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トリの唐揚げ

からあげ

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トリの唐揚げは、そうめんなど、でんぷんばかりで油分がほしいなと思うときには格好の総菜となる。しかも結構長持ちするし、暖め直しても割と最初の味が失われていない。

ただ、これを市販のスーパーで売っているような唐揚げでは、とても食べられたものではない。(もちろん良心的な製品もないわけではないが、見つけることはきわめて困難)。まず油が悪い。古い油を使っている。味付けがぎとぎとした脂っこさと塩気だけが目立つ、いや、舌立つ。

トリの唐揚げなんと言っても原料の鶏肉の選択が問題。いったいどこの国のどんな安い鶏肉を使っているやら。そんなことを製造元に問い合わせる暇人はいないだろう。値段が安いから、表示がないときは国産ではまずありえない。においを嗅げば、日の当たらないところで飼育され、薬漬けで「肥育」されたのは臭いのですぐわかる。

さらに、アメリカからやってきた、何とかというフライドチキンはなんて脂ぎっているのだろう。まさにギトギトだ。最近10年ぶりに試食してみたが、その塩辛さにも参った。肉の味が死に、(そんなに悪い肉は使っていないと思うのだが)、「秘伝?」のツケ汁の味だけが前面に出ている。

まずは肉屋さんで国内のさまざまな「産地表示」のある鶏肉をいろいろ試してみよう。中には実においしいものがある。少々高いのであれば、買う量を減らせばよいだけのこと。安物買いの銭失いは、鶏肉の場合によくあるので気をつけよう。

肉の部位はどこでもよい。歯の悪い人はササミがいいだろうし、独特のうまさを追求する人は手羽先、一般にはもも肉など。骨付きも悪くない。

問題は揚げる前の準備である。まず唐揚げにする肉を、切り餅の半分ぐらいに切る(大きすぎると火の通りが悪く生肉を食べる羽目になる)。これを容器のそこにおき、酒と日本酒を3体2ぐらいの割合でひたひたになるまで注ぐ。そしてこれにすった生ショウガを親指ぐらいの分量で入れる。

よくかき混ぜて一日は置きたい。酒のおかげなのかすっかり中まで醤油と酒の味がしみ込んで準備完了。この部分を市販の唐揚げ粉で代用している人がいるが、手を抜くといかにまずいか思い知らせられる。市販のものはほとんどが、スーパーの出来合いと同じような味を出している。また肉が悪いとニンニクをより多く入れる傾向があるようだ。

ここでおすすめなのは、片栗粉。ただし塩やその他はいっさい混ぜない。天ぷらなら小麦粉を水で濃いめに溶くが、こちらは片栗粉にまぶし、よけいな水分を吸収させた上で、すぐさま天ぷら鍋に放り込むのだ。

天ぷら鍋には深さ3センチほど油を入れる。(植物性食用油でかまわない。)ファストフード業界では仕上がりがカラッとなるように、ここで牛脂を入れているという話を聞いたことがあるが、それでは鶏肉以外のコレステロールをさらに加えることになるので程々に。私は天ぷらもこれも常にゴマ油だ。

天ぷら鍋に入れると、浅いので唐揚げの半分以上が湯面上に飛び出してしまう。おいしい肉汁が、油の中に溶けだしてしまわないように油の中の衣が固まったと思いきやすぐにひっくり返しすべての面が、堅い衣に覆われるようにする。これからいよいよじっくり揚げが始まる。

天ぷらと同じように180度で揚げてしまうと、唐揚げは焦げてしまう。中まで火を通らせることが必要だから、少々温度を下げ、5分近く気長に揚げることが必要。あらかじめ鶏肉を蒸して生煮えを防ぐ手もあるようだが、それではショウガ醤油につけたときのうまみが得られない。

さて、取り出してみると片栗粉の場合は実にカラっと揚がる。しかも冷えて時間がたっても、最初の段階で油をよく切れば、べとつくことも少ない。これを小麦粉を溶いて天ぷらにしてみると、ベトベトしてうまくない。

生ショウガの味は鶏肉と良く合う、和風の味だ。アメリカ製と違い飽きないし、少々食べ過ぎても胃がもたれにくい。残ったツケ汁の利用法:青菜のみそ汁を造るときに加えてみよう。(塩分の増えた分だけ味噌の量を減らす)鶏肉の風味とショウガの利いたちょっと変わった味のみそ汁ができる。

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro
 
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