参加、サクラの作るかき氷を食べてみたり、岸壁で釣りをしたりして、それまでの人生とは違った「黄昏る(たそがれる)」生活が気に入ってくる。季節は移り、メンバーはバラバラになり、タエ子もいったんは島を離れるが、その時に自分のめがねを風に飛ばしてしまった。そして再び再会の時が訪れる。 ➡資料 昭和19年、与那嶺(ヨナミネ)和子は師範学校の卒業を前にした、沖縄のごく普通の女子生徒だった。元気な弟がおり、近くの男子高校には和子に憧れる青年がいた。しかしアメリカ軍は次第に太平洋を北上し、ついにグアム島に上陸すると、日本本土に向けての攻撃を始めた。 同じく教師だった母親は地元の子供たちが本土に疎開するために引率する役を引き受け、みんなで貨物船に乗り込んだが、まもなく撃沈された。ついに飛行機が襲来し、爆弾を落としたり機銃掃射を始めるようになった。生徒たちは看護婦として野戦病院で手伝うことになる。悲惨な状況の中で和子らは必死で負傷者の看護にあたる。 昭和20年、やがて戦況は悪化し、見込みのない重傷者は置き去りにされて、沖縄本島の南部へと移動させられる。その中には和子の同級生もいた。弟の戦死を知らされ、さらに彼女にあこがれていた青年も目の前で機銃掃射で即死した。 洞穴にこもって、負傷者の手当てにあたったが、ついには薬も包帯もなくなり、軍の命令で全員が解散を命じられる。解散といっても洞穴から出れば撃たれるだけだ。第1グループが出て行ったあとで、洞穴に黄燐(オウリン)爆弾が投げ込まれ、残ったほとんどが死亡する。翌朝、和子は意識を取り戻し、自分ともう一人だけが生き残ったことを知る。洞穴の外には投降を呼びかけるアメリカ軍の放送が聞こえてきたが、二人は洞穴を出ると、切り立った海岸の岩にのぼり、手りゅう弾のピンを外す…➡資料 私をくいとめて 2022/04/15 太平洋フェリー船中で30歳を超え、一人暮らしがすっかり堂に入ったヒロイン。いつも「自分自身」と対話を続けながら日々の問題に対処している。会社の同僚のこと、ローマに結婚して住んでいる親友を訪ねに行ったこと、そして近所に住み料理をおすそ分けしてもらいに来る黒田くんのことなど。 そして少しずつ黒田くんのことが好きになりだすが、相手の気持をうまく引き出すことができない。毎晩語りかけてくる「自分自身」と喧嘩をしながら、それまでの一人暮らしの、気楽だが広がりのない世界を脱出して新しい人間関係を作り出す気持ちになっていく。脚本の物足りない点を主役の”のん”の秀逸な演技で補って余りある。➡資料 Heroic Losers 明日に向かって笑え 2022/04/21 太平洋フェリー船中で 初めてお目にかかるアルゼンチン映画。ここは一度は債務不履行に陥った程に経済ががガタガタになっている国であり、貧富の差が猛烈で大統領が何度も変わり、軍政で大勢の犠牲者が出たという背景を知っておく必要がある。 かつてはペロン大統領は社会主義者で、少しでもこの国を良くしようと努力したが政変で権力者の地位を追われたが、この映画の主人公たちも彼のシンパであることがわかる。原題は「英雄的敗北者たち」とでも言おうか。 田舎町に住む小規模ビジネスマンや商人たちが投資金を集めて農業協同組合を作ろうとするが、国家が資金凍結を行った際、それを事前に知っていた銀行の頭取と、悪徳弁護士マンシーに騙されてすべての投資金を奪われてしまう。 だがマンシーが密かに農場のど真ん中に地下金庫を作ったという情報が入り、みんなでその金を奪ってしまおうという計画が持ち上がる。はじめは不可能に思えたのだが、みんなの知恵を出し合い、難問を乗り越えてついにマンシーから奪われた金の奪還に成功する。➡資料 Plan 75 2022/06/21 「Movix 仙台」で 近い未来の日本。あまりにも老人の数が増えて、ついに75歳を過ぎた高齢者が自ら命を絶つことを援助する法律「Plan 75」が国会で可決された。老人たちは自らの意思で生き続けるか人生の終止符を打つかを選ぶことができる。申し込んでも途中で嫌になったら中止できる。死の直前まで援助金をもらったり、話し相手になってもらったり、無料で火葬や埋葬をしてくれるなど至れり尽くせりである。 倍賞千恵子演ずるヒロインは78歳でそれまで勤めていた職場を追われ、新しい職場も見つからず住まいももうない。一方、ある若い男は市役所で働く、プラン75相談係。彼はそれまで行方不明だったおじさんがこのプランに申し込みをして実行に移す手伝いをする。もう一人の登場人物は、フィリピンから来た出稼ぎの女で、幼い娘が心臓病のためその手術費用をねん出するために、プラン75で死んだ人々の後始末をする職場に就職する。 淡々とドキュメンタリー風にストーリーは進み、高齢者ならだれでも直面しそうな問題が次々と現れる。だがどの問題も、人によって大きく異なるので、単一の答えを見出すことは不可能であろう。このヒロインはまだ健康だし、ほかのばあさん仲間に比べるとしっかりしているのだが、これが病身であるとか知的障害になってしまったらまったく別の問題が生じてくる。 いよいよヒロインが人生を終わらせる予定日がやってきた。この日の映画館は、平日でありながらほぼ満席である。その9割以上は高齢者であった。カンヌ映画祭で話題になったというだけでなく、だれでも考えておかなければならない問題を突きつけているからであろう。 信長の軍勢の前に浅井長政の城は崩れた。家臣や家来たちは命を落とすか、バラバラになり周辺に逃げうせた。疾風(ハヤテ)は宮中に好きな女、加乃がいたが、二人とも落ち延びて甲斐の国で再会する約束をする。疾風は戦いの混乱の中で、琵琶湖湖岸でおりょうという若い女のおかげで命を取り留める。おりょうの父親の野武士団に加入することを嫌った疾風はもみ合ううちに父親は誤って自分を刺してしまう。 おりょうの元を逃げ出した疾風は戦場を転々とし、ついには丹波の山城にこもって、勝つ見込みのない戦いに加わっていた。鏡と立花という疾風の二人の仲間も戦いに敗れるが、その場面に疾風を追ってきたおりょうが現れる。その時点でおりょうは疾風に加乃という恋人がいたことを知り、悲劇が起こる。