きまじめ英文法

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目次

形容詞節修飾 前置詞と名詞 不定代名詞

 ネクサス 助動詞 仮定法助動詞 比較表現

単語 第五文型の分類

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形容詞節修飾ー「叙述」から「限定」へ 目次へ

普通の形容詞は名詞を修飾する限定用法と、主語を説明する補語となる叙述用法があり、たいていの形容詞はその2つを兼ね備えている。ところが中学校でも出てくる関係詞を使った形容詞節は、それとは全く異質な修飾方法をとっていることに気づく。

中学校で初めて関係詞を導入する際には共通な名詞を含んだ2つの文を結び合わせることから説明してゆくことが多い。

例1 I met a girl. She was his sister.» I met a girl who was his sister.

この理解のさせ方は関係詞を接続詞の一種とする見方から発生したものであって、残念ながら形容詞としての機能についてはほとんど何も言及されないのが普通である。にもかかわらず「うしろから訳し、先行詞にたどり着け」と教えはする。形容詞節の働きを理解させるには「叙述」から「限定」への移行から出発しなければならないのだ。簡単な例を見てみよう。

例2 A girl is pretty. » a pretty girl

限定に書きかえることは、ある特定の性質(ここでは「かわいい」)に制限することを意味する。(修飾語の項参照)これと同じようなことを普通の第3文型に当てはめてみるとどうなるか。

例3 I know a girl. » a girl whom I know

普通の文(叙述)から一つの名詞を取り出して、それを残りの部分で修飾する(限定)。これが形容詞節修飾の原理である。その際修飾するために抜き出した文型上の位置で、主格、目的格、所有格の3格が決定されるのである。

例4 The boy was tall. » the boy who was tall

例5 I know a girl's name. » a girl whose name I know

このようにすべての形容詞節はもとの文に還元することができるし、先行詞を別の文のどこに使おうと自由なのである。この時点で初めて英作文に使えるようになるのだ。さらに、このことは前置詞の付いた関係代名詞の場合にもいえる。同様に先行詞を抜き出してみよう。

例6 The doctor cured her of the disease. » the disease of which the doctor cured her または the disease (which) the doctor cured her of

例7 The accident happened on the street. » the street on which the accident happened または the street (which) the accident happened on

例6のように前置詞が動詞と深い結びつきを持っていようと、例7のようにうしろに来る名詞と関係していようと、前置詞は名詞と結びついた「副詞句」を作っていることには変わりはない。これを形容詞節にすると、前置詞はこの2つの例のように関係詞の前に置くこともあるし、形容詞節の最後に持ってきて前の関係代名詞(目的格)を省略することもできる。

同様のことが時や場所を表す前置詞と名詞の組み合わせによる副詞にもいえ、そこから3段階を経て関係副詞が生まれる。

例8 その瞬間に at the moment » at which » when その村で in the village » in which » where

この場合、時や場所を表しさえすれば前置詞は何でもよい。もっとも beyond とか out of のような特殊な位置関係を示すようなものは別であるが。また、前置詞と名詞が固定したものもある。

例9 その理由で for the reason » for which » why そのやり方で in the way » in which » how

ここまで来るといわゆる同格節も that を関係詞的性質を持っているとして形容詞節の一種とする見方も可能である。ただしその名詞は抽象的かつ総合的で that の内容と見合う必要がある。

例10 The fact is that... » the fact that...

このような形容詞節の修飾方法は分詞修飾や不定詞の形容詞的用法にも一部、共通してみられるものである。

例11 分詞では The snow is falling. » the falling snow 不定詞では read the report » the report to read

例11のはじめの文は関係代名詞節なら主格にあたるし、あとの文は主語の存在しない形から生じているものの、関係代名詞節の目的格に相当していることがわかる。不定詞ではさらに同格的なもの、例6,7と同じタイプである前置詞を付けたものも見いだせる。

例12 同格的なものでは She is able to read. » her ability to read 前置詞付きでは live in a house » a house to live in または a house in which to live

したがって分詞や不定詞は形容詞節を簡略化したものと見なすことができ、主語や時制を特に示さなくともよいときは正式な節を作る手間が省ける。

例13 I have two brothers, both of whom are single.

