トレーニング指南

ボクサーのように力強く、アユのようにしなやかに、シカのように優美に

50キロを歩こうヨ!

スキンダイビング三つ道具

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コース

<仙山線JR愛子駅➡仙山線JR山寺駅> 2016/09/30 全走行距離51キロ 午前6時30分出発、午後6時19分到着

 脚力不足は現代人の宿命だ。わずか300メートル離れたコンビニまで車で行く時代だ。昔の人々が、栄養も悪く履物も悪かったのに、お姫様も含めて遠距離を歩くことができたのと比べると、なんという違いだろう。マンションでは、どこも体の悪くない子供たちが、2,3階に上がるために、エレベータがやってくるのをじっと待っている。

せめて一年に一度ぐらい、思いっきり歩いてみたらどうだろう?そして自分の脚力がどのくらいあるのかを確かめてみる必要がある。これは登山でもなく、ハイキングでもなく、単に足の強さを確かめるためのものであるが、足がすべての健康維持やスポーツの基本であると言われているのだから、”健康診断”も兼ねてぜひやってみたいものだ。

50キロというのは、切りのいい数字だし、時速4キロから5キロで歩けば、10時間ないし12時間でたどり着ける距離だ。つまり、丸一日歩きとおせるかどうかを確かめるには、絶好の距離だといえる。

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朝6時過ぎのJR愛子駅。仙台から20分ほどのところだが、ここが仙台圏の西のはずれとなり、ここからは山形県との間の奥羽山脈に向かって、次第に高さを増していく。駅前の駐車場に車を置き、いざ出発。食料はバナナ、魚肉ソーセージ、今まで食べずにいたお菓子類が中心である。金曜日だが、学生や通勤者の姿はまだ、数えるほどしかいない。
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駅前の道を南に直進すると、旧国道48号、さらに行くと国道48号バイパスを通り抜け、錦ケ丘団地の入り口をかすめて西へ方向を変える。団地の外は今でものどかな田園地帯なのだ。左のとんがり帽子の建物は、錦ケ丘の施設。
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小高い丘が見えてくる。そして赤い鳥居が見える。「諏訪神社」だ。左のほうには「香草園」という看板が見えている。低い山が見えてきた。
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平地からゆるい上り坂で森林へ入っていく。軽トラックが通うくらいの狭い道だ。
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小高い丘を上り詰めると、湖のようなものが見えるが、これは貯水池で、「月山池」という名前なのだが、西半分は「サイカチ沼」という。わが小学校の時の遠足の場所なのだ。岸には朝早くから釣り師がちらほらみられる。
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この沼の北岸沿いに西へ進む。ススキが出て、秋の気配が濃厚だ。
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ついに出た!この看板は、これから10枚以上見ることになるが、これがその最初になる。この看板があったのはずいぶん前からだから、この辺りはよほどクマが多いのだろう。最近、住宅地にもクマが現れたとか騒がれているが、ここはずっと前からクマの居住地だったのだ。ラジオでも、タンバリンでも、鈴でもいいから、「クマさん、人が近づいてきますよ」としっかり伝える必要がある。
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サイカチ沼の西の端まで来た。ここから緩やかな登りになり、頂上に達した後、また緩やかに下る。決して登山のような険しい道ではない。今にも野生動物が現れそうな雰囲気だ。
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 赤い実が至る所になっている。これはこれから冬ごもりの準備をするクマたちの大切な栄養源になるのだろう。
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 山道はいったん自動車道と合流し、「秋保温泉」のある谷間に降りてくる。仙台市内を流れる名取川も、ここではまだ渓流なのだ。この橋は左側が車専用、そして右側のつり橋になっているところが歩行者専用である。この後名取川につかず離れず上流に向かう。
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10月からはいよいよ「いも煮会」の季節。昔と違って人々は手ぶらでやってきて、地元のホテルや食堂の用意した会場で、秋の空気を吸う。
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秋保温泉からさらに西に向かうと、谷間に田んぼが広がり、ヤギさんも見かけるようになる。
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 ここは県境を越えて山形県側の「湯殿山」にお参りするときに使われた街道でもあった。だからこんな古い石碑が至る所にみられる。
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 そして街道沿いには神社が数多くみられる。
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 秋分の日は過ぎたが、東北地方は気温が西日本より低いので、1週間ほど遅れて彼岸花が咲く。かつては飢饉に備えて植えられたこの花も今はジャガイモ畑のアクセントになっている。
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 毎年行っているこのコースでは、ウォーキングシューズ、ジョギングシューズ、運動靴などを試してみたが、いずれもゴール近くになると、血マメができて、悲惨な結果になった。しかも爪が内出血して、真っ黒になり、それが治るのに1年近くかかってしまう。

だから今年は思い切ってBirkenstock のRamzesを履いた。単なるサンダルでは下り坂のときに前のほうに荷重がかかってうまくない。靴の場合には前の隙間に足指が無理やり突き刺さる形になるのだ。だが、このタイプは”鼻緒”がある。東海道53次を歩いた旅人も皆、草鞋だった。結果は…一番下をご覧あれ!!!

