映画の世界

コメント集(56)

H O M E > 体験編 > 映画の世界 > タイトルリスト > コメント集(56)

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  1. The Killing 現金に体を張れ
  2. マルタイの女
  3. Paths of Glory 突撃
  4. きけ、わだつみの声
  5. Barry Lyndon
  6. アキレスと亀
  7. The Shining
  8. 人間の條件 第1部:純愛篇
  9. Clockwork Orange 時計じかけのオレンジ
  10. 人間の條件 第2部:激怒篇
  11. 標 的
  12. Monsiur Hire 仕立て屋の恋
  13. Full Metal Jacket
  14. 人間の條件 第3部:望郷篇
  15. 人間の條件 第4部:戦雲篇
  16. 人間の條件 第5部死の脱出篇
  17. 人間の條件 第6部:曠野の彷徨篇
  18. 日本独立
  19. Weekend
  20. Passion
  21. lettre a Freddy Buache
  22. Orfeu negro 黒いオルフェ
  23. こんにちは、母さん
  24. ボルケーノ2023
  25. 月の満ち欠け
  26. コンビニエンスストーリー

The Killing 現金に体を張れ 2023/05/05

ジョニーは競馬場で血を流すことのない現金強盗を計画した。単独ではなく、警官、バーテンダー、馬券売り、などを山分けの仲間に入れて、さらにバーでケンカを始めさせたり、近くに部屋を借りたり、ライフル射撃のうまい人に馬を一頭撃たせたりする。これらの計画は分刻みで進められ、共犯たちとはリレー式にことを進めて警察が追跡することを困難にすることを狙っていた。

犯行の当日がやってきた。一番人気の馬が出場する時を狙って、ジョニーは機関銃で脅して現金を手に入れ、次々と手順を踏んで計画は成功すると思われた。だが、馬券売りがその妻に計画の一部をしゃべってしまっていたことから計画は狂い、共犯たちはみな命を失い、空港までたどり着いたジョニーの目の前で現金はプロペラ機の巻き起こす風で吹っ飛んでしまう。➡資料?O???????N

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マルタイの女 2023/05/08

磯野ビワコは根性の座った44歳になる大女優だが、そろそろピークを過ぎようとしていた。ある夜男性がピストルで撃たれて死ぬ現場を目撃する。男性は「真実の羊」という名の新興宗教を相手に戦っている弁護士だった。彼の妻も自宅で射殺されている。その事件からビワコは「真実の羊」から付け狙われることになる。

犯人がつかまり自供もしたが、ビワコが裁判で証言をするまで、芸能人大好きの近松刑事と父親譲りのまじめ一方の立花刑事の二人が”マルタイ”であるビワコの身辺保護をすることになる。トイレにまでついてくる警備であったが教団の脅迫は執拗に続き、愛犬を殺されたり愛車ごと突き落とされそうになる。

近松刑事も兵隊として参加した、ビワコ主演の演劇「シーザーとクレオパトラ」の最中、ビワコと妻子のある恋人とのスキャンダルがばらまかれ、精神的に追い詰められそうになるが、近松刑事の献身的な仕事ぶりに勇気づけられ、証言を決意する。➡資料?O???????N

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Paths of Glory 突撃 2023/05/09

第一次世界大戦が始まって1916年、フランスとドイツが敵対する前線は長大な塹壕が掘られ両軍とも一進一退を繰り返していた。フランス側のミロー大将は上層部から、ほとんど不可能な敵の”アリ塚”への攻撃を命じられ、それをすぐにダックス大佐に実行を命じる。大佐は不可能だと繰り返したが、一切聞き入れられなかった。

だが、それは成功するはずはなく多大な死傷者を出し、多くが退却したり、塹壕から出てこない兵士もいた。ミロー大将は大いに怒り、見せしめに軍法会議にかける。だが、被告は全員ではなくくじ引きで選ばれた3人であり、ダックス大佐の弁護にもかかわらず、全員銃殺の判決が出る。そして刑は執行された。

攻撃のあったその同じ日にミロー大将は腹立ちまぎれに味方の陣地に砲撃を命じたことがわかり、ダックス大佐は証拠や証人を集め彼を追い落とすことに成功する。大佐はただ大将を取り除くことしか考えていなかったのに、ほかの上司がそれを大佐の昇進の好機として協力を申し出るが大佐は上司に恨まれることは覚悟できっぱり拒否する。