最後に、しばしば関係詞の前に来るコンマは何の印か?これは、会話では、息継ぎにしかならないが、書かれた文では重要な意味を持つ。それは、形容詞節で説明した内容が、「先行詞にしか当てはまらない」場合である。先行詞が brother, sister, father, mother そして固有名詞全般にいえることである。これを関係詞の非制限用法と呼んでいる。

前置詞と名詞ー前置詞の機能は多様 目次へ

多くのヨーロッパ言語にも共通することであるが、前置詞の存在は非常に特徴的となっており、一つの文を分析するのに大変有効な道具であるといえる。特に英語はその機能を極限といえるまでに発達させた。おかげでごく簡単な単語だけで文の中の相対的な働きを示せるようになった。

日本人の多くは前置詞と聞くと時間の場合は at, on, in であるとか、場所には under, above などが使われるなどと、単に暗記すべきものと捉えてしまいがちだが、それはごく一部の要素に過ぎず、もっと重要な動詞句の構成要素としてや、形容詞句、副詞句を作る際の「接続機能」の理解が必要である。

7文型のすすめ」で述べたように、前置詞は短い副詞も含め動詞と結びついて新しい表現を作り出す。

例1 He had to put up at the hotel.

この例文にあるような動詞句では前置詞はうしろに来る名詞とは関係なく前の動詞とかたい結びつきを持っているので、一つの単語と見なしたほうがよい。

例2 They arrived at the station.

ところが例2の文の at は確かに arrive にはつきものだけれども、その意味まで限定しているわけではなく、うしろの名詞によって決定されてくる。つまり、ここでは場所を表す副詞句の機能を果たしているのである。このように、前置詞の動詞との結びつきは話し手の熟語の知識まかせであり、2つの働きを共用させてしまっている。したがって聞き手は、その前置詞はいずれに属するかを瞬時に理解しなければいけないことになる。この点が外国語として英語を勉強しようとする者には辛いところである。

名詞を修飾し、後置されているかたまりを形容詞句と呼ぶが、そこにも前置詞は多く登場する。

例3 People at the ball were well-dressed.

この at以下の部分はたとえばこのように主語のうしろに置かれているときは名詞である主語を修飾していると見てよい。この際、形容詞であるかの確認には位置だけが手がかりであって、いったん文頭に出てこようものなら、あとに述べる副詞句となってしまう。その他の手がかりとしてはコンマ(これは会話では当てにならない)の有無ぐらいなもので、これも話し手の文の構成力にまかされている。

日本語では「舞踏会では」とせずに「舞踏会の」とするところだが、それでいて実際問題として混乱が起きないのは、不定詞の形容詞的用法や分詞の形容詞的修飾と同じく、語順が一応確立しており、名詞との意味関係が即座に把握可能であるからであろう。

数の上で、はるかに多く用いられるのは副詞句である。語順は修飾する対象によって一定していないが、コンマで切られたり、文頭に置かれたりすることも多い。

例4 There were many quarrels at the game.

例3での at以下は People以外に修飾するものがほかになかったけれども、例4では were と at以下との固い結びつきから副詞句となる。つまり、「あった」という前提があるため、 at以下は quarrels をわざわざ限定用法(修飾語の項参照)にする必要がなく、結果的に関係が薄いからである。副詞的な用法は時、場所、様態、また例2に示されるように動詞との関係、そして be good at のような熟語に見られる形容詞との結びつきの中にも見いだすことができる。最後に連鎖的な例を見よう。

例5 It consisted of a bulb at the top connected by a glass tube to a reservoir of liquid at the bottom.(それは底部にある液体溜にガラス管で頭部と連結した球体でできていた)

これはガリレオが作った温度計についての記述であるが、6つもの前置詞が使われている。5番目の of を除いてすべて副詞的で、意味の上で独立しつつ全体を構成しているのが、まるでムカデの体のようだ。

不定代名詞-まず整理することから 目次へ

英語には不定代名詞と呼ばれるものがかなりある。 another, other, none, all, both, each, either, neither, some, any などである。これらは用法が錯綜していてなかなか使いこなせない。今回はこれらの代名詞をなるべくわかりやすい形で整理してみたい。

古代ギリシャ語や現代アラビア語には単数と複数以外に二者を表す名詞変化(双数)があるが、英語にも二者を表す代名詞がある。それは both, either, neither の三つである。これらは三者以上を表す代名詞 all, any, none とそれぞれ対比することができる。

(1) all - both (2) any - either (3) none - neither

both は要素が二つの全体集合( = all )と考えればよい。

例1 Both of them are doctors. All of them are doctors.

