(2014年2-3月)

スワヤンブナート

 目次

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ネパールへ→カトマンズ市内(1)→スワヤンブナート→カトマンズ市内(2)

PAGE 2

タライ平原へルンビニパシュパティナート

PAGE 3

→バクタプル→ナガルコット→東パルパ

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観察日記(4)
チャイ:インドでもトルコでも、エジプトでも同じ発音で広く愛されている紅茶の葉が原料となる飲み物だが、ネパールではレモンを入れたりすることはまずなく、ミルクに茶葉を入れて煮たものが好まれる。 しかし、チャイが好まれるのはある年齢層以上で、若い人々は代わりにコーラなどの清涼飲料のほうに目が向くようだ。ダージリン茶はインド領で、そしてすぐ国境を挟んだネパール領ではイラム茶が作られる。

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タライ平原

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ある大学の水質調査隊に同行していたので、調査のためカトマンズから一路、西へ向かう。盆地を抜けるときは、険しい山を越えなければならない。ところどころ崖崩れの箇所があり、舗装が崩れて下の粘土質の土がむき出しになっている。ここはネパールでも有数の街道なので交通量が多く、インド製トラックの登坂能力が極端に悪いのと、過積載のため、慢性的な渋滞があり、排気ガスが山にたちこめる。早い乗用車は少しでも先に行こうと、急カーブにもかかわらず追い越しを試みる。かくして正面衝突の多発ということになるが、ネパール人運転手はそんな危険にめげるそぶりも見せない。
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 チャーターした車は、市街地を出てすぐにブレーキの具合が悪いことが分かった。整備工場で調べると、ブレーキパッドがほとんど擦り切れていた。車検といえるものは存在しないし、運転手もぎりぎりになるまで修理に出すことはない。燃料の値段は日本と同じくらい、ということは食品その他は日本と比べて10分の1ぐらいだから、相当高価であることがわかる。しかも燃費の悪い車ばかりだ。
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ドライブ・インに着く。メニューはカトマンズ市内の食堂より高め。「あなたが貧しい生まれであってもあなたの責任ではない、だが貧しく死んだとすれば、それはあなたが悪いのだ」とは、あのマイクロソフトのビル・ゲイツが言ったんだって?壁にこのような格言をわざわざ書くとは、ここの店主は、ネパールに”資本主義精神”が根付くことを願っているのだろうか。この国では「あなたが貧しく生まれようと、貧しく死のうと、あなたに責任はまったくない」と書き換えるべきだろう。
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 海抜1,300メートル以上になる、盆地の外輪の峠を越えると、あとは下りになる。だんだんあたたかくなり、農村風景が目の前に広がる。まだ巨木があちこちに残っており、昔懐かしいワラの山が作られている。カトマンズの喧噪や汚染を忘れるようなのどかさだ。
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 典型的な農村の一角。子供が多く、外国人が来ると珍しそうに寄ってくる。でも、人々には不思議に田舎臭さがない。停電があっても、若者はみんな携帯電話を持っている。スマホだって珍しくない。
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 そして村には、数えきれないほどの家畜が、”名誉”村民としての位置を占めている!カトマンズから約250キロのこの辺りはネパール中部でも、南のインド国境に近い場所。ルンビニ、バイラワ、ブトワルなどの都市はあるが、その周りは素朴な田舎が広がっている。ガンジス川とその支流が作ったこのタライ平原は水に恵まれ、農業生産が盛んである。問題があるとすれば、大地主小作農の構造がカースト制度の弊害も加わって、貧富の差がひどいということであろう。
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 水の調査団は、川の水や井戸水の水質検査と、住民へのアンケート調査を実施した。この地域ではところどころの井戸で、ヒ素が検出されるのである。どうやらある地層に高濃度に含まれているらしい。運悪く、その水をくみ上げている井戸を使っている住民は長い間に、上の写真のようなヒ素中毒の症状を示すようになる。
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 子供が多いので学校が多い。これは小中高が一緒になっている。中高一貫なのは、教師や校舎が足りなくて、いまだに2部授業を行っているところが多いからだ。英語は就職に有利で、公用語だから、私立では進んだ英語教育を売り物にしているところが多い。実際、中2程度でも、英語のうまい子の多いのには舌を巻く。
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 学校の前での登校風景。こんな巨木がドーンと立っているのがうらやましい。乾季でも、朝にはこのように濃霧が立ち込めることがある。それも10時頃になるとすっと消え、急に暑くなる。この木の向こうには、子供相手のお好み焼きを売る露店があった。
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 農家では、各戸に手動ポンプの井戸が掘られているが、このような公共井戸もある。ここではヒ素の害を防止するために、飲料水のみ給水塔を建設して各戸に供給する計画が進んでいる。でも有料だから、極貧の人が払えるかどうか。
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 小学校の教室の内部。児童のお絵かき、標語など、世界中どこでも同じようなものだ。ただ黒板は擦り切れ、いすや机はない。レンガ造りの壁はちょっと地震があったらすぐ崩れそうだ。この日は校庭で児童たちは、ダンスの発表会をしていた。
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 調査団の泊まったホテルでの、結婚披露パーティ会場。夜遅くまでどんちゃん騒ぎ‥といきたいところだが、停電があるので、それも無理。それでもこれだけ派手なのは地元の有力者の子弟だからなのか。
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 調査団の泊まったリゾート・ホテルを正面から見る。右側に守衛が見えるし、建物の後ろにはバンガロー形式で広い敷地が広がっている。この地方では飛び切り高級な部類に属する。ただ、バイラワの市街地から10キロも離れている。
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 調査の行きかえりの街道は、大きな川に沿っている部分があり、ドライブ・インには川魚、エビなどを油で揚げて客に出しているところもある。最初はうまいと思ったが、油が古いので、ちょっと・・・