外では兵士のための慰安会が開かれていた。捕虜になったドイツ人の娘が舞台に立たされ、ドイツの歌を歌う。初めはヤジを飛ばしていた彼らだったが、彼女の歌が進むにつれて静まり返って涙を流すものが出てきた。それを外で聞いていた大佐は、まもなく前線に向かわなければならないのだ。➡資料?O???????N

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きけ、わだつみの声 Last Friends 2023/05/10

「わだつみの声」という学徒兵の遺稿集をもとに作られた2本の映画のうち、1995年の作品。”わだつみ”とは海神のこと。鶴屋は明治大学生でラグビーにいそしんでいるが、あるとき試合後に3人の亡霊に出会い、そのまま昭和18年の世界に連れていかれる。当時は日本軍がどこでも劣勢に転じ、学生もどんどん徴集されていたが、マスコミや政府発表はまるで日本が勝ちまくっているかのように報告していた。

鶴屋は瀬戸内海の島で、両親に赤紙が来たことを知らされるが、断固として徴兵を拒否し、近くの無人島に脱走する。執拗に村人たちは彼の居所を追い、家族は“売国奴”だとして誹謗中傷が続く。村の火の見櫓に上った鶴屋は捕まえられ、広島で裁判にかけられることになったが、ちょうどそれは原爆が投下される日に近づいていた。

鶴屋のラグビーの選手は輸送船に乗せられ、爆撃を受けフィリピンのとある湾に上陸するが、もはや弾薬も食料も補給されない状況だった。赤十字のテントには従軍看護婦を志願した津坂がいて、二人は親しくなるが状況は悪化し“転身”と称して重傷者は残されて自爆し、歩ける者はジャングルの中をさまよう。原住民の村を焼き払い人肉を食べた者が出てくるほどの飢餓の中で、アメリカ軍の降伏を進める放送が鳴り渡る。だが、降伏ではなく自爆または最後まで戦うと覚悟したものばかりで、戦場には死体の山が築かれる。

もう一人のラグビー選手は国に貢献するにはパイロットが一番だと志願し、日々訓練に励む。ある日上官が”特攻”の任務を志願しないかと持ち掛ける。一人、二人と前に出て、最後にはほとんどの者たちが鹿児島県にある特攻基地に行くことになった。彼らは死の直前に故郷に帰って家族に別れを告げることを許される。アメリカ軍は沖縄に上陸し、海は軍艦で一杯になった。彼はもう一機に乗り込む仲間とともに離陸した。体当たりをするまでもなくその前に海の藻屑となってしまったのだが。

鶴屋はラグビー場の真ん中で大雨にあい、目を覚ます。チームメイトは帰り支度をしていたが、そこへ先ほど現れたかつての選手たちが鶴屋の前に集まってきた。津坂もスタンドで練習を眺めている。➡資料?O???????N

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Barry Lyndon 2023/05/15

バリーは18世紀アイルランドの農場に生まれた。従姉ノラに恋をしたが、家族は出世の可能性がある連隊長に彼女を嫁がせるつもりだった。恋人を奪われたと感じたバリーは彼に決闘を申し込み、相手に命中して殺してしまったと思った(実はそうではなかった・・・)ので、故郷から逃げ出し叔母のいるダブリンに向かう。

当時は「7年戦争」が始まろうとしている時で、イギリス軍兵士として雇ってもらったバリーはさっそく頭角を現し、少し出世して大陸に戦争に出かける。だが貴族の出ではないから出世が遅れ、うまくチャンスをつかんでプロイセン軍にもぐりこむ。上官を救ったことからベルリンの警察署長にとりたてられスパイとなり、同じアイルランド出身の博打打ちの男の召使となる。

二人はプロイセンを逃げ出し、国境の外に出て各地の宮廷で大々的にインチキ賭博を通じて金儲けを始める。金がたまったので、次に考えることは貴族の女と結婚することだった。計画は成功し、イングランドでリンドン家の巨万の富を持つ妻との暮らしが始まる。だが、彼女の連れ子との間がうまくいかなかった。貴族の称号をもらう運動に失敗した後、連れ子は家出した。

そして最大の不幸が訪れた。妻との間にできた息子が落馬して命を落としたのである。それまでの贅沢三昧の生活のためにのしかかる債務、そして戻ってきた連れ子に決闘を申し込まれ足を撃たれたバリーは足を切断することになり、妻とも別れ、落ちるところまで落ちてしまった。最後は母親とともにアイルランドに戻ることになる。➡資料?O???????N