否定文はいずれも部分否定となる。

例2 I don't know both of them. (両方は知らない)I don't know all of them. (全員は知らない)

any は肯定文で三つ以上の中で「どれでも(誰でも)」、 either は肯定文で二者のうち「どちらか」を表す。

例3 Either ( of them ) is acceptable. (どちらでも良い)Any of these is long enough. (このどれでも長さは足りる)

否定文ではいずれもいわゆる全部(完全)否定となる。その際、not を either, any に先行させてはいけない。

例4 I don't know either of them. (彼らのどちらも知らない)I don't know any of them. (彼らの誰も知らない)

none は not any であり、neither は not either で、いずれも全部否定となる。

例5 Neither road (Neither of the roads ) is very good.= They are both bad. (どちらの道も良くない)None of my friends ever come(s) to see me. (友人は誰も会いに来ない)

意味的に any と対照されるのは some である。 some の中核的意味は「存在」である。

例6 Some days you win, and some days you lose. (勝つ日もあれば負ける日もある)There must be some reason for what he has done. 彼がやったことには、何か理由がある)

数量的には a few ( a little ) と many ( much ) の中間になるが、その数量を明示しないやり方は、結局単なる「存在」を意味することに重点が置かれることになり、日本語に訳さないほうがよい場合も多い。

例7 I want some money. (金が欲しい)

any の中核的意味は「どれでも」「少しでも」「どれ一つでも」という「不特定性」である。したがって存在( some )の否定や問いに用いられる。

例8 They are all free. --- take any of them. I need some nails. Have you got any? I don't want any sandwiches.

こうして人にものを勧めるときには、存在への問いではないので疑問文では some を使う。

例9 Would you like some more tea?

ある特定の集合について、一つのものとして考える場合は all 、要素を個別的に考えると each, また、all と each の意味を併せ持っているのが形容詞の every である。したがって every はしばしば強意表現となる。

例10 (あとにゆくに従って強くなる) all the books in this room --- every book in this room --- every one of the books in this room

every は必ず名詞の前に使う形容詞であり、副詞的には頻度表現(たとえば、4年に1回は every four years という)として用いられる。

another は「もう一つの(もの)」また「別の」の意味もある。

例11 Will you have another cup of tea? (もう一杯いがが?)This is another matter. (それは別問題だ)

元来は an + other だったので、二つの集合から取り出すとき、 one, the other であるが、三つ以上の集合の場合は、one,another, a third, a fourth,,,,, となる。

ネクサス-文章の簡素化に役立つ 目次へ

言語が主語と述語の結びつきによってある事象を示すことができるとき、それをネクサスと呼ぶ。単なる単語とは違い、一つのことだけを象徴しているのでもなければ、句のようにある程度まとまっていても材料の役割しか果たせないものとも違う。

英語では普通の節と呼ばれる SV による構造以外にさまざまなネクサスを見ることができる。ネクサスの定義次第で多くを含めることができるが、ここでは実用的なものに絞り、いわゆる節の「簡易形式」といった視点でとらえていきたい。

まず名詞動名詞を中心とした構文がある。英語では動詞が主語、目的語、補語の有無や種類を決定してしまうのであるが、動詞がその名詞形や動名詞となっても、その機能は一部維持される。

例1 He insisted on her having dinner. (彼女がぜひ夕食を食べていくようにと勧めた) They heard of Norman's conquest of England. (ノルマン人のイギリス征服のことを聞いた)

最初の例は、まず前置詞 on から動名詞 having へ目的語としての結びつきを持ち、have 動詞の使い方そのままに S と O を前後に取り付ける。S は所有格にすることが多いが、文頭でない限り目的格でもよい。O に当たるものは他動詞ならば普通にうしろに付けるだけである。ところが2番目の例のように完全な名詞の場合は O に当たるものとの接続は of によらなければならない。両者の例とも文の他の部分とは前置詞や他動詞によってつながってそこから S や O を出している、「ヤジロベエ構造」になっているのがわかる。

分詞構文もネクサス構造を示すことが可能である。

例2 It being rainy, she took her unbrella. (雨降りだったので傘を持っていった)

これは独立分詞構文と呼ばれるが、もともと分詞構文は接続詞と節を簡易化したものと考えられるで、中心をなす動詞を ing形か過去分詞形で示すことのほかは、普通の節と大きく違うことはない。ただし、否定文では not や never を分詞の直前に do を用いずに使うことができることが異なる点である。分詞構文は副詞句であるので先の名詞構文と違って位置が固定されており、まえやうしろ、挿入の位置にまで置くことが可能である。

第3に to不定詞はさまざまな用法にかかわらず文全体とは主語をことにするときに新しいネクサス関係を作ることが不可欠である。

例3 It is necessary for us to go. (我々は行く必要がある)It is stupid of him to turn back. (彼が戻ったのはおろかだった)The stone was too heavy for us to lift. (その石は重すぎて持ち上げられない) The time for us to act has come. (行動すべき時が来た)the ability of children to speak (子供のしゃべる能力)