➡資料 関ヶ原の戦いで敗れた後、淀君と秀頼は、たびたび徳川方から脅迫を受け、大阪の街は再び戦火に見舞われるのではないかと人々が不安がっていた。関ヶ原の戦いで家族を皆殺しにされた浪人、茂兵衛は一旗揚げたくて大阪の街に現れる。ケンカで大暴れして不思議な女、阿伊に救われ、戦いを避ける一派の貯めに協力をしてくれるように頼まれる。 茂兵衛は任務を一度は失敗してしまったものの、才蔵という忍者と親しくなり、ポルトガル船から武器を購入したり、捕まった阿伊を取り返したり、裏切り者の商人を殺害した子笛を救い出しに行ったりして手柄を立てる。すっかり大阪のために頑張る気になった茂兵衛は徳川勢が包囲網を狭める中、ポルトガル船から降ろした鉄砲や弾薬を荷車に積んで大阪城まで運ぶ仕事を引き受ける。 鉄砲は無事味方に届けられ、戦いは和議にこぎつける。苦労を共にした阿伊と再会した茂兵衛はどこか田舎で暮らすことを提案するのだった。➡資料 新諸国物語 七つの誓い 黒水仙の巻・奴隷船の巻 2022/08/13 この物語は時代劇と違い、舞台がモンゴルから日本にかけての非常にスケールの大きなものである。モンゴルとネパールの間のあたりに平和で豊かな王国があった。だが、その国は滅びその国を引き継ぐ7人の人々がそれぞれに指輪を持ち、暗号を解読すれば隠した財宝によって再び国を興すことができるはずであった。 旅を行く五郎もそのひとりである。彼の母親は日本人であった。今彼は実の父親を探し求めて山賊の跋扈する砂漠の乾燥地帯を進んでいる。五郎は父親に再会しサラという恋人を得て黒水仙の里に向かうが、財宝を付け狙う悪漢どもによって、捕らえられサラは戦いの中で死ぬ。(黒水仙の巻) ➡資料 悪漢どもに捕らえられた五郎たちは奴隷船に載せられ、遠く室町時代の日本まで漕ぐことになる。日本にも指輪を持つ人がおり、桜子もそのひとりであったが、常に誘拐の危険にさらされ、そのたびに黒覆面の男に救われる。奴隷船は絶海の孤島に到着し悪漢たちは自分たちの計画の成就と鉄砲の入手をもくろんでいる。五郎は首尾よく牢獄を脱して爆薬で島を粉砕する。(奴隷船の巻) ➡資料 東京で救急医として女医が、勤めている病院との意見の相違から、その病院を辞め故郷の金沢に戻る。ここには自分の年老いた父親も住んでおり、 見つけた就職先は「まほろば診療所」といって 車椅子の院長とまだ若い看護婦のふたりだけだった。 そしてたった5人の 在宅治療の患者と、彼女が向き合う日が始まる。死と隣り合わせの病気との闘い、生きることを辞めた人、生きることを辞めない人、様々な人生が巡回する彼女の前に現れる。 そこへ病院で勤めていた時の後輩がやってきて、4人でこの診療所が回り始める。 彼らの仕事は何か将来への見通しを見せてくれるようになった。後輩の若者は医者の免許の再受験を決心する。 彼女の父親が高齢のため骨折をして。 耐えきれない痛みが襲う。 「自分を殺してくれ。」と叫ぶ父親に対して彼女は安楽死を考える。 院長は反対する。彼女は決心がつかぬまま朝を迎える。 それは、 観る人にとってどんな結末なのかを想定させてくれない。 最後の朝日の場面は、 先日観た「プラン75」 によく似ている。だが、安楽死に対する回答は見えないままだ。 ➡資料 荒野に希望の灯をともす 2022/11/29 「東中野ポレポレ」で 中村医師はパキスタンでの無医師の現状を知り、NGOを通して現地にやってくる。少しずつ困難を乗り越えながらやがて診療所を軌道に乗せ、看護師や若い医師たちや事業の協力者たちや、日本での支援団体の助けを借りて彼の希望は大きく前進する。 アフガニスタンでは干ばつと洪水のため農業は成立させることができなかった。そのため多数の栄養失調や餓死者が出ていた。中村医師はそれまでの医師の仕事以外に“建設技師“という新しい仕事に取り組む。大河に取水口を作り、そこから長大な灌漑用水を作るという計画だ。 故郷の福岡にある「山田堰」をお手本に失敗にもめげず新たな工夫を重ねて不毛の荒野に緑豊かな農地や森林を作り上げることに成功した。不幸にして何者かによって射殺されてしまったが「人生は一瞬だが、自然は悠久である」という考えは現地の人々に受け継がれて今日に至る。➡資料 今年見た映画(2023年) チョコレートな人々 2023/01/05 「東中野ポレポレ」にて 久遠チョコは日本でも評判の高いチョコレートメーカーになった。だが、それまでの歴史は苦難の連続だった。この会社の代表者はパン屋を経営していたが、思うところあって障碍者の置かれている状態に気づき、極端な賃金の低さ、労働環境の悪さ、人々の偏見を自分たちの事業によって克服することを思い立つ。 チョコレートは形を作るのに失敗しても、また溶かせばやり直せる。そのイメージで会社は障碍者でも広く働ける環境を作るために挑戦を重ねる。ただのチョコレートではなく、チョコレートの専門家に力を借りて、品質の良いものを作っていく。 重度の障害を抱えた人々も含めて、この映画には数人の従業員が登場する。結局うまくいかず会社を去った人もいたが、工夫をこらして自分の作業をチョコレート作りに生かす方法を見つけた人々もいた。一度大量注文を受けて、納品に大変な困難を経験したこともあって、普通の大きな企業への道は進まず、各地の考え方のあった人々を受け入れて小さな店を増やしている。➡資料 The Call of the Wild 野生の呼び声 2023/01/20 パックという犬は大型犬で、南部の裕福な判事の家で育てられていたが、甘やかされ家族に囲まれて毎日騒動を引き起こしていた。それがある日犬泥棒によってアラスカまで運ばれて売りに出されてしまった。そこで出会ったのは郵便を運ぶそり引きの男女だった。彼らはパックの才能に気づき、ほかのそり引きの犬よりも優れた体力、判断力を持っていると認められついにはそれまでボスだった犬に立ち替わった。 せっかくそり引きの仕事が油に乗っていたころなのに、そりでアラスカの内地を郵便を配る仕事は電報にとってかわられ、パックは金で一山当てようという男にわたったのだが、その男は犬や大自然に対する知識がまるでなく、パックを始め犬たちは死ぬ思いをさせられる。そこでパックを拾ってくれたのが息子を亡くし妻と別れて一人で暮らす男だった。 