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アキレスと亀 2023/05/17

少年真知寿(まちす)は絵が大好きで、授業中も家でも外に出たときも絶えず絵を描いていた。それも父親の事業がうまくいっていたからである。会社が倒産し父親とその愛人、そして後妻が首をくくると真知寿は、遠い親戚にも嫌がられ、天涯孤独で施設に送られてしまった。

青年になった真知寿は新聞配達をしながら絵を描いていたが、画商のアドバイスを受け、美術学校に行くために昼間は働き始める。職場では自分のアートの理解者、幸子を妻に持ったが、美術学校でのアートの探求は不毛に終わり、娘も生まれて貧困の中でインパクトのある作品を求めてさまざまな実験を試みる。

中年になった真知寿は絵具を買うお金も娘にせびるほどであった。商店街のシャッターに落書きをするなど、作品への意欲は過剰なほどだったが、少しも売れない。ついに幸子が出てゆき、さらに悪いことには娘が急死する。行き詰った真知寿は畑の小屋に火をつけて自殺を図るが、未遂に終わり体中包帯だらけになる。畑に落ちていた空き缶を20万円で蚤の市で売ろうとしていたところに、幸子が通りかかり、ようやくアキレスはカメに追いついたのだった。➡資料?O???????N

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The Shining 2023/05/19

shining とはお互いに言葉を使わずとも意思疎通ができることを言う。トランス家の3人、元教師で作家志望のジャック、妻のウェンディ、一人息子のダニーはコロラド州の山奥にある、由緒ある見晴らしのいいホテルの冬季管理人として5か月を過ごすことになった。その前にホテルの支配人から、かつてある年の管理人が頭が狂って自分の妻と二人の娘をずたずたに惨殺した事件があったことを告げられる。

ダニーには shining の超能力があった。彼の目には、ホテルの廊下にあの幼い二人の娘の姿が見えるのだ。ホテルのコックがそのことに気づき、237号室には決して入らないようにと注意した。秋になり、ホテルの客も従業員も引き払い、3人だけの生活が始まる。ジャックはこのホテルがいつかどこかで見たような気がする。つまりデジャ・ヴュ déja vu(既視感)を感じていた。静かな環境で原稿をタイプで打っていても、わけのわからない苛立ちを感じるようになった。

ダニーはつい好奇心に駆られて237号室に入ってしまう。そして何者かに首を絞められる。夫がやったと思い込んだウェンディはダニーとともに部屋に閉じこもる。その間にジャックは327号室で浴室にいた全裸のおそらく二人の娘の母親と思われる女に出会い、大勢の人々がくつろぐ大宴会室で“昔なじみの“バーテンダーからカクテルを作ってもらったり、かつて家族を惨殺した男にダニーを“始末“するよう、そそのかされる。ジャックは死霊に取りつかれたのか?

大雪のためホテルとの電話が途絶して、不吉なshining を感じたコックが、はるばる雪上車を運転してホテルにやってくる。だが、外部の者の邪魔を許さないジャックによって斧で撃ち殺される。ダニーもホテルの庭にある迷路の中を逃げ回り、何とかジャックをまき、ウェンディとともに雪上車でホテルから脱出する。ジャックは迷路の中で凍死した。そしてこのホテルの1917年の昔に撮影された記念写真によって、謎は深まるばかりである。➡資料?O???????N

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人間の條件

この映画は全部で6部作であり、連続して合計すると9時間半に及ぶ。「人間の条件」とは何だろうか?主人公の梶が普通の会社員から、兵隊に、そして戦闘を経て捕虜になり、脱出するまでの過程を経て、戦争が人間を非人間化する状況の中である。敵を殺す、民間人を略奪する、部下や仲間に暴行を働く、相手かまわず虐殺を行う、そして一方では愛し、助ける、どこまでも生き続けるという行為の中で、「けだものではない、人間のレベルに至るにはどんなことが必要なのかを考えさせる物語である。

第1部:純愛篇 2023/05/21

満州の製鉄会社に勤める梶(かじ)はまっすぐな考え方から、いつも周囲と衝突を起こしていた。満州の奥地にある鉄鉱石の採掘場の労務監督として新妻、美千子を伴って就任する。中国人の工人をこき使う労働環境の中で、同僚や部下の妨害にも負けず梶は少しでも働きやすくするため努力するが、軍部が捕まえた捕虜も労働力としてあらたに送り込まれ、その管理の責任も負わなければならない。