この5つの文で示されるように to不定詞の場合の意味上の主語は for ないしは of で表される。for は純然たる主語の役割をするが、of は主語を表す役割と同時にその前に来る単語と特殊な関係にあることを示す。2番目の例文では he is stupid を表していると考えられるし、5番目の文では children's ability であると考えられる。

例4 Listening tomusic makes me feel at home. (音楽を聴くとほっとする) She stood with her eyes shut. (彼女は目を閉じて立っていた)

5文型 SVOC は O と C との間にネクサス関係が成立すると考えられるが O は名詞と決まっていても、 C は名詞、形容詞、to不定詞、原形不定詞、現在分詞、過去分詞、そして時には前置詞と名詞の組み合わせもあり得る。その組み合わせについては各動詞によって規定されているが、準動詞の形で入れるものについては、もとになっている動詞によって主述関係が決定される。名詞や形容詞が C に入る場合には O との間に be動詞を想定するとよい。 with は付帯状況と呼ばれる副詞句を作るが SV がなくて with のうしろに O と C が付く形になっている。

このようにネクサスは形は違うにせよ、節の代わりを果たすことができ、特に文の簡素化には大変有効である。

助動詞ー使いながら体得する 目次へ

助動詞も仮定法もなじみの深い文法の項目。だが、体得するのがむずかしいのもこの二つである。積極的に使っていくことが理解を早めるコツかもしれない。

助動詞にはいわゆる法( mood )の助動詞と呼ばれるもの( may, can, must, will, shall, would, should, might, could, ought to )がある。今回はこれらの多岐にわたる用法をできるだけすっきりまとめることが目標である。

まずこれら助動詞の構文上、共通な特徴を挙げてみる。この特徴のために助動詞としてまとめて考えられているのである。

1.必ず動詞の原形と共に用いる。もちろんこの本動詞が省略されることはあるが、助動詞だけでは用いないし意味もない。

2.主語の人称、数によって変化しない。具体的には主語が三人称単数でも語尾に -s ( -es )を付けない。

3.助動詞を重ねて使わない。たとえば will can というような用い方はせず、will be able to のように類似語を利用する。

4.疑問文や否定文を作るとき do を用いない。

もちろん以上の共通点を暗記してもらっても意味はなく、実際に英語を使いながら体得すべきことである。

まず、may, can, must の3つがあってこれらはそれぞれ二つづつ(主要な)意味がある。

1.may・・・(1)「・・・してよい、・・・しなさい」(2)「・・・かもしれない」

2.can・・・(1)「・・・できる」(2)「・・・でありうる」

3.must・・・(1)「・・・しなければならない」(2)「・・・にちがいない」

(1)の意味の共通点は人間が主語になるということである。この人間くさい意味が事物に適用されると(事物が主語になると)、(1)から(2)の意味に自然に変わることは納得しやすいと思う(もっとも(2)の意味は主語として人間、事物を問わないが)。(2)の意味の共通点は推量を表すという点である。ただその推量の確信度が違うのである。

この違いをわかりやすくするために次の話をしてみよう。ある空港で飛行機をおりた男女二人が網棚に包みを一つ残して去った。それは時限爆弾でかもしれない。この推量の確信度は「・・・である」という断定と「・・・でない」という否定断定の間に様々な段階がある。図示すると、肯定の事実(プラス)から否定の事実(マイナス)までの間に度合いに応じた助動詞がある。

(+)It is a time bomb.

It must be a time bomb.

It may be a time bomb.

It might ( could ) be a time bomb.

It couldn't be a time bomb.

It can't be a time bomb.

(-)It is not a time bomb.

過去形の might や could の過去のことではなく現在の推量を表すこともあるので注意がいる。 It might rain. は It may rain. とほとんど同じ意味である。可能性を表す can は否定文で「・・・であるはずがない」という意味で使われることが多い。この推量表現の過去に当たる形は may ( can't, must ) have p.p. でそれぞれ「・・・だったかもしれない(だったはずがない、だったに違いない)」の意味である。

未来の助動詞 will と shall に関しては、昔は意志未来と単純未来との区別、などとうるさかったものであるが、今はもうすべて will を使うと覚えればよい。話者の意志が入っているのか、客観的状況の表現であるかの区別も気にせず、たいていの場合、 be going to が使えること、 shall に関しては、 Shall I carry your bag? (カバンをお持ちしましょうか)と Let's play cards, shall we? (トランプをしようよ)の二つの場合を知っておけばよい。

義務や当然を表す should と ought to は「・・・すべきだ」という意味では、ほぼ同意に使うと思ってよい。ただ後者は常に to を使うことに注意( must と have to の関係を類推してほしい)。またこの意味が拡大されて「・・・のはずだ」という、強めの推量を表すことになるのも自然であろう。