その男は息子の夢見ていた辺境の地へ冒険の旅に出る。そしてパックは彼の忠実な道連れになるのだった。奥地で見つけたのは巨大な金塊だった。男はそれをもって人間世界に戻ることにした。しかしパックはその大自然になれるにつれ、地元の狼たちと仲良くなり、妻もできて、自分にとっての故郷ができたのだった。男は、後を追ってきた金に目がくらんだ先の男に銃で撃たれ命を落とすが、パックはその地で狼たちと新しい群れを作っていくのだった。➡資料 The Italian Job ミニミニ大作戦(1969年=初代ミニ) 2023/01/25 強盗団のボスが、イタリアのマフィアによって、アルプスの山間を走行中に殺される。映画に残されたボスの遺言を見た、出所したばかりの友人チャーリーは新たな強盗計画に取り組む。コンピュータ管理されているトリノ市の交通を麻痺させ、そのすきに金塊護送車を襲い400万ドルもの大金をせしめるというものだ。 チャーリーは仲間を集め分担を決め、コンピュータの専門家にまで参加してもらって、地元のマフィアが妨害するのもめげず、ロンドンからはるばる現地まで車や装備を運んで実行に移す。首尾よく混乱が起こり、市内は大渋滞に。現金輸送車を分捕ると近くの建物に入れて、分捕り品を三台の(旧型)ミニクーパーに積み込んだ。 3台は、小さな車体と機敏な動力性能を生かして、市内の渋滞を避けるため、歩道や巨大建物の屋根や階段や中庭も通り抜け、警察の追跡も出し抜いて、まんまと郊外にまで逃げ切ることができた。郊外には大型バスが用意してあって、3台はこのバスに飲み込まれ荷物を積みかえた後、アルプスの急カーブの続く崖から突き落とす。計画はこれにて成功したように見えた、あとはイタリア国境を出るだけだったが…➡資料 上へMatrimonio all'litalia あゝ結婚 2023/01/27 大金持ちの実業家ドメニコは世界大戦の空襲の時、一人おびえて防空壕へ行けない17歳の娼婦フィルメーナと知り合う。ドメニコは使用人付きの大型アパートを借りてやり、フィルメーナを住まわせる。不自由のない生活だったが、ドメニコは家に居つくことなく、ふらりと家を出てそして突然帰ってくる。彼はその間に女遊びを楽しみ、独身の自由な生活を満喫していた。そして20年がたつ。 それに業を煮やしたフィルメーナが出た行動は、病に倒れ瀕死のふりをして神父さんを呼び、ベッドで無理やり結婚の誓いを執り行わせたことだった。だが、これは弁護士によって無効とされフィルメーナは家を出ることになる。実はこの20年間に及ぶ内縁関係のあいだにフィルメーナは3人の男の子を産んでいた。そのひとりの父親はドメニコであるという。ドメニコは何とかして自分の“跡取り”を知りたがるが、フィルメーナは頑としてそれを知らせない。根負けしたドメニコはついに3人の本当の父親になることになる。➡資料 新婚夫婦が横浜の丘陵地に無理をして家を建て、借金の返済のために二階を人に貸すことにした。ところが最初の店子夫婦は家賃未払の常習犯で3か月以上ため込んだ挙句、その家賃も回収できないまま引っ越していってしまった。そこへ夫の母親が田舎から出てきて姑にいじめられたからとこの家に居ついてしまう。 田舎から夫の兄がやってきて、母親を引き取るから新築の時に貸した20万円を返せという。夫婦は困り果てたが、2番目に引っ越してきた二階の夫婦がなかなか裕福で、風呂を作ってくれた。恐る恐る20万円の借金をお願いしてみるとすんなり引き受けてくれた。喜んだのもつかの間、二階の夫婦が使い込みかなんかで警察を追われているらしいと知る。 クリスマスの夜、新婚夫婦も呼ばれて二階でどんちゃん騒ぎをするが、何か悪い予感がする。自殺するのではないか?二階の窓から飼っていた小鳥を逃がしていた!最悪に備えてきちんと始末をつけようと、夫婦ともどもどこか20万円を貸してくれるところを探し回るがダメだった。そして家に帰ってみると、二階の夫婦は自首したらしくパトカーに乗せられて去っていくところだった。そして2階には二人にあてた置手紙が… 山田洋次の初の監督作。登場する新婚夫婦は、のちの「とらや」の家族のように善良で、しかもあるところでは決して人を見捨てたり、自分だけ得をしたりしない人である。そういう登場人物の性格が一貫しているのがわかる。そして物語は人情喜劇として展開する。➡資料 熊本で高利貸しの老婆がマサカリで殴られて殺される事件が起きた。老婆から返済の催促を受けて現場に来ていた小学校教員柳田が逮捕されていた。その妹桐子は東京に出て高名な弁護士大塚に裁判を担当してくれるように頼むが、貧しいがために断られる。それから一年後、殺人犯としての判決を受けて収監されていた兄の柳田は病死する。 桐子は熊本県人の集まる店に勤め、大塚の愛人がかつて関係していた男が殺される事件に巻き込まれてしまう。自分の立場や名声を恐れた大塚は犯人が左利きであることを突き止め、桐子に証人に立ってもらい現場から消え失せた犯人のライターを返してくれるように再三頼むが、桐子は頑として受け入れず、それでも迫ってくる大塚を罠にかけて社会的に葬ってしまう。➡資料 百姓の百の声 2023/02/04 「チネ・ラヴィータ」にて ドキュメンタリー映画。かつて狭い日本列島に多くの農家がひしめいていたが、高齢化によりまた後継者不足により、国の方針は大規模農家に統合して行こうというものだ。だがアメリカ合衆国のように広大な土地が単一の作物を生産するのに向いているような土地柄ならともかく、日本列島のように地形が複雑で多様な気象条件に取り巻かれている場合、小規模な農業、つまり百姓たちの生み出した知恵に注目する必要がある。 この映画は北から南から、さまざまな方法で農業を盛り立てようと努力する人々を取材したものだ。この話の中心には「農文協」という出版社が一役買っている。農協とは違い、生産そのものではなく農業情報の交換を中心にやっている。例えば種子だが、グローバル企業が種子の特許を独り占めしようとする中、江戸時代から工夫されてきた、風土に合わせて改良されてきた土地固有の種をお互い交換し合い、広めていく活動を行っている。 