捕虜が監視人に殴られて死んだり、娼婦を30人呼んで600人の捕虜の相手をさせたり、電流の流れているフェンスから捕虜が脱走したり、会社の上司や軍部ににらまれたりしながらも、梶は美千子の協力を得ながら、何とか人間らしい労働環境を作ろうとする。そして日本の戦争が終わりに近いという噂の流れる中、何とかそれまで持ちこたえようと奮闘する。➡資料?O???????N

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人間の條件第2部:激怒篇 2023/05/26

梶がいくら工人に対して人間的な扱いをしようとしても周りは許さない。同僚の一人はわざと工人たちの脱走を仕組んでみた。梶の助手である中国人の陳はその秘密計画の板挟みになり、梶に真相を告げることができないまま自分も高圧線に身を投げて死んでしまう。

そこへ再び軍部が現れた。彼らは工人の中から無作為に7人を選び、脱走の見せしめとして殺すことを計画する。梶は抵抗し、彼自身も軍に殺されるところだったが、王をリーダーとする工人たちの強い抵抗の意思で免れたけれども、結局3人の首が飛んだ。

梶は軍部に逆らったということで拷問を受けるが、突然釈放される。それは彼自身に臨時召集令状が来たからだ。労務監督の仕事も取り上げられ、会社の上司にも見捨てられ、「日本人は鬼だ!」という叫び声を聞きながら、この土地を妻とともに離れる準備をする。、➡資料?O???????N

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人間の條件第3部:望郷篇 2023/06/21

梶が招集されて初年兵として勤務することになったのはソ連との国境近くの部隊だった。軍部からにらまれての配属だったが、射撃に優れ人一倍体力もあり、その一方で言いたいことを言うので幹部に一目置かれるようになっていた。

そこへ妻がはるばる会いに来た。しかしつかの間の夜を過ごした後、二人は再び未来の見えない世界に戻らなければならない。新庄といういう男は国境の向こう側に人間を人間として扱ってくれる世界があると信じていた。梶とは話があったが、梶自身には本当にそんな世界があるのか、それともこのまま日本の側にいた方がいいのか決心がつかなかった。

小原という男は何をやってもダメで、部隊の中でいじめられていた。梶が極力彼を助けようとするが、行軍のあいだに落伍し、生田という男の壮絶ないじめにあって小原は銃を口にくわえて自殺してしまう。その非人間的な軍隊生活も限界に来た頃、派遣された国境付近で新庄が脱走して姿を消す。上官の命令であとを追いかけた梶と生田は底なし沼に落ちてしまう。

ふと目が覚めると美しい看護婦の見守る中、梶は陸軍病院に寝ていた。生田は死に、梶は何とか命を取りとめ、しかも病院でしばらくの間雑役をさせられることになった。また患者の中に自分と考え方が似た男がいて親しくなったが、回復して軍隊に復帰していった。看護婦への思慕もあったが、彼女は転院となり、梶は一人病院に残された。➡資料?O???????N

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人間の條件第4部:戦雲篇 2023/06/30

梶はまだ二年兵なのに、初年兵の訓練を担当させられる。当然のことながら3,4年兵のやっかみを受け、ことあるごとに殴られたりする。しかも梶が初年兵を殴ったりせず、対等に扱い彼らから尊敬を勝ち取ったことも大きな原因だった。それを見かねたかつて同期で今では梶の上官にあたる大尉は何とかならないかと策をめぐらす。

ヨーロッパではドイツが降伏したというニュースが伝わってきた。戦争は終わりに近い。だが彼らがいる場所は満州の北のソ連と接する国境地帯だった。大尉は周りの兵士からのいじめを防止することもあって、梶と初年兵の一部を白兵戦に備えて構造物を作る場所へ作業員として派遣する。

だが、ソ連軍は攻撃を強化し、日本軍はいたるところで全滅した。梶たちも地平線のかなたにこちらにやってくる戦車の隊列を見た。こちらは戦車どころか兵士の弾薬さえ不足している。それぞれ自分のためにタコつぼを掘り、徹底抗戦の構えだったが、目の前でどんどん兵士が死んでいく。梶は自分がどんなことがあっても生き抜くことを決意した。そしてタコつぼを飛び出し原野に駆けていく。資料?O???????N

