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コンポスト

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料理をすれば必ず残りかすが出る。大根のしっぽ、お茶がら、みかんの皮、などが生ごみとして出てしまう。これらは水分を含んでいるためにかさばり、重い。その点では排泄物と同じことで、もし大便が水分を完全に抜き取ることに成功したら、あとには無菌のサラサラした粉が残るだけなのだ。

生ごみを普通のごみを混ぜて出すから、ますますゴミ収集車の仕事は増える。空き缶やペットボトルの分別収集も大切だが、最も始末に困り資源の浪費をしている生ごみの最も効率的な処理方法はないのか?もちろんそれはある。コンポストだ。

コンポストコンポストとはふたがついているが、底のないバケツのようなもの。これを地面に差し込んで、上からどんどん水分を好く取り除いた生ごみを放り込み、時々かき混ぜて空気を通してやり、油粕や発酵促進剤をくわえてやればいつの間にか理想的な園芸肥料が出来上がる。実にさまざまな工夫を凝らした製品が市販されている。

冬の気温の低い時期にはなかなか腐敗が進まないが、春になって気温が上がればどんどん分解が進んで中身が減っていく。だからいくら放り込んでも少しも満杯にならない魔法のボックスだ。下の部分が真っ黒になり、さらさらした気持ちのいい粉に近くなったら、コンポストを傾けて下のほうの中身を取り出す。しばらく風に当てて乾燥させて雑菌を殺せばすぐに土に混ぜて肥料にしてよい。

一戸建てで庭があるならこのように、適当な地面にコンポストを2個置いて交互に使えば4人家族が排出する生ごみぐらいならどんどん処理できる。問題は都市生活者だ。近所に異臭が漂うのが心配なために、マンションのベランダにコンポストを置く人はほとんどいないが、それは置くべき適当な”地面”がないからなのだ。

この場合にはコンポストの底面積よりも広い浅い、バケツか洗面器を用意して土を満たし、おがくずなどを混ぜ、その上にコンポストをのせればよい。きちんとふたをして、ひんぱんにかき混ぜれば異臭はほとんどしないし、肥料の生成も決して悪くない。植木鉢の栄養補給にはうってつけなのだ。

そしてなんといっても週1回または2回の「生ごみ収集の日」におけるごみの量があまりに減っているのに驚くことだろう。結局のところ生ごみがなければ、紙くず類と包装に使われていたビニールの切れ端だけになるのだから、実に軽い。ごみの処理場では生ごみの水分を蒸発させるためだけでも膨大な量の重油を燃やしていることを忘れないでほしい。

生ごみの自然界への循環さえ成功させることができれば、家庭生活における環境汚染の大部分は解決の方向に向かうのだ。これは普段自分の家で料理を行う人々にとっては大変重要な問題ではないだろうか。

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残念ながら、都市部の密集地域では、においに敏感な人々が住んでおり、わずかな腐敗臭でも近隣騒動の原因になることがある。そのときには仕方がない、上記のような”バイオ方式”は当分あきらめて、強制的に乾燥させる方式に頼るしかあるまい。電熱を使い、それ自体がエネルギー消費の元になってしまうのだが。今のところ、パナソニックの ms-n53外部リンク日立の eco-vs30外部リンク が目立っている(2013年6月現在)。もっとすぐれた製品が出回るまでは、これでしのぐしかあるまい。

2009年4月初稿6月追加

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro

 
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