一方、それぞれの作物には専門家がおり、キュウリ、タラの芽、ブドウなどを育てることの関して非常に優れた技術を確立している人々がいるが、コンピュータソフトのオープンシステムのように情報を独り占めせず、公開してみんなで改良を進めていこうという流れがある。だから全国から見学者や研修者が訪れたりする。百姓の知恵とは同じ作物を作る人々の間で相互に情報の交換が行われる柔軟なシステムなのだ。➡資料(柴田昌平) 全編に「よさこい節」が流れる。戦争も終わりに近づき日本各地で空襲による被害が相次いでいたころ、土佐に住む理髪師の清水のところにも赤紙が来た。妻と子供たちを残し、彼は二等兵として訓練を受けることになった。近くで空襲の際に高射砲で撃墜されたアメリカ軍の爆撃機から脱出したアメリカ兵が捕らえられ、軍の司令官は清水を名指しで、銃剣でそのアメリカ兵を殺すように命じる。 終戦後、清水は理髪店を順調に再開するが、GHQから逮捕状が出て戦犯としてr裁判にかけられることになった。罪状はアメリカ兵殺害によるものだったが、当時の裁判では司令官はもとより、二等兵にまで一方的に責任がかかって来るのだった。必死の弁護にもかかわらず清水は重労働どころか、絞首刑の判決を下され、巣鴨の刑務所に入れられてしまった。 刑務所の中では自分の責任を感じた司令官が、まず刑を受ける。清水は必死に再審を求める嘆願書を書いた。土佐の地元でも助命運動をしてくれた。留守の間、妻は代わりに理髪の仕事を受け持ち、何とか商売を続けてくれた。日米の講和条約締結が近づき、刑の執行がずっと行われなくなっていたから、まだ刑務所の中にいる囚人たちは、いずれは自分たち下級兵士は釈放されるのではないかという希望を持ち始めていた。 だが、ある木曜日の朝、思いもかけず清水は刑を執行されることになった。僧侶の差し出すブドウ酒を飲み、自分の生きてきたあっという間の35年のことを思い、冤罪によって簡単に命を取られることに嘆き、こんなひどい目に合うのなら、もう二度と人間には生まれ変わりたくない、馬や牛も嫌だ。そうだ、深い海の底に暮らす「貝になりたい」と心の中で叫ぶのだった。➡資料 その昔松竹の映画スタジオには、まだ始めたばかりの助監督ゴウとフィルムのチェック係テラシンの二人が仲が良く、将来の映画にかける夢を語り合っていた。映画スタジオの近くには食堂があってよし子という可愛い女の子が人気の的だったが、ある日テラシンが彼女が出前に来たのを機にすっかり彼女にほれ込んでしまう。 でもよし子は実はゴウが好きだった。それを知ったテラシンは、ラブレターもむなしくよし子をあきらめることになる。ばくちや酒や競馬が大好きなゴウは脚本づくりに情熱を燃やし、いつかそれを作品の形にしたいのが夢だったが、撮影現場で転落して大けがをした後は、故郷に帰ってしまった。 そしてゴウもテラシンも完全な老人になり、テラシンはかねてからの夢だった自分の映画館を経営している。一方ゴウはよし子をつまにして、娘が生まれ、孫も生まれたのだが、相も変わらずばくちや酒にのめりこみ、借金を作って家族を悩ませている。ある日かつて若いころにゴウが書いた脚本を読んだ孫が、感心して現代風に手直しをした後でコンクールに応募すると、なんと最優秀賞をとってしまったのだ。 賞金も得て、娘はこれまでゴウにつらく当たってきたことを恥じる。酒の飲みすぎでいったん入院したゴウだったが、退院した後テラシンの映画館にやってきて、往年の映画を見て、懐かしい女優の姿をスクリーンの中に見る。彼女はゴウを見つけると大喜びで、スクリーンから抜け出し座席の彼のもとまでやってきた… ➡資料 アメリカにおける食料が作り出される時の、多国籍企業の利益一辺倒と農民たちがそれらに脅されることによって作り出された、いびつで不健康な大量生産システムについて追求した映画。ほとんどの企業は、公開もインタヴューも拒み、隠蔽された部分にいかに犯罪が宿っているかが見て取れる。 この作品は2008年に公開された。それから年月が経ち、アメリカ国民は多少とでも自分たちの体に入れる者について学んだだろうか?また、同じことをしていた日本の場合はどうなっただろうか?この映画が発表されてから、自然食品や有機栽培に関心を持つ人々が増え、多国籍企業の一方的なやり方が少しでも改められたらいいのであるが。➡資料 Paris, je t'aime パリ、ジュテーム 2023/02/17 パリの街中で展開されるさまざまな人生模様。ナンパあり、恋愛あり、離婚あり、ハネムーンあり、傷害事件あり、思いもかけぬ出会いあり、パントマイムあり、吸血鬼あり、麻薬取引あり、全部で10種類近くの場面がパリの有名なカルティエを舞台に描かれる。➡資料 中国の宋の時代、西方には西夏、そしてさらに西には敦煌と呼ばれる国が興ろうとしていた。北宋に住む科挙の受験生、行徳は試験に失敗し、西へ行って人生を賭けてみようと思う。たまたま西夏から来た女と知り合い、西夏文字で書かれた当地の通行証をもらった彼はさっそく旅に出る。西夏には新しい支配者が生まれ、周辺へ塀をだして次々と勝利を収めているところだった。 行徳は兵士として志願し、朱王礼という部隊長にかわいがられ、従卒となる。しかも試験勉強をしてきたおかげで文書や報告書の作成に重宝されるようになった。戦闘のさなか、行徳は父親を西夏の軍に殺されたばかりのツルビア王女を救う。二人は恋仲になったが、優秀な行徳は敦煌に留学生として西夏語や東西文化の交流で得られた文化を学ぶように命じられる。 一度は王女と西夏から逃走を図ったが、道に迷い連れ戻され、二人は1年後の再会を約束して行徳はやむなく敦煌に赴く。だが、一年は二年に伸び、その間に王女は西夏の王に見初められて結婚式を挙げることになった。しかし行徳の目の前で、王の刺殺に失敗した彼女は城壁から身投げをしてしまう。 敦煌での勉強は続いたが、行徳は王礼に再会し、彼が西夏の王を倒すことを考えていることを知る。西夏軍は敦煌に迫り、王礼の率いる反乱軍と敦煌は壊滅させられてしまう。王礼は戦死し、行徳は自分たちが翻訳をしたできる限りの文書を戦火の混乱の中、ある洞窟に隠すことに成功した。それは19世紀に文書が発見される900年前の出来事であった。