He left an hour ago. He should ( ought to ) be at the office by now. (1時間前に出たからもう会社に着いているはずだ)

助動詞の意味用法は実に多岐にわたるが、以上述べたことは基本としてしっかり押さえるとよい。中心核が強固なら肉付けは自然にできる。

仮定法助動詞ー助動詞からの発想 目次へ

現在形や過去形の文は、現実に起こることを単に述べた文であるのに対し、助動詞の現在形は義務、可能性、必要など、これから起こるべき不確実な部分を想定するのに用いられている。その延長線上にあるのが未来形で、 will ( shall) を用いて将来におけることがらを予測することであり、誰にとっても未知なことがらである。

例1 It it rains, we will not play tennis.

例2 She cannot have read the book.

例1では if節の中が現在形になっているのは、予想ではなく、条件(または時)の範囲内に話者が可能性を「規定」しているからである。これに対し「テニスをしない」の方は不確実な予想をしている。例2では過去に起こったできごとを示してはいるが、「・・・したはずはない」と心の中での判断を示しているので現在形の助動詞が用いられる。

ところで助動詞が過去形になるとどのような変化が生ずるだろうか。確かに could や might には純然たる過去形はあるが、特殊な意味や時制の一致による場合にのみ用いる。

例3 If he came back to me, I sould be very happy.

なぜこの文では過去形になるのか、「戻ってくること」も「幸せになる」ことも可能性がきわめて少ないとすると、現在とは正反対の状況なので現在と同一次元におくわけにはいかない。外見上の区別を付けるためには、1つずらして心の状態を過去か未来に持ってゆかなければならないのである。フランス語などのように、全く新しいかたちを発明するのもいいが、煩雑になる。

すでに述べたように未来は助動詞の現在形によって使用範囲は定まっているから、今度は過去の次元を借りて、現在の時点での「あり得ない状態」についての想像を表すことになったと思われる。if の中身も過去形なのが時制の一致により現在から過去になったと考えてよい。これらを総じて仮定法過去と呼ぶ。

例4 You had better go at once. He should not do such a thing.

通常に用いるようになった過去形として、例4の助動詞も「・・・したほうがよい」「すべきだ」というのは実際は(まだ)やっていないことを示すので、仮定法から発生していることがわかる。

それでは過去にすでに起こった事実に対して想像の中で反対のことを考えていることを表現するにはどうするか。

例5 If you had done so, you would have succeeded it.

過去形はすでに使われているので、さらに昔にさかのぼり過去のできごとを見つめる次元を新しく作り出す必要がある。そこでできた形式がすでに述べた助動詞の過去形にさらに完了形、すなわち have と過去分詞を加えるやり方である。

完了形はある時点より一つ昔にさかのぼる役割を持ち、動名詞や分詞や不定詞にも応用されている。この形式を仮定法過去完了と呼ぶ。if節が had と過去分詞の形でできているものは、もと過去形だったところが時制の一致で変化したと考えられる。なお例2の cannot have read が仮定法でないのは話者が可能性の有無に関わりなく自分でそれが「事実」だったことを断言しているからである。

仮定法はここで見てきたように助動詞の扱いが主体であり、if節その他の副詞的部分は従属的な働きしかしていない。場合によっては省略もできる。次の例6は主節しかないが、仮定法としての役割はちゃんと果たしている。

例6 A bit of good luck would have made him succeed in the attempt. (ちょっと運がついていたらその試みは成功しただろうに)

助動詞の現在形から出発して仮定法過去への流れを見てみると、助動詞が心的状態や想像の内容を表現するのにいかに重要な機能を果たしているかがわかる。これにより文中での事実の描写と、話者の心とを明確に区別して提示することが可能になっているのである。

比較表現 ー 思考や感情の前提を表す 目次へ

人間は比較する動物である、といわれる。確かに人間のあらゆる思考や感情は、何らかの点で比較が前提にある。従って She is pretty. といった場合も、やはり暗黙の比較があるわけである。この場合は一般的な(常識的な)基準に無意識に頼った結果である。このようなときは英語では比較級は使わない(但し例外はある。 higher education (高等教育)、 the lower animals (下等動物)などである。これらを絶対比較級と呼ぶ文法書もあるが、こうした名称は殆ど意味がないことは明らかであろう。

