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トマト

トマトソースを作る

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夏の暑い日、トマトはその最盛期を迎える。真っ赤に実らせたその実は、もぎ取られ、輸送され八百屋の店頭に並ぶ頃にはその光沢を失い、生気のない固まりとなる。だが、畑で取ったばかりの実はみずみずしくすぐさまそれを調理すれば見事な味と色彩を放つ。

トマト畑から収穫したばかりのトマト、それもイタリア形の小さな瓜型をしたトマトは、少々皮が固く生食にはあまり向かないが、スパゲッテイに欠かせないソースを作るには絶好の材料だ。

最近の果物はやたら甘い。だが、ジャムもソースも作るなら酸っぱい物が一番。果物は酸っぱさが身上なのだ。農家は消費者におもねってどんどん甘い品種を取り入れているらしいが、甘いものを食いたければ菓子を食べるべきだ。

中ぐらいの鍋に半分ぐらいはいる量のトマトを入れたら家に持ち帰り、なるべくはやく調理に取りかかる。鍋の底に少しオリーブ油をたらし、ニンニクをひとかけらみじん切り(または叩きつぶし)にしたら少しキツネ色になるぐらいまで炒める。

トマトは、皮が固いから、尻の部分に十字切開を施して皮がむけやすくするか、熱湯に少しつけて冷水につけるなどしておく。このあと、十分に鍋を熱したあと、少しずつトマトを放り込んでいく。熱が加われば実が柔らかくなるから、次々とへらでつぶしていく。あと必要なのは香草である。今回はバジリコを選んだ。

トマトをすべてつぶし終わったらできるだけ固まりが残らないように注意しながらかき回す。次に目の細かいザルの上に鍋の中身をあける。トマトの皮、種、バジリコの茎や筋などがここできれいに取り除かれる。スプーンやへらを使ってしごき徹底的に汁を搾りだしてしまう。いよいよこれでトマトソースの出来上がり。いよいよこれでトマトソースの材料はみなそろった。

あとは塩こしょうで適当に味を付ける。そして焦がさないようにゆっくり煮詰めてゆく。台所に香草とトマトの香りが広がる。特別なテクニックを必要とせずただ新鮮なトマトさえあればこの料理は成功する。あとはゆでたてのスパゲッティと振りかけるチーズさえあれば出来上がり。

あとで気づいたことだが、カレーライスの時のように、ソースはとろみがあった方がよい。煮詰め方が不十分でさらさらの液体だと、スパゲッティの間を通り抜けて下に沈んでしまう。小麦粉を冷水に溶いてソースに入れ、少し煮ればどろりとしてくる。

今ではスーパーに行けば、缶詰かレトルト食品としてトマトソース(トマトピューレ)が簡単に手にはいる。だがこんな自然の恵みがあるのにどうしてわざわざそんなものを買うのか?それほど面倒くさいものなのか?これよりもっと価値のある事でもしているとでも言うのか?

シンプルな素材を使ったシンプルな料理。金儲けしか考えない大企業の勧める怠惰な消費者生活などやめて自分だけのライフスタイルを作ろうではないか。

2004年8月13日

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro
 
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