➡資料 3 Idiots きっと、うまくいく(3バカに乾杯!) 2023/02/23 インドにある名門工科大学。ここの学長は一人でここに大勢の優秀な学生を集めることに成功し、新入生には優れた成績をとること競争で相手を打ち負かすことを、時あるごとに強調していた。ランチョー、ファルハーン、ラージューの新入生は親友同士となる。ランチョーは変わった性格で、競争社会を肯定する学長に質問したり、口答えをしたりして嫌われる。だが一方で素晴らしい成績と独創性で学生生活を満喫していた。 3人は同じ寮の部屋に住み、ランチョーが唱える口癖、「すべて、うまくいく All is well 」を実践しながら勉強に、遊びに、恋に全力を傾ける。だが、学長の方針は企業に従順で、破天荒な考えを持たない学生の育成であったから、何事につけてもランチョーと衝突した。だが学長の長女の結婚式にもぐりこんだ3人の前に、次女のピアが現れ、ランチョーと彼女は恋に落ちてしまう。 ラージューは3人でやった悪ふざけのために退学を言い渡され、飛び降り自殺を図るが、仲間の献身的な助けで再び元の体に戻ることができた。またある暴風雨の夜、学長の長女が産気づき、洪水と停電で医者も来れない中、ランチョーが主導して卓球台の上で無事彼女の出産を成功させる。これには学長も感激して、宇宙でも使えるボールペンをランチョーに授与したのだった。 4年生になり、社会に出る時が近づいてきた。だが、ファルハーンは写真家希望であり、ラージューは貧困家庭の出で家族を支えなければならず、それぞれが自分の望む方向になかなか進む踏ん切りがつかないでいた。ランチョーは1番の成績を取り続け、それをねたむ2番手のチャトルは「10年後の9月4日に再会して、どちらが出世したか賭けよう」と言い出す。 10年が過ぎ、ファルハーン、ラージュー、チャトルの3人が再会した。ランチョーがどうなったのか、3人は彼に会うために国中を探し回る。途中でほかの男と結婚式を挙げようとしていたピアを連れ戻し、4人は「小学校」という地名の僻地にたどり着く。実はランチョーは実名ではなく、裕福な家庭の使用人だったのに、ものすごく優秀だったものだから、その家の長男から名前をもらって彼に代わって学位をとったことが分かった。そして彼自身は利潤追求ではなく、自らの好奇心のために研究所を立ち上げて、チャトルが知らずに契約を結ぼうとしていた、高名な科学者になっていたのだった。➡資料 ルワンダにある4つ星ホテルの支配人ポール・ルセサバギナは妻と3人の子供を抱えて、毎日の仕事に励んでいた。ルワンダは国内にツチ族とフツ族がこれまで平和に暮らしてきたのだが、ベルギーの植民地支配がはじまるころから、白人たちの都合によって対立が激しくなっていた。ポールは客や出入りの業者からフツ族がツチ族を攻撃するのではないかという不吉なニュースを聞かされる。 ポールはフツ族、妻のタチアナはツチ族の出身だった。それが明らかになると彼の家族は崩壊する。悪夢が現実にとってかわった。ホテルのすぐそばで虐殺が起こり、死体が地面に散乱した。欧米の植民諸国は決定的な態度を示さず虐殺が進む中、国連の平和維持軍も現地にとどまることが難しくなった。 ホテルには大勢の西欧人が泊まっていたが、彼らが故国に引き上げると、ポールは隣人など近隣地域の難民をホテルにかくまうことを実行する。民兵や国軍の兵士もやってきたが、ポールは巧みな話術や買収を試みて危ういところで、彼らをホテル内に入れることを防ぐことができた。100万人に迫る遺体が発見され、国際的にようやくこの事件が知られるようになり、難民たちを周辺諸国に脱出させる試みが始まる。 それでも民兵たちの暴行を抑えることができずに一度はホテルに戻ったこともあったが、ポールは家族や難民の命を守るために奮戦する。ツチ族の反乱軍がフツ族を撃退し始めてやっと、ホテルを脱出した難民たちは国連の難民キャンプにたどり着くことができた。幸い、妻タチアナの二人の幼い姪たちが直前になって発見され、ポールとその家族はタンザニア行きのバスに乗り込む。 ➡資料 小林大悟はチェロ奏者を目指して頑張っていたが、楽団は突然倒産し、大枚をはたいて買ったチェロも手放すしかなくなる。もはや音楽で食っていくことができないと悟った彼は、新婚の妻を連れて故郷の山形に舞い戻る。仕事探しをして見つかったのが、今までお棺とか遺体さえ見たことのない彼にとってまるで初めての世界である、納棺師であった。 社長と事務の女性の二人だけの小さな会社だったが、収入は途方もなく良い。何もわからないまま社長について葬式に出て、死者の体をふき、服を着せ、化粧をするという仕事をするうち、今までまるで考えもつかなかった人生の新しい側面が見えてきた。感謝する遺族たちに接するうちに、その仕事の重要性がわかってくる。 だが、近所のうわさになり、幼馴染の友人からはすぐやめろと言われ、そしてついに妻に仕事の詳細を知られて、彼女は実家に帰ってしまう。それでも小林は哲学者のような社長の生き方を学び、仕事はますます板についてくる。妊娠した妻が実家から戻ってきたとき、たまたま幼馴染の銭湯を経営する母親が亡くなった。葬式に参列した妻の見ている前で、死者の旅立ちを助ける仕事をして見せて、彼女の偏見や世間体も変化を見せ始める。 小林が小さいころに愛人と駆け落ちして家族を捨てた父親が死んだことを知らされる。顔も覚えていない彼は最初、拒否反応を示すが、妻や事務の女性の頼みで身内として葬式に出席することにする。そして父親だという男の手に握られていたのが、小林が幼いころに父親と交換した「いしぶみ」だった。初めて父親とのつながりを確認できた小林は、心から死者を送り出すことができたのだった。 ➡資料 敏子の父親はガラス工芸品を作る職人であった。母親と妹二人の5人家族で、東京の下町に住んでいた。太平洋戦争が終わりに近づき、アメリカ軍の爆撃機が、頻繫に空襲にやってくるようになった。敏子と妹たちは神奈川県二宮町に疎開するが、ホームシックになった妹たちは東京に戻ってしまう。一時は敏子は親せきを頼って福島の郡山に疎開するが、労働力としてこき使われ、東京に戻る。 