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人間の條件第5部 死の脱出篇 2023/07/03

梶はソ連の戦車隊の下敷きになったが、奇跡的にタコつぼの中にいてけがをせずに済んだ。戦友や部下のほとんどは死に、わずか3人ほどで、国境から南へと移動を開始する。日本軍は降伏したらしいのだが、連絡網が途絶えたためにはっきりしたことはわからない。 敗残兵として飢えとの戦いが続く。

食料が尽きそうになった時、日本の民間人たちと一緒になる。だが、すでに彼らも性根尽き果てており、次々と絶命していく。そしてそのころには、中国農民の中で銃を持って統率するグループがあることが分かった。それは共産党軍らしい。梶たちは一般の中国人の農家を略奪し、共産党軍に攻撃されることも加わって再び日本兵のグループだけになってしまう。

やがて、ほかの隊からやってきた敗残兵たちとも合流し、食料だけは少しずつ手に入るようになってきた。梶とそれまで行動を共にしてきた3人の兵隊が付き添うと称して、日本人の女を手籠めにしたらしいと知った時、梶は激怒しその3人に制裁を加えることを考えるところで、第5部は終わる。

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人間の條件第6部 曠野の彷徨篇 2023/07/05

梶は自分が戦車の攻撃から救った寺田らを伴って、さらに南へと向かう。敗残兵はあちこちにいて、再びソ連軍を攻撃すると豪語するものや、さっさと降伏をすると宣言する者もいた。梶自身はどの道をとるべきかまだ迷っていた。 ソ連は皆を幸せにしてくれる理想郷なのか、それともほかの国と同じく権力者たちの天国なのか?

ある日本人の集落にたどり着く。そこには男たちは殺され、女だけが暮らしていた。兵士たちはそこで一晩だけの休息をとり、女とともにそこに残って暮らすことを望む者もいたが、梶は前進することを選んだ。ところがそこへソ連軍の”討伐隊”が現れ、戦闘が起これば皆殺しになると判断した梶は、降伏することを決意する。

捕虜収容所での暮らしが始まった。日本軍から寝返った通訳もおれば、日本人将校だったということで甘い汁を吸ったりほかの日本人捕虜に暴行を加える輩もいた。ここでも梶は反抗し、森林鉄道での重労働を言い渡されるが、生き延びた。だが、収容所に帰ってみるとあの寺田はいじめにあって絶命していた。

寺田の死因があの将校だったことを知った梶はその男を殺し、同時に脱走して冬の迫る原野を南へ目指し、時には中国人の村で乞食をし、氷を割って水を飲み、命をつなぎながら妻と再会する日を唯一の希望にして吹雪の中を前進していく。 ➡資料?O???????N

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Clockwork Orange 時計じかけのオレンジ 2006/01/30 (再) 2023/05/25

高校生のアレックスは残忍な性格で3人の子分を引き連れ、浮浪者を殴り倒したり、作家の家に押し入ってその妻を強姦したり、健康インストラクターを殺してしまい、14年の刑を言い渡されて刑務所暮らしとなる。牧師と仲良くなり模範囚になろうと努めていたがある日、性格を改善する効果のある治療を志願すれば2週間で自由の身になれるという噂を聞く。

たまたま刑務所を訪れた内務大臣に抜擢され、治療の実験台にされる。薬を注射され、暴力シーンが限りなく繰り返される映画を瞼を閉じることなく見せられるのだが、次第に暴力を見たり暴力をふるいたくなるたびに激しい吐き気を感じるようになり、実験は成功だとされ釈放される。

だが、家に帰っても自分の居所はないし、かつて暴力を加えた浮浪者には殴り返されるし、かつての子分が警官となって森の中に連れ込まれ、昔の蛮行の復讐を受ける。満身創痍で転がり込んだのが、かつての作家の家だった。作家は自分の妻が死んだのはアレックスのせいだと考えていたが、同時に野党の一員であり、政治的に利用して現在の与党を倒してやろうと計画を立てる。

アレックスが目が覚めてみると、ベートーヴェンの第九交響曲が聞こえてきた。この音楽にも吐き気が生じるように条件づけられていたのだ。耐え切れず窓から飛び降りて自殺を図るが九死に一生を得た。野党の目論見は成功し、こんな非人道的な実験を試みた与党はたたかれて人気がガタ落ちとなる。そこへやってきたのがあの内務大臣だった。与党の党勢回復のためにアレックスにはできる限りのことをすると約束してくれる。そしてあの実験の効果はいつの間にか消え失せたみたいなのだ。➡資料?O???????N