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 畑のふちはこのように高圧電流が流されている。これはクマではなく、イノシシを撃退するためなのだ。いかにこの地域が、食欲旺盛な動物たちとの戦いの最前線であるかを思い知らされる。
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 今までより険しい山が見えてきた。いよいよ奥羽山脈の中に入ってきたのだ。この橋の下は名取川の上流だが、絶壁と険しい渓谷だ。
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 そして世にも名高い「秋保大滝」。橋の欄干より撮影。昨日の雨で水量が豊富で、追力がある。
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 滝の裏は神社になっていて、その横が駐車場。ここまでなら一般観光客も大勢やってきて、まだ文明のただなかだと言える。だが、この先西に進むと…
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 どんどん西に進む。渓谷沿いのうねった道はすれ違いの難しいほどの狭い部分もあり、下をのぞき込むと白いしぶきをあげて谷川が流れている。
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 ついにバスの終点にやってきた。ここは「秋保ビジター・センター」。ここから先は交通機関はない。タクシーも来るわけない。本当の自然の世界であり、気まぐれな車やバイクがたまに上がっていくが、すぐに引き返してくる。もちろん冬季は人間の近づけるところではない。
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 ここから先は「二口峠越え最上街道」の始まりだ。二口の名前の由来は、峠が二つに分岐していたからだという説がある。鉄道やほかの街道の開通前は、重要な交通路だったのだが、岩肌がもろく、春の雪解けではどんどん崩れていくので、いつも工事中でまともに通れたためしがない。特に宮城県側がひどい。
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 街道の途中には「磐司岩(バンジイワ)」という巨大な岩の連なりがあって、その絶壁には、植物がなかなか根付かないのだ。
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 大変急だというわけではないが、ゴロゴロする割れた岩の上を飛び越えながら、とにかく長い上り坂を苦労して上ると、「展望台」の看板が立っている。だがこれはまだ峠ではない。残念ながらサンダルは、ごろごろいわや砂利道には弱い。
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 展望台から見下ろすと、谷間の間を大きくカーブしながら登ってきたのが見える。谷間の向こうには太平洋がうっすらと見えている。
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 さらに30分ほど苦労して進むと、ようやく「二口峠」の看板が見える。これは「蔵王連峰縦走コース」という登山コースと交差しているのであって、一種の交差点になっている。

だが、登山者の減少により、どんどんその道はすたれ、間もなく笹の中にうずもれてしまうだろう。先人たちが苦労して作り上げてきた登山道も、日本国の衰退により、永遠にその役目を終えるのだ。

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 二口峠は通り過ぎたが、まだ県境ではない。さらに15分ほど歩かないと見えてこないし、その間は上り坂でも下り坂でもない。珍しくこのあたりだけは舗装されているが、これは山形県側が100%舗装されているのに、宮城県側は砂利道ばかりなので、恥ずかしいからせめて境の近辺だけは見栄えをよくしようというのだろう。宮城県の道路行政は山形県より30年ほど遅れを取っている。
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 金網でふさがれている県境を突破。山形県側を見下ろす。はるか向こうに山形盆地が見える。気温が低く、半そでの腕は湿気でじっとりしている。
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 山形県側もつづら折りの道が続いているが、完全舗装で道路の破損も少ない。しかも「県境より…キロ」という看板が500メートルごとに立っており、励み?になる。山寺地区にある、「起点」から9キロの道なのだ。もっとも、起点にたどり着いても、山寺駅まではさらにあと30分ぐらい歩かなくてはならないが。
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 崖には法面(のりめん)が至る所に作られており、法面整形が常に行われている。このあたりの岩が非常にもろいからだ。ロープでぶら下がった二人の作業員が見える。「起点」から先は人里になり、ビニール温室があり、小さな集落が始まる。駅は間もなくだ。
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 多少足裏に痛みはあるものの、マメは重症ではなく、爪はまったく無傷。草履の勝利だ。なぜ重たい登山靴など必要なのだ?

まだ6時半だが、すでに外は真っ暗。立石寺のライトアップがようやく見えるようになってきた。気温はかなり低い。昼間の暑さがウソのようだ。ここは山寺駅のホーム。6時19分の上り列車に乗り遅れ、7時7分まで待つ。

こういう疲れのときは、小さな家庭用の内風呂ではなく、スーパー銭湯に入り、ありとあらゆる浴槽に入って、体から疲労物質をすっかり追い出してしまうのが一番だ。

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro

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