そして東京大空襲の日、一家は散り散りになり二宮で難を逃れた敏子のところにやってきたのは父親だけだった。その父親も駅で列車を待っているときに機銃掃射を受け即死、敏子は孤児となってしまう。東京の家のあったところでは、熱で変形したガラスのウサギが掘り出された。 終戦となった。奇跡的にも二人の兄が無事日本に復員した。焼け野原で一家が住んでいた家のあった場所に小屋を建てる。一番上の兄は郡山に行ってしまうが、二番目の兄とともに父親の夢見ていたガラス工場を再建する夢を持ちながら、東京での暮らしを築いていく。 ➡資料 Taxi Driver タクシー・ドライバー 1994/09 (再)2023/03/11 海兵隊を名誉除隊となったトラヴィスはニューヨークへ行き、まずは生活を立てるためタクシーの運転手を始める。しかし車の窓から見えるものは人々のすさんだ暮らし、泥棒や詐欺師たちが跋扈する大都会だった。日々の単調な暮らしと孤独感から、大統領候補の事務所で働く女と知り合いになるが、デートでポルノ映画館に連れて行ったためにすぐに二人の関係は破局となる。 そのあたりからトラヴィスは海兵隊で鍛えられた体を取り戻さなければならないと筋トレを開始し、ピストルを買い込んでナイフを隠し持って街を歩き回るようになる。行きつけの食料品店でたまたまピストル強盗が侵入した。トラヴィスの早打ちのおかげで犯人は撃ち殺され、店の主人に感謝される。一方で女に振られた恨みなのか、大統領候補の集会に忍び込んで暗殺を狙うが、簡単にばれて逃げ出す羽目になる。 売春街で、かつて逃げ出して彼のタクシーに乗ろうとして取り押さえられた少女を発見する。トラヴィスは両親のもとに帰るようにと彼女を説得するが麻薬か何かで依存関係ができているらしく、彼の話を説教としてしか受け止めてくれない。業を煮やしたトラヴィスはあるよその売春宿に乗り込み、ポン引きと宿の主人と撃ち合いを演じ、彼らを殺してその少女を救い出して、両親に感謝される。 打ち合いで負傷し一時は意識不明になったトラヴィスだが、すっかり回復し運転手の仕事に復帰した。今晩のお客は、あの時自分を振った女だった。彼女のまなざしには尊敬の気持ちがこもっているようだったが、トラヴィスは料金無料で、彼女を自宅に送り届ける。➡資料 Sabrina 麗しのサブリナ 1995/09 (再)2023/03/12 全編に流れるのは「バラ色の人生」。ニューヨークの郊外に住む大富豪ララビー家には、大企業を牛耳る兄のライナスと遊び人の弟デヴィッドがいる。お抱え運転手の娘であるサブリナは幼馴染のデヴィッドにあこがれていたが思いはかなわず、パリへ料理修行に出かける。 二年後、すっかり洗練されたサブリナは帰国してララビー家のパーティに出席する。あまりの変わりようにデヴィッドさえ初めはわからなかった。デヴィッドはライナスの始めた新規事業を円滑に進めるために政略結婚のフィアンセまで決まっていたのに、すっかりサブリナに参ってしまう。 二人はテニスコートで密会を試みるが、デヴィッドはソファにあったワイングラスをうっかり尻に轢いてしまい、大けがをする。その間に兄のライナスがサブリナの面倒を見ることになった。ビジネス一辺倒のライナスだったが、デートするごとにサブリナはライナスの人間的な面を発見し、そしてライナスはそれまで通してきた独身主義が揺らぐほどにサブリナから影響を受ける。 もはやこのままではおけなくなったライナスは、サブリナを再びパリに送り出し、またデヴィッドには計画通りの結婚をしてもらうことで事態収拾を図ろうとする。だがデヴィッドもパリ行きの船の切符を見て、兄の心情を察し二人を応援する側に回る。すでに出港した欧州行き客船にタグボートで追いついたライナスは一人寂しく甲板にいるサブリナを抱きしめる。 ➡資料 Cat and Mouse 一人だけ帰った : サンダース軍曹は付近の地理に詳しいということで、もう一人の軍曹とともに斥候に出ることを命令される。だが、二人はウマが合わず、しかも引き連れた兵隊たちも待ち伏せで撃たれたり、地雷を踏んだりして二人だけになってしまう。しかも水車小屋にたどり着いたものの、そこはドイツ軍の司令部になるところだった。サンダースを階上に残し、その軍曹はわざと敵に降伏し、自分を犠牲にしてサンダースを逃がしてくれた。 ➡資料 Escape to Nowhere 脱出の道なし : ヘンリー少佐は激しい戦闘のあと、ふと気づくとドイツ軍の捕虜になっていた。拷問にかけられると思いきや一人の将校に呼ばれ、車の運転手をさせられる。彼はヒットラー暗殺計画の一員であり、自分の運転手を射殺した後、ヘンリーに鉄道駅まで運転させる。そこには彼の娘が待っていた。だが娘は完全にヒットラーの思想に染まり、父親とドイツを脱出することを拒絶する。しかも彼女は追ってきたゲシュタポに密告し、父親はせっかく国境を超えたのに息絶える。➡資料 The Ringer 英雄になりたい : サンダース軍曹の部隊に、よそからの兵隊が紛れ込んできた。彼は命令をまともに聞かず勝手に敵を攻撃したりして仲間を命の危険にさらす。調べてみると後方部隊から脱走してきたのだった。故郷の父親が息子の活躍を吹聴し、タイピストなのに英雄のふりをしなければならなかったからだ。それでも送還される直前の戦闘で死に物狂いで大活躍をする。 ➡資料 Cassock 仮面の下 : ドイツ軍の爆薬専門家が橋の下に爆薬を仕掛けようとしたときアメリカ兵に撃たれ、目の前にあった教会にもぐりこみ神父に成りすます。サンダース軍曹以下全員すっかり騙されて彼を丁重に扱い、再び爆薬を仕掛けようとしいるのに気づかない。二人の部下がナイフで刺し殺されて初めて偽物であることに気づく。➡資料 Beneath the Ashes 遅すぎた連絡 サンダース軍曹のもとにいるコヴァックには別居している妻がいたが、病気で危篤という連絡が入ったのに、彼の小隊が偵察中のためヘンリー少佐は無線での連絡を後回しにする。その間に妻は死に、コヴァックは本国に戻ることもできなければ葬式に出ることもできなくなった。ヘンリー少佐に恨みを持ったコヴァックだったが苦しみを吹っ切るために前線に戻る。戦闘中ヘンリー少佐はけがをして動けなくなっていた。