観察日記(5)
 初めての夕食: 英語が得意な店であるなら、メニューさえ見れば、焼きそば(チョウミエン)、餃子(モモ)、そば(トゥクパ)、春巻き(スプリング・ロールの類ぐらいは簡単に注文できる。ただ、となりの客がアルミの容器からうまそうに飲んでいるのは何だろう、と好奇心が起きたら、直ちに「それと同じのを」と注文しよう。かくして知ったのが、ネパール風ドブロク、「トゥンバ」である。ドブロクであるから、酒税法の面で何か問題があるらしく、メニューには載っていない。最初の感想は、甘酒に間違ってヨーグルトを入れてしまったという感じ。慣れると病みつきになる人もいる。

ルンビニ

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水質調査が早めに終了したので、ブッダの生誕地、ルンビニへ小旅行を試みる。バイラワの町に、ルンビニへ向かう街道の分岐点がある。写真の中央に見える黄色のゲートがその目印だ。ここはバス、タクシー、リキシャが発着する一大ターミナル、バルメリ・トール。ここから格安だが、満員のおんぼろバスで出発。小一時間で到着した。
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着くと、とてつもない広さの敷地が広がる。広大な土地の一方に、この巨大なストゥーパ(世界平和仏舎利塔)が立つ。まわりは林と草原だらけ。
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そしてその西隣には日本山妙法寺。いずれも日本の関係者が建てた。
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そこから一直線の水路が聖園(ミソノ)まで続く。丹下健三による、大変なスケールの設計だ。広すぎて、歩いて回るには一日がかり。小舟があればいいのだが。まだ就航していない。水路の両側、特に西側には各国の寺がそれぞれの特徴あるスタイルで建っている。ヨーロッパ人観光客がやたら目につく。彼らにはキリスト教とは異なる世界だということで、大いに興味を惹かれるのだろう。
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水路の終点から両側に大きな池を見ながらさらに歩くと、ここは聖園。マーヤー聖堂と呼ばれるこの白い建物は中にブッダ誕生当時にあった建物の礎石がおさめられている。建物の左に見える茶色い石柱はアショーカ王のもの。また手前の池はブッダが産湯をつかったところ。まさにここを見るためにはるばるやってきたのだ。

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観察日記(6)
昼寝とゲーム:農村に行くと、女はせっせと働き、男は昼寝をしているか、仲間ですごろくのようなゲームに興じている。農村の生産性は決して悪くはなく、食料自給率は100%なのだが、それもあって、あくせく働くことはない、のんびりした雰囲気がある。女がひたすらまじめに働くのは、開発途上国共通の現象のようだ。ただし、カトマンズのように都会となると、男も女も生活費を得るのに必死だ。

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パシュパティナート

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調査に出発する前に、お祭りの人混みのため入ることができなかったパシュパティナートに改めて訪れる。カトマンズ市内の中心、タメル地区から東へ歩いて1時間ぐらいだ。無数のハトと、神聖な動物、コブウシが見える。そして常に、数えきれないほどのヒンディ教の参拝客たち。
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ここは広大な森に囲まれており、スワヤンブナートと同様、野猿の天国。
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寺院の建物は、ヒンディ教徒でないと内部に入ることができない。仕方なく、入口が空いたときに、スキをみて中を撮影した。これはシヴァ神の乗り物であるナンディ(牡牛)だが、この通りお尻を向けた格好になっている。
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寺院の横をパグマティ川が流れており、(いや、乾季とヘドロのため流れているとは言えない?)ここのガートは、インドの聖地ヴァラナシと同じく、火葬場になっている。左側の台には、燃えている遺体があり、その前には遺族たちが焼き終わるのを待っている。薪には香料を入れているらしく、その匂いが周りに漂う。日本の近代的な火葬場と違って、冷たさや暗さはまったく感じられず、少年たちが(暇つぶしに?、あるいは小銭を求めて?)川の底をさらったりして、あっけらかんとしている。

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