英語において比較級や他の比較表現形式を使うのは、特定のものをある別な特定のものと比較する場合だけである。つまり比較級の基準が漠然とした一般的なものでなく特定のものの場合である。比較の基準が異なれば当然評価も異なってくる。従って極端な場合、比較の基準が一般的な場合と、特定なものの場合(比較級その他を扱う場合)とで評価が逆転することもあり得るわけである!たとえば、Tom is as old as / older than Mike. (トムはマイクと 同い年・より年上 だ)といってもトムは実際には5歳の子供かもしれない。つまり、 Tom is young. なのである。最もこうしたことは頻々におこることではなく、時間的空間的な量に関して特にいえることである。

というのも人間にとって時間と空間が最も基本的な計量対象だからである。この二つの計量はある特定のもの(これを単位という)を基準にして、その何倍かを測ることによって行われる。従ってやはり比較が行われているが、比較級は使わない。これらは客観的事実の表現となるのでこれを主観的に、つまり一般的基準に従って「年をとっている」とか「長い」というように訳出してはまずい。例えば、 I am fifteen years old ( = of age ). (私の年齢は15です) The stick is three feet long ( = in length ). の棒は長さが3フィートある)

このような時間的、空間適量を表す形容詞以外であれば、例えば、 She is as pretty as Jane. (彼女やジェーンと同じくらい可愛い)という場合、彼女はジェーンと同じくらいの「かわいさ」だ、といっても二人とも同様に醜いという可能性はない。この場合は一般的基準に従って二人とも、共に可愛いのである。

さて冒頭にも述べたように、比較は人間生活のあらゆる面で行われており、この事実が言語に反映され、特に英語においては日本語以上に比較表現が発達している。従ってこれをマスターすることはきわめて重要である。

次に比較構文の基本パターンを示すと、

X = Y ***** X is as large as Y

X » Y ****** X is larger than Y

X » A,B,C ****** X is larger than the rest / any of the other things

X » A,B,C,C ****** X is the largest of all the things / in the group

このように形容詞が large - larger - largest のように変化するのが特徴である。詳細は文法書を見てほしいが、不規則変化は動詞の場合もそうであるが、日常よく使う重要語に多い。(これは、よく履く靴は形が崩れるのと同じ理由である。逆に言うとあまり使わない単語は規則的に変化する。不規則な変化はあまり記憶されないからである)。

最後にやや難しいが、よく出る比較を使った構文をあげておこう。

Of all the viruses that have plagued human beings through the ages, few have cast darker shadows or proved more formidable than the one that causes acquired immune deficiency syndrome ( a i d s ). (TIMEより)

(代々人間に災いをもたらしたあらゆるビールスの中でエイズの原因であるビールスほど暗い陰を投げかけ、またこれほど恐るべきものとなったものはほとんどない)

単語 ー 記憶の手がかりとなる文法 目次へ

英単語を覚えることと、英文法とどのような関係にあるのか不思議に思われる人もあろうが、ちょっとした予備知識が大量の記憶を可能にしてくれる。

まず第一に覚えようとする単語の品詞を明らかにすること。英文では文中の位置と修飾関係が密接に結びついているから、特に形容詞と副詞の区別、そして前置詞と接続詞の区別が重要である。それらの修飾対象、後に続く句や節を、はっきりさせておく必要があるからだ。

第二に動詞を覚える際には、それが他動詞であることがわかったならば、目的語をつけて覚えるべきだということだ。例えば take は「取る」「かかる」「つれてゆく」などのさまざまな意味を持つが、そのまま日本語に頼った覚え方をしないほうが記憶に残りやすい。

例1 take this one / take hours / take her ( to the zoo )

このように目的語と組み合わせると目的ご辞退の持つ意味から連想が聞いて動詞の意味をたぐり寄せることができる。

第三に Thesaurus (同意語辞典)の活用である。この辞典では品詞別に分類された上で、それぞれの同意語が並べられているから整理しやすい。これには2種類の形式があって、アルファベット順に配列されたものと、分野別に分けられたものとがある。前者は読んでいて出てきた未知の語をひくのに適し、後者はあとで重要と思われるものをまとめて覚えるのに適している。同意語を一つのグループで覚えると、関連性と同時にニュアンスの違いも学び取ることができるし、英訳の表現力増強に大いに役立つ。

第四に英文を読んでいて前後の関係から大まかな意味をつかむことができるか、わからなくとも大勢に影響がない単語を「小物の単語」、動詞などで全体の意味をとる上で欠かすことのできないものを「重要単語」の2種類に分類できる。前者は読んでいる途中、わざわざ辞書をひくこともない。思考の流れが中断されてしまうからである。赤鉛筆で印をつけるにとどめておく。後者の単語は英和辞典で、できることなら英英辞典でひく。大切なことはひく前に、あらかじめそのもつ意味を「予想」しておくことである。これは文脈をどれだけ理解しているかの目安にもなる。これを繰り返してゆくと、単語の持つ意味の「傾向」がつかめるようになる。すなわち「語勘」が備わってゆくのを感じるようになるだろう。