コヴァックはサンダース軍曹にいわれたこともあって奮起し、敵の中に突っ込んで倒すことに成功する。 ➡資料 Gideon's Army 傷だらけの守備隊 ドイツ軍の収容所に取り残された、ポーランド人たちが隠れているのをサンダース軍曹らが発見する。敵の陣地の真ん中のためすぐ引き返す命令だったが、彼らに懇願されサンダース軍曹は彼らを保護してもらうようにヘンリー少佐に頼んで認められる。だが、救援トラックを待つ間、ドイツ軍一個小隊が近づいてきた。数の上でかなわないサンダース軍曹たちは聖書のギデオンの軍隊に倣ってこちらが大人数であるようにポーランド人たちも動員して見せかけるて敵を追い払う。➡資料 More Than a Soldier 目の前の敵 まだ前線に出て2,3日しかたたない頼りない新兵カーリーがサンダース軍曹とともに洞穴に隠れるが、追ってきた一人のドイツ兵の発砲によって地盤が崩れる。そのドイツ兵に武器を奪われた二人は掘り起こし作業をさせられるが再び地盤が崩れ、今度はドイツ兵が生き埋めになる。サンダース軍曹は何とか穴を掘り、外に出ることができたがドイツ兵に撃たれて負傷し、カーリーが敵を倒さなければならない。それは成功したが、サンダース軍曹は敵であっても生き埋めになっているのなら救出しなければならないとカーリーに諭す。カーリーは兵士としてだけでなく人間としてやるべきことを学んだ。 ➡資料 Odyssey 長い帰り道 サンダース軍曹は意識が戻ると自分がドイツ軍の制服を着せられているのに気づく。フランス人レジスタンスがとっさに命を助けてくれたのだ。だが、そのままドイツ軍の後方に鉄道で送られることになってしまった。サンダース軍曹は急ブレーキの紐を引き、作家志望の新兵とともにドイツ軍の占領地から前線に戻らなければならなくなった。再びドイツ兵に発見され、仮病を疑う者もいたが周りのドイツ兵には信用して親しみを示す者もいた。乗せられたトラックが前線に到着すると、アメリカ軍の激しい攻撃を受けてドイツ兵たちは自分に親しみを示した兵士も含めて全員死亡した。➡資料 Ask me no questions 第9捕虜収容所 サンダース軍曹は捕虜となり、他の数名と共に収容所に入れられる。後方に送られるトラックに乗せられたが何とか脱出。だが、一人の米兵がスパイだったことが判明してその夜の米軍の作戦がバレてしまった。サンダース軍曹はわざと再び捕虜になり、収容所に戻って偽の情報をスパイに伝えようとする。それは何とか成功したようだが、予定の午前2時になっても味方の砲撃が始まらない。ようやく3時を過ぎて砲弾が飛び込み、軍曹たちは収容所を脱出する。 ➡資料 Run, Sheep, Run 一人だけ見ていた 新兵のXは自分が怯えて援護射撃をできなかったことで、先輩を死なせてしまう。でも同時にドイツ軍将校を捕虜にする。仲間たちにそのことは褒められたけれども、先輩が死んだ経緯については自分が卑怯だったと気に病んでいた矢先、英語の話せるその捕虜が自分が一部始終それを見ていたという。それをバラすと脅し逃げようとするが、再び起こった戦闘で将校は負傷し、Xは再び捕虜にできるが、瀕死の将校から出た言葉は「撃てなかったのが卑怯なのではなく、隠すことが卑怯なのだ」と言われて、みんなの前で真実を語る勇気を持つ。➡資料 士魏魔道 大龍巻(シコンマドウ・ダイタツマキ) 2023/04/18 大阪夏の陣(1615)が終わり、大阪城は火に包まれた。小里や菊里のような場内でのおつきの女たちも外に投げ出され、徳川の陣に殺されたり自ら切腹しなかった者たちは、新しい幕府の迫害におびえながら、周辺に散っていった。 武士として死にきれずに辻斬りのような生き方をする者、自分に商才があると気づき大阪に出て大儲けを考える者、戦乱に乗じて盗賊のようなことを試みる者、出家をしてこの世から自分を断ち切ろうとする者、など豊臣の時代から徳川の時代へと大返還の波の中にもまれた人々が交差する。 大阪城に隠されてあった大量の小判が関東へと運ばれると聞いてそれを奪う連中が新幕府の行列を襲うが、たちまち反乱軍はとらえられ鈴鹿峠の現場は大混乱に陥る。そこへ大竜巻が襲い、人々を吹き飛ばし家々はべしゃんこになった。竜巻が去った後にはたった3人しか生き残らなかった。➡資料 時は日本が経済成長に入り始めたころ。佐藤家の男4人女1人の兄弟姉妹は両親が相次いで死に、自分たちで生活を築いていかなければならない。だが、劣悪な労働環境、学歴社会、金がすべての考え方、偏見が彼らを取り巻いてそれぞれが辛い思いを抱え、それは家に帰っての壮烈な兄弟げんかになったり、優れたアドバイスを受けて成長を遂げたりする。 いずれはそれぞれは経済的に自立してバラバラになるものの、それまでの間に5人で体験したことが次第に彼らを大人にしていく。当時の社会の様子が描かれているが、会社の休み時間にみんなで合唱をする場面など、その活気にあふれたさまは「キューポラのある町」に似て、まるで現代の行き詰った高齢少子化した日本とはまるで別世界のようである。➡資料 弁護士ラファロはある日、農夫の訪問を受ける。彼の土地に買われている家畜が健康に異変を起こし、正体不明の病気になったり、死亡したりしているという。ラファロは現地に出かけ、周辺の調査をするうち、デュポンという化学工場の近くにあるこの農場が何らかの化学物質の影響にあるのではないかという疑いを持つ。 さらに詳細な調査でその疑いが正しいことが次第にはっきりしてきた。それは家庭にある焦げ付かないフライパンの表面に使われているフッ素樹脂を作るときの原料になっているもので、PEASと呼ばれる、世界で最も安定して分解しづらく、その毒性は次第に明らかになっているが、最も恐るべきことはそれが地中、水中、空中を問わずお構いなしに工場から廃棄されてきたことだった。 ラファロは自分の所属する弁護士事務所の上司に、さらなる証拠集めや調査をすることを提案するが、巨大企業であり周辺の雇用を支えていることから最初は反対される。家族も嫌がらせを受け、車のキーを回すときは仕掛けられているかもしれない爆弾の破裂を覚悟した。しかしラファロはひるまず、訴訟を通じてデュポンに戦いを挑む。 