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標 的 2023/05/27 仙台市エルパークにて

もと朝日新聞記者だった植村隆氏は、韓国で一人の女性が自分が“慰安婦”であったことを名乗り出たために、彼女を取材しそれを記事にした。そこにはかつての植民地であった朝鮮半島で日本軍が支配したころに強制的に地元の若い女を連行し、兵隊たちの慰み者になったというおぞましい歴史が描かれていた。

記事が発表されると、たちまちその記事が捏造であるとか、反日であるとか、日本各地から非難が殺到した。折も折、その頃は安倍晋三がその権力の最盛期にあったころだった。彼が歴史を修正し、自分たちの都合のいいように書き換えようとすると、それに元気づけられた隠れ右翼たちが声を上げ始めたのだ。そして植村氏はその格好の標的にされた。

幸い安倍晋三は暗殺されたために、右翼のネットワークは昔ほどではないが、櫻井よしこ、西岡力のような論客はこれからも出てくるだろう。再びまた誰かが標的にされるかもしれない。現代が“新しい戦前”と呼ばれることのないように、民主主義を破壊しようとするすべての動きに対して絶えず警戒をしていなければならないことがわかる。資料?O???????N

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Monsiur Hire 仕立て屋の恋 2023/05/29

髪結いの亭主」のルコント監督作品。パリで若い女が殺され、刑事が犯人を探している。被害者の身につけたものが見つかれば、事件の糸口になるのだが、まだ解決には届かない。

仕立て屋のイール氏は社交家ではなく、近所の人からも変わり者と思われていたが、たまたま自分の部屋から丸見えの部屋に若い女性アリスが引っ越してきて、彼はすっかりこの娘に恋をしてしまった。朝も昼も夜も彼女の生活を見続けて、ある日彼女がその視線に気づく。

アリスの恋人エミールが実は犯人だったのだが、アリスはこの時イールを犯人に仕立てようと思いつく。イールはアリスの”優しい”しぐさにますます恋にのめりこんでいく。そして二人でスイスのローザンヌに逃げようと提案する。だが、駅にアリスは現れず、それどころかイールに濡れ衣を着せる計画を立てていた。それを知ったイールだが、彼女を恨むこともない。そして・・・➡資料?O???????N

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Full Metal Jacket 2023/06/20

アメリカのベトナムでの戦争は行き詰っていた。それでも海兵隊に志願する者たちはあとを絶たず、デブとジョーカーも同期として猛訓練を受けることになった。しかしデブはほかの人より動きが鈍く共感に𠮟られてばかりいるだけでなく、自分の失態は仲間たちが罰を受けるということになってしまった。ジョーカーはデブの班長に任命されたが、依然としてデブの失態は続いた。

それでもようやく彼らの訓練は終わり、卒業してベトナムへと送られることになった。最後の日、デブの様子がおかしい。自分の銃に実弾を込めてトイレに座っている。ジョーカーが以上を察して教官がやってくると、デブは教官を撃ち殺し、そのあと自分の口で銃口を加えて引き金を引いた。

ジョーカーは報道の仕事を与えられ、ベトナムで実戦の経験のできる日を待っていた。そしてその日はやってきた。テト攻勢が始まり、ジョーカーが属する小隊はがれきの中を進んでいったが、狙撃兵によって隊長が殺される。そしてその後を継いで式に入った男も殺される。建物の中に狙撃兵がいたのだ。ジョーカーをはじめ残された兵隊たちは協力して狙撃兵を探し、ついに彼とカメラマンによって発見して撃った。

その狙撃兵は女で、まだ生きていた。彼女は英語で Shoot Me! と叫び、ジョーカーが始末をつけることになった。何度かのためらいのあと、仲間たちにも促されて彼女を射殺する。こうしてジョーカーも殺戮の中に巻き込まれることになった。ローリングストーンズの「黒く塗れ」が最後に流される。➡資料?O???????N ➡Stanley Kubrick の作品

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日本独立 2023/07/28

1945年8月15日戦争が終わって、日本は無条件降伏をした。”無条件”とは完全に相手の言いなりになることである。マッカーサー率いる占領軍は日本をどのように扱ってもいいことになった。実際、マッカーサーに当時の日本国民から来た手紙の中に「日本を是非ともアメリカの属国にしてください」と書いてある手紙に、彼が大笑いをしているシーンがある。