小物の単語の整理は先に述べた Thesaurus による分類をすれば、知っている単語の幅は多いに広がる。語形変化による、他品詞を覚える方法もあるが、垂直方向への増加はあっても水平方向への増加は望めない。

例2 big を Thesaurus ( abc 順)でひくと、bulky, burly, collossal, considerable, enormous, extensive, gigantic, etc.とある

重要単語はその多くが多義語であるから、辞書で意味を確認する際には、いくつかの意味を連続させて覚えるようにする(語源的には同じである)。小物の単語と違って、重要単語は繰り返しが最重要課題である。つまり状況によって意味が変化するので、絶えずオリジナルな意味からその場面にふさわしい意味を当てはめて、慣れてゆく必要がある。よく接頭辞や接尾辞を有効に使って覚えよという勧めが聞かれるけれども、長い単語のほかは意外に利用価値が少ない。重要語は比較的短いものだからである。

単語力増強はすべての外国語学習者にとっての悩みの種であろうが、以上のような方法を工夫し、多読と長時間リスニングを実行すれば、蓄積される量は確実に増えてゆくはずだ。

第五文型 ー OとCには主述関係が 目次へ

英語の基本5文型のうち、第五文型 SVOC はさまざまなタイプを持つ。この文型の中に含まれる O と C とはいわば「ミニ文」であって、これを統括するのが前に付いている V である。O と C との間には主述関係が存在するといえるが、接続詞を使ってていねいに書くと例1の2行目のように、 that や主語、動詞、時制その他を考えに入れなければいけないところを、簡略化したのが第五文型の姿であるといえる。

例1 I thought hime honest.(彼を正直だと思った)/ I thought that he was honest.(彼を正直だと思った)

この C の位置に入るものは、名詞、形容詞、過去分詞、現在文詞、to不定詞、原型不定詞、前置詞+名詞の、およそ副詞を除く7種類を考えることができる。それぞれの第五文型をとる動詞は C に入るものが決まっているが、なぜ特定のものが入るのかは伝統的な用法に由来していることもあり、議論は絶えない。大体4つのタイプに分類してみると、似たもの同士の用法の類似性がわかってくるだろう。

<思考型>

このタイプでは O と C は主述関係というよりは等しい関係にあるといってよい。

例2 I considered it ( to be ) important.(それは重要だと思う) / They regarded him as a genius.(彼を天才と見なした)

心の中であるものが性質を持っているというように考えるから O と C を一致させるように意味が表される。C は名詞、形容詞が多いが、 to不定詞が be動詞を伴っていたり(例2,1行目)、 regard の場合のように as のうしろに C にふさわしいものを付けることもある。思考型は状態を示すから、現在分詞や過去分詞が C に入ることはまれである。

主な思考型の動詞は例1に挙げた2つのほかに、 think, believe, imagine, find などが挙げられる。なお、思考型の動詞の大部分は、 OC による簡易な形式では情報量が多すぎて伝えきれないときは例1の2行目で示したような that節を設けることができる。

<知覚型>

知覚動詞と呼ばれるグループである。人間が見たり聞いたり感じたりする内容は主述形式で表す。したがって C に入るべきものは原型不定詞、現在分詞、過去分詞などと動詞の働きをするものばかりである。

例3 I saw him coming.(彼が来るのが見えた) / She felt someone touch her hair.(誰かが自分の髪にさわるのを感じた) / He heard someone hit by a car.(誰かが車にはねられる音を聞いた) / I caught him smoking.(彼が煙草を吸っているところを見つけた)

原型不定詞と現在分詞の使い分けについては、前者がある動作の完了(例3,2行目では「部屋に入った」)を示し、後者は進行形的な意味(例3,1行目では「やって来る」)を示すものとされている。 OC 感の受動的関係(例3,3行目では「車にはねられた」)または be surprised のように受動的意味は失われても、形式上は be + 過去分詞の形をとるものについても C に過去分詞を入れる。

知覚動詞では例文で挙げたもののほかに、 notice, watch, listen to などがある。これらは listen to を除いて、思考型と同じように OC の部分を that節に書き換えることができる。但し see や hear の場合は元来の意味を離れて、それぞれ「理解する」と「(消息を)聞く」というように意味が拡大していることが注目される。また catch は C としては現在分詞しかないが、知覚動詞的用法だといえる。(例3,4行目「・・・しているのを目撃する」)