裁判は長期にわたり、多くの人々がその困難にめげてあきらめようとしたが、ラファロは大量の文書を読み解き、一つ一つ確認をして辛抱強く判決を待つ。絶望することなく、企業の圧力や人々の偏見も跳ね返して、ついに裁判での勝利をものにする。デュポンは慰謝料を払い、汚しまくった環境を清掃しなければならない。だが、ここで終わったわけではない。PEASは世界中で作られている。その物質はさらに数えきれないほどの種類に細分化されている。ラファロの仕事は終わることはない。➡資料 大監督三海は以前から胃が痛くて胃薬を飲んでいたが、最近の作品をきっかけに自らも検診を受ける。担当医師の緒方は告知しない主義だったので、妻以外に三海の胃がんを知る親族や友人はいなかった。大酒のみで、愛人を病室に連れてきて性交をするなど、妻は前から別れる気でいたほど子供のようで孤独にも耐えられない三海ではあった。 だが、次第に自分の不治の病に気づき始め、ある日ほかの患者が延命のために苦しい思いをしているのを目の当たりにして、ますます医者や看護師の前では手のつけられない存在になっていく。緒方はあくまでも病気を治すことだけを使命と考えており、手術を行い抗がん剤も無理やり飲ませて、たとえ余命がどのくらいあるのかわかっていても、とにかく治療に専念する。 だが、次第に痛みが耐え難いものになり、少しもよくならないのに相変わらず胃潰瘍などとうそを言われているものだから、三海はついに怒りが爆発し自殺まで試みる。三海は緒方に退院を要求し薬漬け、器具漬けをやめて人間らしく死にたいと要求する。緒方はついに折れ三海は退院することになる。その前に監督としての最後の仕事としてオーケストラや仏僧たちに般若心経を演奏させる。 365の番号で始まったこのストーリーは次第にその数字を減らしてゆき、三海はいよいよ最後の日になり、モルヒネで痛みを和らげてもらい、自分の死に方や生き方に満足し、zとは親しい友人となって、この世を静かに去る。➡資料 東京で肉屋を営む中年過ぎの「間貫一」はある日、外回りをしているときにレストランにふらりと立ち寄り、自分の店とは異なる雰囲気でビフテキを注文した。そこへ「速水亜子」という若い女が同席してもいいかと聞いてきた。なんとなく彼女の言葉に惹かれて、自分の車で木更津まで連れていく。なんと彼女はダイヤモンドを数粒持っており、怪しい男たちが追跡していたのだ。彼女はアフリカにある国の独立のための資金を瀕死のフランス人から頼まれダイヤモンドを手渡そうとしていたのだ。 気のいい貫一は断れなくて横浜まで連れて行き、泊まったホテルでは偽ダイヤの入ったバッグを持って悪者たちを追い払う。翌日京都へ行く亜子を静岡まで車で送ることにしたのだが急遽、亜子は富山に向かわなければならない。悪者たちはしつこく追跡してくるし、途中で体調を崩した登山者を助けてようやく信州まで来たものの、鉄道が使えず何とか車で山越えをして富山に向かう。車が動かなくなり、山小屋で殺人者に遭遇したり、そして寒さと疲労で亜子が歩けなくなったりしたが何とか富山にたどり着いた。 富山で二人は別れ、亜子は憧れのコートダジュールに行くのだろう。貫一は蒸発してしまったと心配する家族のところに舞い戻る。だが、誰も自分の冒険を信じるわけがないとずっと黙っていた。そこにサントロペにいる亜子からハガキが来て、自分も会いに行こうと航空会社にやってきたのだが、そこの社員に秘密にしていた話をぶちまけたとたんすっきりして、フランスに行く気は失せてしまった。➡資料 京都の祠に捨てられていたナヨ子は、自ら望んで芸者の仕事につき、旦那になった僧侶はその後メキメキ出世したために、彼女は男の運を上げるということで「あげまん」と言われるようになる。だが僧侶の死後、これといった男に恵まれず、大手の銀行の受付の仕事をしている。 その仕事をしているときに出会ったのが主水(もんど)だった。ナヨ子と一緒に暮らすようになるや支店長になり、優秀な成績で近いうちに取締役になる可能性も出てきた。そこに次期総理候補、その次の総理候補、そして政界の黒幕と知り合う。主水が元の妻とよりを戻したために、ナヨ子は黒幕のもとで暮らすようになるが、総理候補たちの金のかかる権力闘争に巻き込まれる。 主水が上司の政界との癒着で焦げ付いた10億の責任を取らされた。これを助けたのがナヨ子である。一計を案じた彼女のおかげで主水は横領罪に問われることがなくなり、二人は身軽になって第2の青春に挑戦することになる。 ➡資料 紀元前年ごろ、異国でとらえられたスパルタカスはローマに奴隷として連れてこられ、体格の良さから剣闘士の養成所に入れられる。一人前となればローマの民衆の前で剣闘士同士でどちらかが死ぬまで戦わなければならない。そしてある日、貴族のクラッサスが二人の女を連れて養成所を見学にやってきた。女たちはスパルタカスが気に入って目の前で戦うよう命令する。 だが、相手の方が強くてスパルタカスは刺殺される寸前となった。だが相手は殺さないで貴族たちに向かって行って即座に殺される。怒りに燃えたスパルタカスは剣闘士たちに反乱を呼びかけ、養成所から脱出して付近の奴隷たちが次々と合流した。剣闘士たちで構成される軍隊は最強で、解放された奴隷たちは兵士として訓練を受け反乱軍となりローマの脅威となる。 妻となったブリタニア出身のバリニアと共にスパルタカスは反乱軍を率い、イタリア南部にある港からそれぞれの故郷へ戻る船に乗ることを目指すが、ローマではクラッサスが独裁制を手に入れる好機とみて司令官を志願し、反乱軍を三方から攻めて全員を殺すか捕虜にする。クラッサスは何としてもスパルタカスをとらえたかったが、部下たちがいずれも自分こそスパルタカスだと名乗りを上げて協力しないため全員を磔(ハリツケ)にすることになった。 クラッサスの独裁制に反対する元老院議員が養成所の所長に頼み、バリニアとその子供を逃がしてくれた。バリニアは磔にされた大勢の反乱軍の並ぶ中で最初にいたスパルタカスのそばに行って自分と彼の子が無事であることを伝える。➡資料
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