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ひじきの油炒め

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ワカメ、コンブなどと違ってひじきは一見地味な海藻に見える。だが、多くのところで紹介されているとおり、ミネラルの供給源としては最高のもののひとつだ。スーパーで、私はしばしば人の買い物カゴを覗き見する。いかに貧弱な食生活を贈っている人が多いかを確認するためだ。先日も惣菜売り場からひじきの油いための入ったパックをカゴに放り込む人を見た。

現代ではこんな簡単で日持ちのする惣菜でさえスーパーで買うのである。彼らの生活の貧しさにあきれ返るしかない(そのくせ大画面の薄型テレビが置いてあったりする!)。

前置きはともかくとして、今回は乾物ではなく、「生」のひじきが手に入った。これは冬ならではである。「伊勢産」とある。水に戻す手間は省けるから、これに同量のにんじん、油揚げを用意した。にんじんはひじきと同じ大きさに細かく切ればよい。油揚げはいっぱい入っている安物(油の質が悪い)ではなく、一番高価なものを選ぶ。そのほうが油揚げのよい香りが楽しめる。

いためる前に、出し汁を用意しなければならない。しょうゆ、みりん、酒、砂糖の4種を混ぜ合わせて全部で50ccになるぐらいにする。味が濃ければ水で薄めるが、それはできるだけしないほうがいい。水っぽくなるから。混ぜ合わせは軽量カップの中でやれば簡単だ。気をつけなければいけないのは、温度が低いと、砂糖が全部溶けずあとでできあがったものの中に不均質にばら撒かれることがあるので、溶かす作業は徹底して行うこと。

フライパンにごま油を引く。サラダ油はだめ。ごまの香りこそ、ひじきとぴったり合うのだから。私は和食はすべてごま油、洋食はすべてオリーブ油と決めている。サラダ油は使わない。これはトーモロコシから作った安物だ。3種の材料は、ほとんど煮える時間が同じだから同時に放り込んでよい。よくかき回しながら約5分ぐらいいためる。このときにんじんの切り方が大きいと、中まで煮えないものが混じって悲劇となる。5分もたてば、水気が減って「ジリジリ」といい出す。そうなったら先ほどの出し汁を上から勢いよくかけてやる。

まんべんなくかき混ぜ、全体によく行き渡り、水気もだいぶ減ったら、火をとめてできあがり。冷蔵庫に入れれば1週間は持つので、毎食少しずつ食べるのがよい。いくら体によいといってもひじきを毎日どんぶりいっぱい食べてもしょうがないのだ。そんなに消化がいいわけではないし、海藻はいろいろあまり感心しないもの(たとえば砒素)も海中で微量吸い込んでいるので、少量、多数回で食べるのが好ましい。

2007年1月初稿

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro

 
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