<使役型>

このタイプの最大の特徴は O となる部分にたいてい「人」が入るということである。使役の名の通り、人をして強弱の差はあれども何かをさせる、またはしてもらう関係を示す。したがって O と C は等しいというよりも主述関係が認められる。 C が原形のものと、 to不定詞のものに大別される。

例4 I let my son take a trip.(息子に旅をさせた) / He advised me to have a rest.(休むようにと私に忠告してくれた) / I expected him to work hard.(彼が一生懸命働くだろうと期待した) / I had my hair cut ( by a barber )(床屋に髪を切ってもらった). / You have to get the clock going.(時計の針をうごかさなきゃ)

C が原形の形をとるものは通常使役動詞と呼ばれているもので、強さの順から並べると make, have, let となる。強制的に「させる」ものから依頼して「してもらう」、そして放任して「させる」に至る。これらの動詞は頻繁にもちいられるので to がとれて原形になったようであるが、have とほぼ同じ意味を持つ get については to不定詞となっていることが特徴である。

例4の2行目になる advise は決して人に命令して何かをやらせているわけではないが、提案、勧誘、許可などの言語的操作を通じて人を動かしたり、例4の3行目の expect でも「予想する」ではなく「期待する」という意味ではこの部類に属すると考えられる。前者の意味ではどちらかというと思考型である( that節可能)。最も典型的な動詞は cause である。これはまさに「 O に・・・を引き起こす」という意味を持つ。O に入るのは人がほとんどだが、物事が入ることもある。

他に allow, help, leave, (「任せる」という意味で)、 recommend, order などが挙げられる。これらの動詞は思考型のように that節にできるものはまれである。その理由は思考型の動詞は that節の内容全体を包括することができるのに対し、使役型は V と C 、つまり働きかけている行動そのもの(原形不定詞や to不定詞で表されているもの)につながりを持っているからである。

さて例4の4,5行目の文では C が現在分詞と過去分詞になっている。過去分詞の場合は使役関係はそのままに OC 間を受動関係にしたものと考えられよう。cut が過去分詞であることは「床屋が髪を切る」から「(床屋により」髪が切られる」に変化したのである(もちろん自分で切ったわけではない!)。受動関係になることにより、「床屋」の重要性が落ち、逆に「髪」の位置が相対的に上がる。現在分詞は原形不定詞や to不定詞に比べると、使役というより O をある状態に持ってゆくという意味が強く、例文の get, そして have, leave, keep などにもその用法はみられる。

<変化型>

「もの」または「人」を別の状態に変えるか、維持することを表現するのに使われるのがこのタイプである。使役型とはまた違った用法での make がこの典型的な例である。

例5 The news make them sad.(そのニュースを聞いて彼らは悲しんだ) / Please leave me alone.(どうぞ私を一人にしておいてください) / She painted the door green.(彼女はドアを緑に塗った) / We call the dog Johnnie.(その犬をジョニーと呼ぶ)

ここでの make や leave, kepp は「する」「しておく」「したまま」というような積極的、消極的の程度の違いはあるものの、基本的な形式は似ている。O が C の状態になったことを示すのは多くは形容詞、そして数は少ないながらも名詞を用いることもある。もっと具体的な文例は例5の3,4行目に見られるように「緑色に塗る」や「ジョニーと呼ぶ」という文である。これらはすべてある状態に変化したことを示すのであるから、現在分詞や過去分詞のように動作的なものを C に用いるのは不適当であり、使役型と区別される。

以上のように SVOC と呼ばれているものを4つのタイプに分類してみた。これらは大まかな目安であり、C の種類は各動詞によって微妙に異なるから、作文をする際には辞書を十分に参照願いたい。すでに述べたように OC は小宇宙である。「文の中の文」「主述・主述」が存在しているのであるから、この4つのタイプの特性をよく飲み込んで文体を研究していただきたい。

ところで OC 間はネクサス(主述関係)が存在するというのが通常考えられていることだが、五文型と紛らわしいものも存在している。

例6 Don't spend your free time doing nothing.(暇な時間を何もしないで過ごすな)/ She promised me to take him to the zoo.(彼女は動物園に彼を連れてゆくと私に約束した)

この例文前半の time と ing の部分の関係を見ると、「時間」が「何もしない」というのは主述関係が成立しないし、同一のものでもないので、ing は分詞構文であるとか、前置詞 in が付いていたのが消滅したというような説明がなされている。また後半では、「連れてゆく」のは私ではなくて、彼女自身であるから、me と take との間には主述関係は成立しない。

この例文を参考にし、SVOC として成立するものと、見かけはそう見えても実はそうでないものとを区別するコツを会得してもらいたいと思う。

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