マッカーサーは退任後のアメリカ議会での証言で、アメリカやドイツの国民は大人だが、日本人はまだ12歳ぐらいの少年のように未熟だと発言するくだりがある。日本国民にとって民主主義の国家を作ることについて一度も考えたことのない人々が大勢いたままで終戦を迎えてしまったのだ。そして天皇をどう扱うという問題がGHQを悩ませた。即死刑にすべきであったのだが、国民感情があり、ソ連との冷戦がはじまっていた。

敗戦後最初の幣原内閣の外務大臣である吉田茂とその側近、白洲次郎はGHQとの間を取り持って、新憲法の草案作りに奔走する。だが、日本側の示した憲法草案は戦前の憲法と大差なかったために、GHQから拒否され、GHQ主導での憲法が作られていく。敗戦国の悲哀と、憲法を思うままに作り替えられたことに対する怒りが巻き起こるが、吉田茂はとりあえずGHQの案について譲っておいて、後で進駐軍が日本を離れたときにまた変えればよいという考えであった。

天皇は象徴ということで日本の国の元首ということになった。これで国がバラバラにならずに済んだという人もいる。アメリカ側の作成委員の一人、22歳のベアテ・シロタが主に人権に関する部分を担当し、日本の憲法はひと飛びに世界でも最も人権条項について進んだ内容を持つことになった。

そして戦争放棄については、日本が再軍備することを警戒するアメリカ側の意向が強く打ち出され、日本側からの反対意見がでても、少なくともマッカーサーの統治する間はアメリカが日本の安全保障を受け持つという密約、または暗黙の了解のもとに第九条として実現することとなった。➡資料?O???????N

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Weekend 2023/08/16

週末に若い夫婦が妻の実家に向かう。妻の父親が死んで遺産が転がり込むのを期待してだ。だが週末で道路は交通事故などで大混雑。路上に多くの死者が横たわっている。自分たちの車も奪われ、ゴミ収集車に拾われたりしてやっと実家にたどり着く。

だが、妻の母親が遺産を譲ってくれないので、殺してしまい自分たちに大金が転がり込みそうになった矢先、食人種の流れを汲むグループにつかまってしまい、挙句の果て夫の方は殺され、そのグループも内輪もめで打ち合いになる。妻は何とか生き延びて人肉をうまそうにほおばるのだった。➡資料?O???????N

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Passion 2023/08/17

ポーランドからフランスへやってきた若い監督が、有名な絵画の人物を俳優に置き換える「Passion」という作品の撮影を始める。古代の人物をたくさん映し出す予定だったが、光の加減が不満で何回も撮影をやらせた挙句、中止させようとする。それもあってその作品を上映する映画会社は皆断ってきた。

映画製作の金を出す社長も社長夫人も、出演する俳優たちとのトラブルに巻き込まれて右往左往する。そして完成の見込みが立たないまま俳優たちは解雇され、監督はポーランドに戻ることになる。それでも彼を慕って一緒に行きたいという女たちもいるのだった。➡資料?O???????N

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Lettre a Freddy Buache フレディ・ビュアシュへの手紙 2023/08/18

フランスの都市、ローザンヌについての映画を撮影する際のさまざまな問題点を友人のフレディに短編映画の形で送ったもの。➡資料?O???????N

Orfeu negro 黒いオルフェ 2023/08/29

リオデジャネイロのカーニバルが近づいた。市電の運転士であり、歌の得意なオルフェは新曲を披露し、地域のリーダーとして明日からの祭りの準備に余念がない。そして婚約者のミラと役所に手続きに行ったばかりだ。そこへ隣人のセラフィナのいとこにあたるユールディスが田舎からやってくる。まるであのギリシャ神話の恋人同士のようにすぐに二人は熱烈に愛するようになってしまう。

だが、ユールディスは彼女を殺そうと狙っている謎の男に追われていたのだ。一度はオルフェによって撃退されたが、カーニバルが最高潮に達したとき、ユールディスはその男につかまってしまい、市電の車庫で追い回された挙句、高圧線に触れて即死する。突然彼女に死なれ、オルフェは遺体安置所から彼女を引き取ってくるが、リオの街を一望にする高台でミラに石を投げられて悲劇的な最期を遂げる。➡資料?O???????N

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こんにちは、母さん 2023/10/05 イオンタウン下田(青森県)にて

息子は大会社に入って人事課の部長にまでなるが、娘の反抗、妻の別居、そして友人をリストラするという、中年期の悩みを一杯抱えている。息子にとってオアシスになるのは、相撲取り(明生が出演)も訪れる下町に住む、亡き夫の足袋屋を受け継ぐ母親の家だった。母親はホームレス救援活動にも参加し、自宅をメンバーに開放し、また一方で世話人になっている教会の神父さんにひそかな好意を持っている。

息子の娘もこの母親のもとに飛び込んできた。そしてホームレスの人々を手伝ううち、次第にいろいろなことを学び成長していく。息子はリストラされた友人と大喧嘩をするが、大企業での生活に疲れ、退職する決心をする。神父さんは郷里の教会に呼び戻されることになり、母親はあえなく失恋してしまうが、母も息子もハッピーエンドが来なくても、新しい生き方を求めて生きていく。➡資料?O???????N

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ボルケーノ2023  2023/11/07 フェリー船上で

長年環境運動の闘士として活躍してきた女性が息子と娘を引き連れて旧友の火山学者が住むハワイにやってくる。 彼女はそこで優れた地震予知装置を見て、しかも世界的な大地震と大噴火が迫っているということを知る。

彼女の仇敵であったある会社の元CEOもそのシステムに加わっていたので、彼女は初めは反発するが、彼のもたらした知識により幾多の危険を乗り越えて、世界規模の大噴火を防止することに成功する。 しかし、マグマの通り道にエチレングリコールを投入するだけで収まってしまうという。 ちょっとチャチな出来であった。

この映画にはカリフォルニアでの大地震のことを描いた映画もあるようだが、ともにもう少し緻密な作りがあっても良かったと思うが、ハリウッドの娯楽的な力ではこの程度であろう。

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月の満ち欠け 2023/11/07 フェリー船上で

この映画は「前世」をテーマにしたものであるが、その前世の記憶を持った人がたまたま主人公の周りに現れて、そして恋をしたり、離婚をしたり、様々なドラマを繰り広げている。 しかし、前世があろうとなかろうと、そのような人間ドラマは常に起こるのだから、さほどそれによってそのドラマが大きく、他と異なったというわけではない。

主人公の身の周りの人々、自分の妻や娘そして、恋人の相手がみんな凄惨な事故死をしてしまう。 これはわざわざ前世から引き継がれた人間を作り出すために使った手段にすぎないのではないか。 まあ、いずれにせよ、この映画は前世のようなことを信じたがる、最近の”迷信深い”若者たちにはぴったりの映画のようだ。

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コンビニエンスストーリー 2023/11/13 フェリー船上で

あんまり売れそうもない。 脚本家がパートナーのオーディションの留守をしている。 その間に愛犬を連れて山奥に行く。 実はもう愛犬の世話がめんどくさくなってそこに置いていこうとしたのだ。 だが、後ろめたい気持ちになって再び愛犬を連れに戻るとその姿は見えず、乗ってきたトラックでやってきた荒れ地には古ぼけたコンビニエンスストアがあった。

そのコンビニエンスストアはかつて、そこの店員が何者かに皆殺しをにされたという。 女店員が一人いて、その女はその脚本家に好意を抱くが、夫やコンビニエンスのストアの単調な仕事から逃れたいと一緒に連れて行ってくれと頼み込む。 2人はある温泉に行く。 そこの温泉には何か亡霊が大勢いるようだった。 そこで脚本家はかつての皆殺し事件の真相を知り、彼女がその唯一の生き残りだということを知る。

しかし、彼女が一緒についてくるにしても”振り返らないで”という言葉が発せられると、これは「ギリシャ神話」や「古事記」にあるように、彼女は黄泉の世界の人間であるということが示されるようだ。 脚本家は1人で元の世界に戻るが、あるコンビニで買い物をすると、そこにあの女が店員として働いていた。 そしてその瞬間、どこかの乗用車がコンビニエンスストアに突っ込んで、彼は即死してしまう。

彼女のパートナーはその後、花をその事故現場に捧げるが、その事故現場に捧げた花と瓶はなんと、犬を探して出かけようとした時に脚本家が訪れたコンビニエンスストアにもあったのと同じものだった。どうやら彼は死人である彼女に恋され、黄泉の国に引きずり込まれたらしい。

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro

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